「ROBOTICS;NOTES」を全クリしました。
シュタゲもプラチナ取ってたってのもあって、ロボノも頑張ってプラチナ取りました。
いやー、長かった。そして楽しかった。
ロボノつまんないって声がやたら大きいように感じはしたけど、俺はごっつ楽しめたね。
もう満腹ってくらいまでに美味しくいただきました。
とりあえずやってみた所感を下記に記す。
いつもどおりネタバレ満載だクソッタレ。
■作品の雰囲気は「晴れ」
まず、今回の話としては、結構爽やかだなーと感じた。
志倉千代丸が4亀でインタビューやってたんですけどね。
あのーその中でこんな事言ってるんですよ。
僕は,科学アドベンチャーシリーズを天気と関連付けてイメージしているんですが,「CHAOS;HEAD」が“雨”で,「STEINS;GATE」は“曇り”という感じなんですよ。そうなると,次は“晴れ”をやりたいな,というのが初めにありました。
この言い方みた時ピンと来た。
そうなんだよな、天気に例えるなら晴れなんだよ。ロボノって。
俺の中で科学アドベンチャーシリーズで感じている魅力の一つに「追い詰められてる感」ってのがあるんです。
カオヘなら「その目誰の目?」っていう文言から徐々に奇怪な出来事が西條拓巳の周りで起こって、6章のO-FRONT辺りで極限になるっていうあの展開が凄く好き。
シュタゲならタイムマシンを巡ってあーでもねーこーでもねーやってる間にSERNのゼリーマンレポートが出てきて、後ろからヌルっとした手で肩を叩かれたようなあの奇妙感っていうのがゾクゾクって来るんだよ。
で、僕の中ではこれまでのシリーズの中では、カオヘが一番追い詰められてるって感じがした。
だから、カオヘは雨なんだろうなーって感じではあったわ。
そして今回のロボノ。
これはどっちかっつうと追い詰められてるって要素はあまりないんだよね。
寧ろ、外界から断絶されたような種子島で、ロボット作ったり格ゲーしたりしてたら、君島レポートという変なもんに触れる機会があって、それで色々調べてたらとんでもないもんが出てきちゃったよっていう。
「深淵を覗く」ってのが凄い出てた。
コレ言うとシュタゲと一緒かなとも思ったんだけど、シュタゲの場合は自分もやられてるってのはあったと思うんだよ。
ニーチェの『善悪の彼岸』にある「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」ってわけじゃないけど、「深淵を覗いている自分もまた覗かれてた」って印象があった。
エシュロンなんてまさにそういうもんだったわけだし。
でも、ロボノにはそういった要素ってのはあまり前に出てこない。
ただ、それでもやべえよやべえよコレってのがそこかしこに散りばめられてて、「これ以上先見ちゃって大丈夫なのかよ!?」って不安感が良く出ていたなあと思う。
廃墟探索してる時のドキドキ感っていうのか、この「不安感の演出」って点がとても俺好みだったなあ、と。
今までの追い詰められる感の代替となり得る、素敵な要素だった。
■青春的な演出から見る前向きキャラクター達
次に、青春的な前向き演出。
コレは俺が歳取ったからかもしんないけど、結構グッときたところがあるんだよな。
あのー日高君っていうちょっとムスッとした後輩君が出てくるんです。
その子はロボット好きで、ロボットに携わりたいんだけど、漁師を継がなきゃならなくて、そして父親から「ロボットには関わるな」と厳命されてたりする環境で。
そこで父親に隠れてコソコソロボ作りやるんだけど、ある日見つかっちゃう。
そこで定番の流れでオヤジにぶん殴られて、一度は夢を諦めるのよ。
だけど、その後またロボット作りに携わる事になるんです。
その時に、その時解体してしまった自分の作ったロボットに「なあ・・・M45。もう少しだけ夢を追ってみるよ」って語りかけるシーンがあるんだけど、そこでなんかグッときちゃったよな。
人生思い通りに行かないのが殆どなもんで、そこで諦めてしまった事って沢山あると思うんです。
それでも、自分の好きな事には嘘をつきたくないってのが良く出てたシーンなんじゃねえかなって思います。
人間性は後ろ向きな奴らばっかなのに、結構前向きに描かれている。
この辺もシュタゲやカオヘにはなかった、所謂「晴れ」の部分なんじゃなかろうか。
他のキャラでよかったのが神代フラウちゃん。
こいつがとにかく腐女ってやがるわネットスラング乱発するわ言葉はどもるわで、とにかくダメ人間オブダメ人間。
でも、このダメっぷりが凄い面白い。
時折見せるしおらしい態度や、他のキャラを食ってしまいそうな間の持って行き方。
作中で一番好きなキャラだと思う。
あとビックリしたのが伊禮さん。
ああいう切り方してくるかねーって感じで意表を突かれた。
ツイぽでHUGダンスに言及する書き込みがあったから、そういうシーンあるかなって思ってたら、そこで出してきますかと。
加えてだ。それだけに終わらなかったんだよな。
あそこで日高君の悲劇も同時に盛り込んでくるから、ロボ部の挫折感が凄い出たんだよ。
その後で打ちひしがれるあきぽちゃんにキルバラ決闘って持って行き方は、凄い見せどころなシーンだった。
■認識論的な観点に言及する科学アドベンチャーシリーズ
話全体としては、ロボット作りという目的の中で、チグハグ前に進んでいくロボ部一同の成長を描くっていう面と、科学アドベンチャーらしい君島レポートを巡る一連の世界の策略を解き明かしていくという感じ。
特に、最後の澤田きゅんの告白のシーンはどんでん返しって感じで見事に「うおおおおおおおお」ってなったよな。
完全に騙されました。勿論良い意味で。
で、科学的な側面としては、今回も「認識」なんじゃないかなあと。
プロパガンダやAR技術による作為的な誤情報の拡散なんてくだりは、カオヘに近いモノはあったと思う。
でも、科学アドベンチャーシリーズは結構この「認識」に重きを置いてるんじゃないかって気がするのよ。
カオヘは「妄想を周囲の人間のデッドスポット(視覚の死角になる箇所)に落とし込み、個人の妄想が周囲共通認識になることで現実化する」という、モノの見方を通しての認識のお話だし、シュタゲは「記憶のみを過去に転送する擬似タイムトラベル」という点で認識に言及している。
で、今回は情報の見せ方とその拡張性という側面から認識に言及している。
その分で一番重要だったのが「居る夫。」と「ツイぽ」
事実を正確に認識することの困難さと、その誤認による情報の拡散っていうのを、悪意を持って使用された時ってのが良く出ていた。
これによって、壊滅してるわけでもない地域が、デマとその拡散によって壊滅したということになってたりね。
悪い奴等は、その混乱に乗じて別の場所で悪事働き放題ってわけだ。
ここ、ここなんですよ。
悪事ってのは、緊急な事が起こってるその横で行われている可能性があるけど、僕等はその緊急な事の方にしか目がいかないってことなんです。
コレに関しては、結構ゲームの中の話ってわけじゃないんだよな。
一番身近な例が昨年起こった東日本大震災とTwitterというツールの存在だろう。
あのツールを通して助かった人もいるだろう。
同時に、どんだけ酷いアホ情報が垂れ流されて拡散希望されちゃったことだろう。
このロボティクスノーツは、東日本大震災はともかく、このTwitterの負の部分を凄い出している。
一億総発信者化になったご時世で、責任も希薄になったり宣伝もしやすくなったりで、火のない所に煙を立てやすくなったんだろうなあって。
前から抱いていたそんな漠然とした自分の想いが、ハッキリと作品として出ていた。
それがロボティクスノーツだ。
そして、何より面白いのが、前述の「緊急事態」ってやつを起こしたように見せるだけで、この陳腐な発信者たちが拡散させてしまうということが可能ということ。
結果、あたかも事実として起こっているように見せることができる。
いや、事実にすることだってできるってことだろう。
そんな緊急事態起こってもいないのに。
以前虚構新聞の記事に釣られて「タイトルの文頭に虚構新聞の文言入れろ」とかいう話題があったと記憶している。
間違っちゃいないけどなんて下らない話題なんだって反吐が出る想いだったけども。
でも、虚構新聞でコレなんだから、コレを悪意を持ってやれば完全に火のない所に煙を立てられる。
起こってもいないことを現実のように見せかけ周囲を混乱・暴走させ、その隙に悪事を働く。
その危険性を訴えている作品でもあるんだよな、コレは。
現実と虚構の話となると「機動警察パトレイバー 2 the Movie」とかだな。
幻の東京爆撃みたく「情報の信頼性」に言及するシーン。コレ。
情報の発信から認識にどう影響させてるかってのを、ロボノでは描いているのだろう。
■主人公への同化のしづらさ
ADVゲームの魅力の一つに、如何に主人公に感情移入出来るかってのがあると思うの。
聴いた話だと、あたかも主人公が自分みたいな目線で見られるんだとか。
僕の場合、この手のゲームは紙芝居みたいなもんと割り切ってる面があるからあまりそういったことはないのだけど、そういう魅力もあるらしい。
ただ、「アマガミ」とかには自分に置き換えるような感覚はあったような気がするから、そういうのも魅力の一つなんだろうなあと思う。
ただそういう意味では、ロボノは感情移入出来るのかってところもある。
なんせ主人公が格ゲーマーという、今では過疎化したジャンルのゲーマーだったりする。
そして何かにつけて「俺に頼みごとがあるならキルバラで勝負しろ」だろ?
まあ現実にいましたけどね。
こういう何かにつけて交換条件というか、変な勝負事けしかけてくる人。
で、僕自身ストⅡから格ゲーをはじめて、ストZEROやら餓狼やらKOFやらカプエスやらSVCやらスト4やら、人並みにぬるぬる格ゲーを嗜んでおるわけです。
だから、格ゲー用語やらもそういうメンタリティやらの話も分からなくはないんだけど、それでも自分のようには感じられない。
あと、物語全体を通してクールぶってるというか、どこか淡白な感じでもある。
悪く言うと、面白くないんだよな。
その分フラウがぶっ飛んでるので、これくらいでもいいっちゃいいんだけど、やっぱりツッコミとしてもアクションかけるにしても、どこか薄味なのでインパクトないんだよな。
拓巳やオカリンを見てるだけになおさらって感じでもあるんですよ。
カイは薄味すぎるのよ。
あきぽとの距離感も元から近かったってのもあって、その辺の二人の距離的な要素も最後のキスで申し訳程度にあるくらいなもん。
実際あきぽもあきぽで、鬱陶しいなあという側面があったりで、結構イライラさせられたり。
でも伊禮・日高の悲劇の時はかなり人間味が見られたし、そこからのあきぽへの激励は結構熱いものがあった。
で、最後までやってみて、僕は思ったのよ。
これは意図された薄さなんじゃないかって。
この距離感どっかで見た感じなんですよ。
普段は結構適当にあしらってるけど、やっぱり一緒にいないとしっくりこない。
一緒にいるのが普通。一緒にいないとバランスが上手くとれない。
そう、これ僕の嫁によく抱く想いなんです。
彼女とはもう10年の付き合いになるけど、イチャイチャすんのって最初の3年くらいなんすよ。
そっから先は、流れに乗っちゃうというか、平坦な付き合いになっていくわけです。
毎日恋愛マンがな展開はないわけです。
この、平坦な距離感ってのがあきぽとカイの関係なのよ。
あきぽが熱っくるしい部分を演じ、カイがクールな部分を担う。
で、どっちかがピンチの時はお互い助け合って乗り越えていくとする。
これは夫婦に近い距離感なんです。
カップルのそれとはまた違うわけよ。
なので、おまえらは仲の良い夫婦ってのはこういうことを言うんだってのを心に留めておいて欲しい。
そこまでイチャイチャするわけでもなく、適度にあしらい合う仲だけど、ちゃんとお互いバランスを取り合ってる。
この適度なバランスのとり合いが仲の良さの根源にあるものなのよ。
なので、ある程度の薄さはあってもそこは夫婦的な目線で見て上げればと、私筑前めは感じるわけです。
ただ、それでも感情移入には至らなかったから、そういう要素を求めている人には向いてないな。
あと、やっぱり急展開な要素も結構あったりする。
ラストなんか数日でロボ作り上げちゃったりして、色々急ぎ足になってる部分はあったり。
その割に、第1章がめっちゃ長く感じたりね。
個人的にはシュタゲの3章分位あったんじゃないのって感じ。
それを抜いても充分面白いのは変わらないのだけどもね。
■総括
まとめとしては、「晴れ」を重視した作品。
その中でこれまでにあった科学アドベンチャーシリーズの「認識」の部分に言及するシーンもあったりしたので、結構面白かった。
でも、ロボノが科学ADVシリーズ初って奴は、コレやった後でも良いからシリーズは全部触れた方が良いと思う。
別に触れてなくても話は分かるけど、所々で過去作品のネタが出てくるんだよな。
「その目誰の目?」だの、ダルザスーパーハッカーだの、渋谷のニュージェネを想起させるくだりだの。
何より綯ちゃん出るしね。ハンネがシスターブラウンでワロタ。
あとネットスラングや他のアニメ、ゲームに詳しいと、色々小ネタがあってそれこそデュフフできる。
「もう何も怖くない」「そんなの絶対おかしいよ」とか、まどマギネタとか速攻出してきた時はもうどっぷりやなこのゲームと思いました。
なんとなく。
トロフィーも全クリ目指してやってけばコンプ出来ちゃうレベルなので、そういうのが好きな人向きでもある。
青春群像としても、謎に迫っていくという要素としても、結構面白いなと感じた。
インタビューでは、次回は内容的にはミステリーやサスペンスに寄ったものになる予定だそうな。
コレも凄い楽しみにしたい。
この科学ADVシリーズは、本当に面白い。今回も期待通りの出来だったと思う。
シュタゲもプラチナ取ってたってのもあって、ロボノも頑張ってプラチナ取りました。
いやー、長かった。そして楽しかった。
ロボノつまんないって声がやたら大きいように感じはしたけど、俺はごっつ楽しめたね。
もう満腹ってくらいまでに美味しくいただきました。
とりあえずやってみた所感を下記に記す。
いつもどおりネタバレ満載だクソッタレ。
■作品の雰囲気は「晴れ」
まず、今回の話としては、結構爽やかだなーと感じた。
志倉千代丸が4亀でインタビューやってたんですけどね。
あのーその中でこんな事言ってるんですよ。
僕は,科学アドベンチャーシリーズを天気と関連付けてイメージしているんですが,「CHAOS;HEAD」が“雨”で,「STEINS;GATE」は“曇り”という感じなんですよ。そうなると,次は“晴れ”をやりたいな,というのが初めにありました。
この言い方みた時ピンと来た。
そうなんだよな、天気に例えるなら晴れなんだよ。ロボノって。
俺の中で科学アドベンチャーシリーズで感じている魅力の一つに「追い詰められてる感」ってのがあるんです。
カオヘなら「その目誰の目?」っていう文言から徐々に奇怪な出来事が西條拓巳の周りで起こって、6章のO-FRONT辺りで極限になるっていうあの展開が凄く好き。
シュタゲならタイムマシンを巡ってあーでもねーこーでもねーやってる間にSERNのゼリーマンレポートが出てきて、後ろからヌルっとした手で肩を叩かれたようなあの奇妙感っていうのがゾクゾクって来るんだよ。
で、僕の中ではこれまでのシリーズの中では、カオヘが一番追い詰められてるって感じがした。
だから、カオヘは雨なんだろうなーって感じではあったわ。
そして今回のロボノ。
これはどっちかっつうと追い詰められてるって要素はあまりないんだよね。
寧ろ、外界から断絶されたような種子島で、ロボット作ったり格ゲーしたりしてたら、君島レポートという変なもんに触れる機会があって、それで色々調べてたらとんでもないもんが出てきちゃったよっていう。
「深淵を覗く」ってのが凄い出てた。
コレ言うとシュタゲと一緒かなとも思ったんだけど、シュタゲの場合は自分もやられてるってのはあったと思うんだよ。
ニーチェの『善悪の彼岸』にある「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」ってわけじゃないけど、「深淵を覗いている自分もまた覗かれてた」って印象があった。
エシュロンなんてまさにそういうもんだったわけだし。
でも、ロボノにはそういった要素ってのはあまり前に出てこない。
ただ、それでもやべえよやべえよコレってのがそこかしこに散りばめられてて、「これ以上先見ちゃって大丈夫なのかよ!?」って不安感が良く出ていたなあと思う。
廃墟探索してる時のドキドキ感っていうのか、この「不安感の演出」って点がとても俺好みだったなあ、と。
今までの追い詰められる感の代替となり得る、素敵な要素だった。
■青春的な演出から見る前向きキャラクター達
次に、青春的な前向き演出。
コレは俺が歳取ったからかもしんないけど、結構グッときたところがあるんだよな。
あのー日高君っていうちょっとムスッとした後輩君が出てくるんです。
その子はロボット好きで、ロボットに携わりたいんだけど、漁師を継がなきゃならなくて、そして父親から「ロボットには関わるな」と厳命されてたりする環境で。
そこで父親に隠れてコソコソロボ作りやるんだけど、ある日見つかっちゃう。
そこで定番の流れでオヤジにぶん殴られて、一度は夢を諦めるのよ。
だけど、その後またロボット作りに携わる事になるんです。
その時に、その時解体してしまった自分の作ったロボットに「なあ・・・M45。もう少しだけ夢を追ってみるよ」って語りかけるシーンがあるんだけど、そこでなんかグッときちゃったよな。
人生思い通りに行かないのが殆どなもんで、そこで諦めてしまった事って沢山あると思うんです。
それでも、自分の好きな事には嘘をつきたくないってのが良く出てたシーンなんじゃねえかなって思います。
人間性は後ろ向きな奴らばっかなのに、結構前向きに描かれている。
この辺もシュタゲやカオヘにはなかった、所謂「晴れ」の部分なんじゃなかろうか。
他のキャラでよかったのが神代フラウちゃん。
こいつがとにかく腐女ってやがるわネットスラング乱発するわ言葉はどもるわで、とにかくダメ人間オブダメ人間。
でも、このダメっぷりが凄い面白い。
時折見せるしおらしい態度や、他のキャラを食ってしまいそうな間の持って行き方。
作中で一番好きなキャラだと思う。
あとビックリしたのが伊禮さん。
ああいう切り方してくるかねーって感じで意表を突かれた。
ツイぽでHUGダンスに言及する書き込みがあったから、そういうシーンあるかなって思ってたら、そこで出してきますかと。
加えてだ。それだけに終わらなかったんだよな。
あそこで日高君の悲劇も同時に盛り込んでくるから、ロボ部の挫折感が凄い出たんだよ。
その後で打ちひしがれるあきぽちゃんにキルバラ決闘って持って行き方は、凄い見せどころなシーンだった。
■認識論的な観点に言及する科学アドベンチャーシリーズ
話全体としては、ロボット作りという目的の中で、チグハグ前に進んでいくロボ部一同の成長を描くっていう面と、科学アドベンチャーらしい君島レポートを巡る一連の世界の策略を解き明かしていくという感じ。
特に、最後の澤田きゅんの告白のシーンはどんでん返しって感じで見事に「うおおおおおおおお」ってなったよな。
完全に騙されました。勿論良い意味で。
で、科学的な側面としては、今回も「認識」なんじゃないかなあと。
プロパガンダやAR技術による作為的な誤情報の拡散なんてくだりは、カオヘに近いモノはあったと思う。
でも、科学アドベンチャーシリーズは結構この「認識」に重きを置いてるんじゃないかって気がするのよ。
カオヘは「妄想を周囲の人間のデッドスポット(視覚の死角になる箇所)に落とし込み、個人の妄想が周囲共通認識になることで現実化する」という、モノの見方を通しての認識のお話だし、シュタゲは「記憶のみを過去に転送する擬似タイムトラベル」という点で認識に言及している。
で、今回は情報の見せ方とその拡張性という側面から認識に言及している。
その分で一番重要だったのが「居る夫。」と「ツイぽ」
事実を正確に認識することの困難さと、その誤認による情報の拡散っていうのを、悪意を持って使用された時ってのが良く出ていた。
これによって、壊滅してるわけでもない地域が、デマとその拡散によって壊滅したということになってたりね。
悪い奴等は、その混乱に乗じて別の場所で悪事働き放題ってわけだ。
ここ、ここなんですよ。
悪事ってのは、緊急な事が起こってるその横で行われている可能性があるけど、僕等はその緊急な事の方にしか目がいかないってことなんです。
コレに関しては、結構ゲームの中の話ってわけじゃないんだよな。
一番身近な例が昨年起こった東日本大震災とTwitterというツールの存在だろう。
あのツールを通して助かった人もいるだろう。
同時に、どんだけ酷いアホ情報が垂れ流されて拡散希望されちゃったことだろう。
このロボティクスノーツは、東日本大震災はともかく、このTwitterの負の部分を凄い出している。
一億総発信者化になったご時世で、責任も希薄になったり宣伝もしやすくなったりで、火のない所に煙を立てやすくなったんだろうなあって。
前から抱いていたそんな漠然とした自分の想いが、ハッキリと作品として出ていた。
それがロボティクスノーツだ。
そして、何より面白いのが、前述の「緊急事態」ってやつを起こしたように見せるだけで、この陳腐な発信者たちが拡散させてしまうということが可能ということ。
結果、あたかも事実として起こっているように見せることができる。
いや、事実にすることだってできるってことだろう。
そんな緊急事態起こってもいないのに。
以前虚構新聞の記事に釣られて「タイトルの文頭に虚構新聞の文言入れろ」とかいう話題があったと記憶している。
間違っちゃいないけどなんて下らない話題なんだって反吐が出る想いだったけども。
でも、虚構新聞でコレなんだから、コレを悪意を持ってやれば完全に火のない所に煙を立てられる。
起こってもいないことを現実のように見せかけ周囲を混乱・暴走させ、その隙に悪事を働く。
その危険性を訴えている作品でもあるんだよな、コレは。
現実と虚構の話となると「機動警察パトレイバー 2 the Movie」とかだな。
幻の東京爆撃みたく「情報の信頼性」に言及するシーン。コレ。
情報の発信から認識にどう影響させてるかってのを、ロボノでは描いているのだろう。
■主人公への同化のしづらさ
ADVゲームの魅力の一つに、如何に主人公に感情移入出来るかってのがあると思うの。
聴いた話だと、あたかも主人公が自分みたいな目線で見られるんだとか。
僕の場合、この手のゲームは紙芝居みたいなもんと割り切ってる面があるからあまりそういったことはないのだけど、そういう魅力もあるらしい。
ただ、「アマガミ」とかには自分に置き換えるような感覚はあったような気がするから、そういうのも魅力の一つなんだろうなあと思う。
ただそういう意味では、ロボノは感情移入出来るのかってところもある。
なんせ主人公が格ゲーマーという、今では過疎化したジャンルのゲーマーだったりする。
そして何かにつけて「俺に頼みごとがあるならキルバラで勝負しろ」だろ?
まあ現実にいましたけどね。
こういう何かにつけて交換条件というか、変な勝負事けしかけてくる人。
で、僕自身ストⅡから格ゲーをはじめて、ストZEROやら餓狼やらKOFやらカプエスやらSVCやらスト4やら、人並みにぬるぬる格ゲーを嗜んでおるわけです。
だから、格ゲー用語やらもそういうメンタリティやらの話も分からなくはないんだけど、それでも自分のようには感じられない。
あと、物語全体を通してクールぶってるというか、どこか淡白な感じでもある。
悪く言うと、面白くないんだよな。
その分フラウがぶっ飛んでるので、これくらいでもいいっちゃいいんだけど、やっぱりツッコミとしてもアクションかけるにしても、どこか薄味なのでインパクトないんだよな。
拓巳やオカリンを見てるだけになおさらって感じでもあるんですよ。
カイは薄味すぎるのよ。
あきぽとの距離感も元から近かったってのもあって、その辺の二人の距離的な要素も最後のキスで申し訳程度にあるくらいなもん。
実際あきぽもあきぽで、鬱陶しいなあという側面があったりで、結構イライラさせられたり。
でも伊禮・日高の悲劇の時はかなり人間味が見られたし、そこからのあきぽへの激励は結構熱いものがあった。
で、最後までやってみて、僕は思ったのよ。
これは意図された薄さなんじゃないかって。
この距離感どっかで見た感じなんですよ。
普段は結構適当にあしらってるけど、やっぱり一緒にいないとしっくりこない。
一緒にいるのが普通。一緒にいないとバランスが上手くとれない。
そう、これ僕の嫁によく抱く想いなんです。
彼女とはもう10年の付き合いになるけど、イチャイチャすんのって最初の3年くらいなんすよ。
そっから先は、流れに乗っちゃうというか、平坦な付き合いになっていくわけです。
毎日恋愛マンがな展開はないわけです。
この、平坦な距離感ってのがあきぽとカイの関係なのよ。
あきぽが熱っくるしい部分を演じ、カイがクールな部分を担う。
で、どっちかがピンチの時はお互い助け合って乗り越えていくとする。
これは夫婦に近い距離感なんです。
カップルのそれとはまた違うわけよ。
なので、おまえらは仲の良い夫婦ってのはこういうことを言うんだってのを心に留めておいて欲しい。
そこまでイチャイチャするわけでもなく、適度にあしらい合う仲だけど、ちゃんとお互いバランスを取り合ってる。
この適度なバランスのとり合いが仲の良さの根源にあるものなのよ。
なので、ある程度の薄さはあってもそこは夫婦的な目線で見て上げればと、私筑前めは感じるわけです。
ただ、それでも感情移入には至らなかったから、そういう要素を求めている人には向いてないな。
あと、やっぱり急展開な要素も結構あったりする。
ラストなんか数日でロボ作り上げちゃったりして、色々急ぎ足になってる部分はあったり。
その割に、第1章がめっちゃ長く感じたりね。
個人的にはシュタゲの3章分位あったんじゃないのって感じ。
それを抜いても充分面白いのは変わらないのだけどもね。
■総括
まとめとしては、「晴れ」を重視した作品。
その中でこれまでにあった科学アドベンチャーシリーズの「認識」の部分に言及するシーンもあったりしたので、結構面白かった。
でも、ロボノが科学ADVシリーズ初って奴は、コレやった後でも良いからシリーズは全部触れた方が良いと思う。
別に触れてなくても話は分かるけど、所々で過去作品のネタが出てくるんだよな。
「その目誰の目?」だの、ダルザスーパーハッカーだの、渋谷のニュージェネを想起させるくだりだの。
何より綯ちゃん出るしね。ハンネがシスターブラウンでワロタ。
あとネットスラングや他のアニメ、ゲームに詳しいと、色々小ネタがあってそれこそデュフフできる。
「もう何も怖くない」「そんなの絶対おかしいよ」とか、まどマギネタとか速攻出してきた時はもうどっぷりやなこのゲームと思いました。
なんとなく。
トロフィーも全クリ目指してやってけばコンプ出来ちゃうレベルなので、そういうのが好きな人向きでもある。
青春群像としても、謎に迫っていくという要素としても、結構面白いなと感じた。
インタビューでは、次回は内容的にはミステリーやサスペンスに寄ったものになる予定だそうな。
コレも凄い楽しみにしたい。
この科学ADVシリーズは、本当に面白い。今回も期待通りの出来だったと思う。