ブーゲンビリアのきちきち日記

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中西準子の5mSv以下での「リスク提案」(8/23東京新聞)についての感想 清水 寛(たんぽぽ舎ボランティア)

2015年08月27日 07時48分48秒 | たんぽぽ舎
たんぽぽ舎より転載します。

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┗■1.罪のない避難者に5mSvのリスクを背負わせる考えは
 |  政府と電気事業者を擁護するもの
 |  中西準子の5mSv以下での「リスク提案」(8/23東京新聞)についての感想
 └──── 清水 寛(たんぽぽ舎ボランティア)

  中西準子氏の5ミリシーベルト提案を東京新聞で読んだ時に、東京新聞が何でこんな記事を載せたのか理解できなかったのが率直な感想でした。

 5ミリシーベルト以下なら安全であることが明らかでないのに、その濃度での居住を科学者という立場から進言されている。政府や事業者が1ミリシーベルト以下にするのは難しいから、リスクを居住者に負担してもらうという発想で、被害者の立場に立った考えではない。

 放射性物質を化学物質と同様な考えでリスクを考えていいのだろうか。

  放射性物質と化学物質は生き物への作用の仕方、物質の残留性が質的に全く違う。また、多くの化学物質に比べて、放射性物質は処理が困難である。化学物質は濃縮処理も可能だが、放射性物質の濃縮処理は放射能が高くなり近づけなくなるために、移動も処分も難しい。

  また、居住区の除染されている範囲は20m以内であり、居住区に戻った場合、その周りや森は除染されていなければ、居住区が徐々に汚染され、元の濃度になる可能性もある。

 周辺の土壌や水や生き物が汚染されていれば、そこでの生活は安全ではない。

  また、近くには除染された物質が詰まった袋が積まれており、数年後には破れて拡散する危険性もある。

 20ミリシーベルト以下の基準はリスクが高すぎるので、リスクを下げようとしていることは理解できるが、1ミリシーベルト以下だとムリだから、基準を5ミリシーベルト以下でがまんしてもらおうという発想で良いのだろうか。

 避難者は元居住地に哀愁はあっても、安全でないのに戻っても良いという提案はいかがなものかと思う。

 1ミリシーベルト以上のところは居住困難区域とし、政府と電気事業者が避難者の保障をすべきことである。

 罪のない避難者に5ミリシーベルトのリスクを背負わせる考えは、政府と電気事業者を擁護するものである。


※元記事:8月23日東京新聞11面・早期帰還めざし 線量の見直しを
     「あの人に迫る」中西準子(環境リスク学者)


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