ふと居間に行くと、虫がいるみたいだと話を聞きました。
なんでも声を出す虫が片付けの合間に荷物の隙間にでも紛れ込んで
たまに鳴くのだそうです。
まあ、そういう虫なら見えるところに出てこないだろうし、
姿を見ても予想の範囲内なのでいいかなあと思っていたら、
しばらくして音が聞こえました。
「ビッ!」
と鳴くその音に、なんて虫だろうと考えていたところ、
また、ビッ と。
最初はほのぼのしたのですが、聞いているうちに
微妙な気分が湧き起こってきました。
そんな声で鳴く虫は知りませんし、
どうにも声が、安いむき出しブザーを
ちょっと接触させて鳴らしたビープ音みたいです。
「これ、なにかの警報機が押ささって鳴ってるんじゃないの?」
言ってみて、わたしは音を取りながら時計を見ました。
一回声が聞こえてから、次の声が聞こえるのは約30秒。
虫にしてはやはり規則正しすぎて、
機械の意味のある信号のように思えます。
そして探したところ、どこから音が聞こえてくるのか
意外とわからなかったのですが、
みんなの目のつくところにあった火災警報器。
5年はもつという うたい文句だったので
こんなところで壊れるのかとがっかりしながら
周りを見てみたところ、電池切れの合図と書いてありました。
そんなものかと蓋を開けてみたら、電池には動作確認用の文字が。
電池切れ間近になって、電力を消費する動作は
なるべくしないようにその短音なのでしょうが、
あれで虫といわれれば虫と思ってしまうかもしれません。
個人的にはもっとわかりやすくして欲しいなあと
おもったできごとでした。