
写真はヤマボウシです。とくに好きな花です。
本日も地震がありました。
以下、たんぽぽ舎より転載。
┏┓
┗■4.ハワイ島の噴火は地球物理学の「常識」
| 海底にある海山が「次のハワイ」に
| 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識その247
└──── 島村英紀(地球物理学者)
さる5月3日からハワイ島で噴火が起きている。住宅地や近くの林に亀裂が生
まれ、噴水のように溶岩が噴出した。2000人近い人々に避難命令が出され、マグ
ニチュード(M)6.9の大きな火山性地震も起きた。幸い、人的な被害はない。
だが、地球物理学者である私はちっとも驚かない。ハワイ島でこのような噴火
があることは地球物理学の「常識」だからである。
ハワイには人が住む8つの大きな島と多くの小さな島がある。ハワイ島は、そ
の中でも最大の島で一番南東にある。標高4205メートルあるマウナケアと、それ
より低いマウナロアやキラウエア火山がある火山島だ。
ハワイ諸島が載っている太平洋プレートは年に8センチほどの速さで動いてい
るが、その下からマントルプリュームというものがプレートを突き抜けて上がっ
てきて溶けた溶岩を作っている。
日本人が多く行くホノルルがあるオアフ島はハワイ島から北西に約300キロ離れ
ており、ここでは噴火はない。オアフ島は大昔には噴火した火山島だが、プレー
トが動いたために、地下のマントルプリュームの上昇がなくなってしまったから
だ。
ハワイのマグマは、日本のマグマと違う。日本では太平洋プレートやフィリピ
ン海プレートが日本列島を載せている大陸プレートと衝突したあと、日本列島の
地下に潜り込んだところでマグマを作る。その深さは約100キロほどだ。
だが、ハワイのマグマは、2000キロ以上深い地球内部から上がってくるマント
ルプリュームを元にしている。プレートよりもはるかに深いところから上がって
きている。
太平洋プレートが動いていくときに、固定したマントルプリュームのせいで次々
に火山島が出来ていったのがハワイ諸島なのである。
いまは、南東の端のハワイ島の地下でマグマが盛んに活動している。だが、数
万年あとにはハワイ島の噴火が収まる。そして、いまはハワイ島の南東の海底に
あるロイヒという海山が、「次のハワイ」になるはずだ。ロイヒは、海底からぶ
くぶく、火山ガスを出している。いずれは噴火を繰り返して火山島になって、海
面上に姿を現す。
一方、ハワイ諸島の北西の島々は温度が下がって縮まり、海の浸食もあって海
面下に姿を消すはずだ。
じつは、ハワイ諸島から延々、ロシア・カムチャッカ近くまで、海面上には見
えないが、何十もの海山が続いている。全体の長さは5000キロ近い。
この海山は、北西に行くほど古い。かつては火山島だったものが、いまは海山
になっている。これは皆、「昔のハワイ」なのだ。
ハワイ島には30回を超える噴火が知られている。だが、人間が住み着く前から
はるかに多くの噴火があったに違いない。これからもハワイ諸島の中でもハワイ
島にだけは、噴火と火山性地震が繰り返すに違いない。
火山や地震が避けられない日本と同じように、ハワイ島も地球物理学の観点か
らは「必ず噴火が起きる」場所なのである。
(島村英紀さんのHP http://shima3.fc2web.com/
「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より5月11日の記事)
本日も地震がありました。
以下、たんぽぽ舎より転載。
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┗■4.ハワイ島の噴火は地球物理学の「常識」
| 海底にある海山が「次のハワイ」に
| 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識その247
└──── 島村英紀(地球物理学者)
さる5月3日からハワイ島で噴火が起きている。住宅地や近くの林に亀裂が生
まれ、噴水のように溶岩が噴出した。2000人近い人々に避難命令が出され、マグ
ニチュード(M)6.9の大きな火山性地震も起きた。幸い、人的な被害はない。
だが、地球物理学者である私はちっとも驚かない。ハワイ島でこのような噴火
があることは地球物理学の「常識」だからである。
ハワイには人が住む8つの大きな島と多くの小さな島がある。ハワイ島は、そ
の中でも最大の島で一番南東にある。標高4205メートルあるマウナケアと、それ
より低いマウナロアやキラウエア火山がある火山島だ。
ハワイ諸島が載っている太平洋プレートは年に8センチほどの速さで動いてい
るが、その下からマントルプリュームというものがプレートを突き抜けて上がっ
てきて溶けた溶岩を作っている。
日本人が多く行くホノルルがあるオアフ島はハワイ島から北西に約300キロ離れ
ており、ここでは噴火はない。オアフ島は大昔には噴火した火山島だが、プレー
トが動いたために、地下のマントルプリュームの上昇がなくなってしまったから
だ。
ハワイのマグマは、日本のマグマと違う。日本では太平洋プレートやフィリピ
ン海プレートが日本列島を載せている大陸プレートと衝突したあと、日本列島の
地下に潜り込んだところでマグマを作る。その深さは約100キロほどだ。
だが、ハワイのマグマは、2000キロ以上深い地球内部から上がってくるマント
ルプリュームを元にしている。プレートよりもはるかに深いところから上がって
きている。
太平洋プレートが動いていくときに、固定したマントルプリュームのせいで次々
に火山島が出来ていったのがハワイ諸島なのである。
いまは、南東の端のハワイ島の地下でマグマが盛んに活動している。だが、数
万年あとにはハワイ島の噴火が収まる。そして、いまはハワイ島の南東の海底に
あるロイヒという海山が、「次のハワイ」になるはずだ。ロイヒは、海底からぶ
くぶく、火山ガスを出している。いずれは噴火を繰り返して火山島になって、海
面上に姿を現す。
一方、ハワイ諸島の北西の島々は温度が下がって縮まり、海の浸食もあって海
面下に姿を消すはずだ。
じつは、ハワイ諸島から延々、ロシア・カムチャッカ近くまで、海面上には見
えないが、何十もの海山が続いている。全体の長さは5000キロ近い。
この海山は、北西に行くほど古い。かつては火山島だったものが、いまは海山
になっている。これは皆、「昔のハワイ」なのだ。
ハワイ島には30回を超える噴火が知られている。だが、人間が住み着く前から
はるかに多くの噴火があったに違いない。これからもハワイ諸島の中でもハワイ
島にだけは、噴火と火山性地震が繰り返すに違いない。
火山や地震が避けられない日本と同じように、ハワイ島も地球物理学の観点か
らは「必ず噴火が起きる」場所なのである。
(島村英紀さんのHP http://shima3.fc2web.com/
「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より5月11日の記事)