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一度一度の機会を大切に。

昭和63年度導入タンク車(筒先自動制御システム付)

2016-12-07 23:53:58 | 消防車両(名古屋市消防局)

久しぶりに「名古屋市消防局」のカテゴリにて投稿します。

今回取り上げる内容は名古屋市消防局の水槽付消防ポンプ自動車I-B型です。この消防自動車は名古屋市消防局においては普通車として分類され、また現場等ではタンク車として運用されていることから、当記事においては水槽付消防ポンプ自動車とは表記せず、タンク車として呼称統一します。

今回ご紹介するタンク車は昭和63年度に導入された車両で、当時のタンク車は現在主流となる箱型構体とは異なり、ポンプ操作部や吸管等が露出する形となっていました。当年度では森田ポンプ(当時)1台、GMいちはら工業2台、日本機械工業1台、合計4台のタンク車が導入され、どれも試作的要素の高いタンク車となっておりましたが、その中でも日本機械工業で製造されたタンク車には帝国繊維製の「筒先自動制御システム」が搭載されていました。

※下記内容に関する資料を探したところ見つからないため、掲載内容は当時の記憶のみとなります。よって記載内容に本来と異なる点があるかもしれないことをご承知置き下さい。
個人的に筒先自動制御システムの導入搭載は名古屋市消防局発行の消防史で内容を知り、それを元に調査に出向いたところ、既に機器の運用はなされていませんでした。この筒先自動制御システムは本来、車両側で機関員が流量を調整するところを筒先員(ノズル)で制御しようとするシステムであり、また有線を配した特殊な消防ホースであったため、車両側に位置する機関員とホース先端側に位置する筒先員同士で通話(会話)も可能となっていたようです。有線入り消防ホースはシステムの運用廃止と共に廃棄されていたようです。

一方で車両の方も新製配置先の中消防署ではなく、北消防署飯田出張所の予備車となっていたため撮影の機会も無く、難しかったことを思い出します。
当時はいつも車庫にひっそりと佇み、いつ表に出るか分からない車両だからこそ、どうしたら最高の条件で撮影できるかを考えて行動しており、車庫から出される機会の少ない予備車を撮影するには毎年5月の下旬頃に市内各区で実施される「水防訓練(別名予備車フェス)」が絶好の機会でした。紹介する一部の写真も北区で実施された水防訓練で撮影されたものです。
余談ですが私自身の消防車両撮影における方針は新車でもなく、食い付きの良い珍しいといわれる車両でもありません。また一私感として「車庫から出して下さい」「赤色灯や前照灯を点けてください」というお願いは『私の行動範囲内における撮影において』は論外だと考えております。

ベースとなる車両は日産ディーゼルコンドル。車台はP-CL80Eで機関はEF6型。ポンプ型式は日機R3型(A-2級)。赤色警光灯も当年度からスピーカーが内蔵された三連続灯式となりました。

水槽容量は1,500L。所属を記した緑色の標識灯が「名消らしさ」を出しています。いまやこの緑色の標識灯もはしご車のみとなりました。ちなみに点滅と点灯の切替ができます。

こちらは北消防署飯田出張所で撮影させてもらった写真です。車両左側中央部の蓋を開けると筒先自動制御システムの操作盤が現れます。

筒先自動制御システムの操作盤です。
電源入切
マイク音量及びAUX切替調整
手元操作、遠距離操作の切替
機関回転速度の調整
各放口(吐水口)弁の開閉及び通話切替(1・3放口が車両右側 2・4放口が車両左側)
150L/450L/600Lの各流量切替 

車両左側の放口(吐水口)、中継口及び給水口の配置です。
放口弁には2と4の数字が表示されています。

車両運転席右側には携帯無線機格納器が備わり、無線呼出名称板には新製配置先であった中消防署の表示がされている。


学生時代、そして社会人デビューしたてであった当時、もちろん好き好んで必死においかけた名古屋市消防局の消防車両を久しぶりに観察してみました。今思えば警光灯類に現在のような高輝度LEDなんてものはなく、ハロゲン球を光源に赤色カバー内に設置された反射鏡をクルクル回転させて光を拡散する赤色散光灯が主流だった時代だったのですね。

当時の情報源といえば図書館、そして現物。その現物という実際目に入ってきたものに興味を示し、様々なことを教えてくれる先生はすべて消防職員でした。このように記事にできたことも含め、感謝しております。

現在の撮影主軸は防災航空隊(防災ヘリ)へと移り変わりましたが、それは消防車両を撮影していた土台(過去)があったからこそ。防災ヘリ撮影を通じて新しい仲間も増えましたが、消防車で繋がった仲間はその時代と変わりません。

このウェブログのタイトルである「nagoya-fe」とは名古屋の消防車(fire engine)という意味で名付けました。久しぶりに名古屋の消防車に関する記事が投稿できてよかったかな。


Exifデータから以下の内容が判明したので記載しておく。
※使用機材

富士フイルムFinePix2700
オリンパスC-700UZ
※撮影情報

全体写真2003年5月
車庫内写真2002年5月
操作盤写真2000年4月


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1 コメント

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鉄の道千年マルテンサイト変態 (鉄鋼材料エンジニア)
2024-10-19 14:23:23
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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