最近ずっと、架空商品のキャラを描いています。
キャラ絵にはじまり、一色刷り用ロゴ、
駅前絵マップなどただ絵を描いていただけでは
描こうとも思わなかった絵に手をつける機会ができて、
つらくもありますがおもしろくもあります。
今日はさらに進んで別の絵を描いていると、
昭和や大正の微妙な古さが欲しくなりました。
……でも、昭和っぽさ、大正っぽさって
どうやって出すものなのでしょうか?
そんなことに頭をひねっていたら、
昔おなじようなことを考えたことを思い出しました。
それは、音楽です。
わたしには、現代っぽい曲は作れません。
なぜか二回りくらい古くなってしまいます。
それと同じく、ロックやジャズも作れません。
なぜなら、なにをもってロックやジャズになるのか
わからないからです。
そこで今回思い至ったのは、
骨をつかむということ。
なにをどうすればどういう結果が出るかの
ブラックボックスを自分の中に作れたとき、
それがすなわち骨をつかんだ
ということになるのではないでしょうか。
たとえば、ロックを作るには、
こういう楽器を使い、こういうテンポで弾き、
こういう風に歌う。
一つ一つはただの『それ』でしかないのに、
全体としては『ロック』になる。
そういう個々から完成された総体を
見越して作れるのが、コツというもの。
それは絵でも同じでした。
絵なんて極論すれば点の集まりです。
でもそれを線に束ねて何かの味付けをすれば、
誰かの絵になり、その中でもさらに
大正浪漫風になったりするわけです。
そう思うと、まさに認知心理学です。
どの点で人は『それ』を『それ』と思うのか。
どこまで省略して、人は『それ』を
『それ』と思い続けられるのか、です。
もし、そういった認知の元となるもの、
『認知の種』がすでに発見されているとしたら、
画風は手っ取り早く補えるかもしれません。
そこで、どこかに乗っていないかと考えると、
ふと本棚を思い出しました。
このまえ切り絵の本を発掘した本だまりの中に、
別の本があるかもしれません。
すこし探してみると、イラストの概論のような
本を見つけました。
期待してぱらぱらとめくってみたのですが
画風の説明なんてありませんでした。
――が。
驚くべき文を見つけてしまいました。
実はここからが本題だったのですが
前振りが長くなってしまいました。
さて。この日記では 2009年09月17日 の話です。
わたしは架空商品のキャラを描こうと
ひたすら試行錯誤を繰り返していました。
商品の原材料そのままではキャラとしての
説得力がなく、どうすればいいか途方にくれました。
そこでお題の元になるものを、
歴史から食べ方から特長から、
育て方からもいろいろ調べた末、
最後の最後にようやく思いついたのです。
すなわち、商品のキャラは、
商品の元になるコンセプトを集め、
凝縮させてラッピングした、
その『もの』の魂のようなものの具現化だと。
ところが今回、イラストの本をめくっていたら、
広告イラストという項目の中に、
こんなような文章が書いてありました。
『ブランドキャラは広告コンセプトを視覚化して作る』
Oooooooooops!
わたしが四日五日考え抜いて
ようやくたどり着いた結論が……
すでに文章にされていたなんて!
しかもおそるおそる奥付けをのぞいてみたら、
その本はわたしが生まれた頃に出たものでした。
そんなに明らかな事実だったなんて……。
自分の不勉強さをこういうところで
思い知ったりするわけですが、
それでも世界の真実に自分の足で
到達できたということが嬉しいです。