【質問の2】
はたして安保を破棄できる政治家がいるでしょうか? 今後、破棄できるような政
治状況になる日が来るのか……希望が持てません)。ここが、一番歯がゆい所なので
すが、「理想論」としてしか受け止めてもらえません。
●結論をあらかじめ言うと、私は安保条約の破棄はできると思っています。まず、9
条の意味をめぐる新たな動きを紹介することから始めましょう。
◆韓国での新たな息吹き
来る8月31日、「韓国9条の会」の発起人の一人である金承国(キムスングク)
さんが来日して大阪で講演します(詳細は末尾注参照)。講演会のお知らせから、
「韓国9条の会の結成宣言をそのまま引用します。
「平和憲法市民連帯(韓国9条の会)」出帆宣言文
私たちは日本平和憲法を守る運動に連帯しようとする。
「戦争放棄」「戦力保有の禁止」「交戦権否定」を訴える平和憲法の核心は前文と第
9条にある。その内容は「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求
し、国権の発動による戦争および武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決
する手段としては永久に此を放棄する。これらの目的を成就するために陸海空軍およ
びそれ以外のいかなる戦力も保持しない。国家の交戦権はまた此を認めない。」とい
うものである。数多くの韓国人をはじめ、5千万人の命を奪った第2次世界大戦の悲
劇を繰り返さないために日本は平和憲法を採択した。
しかし日本の保守極右勢力は軍事大国化のために憲法9条を廃棄しようとしてい
る。そのために国民投票法などの関連法制を整備している。アメリカの支配権力も同
調している。これらの動きは朝鮮半島と東アジアの情勢をいっそう不安にし、東アジ
アの平和、ひいては世界の平和を脅かしている。それで、今まで日本国内に限られて
いた平和憲法守護運動を拡大させる必要があり、われらもこれに参加するということ
である。
われらは朝鮮半島に平和憲法をつくるための運動を展開しようとしている。朝鮮半
島の分断と葛藤は世界の平和を脅かし、南北朝鮮と周辺国家たちの武力競争の言い訳
になっていたし、北朝鮮の核実験状況まで産み出してしまった。このような朝鮮半島
に平和の風が吹いている。北朝鮮の核問題の解消のために六者会談が成果をあげなが
ら進行されているし、第二次南北首脳会談が成就された。朝鮮半島の平和の機運が広
がっているのである。 まもなくくる朝鮮半島の平和体制を恒常的なものにし、統一
朝鮮半島が東アジアと世界の平和を促進するために努めなければならない。われらは
これらの立場から「朝鮮半島に平和憲法をつくる運動」を展開する。この運動は「紛
争や葛藤を戦争や武力で解決できない」という平和精神を守り、国家主義と軍事主義
に反対することを意味する。またはこの運動は日本の平和憲法守護運動にもっとも強
く連帯することでもある。
日本平和憲法9条をまもるためにアジアの市民運動と連帯しよう。
東北アジアの平和を守るためにいっしょにいこう。
朝鮮半島に平和憲法をつくる運動を即時展開しよう。
2007年11月17日
日本平和憲法をいっしょに守り、朝鮮半島に平和憲法をつくる
平和憲法市民連帯(韓国9条
の会) 〔出帆宣言文の引用、
ここで終わり〕
上の「韓国9条の会」出帆宣言文によって、私たちは同会の問題意識を大略つかむ
ことができるのではないでしょうか。今なお「休戦ライン」(38度線)が朝鮮半島
を南北に分断している過酷な状況下にあって、「朝鮮半島に平和憲法をつくる運動」
を始めるという決意に、私は歴史の新たな息吹きを感じます。南北の統一と平和を求
める韓国の人びとは、自力で軍事独裁政権を打倒し民主化を達成しました。その成果
を踏まえて、「紛争や葛藤を戦争や武力で解決できない」という平和精神を守り、国
家主義と軍事主義に反対するというのです。
◆台湾での新たな胎動
ここでもう一つ、「台湾に平和憲法を」という主張を紹介します(雑誌『世界』2
008年3月号)。筆者は「台湾平和促進文化財団(ピースタイム財団)」代表の簡
(土へんに皆)氏と同財団理事の徐斯儉氏です。二人の主張を要約して引用します。
(1)人類史上、平和の権利を憲法において制度化し、具体化した事例は日本国憲法
九条だけである。ピースタイム財団は、台湾の平和NGOとして、将来的に台湾の憲
法に平和条項を入れるために努力している。そのことが台湾の国際社会への参加に
とって意義深いものであることを広く台湾の人々に理解してもらおうとしている。
(2)しかし台湾で平和運動を広げるのは非常にむずかしい。それは、台湾が中国か
らの直接的な軍事脅威にさらされているからである。中国のジェット戦闘機は、もの
の数分で台湾を攻撃できる状態にある。中国は、台湾に向けてこれまでに1000基
以上ものミサイルを配備しており、その数は毎年増え続けている。さらに中国は、台
湾海峡における軍事衝突を念頭に、米国やその他の国による干渉を抑止するために、
ハイテク軍事力を驚異的な速さで開発し、購入している。そんな不安定な情勢のな
か、台湾の人々は、平和という考えなど無意味、あるいは今の台湾にとっては贅沢す
ぎると思ってしまうのである。
しかしそんな不安感こそが、海峡をまたぐ軍事対立の罠を形成している。私たちは
この罠にはまり、多大な国防予算を注ぎ込み続け、台湾海峡をこの地域でもっとも危
険で不安定な地域にしてしまっている。私たちが恐怖を感じれば感じるほど、自己防
衛のために軍事力に依存し、自ら平和を遠ざけてしまうのである。このことこそが、
台湾でいち早く平和運動を根付かせるべき理由であり、憲法九条の精神を私たちの社
会に導入するべき理由なのである。
具体的には、「中国本土や他国との争議は、平和的な手段によって解決されなけれ
ばならない」とか「わが国は非軍事市民防衛を発展させ、軍事同盟に与したり他国を
攻撃したりしない」といった条項を憲法に盛り込むことが考えられる。
(3)台湾に平和憲法を作ることができれば、それは確実に台湾海峡における平和的
関係に貢献する。そして国際社会は、民主主義、平和、そして人権という人類にとっ
てもっとも崇高な価値を主張する私たちの立場を理解するだろう。
(4)さらに、台湾海峡問題の解決のために武力に訴えることを私たちが放棄したな
ら、中国が武力に訴えることの正当性を失わせることができる。そして、台湾が具体
的な方法で、非協力と抵抗による「非軍事的防衛」を発展させることができれば、中
国の示す侵略的な意志に対して、より強力な倫理的圧力をかけることができるのであ
る。
(5)さらに、もし台湾が中国との政治的紛争を解決する手段として、武力に訴える
ことを完全に放棄した場合、中国は台湾に対する軍事的脅威を配備、展開し続ける正
当な理由を失うことになる。同時に、米国を抑止するための軍事的増強に対しても正
当な理由がなくなるのである。こうして中国は軍事力増強の中止を迫られることとな
り、それによって地域全体が非軍事化と段階的軍縮に取り組むことができるようにな
る。
(6)武力行使の権利を放棄するということは、軍隊を解体し、武器を処分すること
を意味するのではないか、と懸念する人々もいる。平和条項を憲法に盛り込むという
ことは、すなわち、自国の安全保障を放棄することではないのか、と。私たちが主張
するのは、従来の国防の概念を「非軍事的防衛」に変えなければならない、というも
のである。それは、「市民的防衛」の概念であり、ガンディーが圧倒的な武力をもつ
英国に対して、非協力、不服従の運動で抵抗した理念を基礎にしている。バルト海沿
岸諸国の人々も、非暴力の抵抗でソビエトの侵攻を抑止した。
(7)私たちは、自国の安全を保証(ママ)するうえで、武力が唯一の手段だとも
もっとも強力な手段だとも考えていない。武力は、絶対の安全保障をもたらすことは
できない。それどころかむしろ、互いへの軍事的脅威を増幅させることになるのであ
る。さらに、軍事力への依存から脱却するということは、国家予算を大幅に軽減さ
せ、代わりに、教育、社会福祉、社会保障の安全網のためにその資金を使うことがで
きるようになる。そうすることによって、私たちは真に社会に根ざした平和の文化を
育てていくことができるのである。 〔「台湾に平和
憲法を」からの引用、ここで終わり〕
長い引用になりましたが、その理由は理解していただけると思います。私はこの論
文を読んだとき、本当にびっくりしました。私が「反戦の視点・その61」で主張し
たことに余りにも似ているからです。
(2)は中国との軍事的緊張が続いている台湾の過酷な現実とそれが台湾の民衆に
生み出している不安に触れ、「そんな不安感こそが、海峡をまたぐ軍事対立の罠を形
成している。私たちはこの罠にはま」っている、「私たちが恐怖を感じれば感じるほ
ど、自己防衛のために軍事力に依存し、自ら平和を遠ざけてしまうのである。」との
べていますが、しかし「このことこそが、台湾でいち早く平和運動を根付かせるべき
理由であり、憲法九条の精神を私たちの社会に導入するべき理由なのである。」と強
調しています。
(3)の「台湾に平和憲法を作ることができれば、それは確実に台湾海峡における
平和的関係に貢献する。」という表現には筆者の切実な思いがこもっています。
(4)と(5)は、「台湾が中国との政治的紛争を解決する手段として、武力に訴
えることを完全に放棄した場合」、「中国が武力に訴えることの正当性を失わせるこ
とができ」「中国は台湾に対する軍事的脅威を配備、展開し続ける正当な理由を失う
ことになる。同時に、米国を抑止するための軍事的増強に対しても正当な理由がなく
なるのである。」とのべています。このリアルな認識、これこそ私が「非武装の現実
性」と呼ぶものなのです。 (6)と(7)も私の考えるところと一致しています。
私は「非軍事的防衛」という言葉こそ用いていませんが、侵略には「市民的不服従の
非暴力直接行動で立ち向かう」とのべ、ガンジーの非暴力抵抗運動に触れました。ま
た旧ソ連の民衆が武力によらず、「サボタージュ」や「非協力」という「不服従」の
抵抗によって国家の機能を麻痺させ、ついに一党独裁の鉄の体制を突き崩したこと
や、ソ連を後ろ盾としていた旧東欧圏諸国では、ルーマニアを例外として、無名の無
数の市民が無血で独裁政権を打倒し民主化を達成したことに触れました。
私は正直なところ、韓国や台湾で9条のもつ普遍的な意味に基づく市民運動が始ま
ると、これまで予想していませんでした。反共でこり固まっていた時代の両国の政治
状況が強く記憶に残っていたからです。しかし、韓国の民衆は自力で民主化を達成
し、台湾の人びとも国民党の一党支配を打破して多党制民主政治を実現しました。自
国の未来を自分たちで切り開いた人たちが、いま、《非武装・不戦》を核とする9条
を見出し、自国の憲法に取り入れる決意を固めたことは、東アジア、アジア・太平洋
地域に新しい時代が到来する可能性を意味すると思います。
韓国と米国の間には「韓米相互防衛条約」があります(1953年10月1日調印
・1954年11月17日発効)。これは攻守同盟ですから、同条約に基づいて朴独
裁政権下の韓国軍はベトナム侵略戦争に参加しました。「韓国9条の会」の結成宣言
は同条約に触れていませんが、国家主義と軍事主義に反対する「朝鮮半島に平和憲法
をつくる運動」にとって、それが除去の対象であろうことは明らかです。
台湾と米国との間では、1954年12月に中国(後注参照)への軍事的対抗を目
的として「米華相互防衛条約」が結ばれましたが、1972年にニクソン米大統領が
訪中し、79年1月に米中が国交を樹立して米国が台湾と断交したため、同条約は事
実上無効になりました。しかし同年4月には米国の国内法として「台湾関係法」が制
定されました。それは米国の対台湾政策の基本を定めたもので、防衛関係では台湾に
武器を提供することや、台湾を脅かす武力行使に対して米国が台湾を防衛する義務を
負うことなどを定めています。論文「台湾に平和憲法を」は対米関係にほとんど触れ
ていませんが、
〈私たちは、台湾は「非軍事的防衛」を発展させ、軍事力への依存を段階的に減ら
していかなくてはならないと人々に呼びかけている。人々が正義と平和を求める意志
は、いかなる武器よりも強力であって、大国が侵略に向かう意志さえも打ち破ること
ができる。〉 とあるのをみれば、「台湾関係法」など平和に向かう歩みにとって阻
害要因でしかないことは明らかでしょう。
※ 中華人民共和国は1949年10月1日成立
しかし私はここで、私たち日本の市民の責任に触れなければなりません。「韓国9
条の会」の結成宣言にはこうあります。
〈数多くの韓国人をはじめ、5千万人の命を奪った第2次世界大戦の悲劇を繰り返
さないために日本は平和憲法を採択した。しかし日本の保守極右勢力は軍事大国化の
ために憲法9条を廃棄しようとしている。そのために国民投票法などの関連法制を整
備している。アメリカの支配権力も同調している。これらの動きは朝鮮半島と東アジ
アの情勢をいっそう不安にし、東アジアの平和、ひいては世界の平和を脅かしてい
る。それで、今まで日本国内に限られていた平和憲法守護運動を拡大させる必要があ
り、われらもこれに参加するということである。〉
「台湾平和促進文化財団」の代表と理事による論文「台湾に平和憲法を」はその冒
頭でこうのべています。
〈日本国憲法九条は、次の意味で画期的である。まず法的な意味においては、
「人々の平和への権利」を憲法に盛り込むことで、戦争を禁止することの重要性を世
界の人々に理解させるという意義がある。次に実際的な意味では、日本の九条は、
「正義と秩序に基づく国際平和」を共に追求するために、他の国々が憲法に平和条項
を盛り込むための手本を示した。
ところが、いま日本の右翼などの一部の勢力が愛国主義を煽り、日本国憲法九条を
改定しようとしている。彼らは憲法九条を撤廃し、五、六年のうちに戦争をする権利
を取り戻そうとしている。この憲法九条改定を、単に日本国内の問題としてとらえて
はならない。 日本の憲法九条が撤廃されるようなことがあれば、近隣諸国は日本に
対する不信感をもたざるをえなくなる。その不信感は、これら諸国の右翼や保守派の
政治勢力に軍事力を増強することを促し、憲法に平和条項をもつこととは反対の方向
に導くことになる。近隣諸国の軍拡に対し、日本も軍事力を強化せざるをえなくなる
だろう。そうなれば、「安全保障のジレンマ」(訳注・お互いの防衛策の結果、軍拡
と緊張が生まれること)が地域で深刻化するだけではなく、この地域の市民や市民団
体がつくり上げてきた平和のための努力は無になり、孤立してしまうだろう。
そのような自滅的な結果が予測できるのに、この地域の市民社会や国際社会が何も
せず座していることができるだろうか。憲法九条撤廃の阻止にただちに取り組まなけ
ればならない。〉
韓国や台湾の反戦・平和団体の人びとは、9条の危機をまさに「わがこと」ととら
え、「九条撤廃の阻止」を国際的な連帯の力で実現する決意を固めるとともに、「安
全保障のジレンマ」から抜け出すために、自国の憲法に「平和条項」を取り入れよう
としているのです。
しかし日本国民が国民主権の根源たる憲法制定権を行使して現憲法を制定した以
上、9条改悪阻止は、まず何より日本国民が負うべき義務です。半殺しにされてきた
9条を字義通りに実現させる仕事も、私たち自身のものであらねばなりません。「専
守防衛」のタテマエで軍事力の膨張を続けてきた自衛隊を解体し、安保条約を破棄し
て米軍基地を撤去する活動も私たちがなすべき喫緊の課題です。
私は日本国内で日米安保条約の破棄を求める潮流は根強く続いていると思います。
安保条約が憲法に違反していることは自明の理だからです。ただ、その思いを世論と
して顕在化させる努力が足りず、それについては明らかに私も責任を負っています
が、市民運動はもともと政治家に頼らず、自分一個の奮起、「個の反乱」から始まる
ものです。私たちは政治の現状を直視するとともに、政治的想像力を駆使して未来を
透視し展望する必要があります。問われているのは、故鶴見良行氏が指摘したように
「政治的構想力」です。
60年の反安保闘争も65年に勢いづいたベトナム反戦運動も、その直前まであれ
ほどの高揚に発展するとは誰も予想できませんでした。安倍首相が「任期内の改憲」
を公約したことが、昨年7月の参院選で自民党の惨敗をもたらし、『読売新聞』の世
論調査においてさえ改憲反対派が改憲派を上回るという事態を招いたことは、私たち
に大きな示唆を与えています。先の沖縄県議選では、野党が与党をしのぐ議席を獲得
し、ついに7月18日、沖縄県議会は米海兵隊基地・普天間飛行場の辺野古(への
こ)移設に反対する決議を採択しました。民意がただちに政治を動かすことはほとん
どありませんが、地下に潜っていた伏流水が突如湧き出すように政治を変えることは
ありえます。故竹内好氏は前掲『憲法読本・下』(岩波新書)でこうのべています。
「弱いようで、じつは強いもの、それは国民ひとりひとりの心のとりでである」。
私は魯迅の「安易な絶望は根拠なき希望に相同じい」という言葉を座右の銘にして
います。「安易な絶望」をもたらす根拠は無数にありますが、希望は希(まれ)な望
みと書くとおり、そう簡単に見出せるものではありません。しかし魯迅はまた「道は
人が歩くところにできる」と言いました。希望は私たちが自らの力で創造すべきもの
なのです。
淡々と持続される私たちの日々の反戦の営みにムダということはない、私はそう確
信しています。だから、「安易な絶望」を決して友とせず、ラクダが針の穴を通るほ
どの可能性でもけっして手放さない、象が大地を踏みしめるように、日々の一歩一歩
を大切にして、道をつくる民衆の協同の作業に加わり続けたい、私はそう思っていま
す。
以上の私の考えがあなたのご質問への十分な回答になったかどうかは心許ないので
すが、これをもって、とりあえずお返事とさせていただきます。
2008年7月28日
◆注 「韓国9条の会」 金承国さん講演会
と き:8月31日(日)13:30~16:30
ところ:エルおおさか大会議室(京阪、地下鉄天満橋駅下車西へ3分)
講演:金承國(キムスングク)さん 「日本平和憲法守護は、日本の市民だけの
課題 ではない」 通訳:康宗憲(カンジョンホン)さん(韓国問題研究所代表)
参加費:1000円(学生 500円) 連絡先:千本法律事務所 FAX:06-6364-7747
TEL:06-6364-7737 Email:kenpo9kansai@yahoo.co.jp
共催:憲法9条の会・関西/大阪YWCA平和環境部委員会/阪大・9条の会
はたして安保を破棄できる政治家がいるでしょうか? 今後、破棄できるような政
治状況になる日が来るのか……希望が持てません)。ここが、一番歯がゆい所なので
すが、「理想論」としてしか受け止めてもらえません。
●結論をあらかじめ言うと、私は安保条約の破棄はできると思っています。まず、9
条の意味をめぐる新たな動きを紹介することから始めましょう。
◆韓国での新たな息吹き
来る8月31日、「韓国9条の会」の発起人の一人である金承国(キムスングク)
さんが来日して大阪で講演します(詳細は末尾注参照)。講演会のお知らせから、
「韓国9条の会の結成宣言をそのまま引用します。
「平和憲法市民連帯(韓国9条の会)」出帆宣言文
私たちは日本平和憲法を守る運動に連帯しようとする。
「戦争放棄」「戦力保有の禁止」「交戦権否定」を訴える平和憲法の核心は前文と第
9条にある。その内容は「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求
し、国権の発動による戦争および武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決
する手段としては永久に此を放棄する。これらの目的を成就するために陸海空軍およ
びそれ以外のいかなる戦力も保持しない。国家の交戦権はまた此を認めない。」とい
うものである。数多くの韓国人をはじめ、5千万人の命を奪った第2次世界大戦の悲
劇を繰り返さないために日本は平和憲法を採択した。
しかし日本の保守極右勢力は軍事大国化のために憲法9条を廃棄しようとしてい
る。そのために国民投票法などの関連法制を整備している。アメリカの支配権力も同
調している。これらの動きは朝鮮半島と東アジアの情勢をいっそう不安にし、東アジ
アの平和、ひいては世界の平和を脅かしている。それで、今まで日本国内に限られて
いた平和憲法守護運動を拡大させる必要があり、われらもこれに参加するということ
である。
われらは朝鮮半島に平和憲法をつくるための運動を展開しようとしている。朝鮮半
島の分断と葛藤は世界の平和を脅かし、南北朝鮮と周辺国家たちの武力競争の言い訳
になっていたし、北朝鮮の核実験状況まで産み出してしまった。このような朝鮮半島
に平和の風が吹いている。北朝鮮の核問題の解消のために六者会談が成果をあげなが
ら進行されているし、第二次南北首脳会談が成就された。朝鮮半島の平和の機運が広
がっているのである。 まもなくくる朝鮮半島の平和体制を恒常的なものにし、統一
朝鮮半島が東アジアと世界の平和を促進するために努めなければならない。われらは
これらの立場から「朝鮮半島に平和憲法をつくる運動」を展開する。この運動は「紛
争や葛藤を戦争や武力で解決できない」という平和精神を守り、国家主義と軍事主義
に反対することを意味する。またはこの運動は日本の平和憲法守護運動にもっとも強
く連帯することでもある。
日本平和憲法9条をまもるためにアジアの市民運動と連帯しよう。
東北アジアの平和を守るためにいっしょにいこう。
朝鮮半島に平和憲法をつくる運動を即時展開しよう。
2007年11月17日
日本平和憲法をいっしょに守り、朝鮮半島に平和憲法をつくる
平和憲法市民連帯(韓国9条
の会) 〔出帆宣言文の引用、
ここで終わり〕
上の「韓国9条の会」出帆宣言文によって、私たちは同会の問題意識を大略つかむ
ことができるのではないでしょうか。今なお「休戦ライン」(38度線)が朝鮮半島
を南北に分断している過酷な状況下にあって、「朝鮮半島に平和憲法をつくる運動」
を始めるという決意に、私は歴史の新たな息吹きを感じます。南北の統一と平和を求
める韓国の人びとは、自力で軍事独裁政権を打倒し民主化を達成しました。その成果
を踏まえて、「紛争や葛藤を戦争や武力で解決できない」という平和精神を守り、国
家主義と軍事主義に反対するというのです。
◆台湾での新たな胎動
ここでもう一つ、「台湾に平和憲法を」という主張を紹介します(雑誌『世界』2
008年3月号)。筆者は「台湾平和促進文化財団(ピースタイム財団)」代表の簡
(土へんに皆)氏と同財団理事の徐斯儉氏です。二人の主張を要約して引用します。
(1)人類史上、平和の権利を憲法において制度化し、具体化した事例は日本国憲法
九条だけである。ピースタイム財団は、台湾の平和NGOとして、将来的に台湾の憲
法に平和条項を入れるために努力している。そのことが台湾の国際社会への参加に
とって意義深いものであることを広く台湾の人々に理解してもらおうとしている。
(2)しかし台湾で平和運動を広げるのは非常にむずかしい。それは、台湾が中国か
らの直接的な軍事脅威にさらされているからである。中国のジェット戦闘機は、もの
の数分で台湾を攻撃できる状態にある。中国は、台湾に向けてこれまでに1000基
以上ものミサイルを配備しており、その数は毎年増え続けている。さらに中国は、台
湾海峡における軍事衝突を念頭に、米国やその他の国による干渉を抑止するために、
ハイテク軍事力を驚異的な速さで開発し、購入している。そんな不安定な情勢のな
か、台湾の人々は、平和という考えなど無意味、あるいは今の台湾にとっては贅沢す
ぎると思ってしまうのである。
しかしそんな不安感こそが、海峡をまたぐ軍事対立の罠を形成している。私たちは
この罠にはまり、多大な国防予算を注ぎ込み続け、台湾海峡をこの地域でもっとも危
険で不安定な地域にしてしまっている。私たちが恐怖を感じれば感じるほど、自己防
衛のために軍事力に依存し、自ら平和を遠ざけてしまうのである。このことこそが、
台湾でいち早く平和運動を根付かせるべき理由であり、憲法九条の精神を私たちの社
会に導入するべき理由なのである。
具体的には、「中国本土や他国との争議は、平和的な手段によって解決されなけれ
ばならない」とか「わが国は非軍事市民防衛を発展させ、軍事同盟に与したり他国を
攻撃したりしない」といった条項を憲法に盛り込むことが考えられる。
(3)台湾に平和憲法を作ることができれば、それは確実に台湾海峡における平和的
関係に貢献する。そして国際社会は、民主主義、平和、そして人権という人類にとっ
てもっとも崇高な価値を主張する私たちの立場を理解するだろう。
(4)さらに、台湾海峡問題の解決のために武力に訴えることを私たちが放棄したな
ら、中国が武力に訴えることの正当性を失わせることができる。そして、台湾が具体
的な方法で、非協力と抵抗による「非軍事的防衛」を発展させることができれば、中
国の示す侵略的な意志に対して、より強力な倫理的圧力をかけることができるのであ
る。
(5)さらに、もし台湾が中国との政治的紛争を解決する手段として、武力に訴える
ことを完全に放棄した場合、中国は台湾に対する軍事的脅威を配備、展開し続ける正
当な理由を失うことになる。同時に、米国を抑止するための軍事的増強に対しても正
当な理由がなくなるのである。こうして中国は軍事力増強の中止を迫られることとな
り、それによって地域全体が非軍事化と段階的軍縮に取り組むことができるようにな
る。
(6)武力行使の権利を放棄するということは、軍隊を解体し、武器を処分すること
を意味するのではないか、と懸念する人々もいる。平和条項を憲法に盛り込むという
ことは、すなわち、自国の安全保障を放棄することではないのか、と。私たちが主張
するのは、従来の国防の概念を「非軍事的防衛」に変えなければならない、というも
のである。それは、「市民的防衛」の概念であり、ガンディーが圧倒的な武力をもつ
英国に対して、非協力、不服従の運動で抵抗した理念を基礎にしている。バルト海沿
岸諸国の人々も、非暴力の抵抗でソビエトの侵攻を抑止した。
(7)私たちは、自国の安全を保証(ママ)するうえで、武力が唯一の手段だとも
もっとも強力な手段だとも考えていない。武力は、絶対の安全保障をもたらすことは
できない。それどころかむしろ、互いへの軍事的脅威を増幅させることになるのであ
る。さらに、軍事力への依存から脱却するということは、国家予算を大幅に軽減さ
せ、代わりに、教育、社会福祉、社会保障の安全網のためにその資金を使うことがで
きるようになる。そうすることによって、私たちは真に社会に根ざした平和の文化を
育てていくことができるのである。 〔「台湾に平和
憲法を」からの引用、ここで終わり〕
長い引用になりましたが、その理由は理解していただけると思います。私はこの論
文を読んだとき、本当にびっくりしました。私が「反戦の視点・その61」で主張し
たことに余りにも似ているからです。
(2)は中国との軍事的緊張が続いている台湾の過酷な現実とそれが台湾の民衆に
生み出している不安に触れ、「そんな不安感こそが、海峡をまたぐ軍事対立の罠を形
成している。私たちはこの罠にはま」っている、「私たちが恐怖を感じれば感じるほ
ど、自己防衛のために軍事力に依存し、自ら平和を遠ざけてしまうのである。」との
べていますが、しかし「このことこそが、台湾でいち早く平和運動を根付かせるべき
理由であり、憲法九条の精神を私たちの社会に導入するべき理由なのである。」と強
調しています。
(3)の「台湾に平和憲法を作ることができれば、それは確実に台湾海峡における
平和的関係に貢献する。」という表現には筆者の切実な思いがこもっています。
(4)と(5)は、「台湾が中国との政治的紛争を解決する手段として、武力に訴
えることを完全に放棄した場合」、「中国が武力に訴えることの正当性を失わせるこ
とができ」「中国は台湾に対する軍事的脅威を配備、展開し続ける正当な理由を失う
ことになる。同時に、米国を抑止するための軍事的増強に対しても正当な理由がなく
なるのである。」とのべています。このリアルな認識、これこそ私が「非武装の現実
性」と呼ぶものなのです。 (6)と(7)も私の考えるところと一致しています。
私は「非軍事的防衛」という言葉こそ用いていませんが、侵略には「市民的不服従の
非暴力直接行動で立ち向かう」とのべ、ガンジーの非暴力抵抗運動に触れました。ま
た旧ソ連の民衆が武力によらず、「サボタージュ」や「非協力」という「不服従」の
抵抗によって国家の機能を麻痺させ、ついに一党独裁の鉄の体制を突き崩したこと
や、ソ連を後ろ盾としていた旧東欧圏諸国では、ルーマニアを例外として、無名の無
数の市民が無血で独裁政権を打倒し民主化を達成したことに触れました。
私は正直なところ、韓国や台湾で9条のもつ普遍的な意味に基づく市民運動が始ま
ると、これまで予想していませんでした。反共でこり固まっていた時代の両国の政治
状況が強く記憶に残っていたからです。しかし、韓国の民衆は自力で民主化を達成
し、台湾の人びとも国民党の一党支配を打破して多党制民主政治を実現しました。自
国の未来を自分たちで切り開いた人たちが、いま、《非武装・不戦》を核とする9条
を見出し、自国の憲法に取り入れる決意を固めたことは、東アジア、アジア・太平洋
地域に新しい時代が到来する可能性を意味すると思います。
韓国と米国の間には「韓米相互防衛条約」があります(1953年10月1日調印
・1954年11月17日発効)。これは攻守同盟ですから、同条約に基づいて朴独
裁政権下の韓国軍はベトナム侵略戦争に参加しました。「韓国9条の会」の結成宣言
は同条約に触れていませんが、国家主義と軍事主義に反対する「朝鮮半島に平和憲法
をつくる運動」にとって、それが除去の対象であろうことは明らかです。
台湾と米国との間では、1954年12月に中国(後注参照)への軍事的対抗を目
的として「米華相互防衛条約」が結ばれましたが、1972年にニクソン米大統領が
訪中し、79年1月に米中が国交を樹立して米国が台湾と断交したため、同条約は事
実上無効になりました。しかし同年4月には米国の国内法として「台湾関係法」が制
定されました。それは米国の対台湾政策の基本を定めたもので、防衛関係では台湾に
武器を提供することや、台湾を脅かす武力行使に対して米国が台湾を防衛する義務を
負うことなどを定めています。論文「台湾に平和憲法を」は対米関係にほとんど触れ
ていませんが、
〈私たちは、台湾は「非軍事的防衛」を発展させ、軍事力への依存を段階的に減ら
していかなくてはならないと人々に呼びかけている。人々が正義と平和を求める意志
は、いかなる武器よりも強力であって、大国が侵略に向かう意志さえも打ち破ること
ができる。〉 とあるのをみれば、「台湾関係法」など平和に向かう歩みにとって阻
害要因でしかないことは明らかでしょう。
※ 中華人民共和国は1949年10月1日成立
しかし私はここで、私たち日本の市民の責任に触れなければなりません。「韓国9
条の会」の結成宣言にはこうあります。
〈数多くの韓国人をはじめ、5千万人の命を奪った第2次世界大戦の悲劇を繰り返
さないために日本は平和憲法を採択した。しかし日本の保守極右勢力は軍事大国化の
ために憲法9条を廃棄しようとしている。そのために国民投票法などの関連法制を整
備している。アメリカの支配権力も同調している。これらの動きは朝鮮半島と東アジ
アの情勢をいっそう不安にし、東アジアの平和、ひいては世界の平和を脅かしてい
る。それで、今まで日本国内に限られていた平和憲法守護運動を拡大させる必要があ
り、われらもこれに参加するということである。〉
「台湾平和促進文化財団」の代表と理事による論文「台湾に平和憲法を」はその冒
頭でこうのべています。
〈日本国憲法九条は、次の意味で画期的である。まず法的な意味においては、
「人々の平和への権利」を憲法に盛り込むことで、戦争を禁止することの重要性を世
界の人々に理解させるという意義がある。次に実際的な意味では、日本の九条は、
「正義と秩序に基づく国際平和」を共に追求するために、他の国々が憲法に平和条項
を盛り込むための手本を示した。
ところが、いま日本の右翼などの一部の勢力が愛国主義を煽り、日本国憲法九条を
改定しようとしている。彼らは憲法九条を撤廃し、五、六年のうちに戦争をする権利
を取り戻そうとしている。この憲法九条改定を、単に日本国内の問題としてとらえて
はならない。 日本の憲法九条が撤廃されるようなことがあれば、近隣諸国は日本に
対する不信感をもたざるをえなくなる。その不信感は、これら諸国の右翼や保守派の
政治勢力に軍事力を増強することを促し、憲法に平和条項をもつこととは反対の方向
に導くことになる。近隣諸国の軍拡に対し、日本も軍事力を強化せざるをえなくなる
だろう。そうなれば、「安全保障のジレンマ」(訳注・お互いの防衛策の結果、軍拡
と緊張が生まれること)が地域で深刻化するだけではなく、この地域の市民や市民団
体がつくり上げてきた平和のための努力は無になり、孤立してしまうだろう。
そのような自滅的な結果が予測できるのに、この地域の市民社会や国際社会が何も
せず座していることができるだろうか。憲法九条撤廃の阻止にただちに取り組まなけ
ればならない。〉
韓国や台湾の反戦・平和団体の人びとは、9条の危機をまさに「わがこと」ととら
え、「九条撤廃の阻止」を国際的な連帯の力で実現する決意を固めるとともに、「安
全保障のジレンマ」から抜け出すために、自国の憲法に「平和条項」を取り入れよう
としているのです。
しかし日本国民が国民主権の根源たる憲法制定権を行使して現憲法を制定した以
上、9条改悪阻止は、まず何より日本国民が負うべき義務です。半殺しにされてきた
9条を字義通りに実現させる仕事も、私たち自身のものであらねばなりません。「専
守防衛」のタテマエで軍事力の膨張を続けてきた自衛隊を解体し、安保条約を破棄し
て米軍基地を撤去する活動も私たちがなすべき喫緊の課題です。
私は日本国内で日米安保条約の破棄を求める潮流は根強く続いていると思います。
安保条約が憲法に違反していることは自明の理だからです。ただ、その思いを世論と
して顕在化させる努力が足りず、それについては明らかに私も責任を負っています
が、市民運動はもともと政治家に頼らず、自分一個の奮起、「個の反乱」から始まる
ものです。私たちは政治の現状を直視するとともに、政治的想像力を駆使して未来を
透視し展望する必要があります。問われているのは、故鶴見良行氏が指摘したように
「政治的構想力」です。
60年の反安保闘争も65年に勢いづいたベトナム反戦運動も、その直前まであれ
ほどの高揚に発展するとは誰も予想できませんでした。安倍首相が「任期内の改憲」
を公約したことが、昨年7月の参院選で自民党の惨敗をもたらし、『読売新聞』の世
論調査においてさえ改憲反対派が改憲派を上回るという事態を招いたことは、私たち
に大きな示唆を与えています。先の沖縄県議選では、野党が与党をしのぐ議席を獲得
し、ついに7月18日、沖縄県議会は米海兵隊基地・普天間飛行場の辺野古(への
こ)移設に反対する決議を採択しました。民意がただちに政治を動かすことはほとん
どありませんが、地下に潜っていた伏流水が突如湧き出すように政治を変えることは
ありえます。故竹内好氏は前掲『憲法読本・下』(岩波新書)でこうのべています。
「弱いようで、じつは強いもの、それは国民ひとりひとりの心のとりでである」。
私は魯迅の「安易な絶望は根拠なき希望に相同じい」という言葉を座右の銘にして
います。「安易な絶望」をもたらす根拠は無数にありますが、希望は希(まれ)な望
みと書くとおり、そう簡単に見出せるものではありません。しかし魯迅はまた「道は
人が歩くところにできる」と言いました。希望は私たちが自らの力で創造すべきもの
なのです。
淡々と持続される私たちの日々の反戦の営みにムダということはない、私はそう確
信しています。だから、「安易な絶望」を決して友とせず、ラクダが針の穴を通るほ
どの可能性でもけっして手放さない、象が大地を踏みしめるように、日々の一歩一歩
を大切にして、道をつくる民衆の協同の作業に加わり続けたい、私はそう思っていま
す。
以上の私の考えがあなたのご質問への十分な回答になったかどうかは心許ないので
すが、これをもって、とりあえずお返事とさせていただきます。
2008年7月28日
◆注 「韓国9条の会」 金承国さん講演会
と き:8月31日(日)13:30~16:30
ところ:エルおおさか大会議室(京阪、地下鉄天満橋駅下車西へ3分)
講演:金承國(キムスングク)さん 「日本平和憲法守護は、日本の市民だけの
課題 ではない」 通訳:康宗憲(カンジョンホン)さん(韓国問題研究所代表)
参加費:1000円(学生 500円) 連絡先:千本法律事務所 FAX:06-6364-7747
TEL:06-6364-7737 Email:kenpo9kansai@yahoo.co.jp
共催:憲法9条の会・関西/大阪YWCA平和環境部委員会/阪大・9条の会