直列☆ちょこれいつ

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レビュー:ギルティクラウン

2012年04月13日 | レビュー系


アニメ『ギルティクラウン』を見ました。


主役は内気な高校生の男の子です。
舞台は近未来のような、荒廃した東京です。

過去、主役が幼いころ、主役の姉は
宇宙からの隕石を手にします。
隕石には軽く意思を持った病原体のようなものが入っていて、
主役の姉はそれに気に入られました。

主役の姉はその病原体のようなものに取り込まれ、
ばらばらになって街に散らばりました。
その、姉を含んだ病原体のようなものに感染し、
発現すると、体が水晶のような、鉱物のようなものになり、
死んでいきます。
その現象は病気としてとらえられ、
多くの感染者と、多くの死者を生みました。

その病気にある程度対抗するワクチンも作られましたが、
品不足です。
また、国では手に負えなくなり、
外国の組織が国内に入り込みました。
国際的に認可された組織で、病気をこれ以上広げないため、
という名目で、病気を発症した人間の殺戮を行っています。
これが悪者組織です。
一方、それに対抗する組織もあります。


ある日主役は、好意を持っている歌手の女の子と出会います。
これがヒロインです。
ヒロインは病原体に感染した人間から、
意味のある物体を取り出すための物を盗んでいました。
主役は偶然、それを体に取り込んでしまいます。
その力を使い、悪者組織に殺されそうになる人を助けます。

ヒロインは対抗組織の一員で、主役も誘われますが、断ります。
けれど、主役のクラスに転校してきます。

主役が対抗組織の一員であることが友達にばれ、
悪者組織に売られながらも、
対抗組織の襲撃にまぎれて脱出します。

悪者組織は対抗組織を悪く言い、裏切るように言いますが、
主役は裏切らないことを決意します。
さらに、対抗組織に加わることを決めます。

主役を中心にした作戦をこなしていくうちに、
主役は成長していきます。

そのうち、ヒロインがさらわれ、悪者組織のたくらみにより、
主役の姉の病原菌が活性化されます。
感染していても発症していなかった人々が発症していきます。
ヒロインは歌でそれを止めようとします。

主役は仲間たちに頼んで、ヒロインを救いに行きます。
妨害にありますが、どうにかたどり着いたところで、
殺されかけます。
けれど対抗組織のリーダーが主役をかばい、殺されます。


その後、主役たちは学校に避難します。
学校の生徒や近隣住民も集まります。

悪者組織の人間が手練手管を使って襲ってきます。
学校内部でも闘争や派閥争いなどが起こります。
街は封鎖されてしまったので、物資が足りなくなってきます。

主役は、相手の体から武器にもなる物体を取り出せる能力が
強化されたので、取り出したものを本人に渡します。
その武器にもなる物体の強さでランクわけをし、
使える人間と使えない人間で差別化をはかろうとします。

敵の襲撃で、主役の幼なじみが、
体から取り出した物体を壊され、死にます。
それを壊されると死ぬようです。

主役たちは悪者組織の封鎖を突破して逃げようとしますが、
裏切りにあって主役は体から物体を取り出す能力を奪われます。
奪ったのは、死んだはずの対抗組織のリーダーです。

リーダーは悪者組織につきます。
ヒロインの体に、主役の死んだ姉の魂を入れて復活させ、
世界を姉の病原菌で埋め尽くすつもりです。

病気の感染者には、姉の破片が入っていたので、
悪者組織は学校に感染者を集め、
姉の成分を濃くして抽出するようなことを企んでいたようです。

主役は死ぬ危険を受け入れ、また他人から
物質を取り出す力を手に入れます。

意識ある病原菌たちの望みは、
人間を、思考する石や金属のようなものにして
永遠の存在にすることだったようです。
その役に立ちそうな主役の姉に取り付いて、
望みを果たすまで道具にしつづけるようです。
何度死んでも復活させられてしまうのだとか。

対抗組織のリーダーは、主役の姉に好意を持っていたので、
病原菌たちの願いをかなえて主役の姉を用済みにして、
永遠の生から開放しようとしていました。

主役は仲間たちの力と、主役の姉にのっとられた
ヒロインの力のかけらを借りて、
対抗組織のリーダーと、主役の姉を消し去りました。

その後、主役は残りの病原菌を全部引き受けて
一人で死ぬつもりでしたが、ヒロインの残滓に助けられて、
体のいくつかの機能を失って生き延びました。
かつての友達とは友達でいられました。


……というようなお話です。

前半部分では、内気な少年が、
人の体からいろいろな武器を取り出して戦っていきます。
この武器が個人の資質によって変わるものだそうで、
次はどんなものがでるのか、それでどうやって戦うのか、
そもそも武器であるヴォイドとはなんなのかと、
毎週わくわくしながら見ていました。

お話でははっきりとは言われませんが、
ヴォイドとは『void』で、心の隙間や虚空とかを
あらわす英単語のようです。

けれど、個人的にはどちらかと言えば、
『want』の概念に近いものに感じました。
『want』は欠乏の意味ですが、そこから発生して
欲する、欲しいもの、という意味があります。

主役は心の隙間に手を入れ、相手の欠乏しているもの、
欲しいものを知り、それを具現化することができるようです。
たとえば、秘密を知りたい、隠されたものを明らかにしたいと
思う人からは、閉まっているものを開けられる能力がある
ヴォイドが出てくるといった具合、
相手とのしがらみや命を断ち切りたいと願う人からは
はさみが出てくるといった具合です。
なぜその人から、そのヴォイドが出るのかといった
背景を考えながら見るのも面白かったです。

絵はかなりきれいな水準をたもちましたし、
声も特に変な人はおらず、キャラにも合っていました。
キャラクターのデザインもよくて、
ヒロインも鼻が低く、全体的にするりとしていて
かわいかったです。

内気な少年が、他人から心の隙間を反転させたようなものを
取り出す能力をもったことで、
他人と関わっていくさま、成長していくさまはよかったです。
前半の終わりに向けて、自分から仲間に頼み、
仲間のヴォイドを代わる代わる使いながら
悪者組織の攻撃をいなしてヒロインを助けるところは、
大変熱くて盛り上がりました。
そこでうまくまとまって終わっていれば、
かなりおもしろいアニメだったと思います。


その後の後半は、話と設定、方向性が変わってしまいます。

前述のとおり、ヴォイドは自分の望むものです。
主役はそれを取り出したあと、取り出した相手に
渡すことができるようになってしまいます。
でも、欠けていて、欲するものを相手に渡したら、
その人はある意味『完全』な存在になってしまいます。

今までは、なにかわからない他人の望みを
その場で取り出して自分が使うという、
どこかずれた行為を強いられるのがよかったのに、
最初からすべてのヴォイドがわかって、
それを使えるようにまとめる、
その本人に渡す、という行為が間に入ってしまっては
面白さが半減してしまいました。

しかも後半に入ると、小さな組織内での
権力闘争など、仲間も含めてどろどろぐちゃぐちゃと
不愉快な流れが続きます。
主役が流されながらも成長するのに
必要な話なのかもしれませんが、
前半のスピード感も楽しむポイントもまったくなくなり、
正直なところがっかりでした。

小さなムラ社会の中でぐちゃぐちゃするアニメに
『無限のリヴァイアス』がありますが、
そんな雰囲気を感じました。

簡単に言えば、前半は秘密道具を使って
少年が成長しながら戦う話で、
後半はその裏設定が語られて、
その裏設定をまとめて完結させる話です。

前半はかなりおもしろかったですが、
後半はどちらかと言えば楽しめる方向という感じでした。
全体としては、意外と楽しめるアニメ、というくらいです。
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