こんにちは。安中榛名です！

　世界で２番目にイケてる駅名の、
安中榛名へ行って来ました。
え？　１番目はどこか？

　それはもちろん国立駅です。
駅なのに国立。国が作ったのか！
と訊かれれば、オウ、イエス。
そこらへんの歯医者さんなんて
国立歯科医院だし、その海苔屋さんだって
国立海苔ノリ店です。ノリノリ。
競技場があれば国立競技場。
すべて国の指定に見えますが、
ただのくにたちです。
いつか魔法免許をとったら、
くにたちに国立魔法学院を建設して
家庭科の教鞭をふるうつもりです。


　さて。それはさておいて。
安中榛名（あんなかはるな）は、
安中さんちの一人娘のお嬢さん……
のような気がします。
　山手線一周60分、安中榛名まで東京から
新幹線で59分。
そんな吊り広告が中央線の中に
よくぶらさがっています。
　見るたびに思ったものです。

――あれって卑怯だよね、って。

　だって、半分に割れてる山手線を、
だれが一周するのでしょう。
隣の駅へ行くのに間違えたことに気付いたとしても、
引き返せばいいだけ。
山手線をフルに周る酔狂な人はまずいないでしょう。
比べ方が卑怯です。タウリン1gです。
　次に。
ベルリンの壁に分断された東西ドイツは、
壁を越えれば隣へ１分ですが、
壁は開きませんでした。
安中榛名へは東京から５９分だとしても、
一本逃すと次の電車が泊まるのは
２時間後だったりします。
待ち時間というものを
いっさい感じさせないあの広告が
わたしは大嫌いです。

　はい、次。
中野から高速などに乗って、
変なところで下りたのが１時ごろ。
地名には疎いので、
どこで降りたのかは忘れました。
　車の中から見る外は……
やっぱりわくわくする田舎。
何があるの？　と訊かれれば、

「なにもない、があるのよ」

　前の失敗ドライブで
安中榛名へ行こうと言ったら、
行ってどうするのと渋い顔で言われましたが、
やっぱりただ楽しいです。
友達はまったくわからないのです。

　一方、わたしと親友は。
いくところも適当だし、なにやるかすら
当日決めたようなものです。

「どこ行く？　やっぱり安中榛名でいい？」
「うん」

　わー。
この無計画、無鉄砲ぶり。たまりません。
　道路にちらほらと安中とか榛名とかが見えてきますが、
ただの田舎道で、軽井沢っぽい雰囲気は
一切見えてきません。

◆◆画像07-06-18a◆◆


　これはＪＲの広告もうそつきだと思っていたら。
駅そばの２キロ程度になったところで
新興住宅街のようなものが急にあらわれました。
　現地の看板を見てみたら、
多目的広場、なんてものがありましたが……

◆◆画像07-06-18b◆◆


どう見ても野原です。本当にありがとうございました。


　安中榛名ってなに？　と訊ねられたら、
もう何がなにやら……。なんでしょうか、あそこ。
近くにコンビニが一件だけありました。
入り口が札幌で見覚えのある形をしていたので、
もしかしたら冬にはドカ雪が降るのかもしれません。
避暑地としてはいいかもしれませんが、
あそこで暮らすのは……むにゅむにゅ。
　駅はばかばかしいほど豪勢で興ざめでした。
キャビアの宿主はチョウザメでした。

◆◆画像07-06-18c◆◆


たとえＪＲがどんなにお勧めしても、
わたしなら友人には決して勧めません。
別にわたしは買うなと言っていませんので、
田舎暮らしにあこがれるブルジョアジーには
いいかもしれません。
　買おうかとちらっとでも思うかたは、
春夏秋冬をさまざまに味わったのち、
ちゃんと決めてください。
夏が気持ちいいから、と選ぶと
多分後悔するはずだと言っておきます。

　という感じで何もないを味わったあと、
まだ帰る時間には充分なので
どこかに移動することにします。
　なお、前回の失敗があったのに、
結局今回も寝たのは朝３時すぎ。
これはだめかもしれないとおびえていたのですが
なんともありませんでした。
やぱり前回は友達の運転が荒かったのです。
発進・停止・カーブでがっくんがっくんです。

　今回田舎っぽいところにいく、ということに
なったところで、目的の一つに
『丘の上にあるような、寂れた神社かお社の写真を撮る』
が加わりました。
とにかく絵を描くのにそういった景色が必要なのです。
　お隣だという軽井沢に行こうとも思いましたが、
軽く地図の外で「もはや隣っていうレベルじゃねーぞ」と
誰かがつぶやいた気がしたので、すっぱりやめました。

　とりあえずカーナビに神社を見ては、
近そうだったら行ってみるという感じに
進んでいきます。
　と。一つありました。すてきな神社が。
ここはかなり雰囲気も出ていてなかなかでした。
いちおう満足できるまで見物したので
今度は湖を目指します。
でも、帰ってから見たらほとんど写真を
取っていませんでした。
ああいうところに行くと、
どうしてもレンズを向けられません。
あまり信仰心は無いのですが、
神聖な場所を撮影対象にしてただ写真を撮るのは、
なんだか無礼な気がして、
どうしてもシャッターを切るのを
ためらってしまうみたいです。

　そのあとは湖をめざしたのですが、
途中にあった榛名神社へよりました。
榛名ちゃんの等身大フィギュアに ほっこり……。
　まあそれは冗談ですが、
この神社は冗談じゃないくらい良かったです。
　入り口の看板では、御岳山のように
奥まで行くのは２～３時間かかるような
距離に見えますが、実際はほんとに２０分ほど。
　横を流れる川の音、
周りにある不思議な形の岩々。
まっすぐそびえたつ立派な木。
空気もきれいでなにかが浄化されていくような、
そんな気分を満喫しました。
ここはすごくおすすめです。

◆◆画像07-06-18d◆◆



　そのあとの榛名湖は、洞爺湖みたいでした。
湖の周りは塗り固められて、砂浜などは一切ありません。
はしっこのほうは洗剤かなにかの泡がたまっていて
なかなか興ざめでした。

　そこらへんでそろそろ時間が危なくなってきたので
帰りルートを検索すると、伊香保まわりで
帰ったほうがはやいと出ました。
伊香保温泉……。
イカでほっとするような感じです。
名前は聞いた事があるので冷やかしたいと
思ったのですが、そんな時間はないそうで。
　考えてみればお土産など一切買っていなかったので
とりあえずそこらへんで、
有名だというおまんじゅうを買って
食べながら帰りました。
　家についたら１０時すぎで、
日帰りドライブとしてはうまくまとまった一日でした。
何をしたかといえば神社にいっただけですが、
その途中が楽しめたので満足です。

　ばっちり！