直列☆ちょこれいつ

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ピアノマン 意訳寄り和訳

2008年08月20日 | ちょこのひとかけ


かつてのビリージョエルのピアノマンの和訳に
指摘いただいてその部分を直していたら
他の部分も気になったので、
せっかくだからと内容をわかりやすく、
意訳方向で訳してみました。

主題は『何か足りないという気持ち』
『今の状況に満足していない気分』として、
それを軸にして訳していきます。

意訳か誤訳かは、
以前の日記3日分(2007-04-15から2007-04-17)
より判別してください。


http://blog.goo.ne.jp/nanmo-nanmosa/e/18d2369bae1b0656867c060ea10ba275


http://blog.goo.ne.jp/nanmo-nanmosa/e/b6fed5fdad37e92dabada678771fd6d5


http://blog.goo.ne.jp/nanmo-nanmosa/e/a6b75f1494f79666ece0b4adc0331a8d




ピアノマンのあのころ
(作:ビリージョエル)


おれのステージは土曜の夜9時。
いつもの連中がぼちぼちと集まってくる。
そばに座るおっさんは今よりも昔にすがってて、
ちびちびジントニックをやりながら言ったもんさ。

「兄ちゃん、思い出なんてもんは弾けるかい?
はっきりどんなってのかはわからんけどさ、
たしか悲しく、甘かった。
今より若ぶった服を着てた頃にゃ、
全部知ってるつもりだったんだけどな」

ははは、そんなあの頃。
グラスとピアノと人の音。

周りは催促したもんさ。
「歌ってくれよ、ピアノマン。
 ほら、今夜も一曲頼むぜ!
 もういいころだろ?
 いつまでもったいつける気だ?」


ふと見りゃ
カウンターにはバーテンのジョン。
おごりで飲ませてくれるいいダチだ。
誰かのジョークにゃジョークで返し、
たばこをくわえりゃすぐ火をくれる。
バーテンとしちゃあ申し分ないが、
そのままで終わらせるのももったいない。
そう言うおれに、ジョンは言う。
「ああ、うんざりだ」
あの笑顔すら消え去って。
「こんな生活からおさらばできりゃあ
映画のスターにだってなれるだろうさ。
でも、どこにも抜け出せない。
おれはずっとこのままなのかよ……」

――そんなあの頃。
グラスとピアノと人の音。


そこのポールは不動産屋だが、
いつかすごい小説を書くとうそぶいてる。
金もあって地位もあるとくれば
あとは妻……と来そうなもんだが、
やつはそんなものは求めてない。
望んでいるのはデヴィだけ。
でもデヴィが愛するのは死ぬまで海兵隊だけさ。

別んとこじゃ、普段お堅い実業家連中が酔いどれて、
ウェイトレスがそれを軽くあしらってる。
みんなばらばらに見えるだろう?
でもだれもがそろってグラスに『孤独』を注いでるんだ。
それだってほんとに一人っきりでいるよか、ましだってもんだ。

紛らすようにせっつく声。
「歌ってくれよ、ピアノマン。
 ほら、今夜も一曲頼むぜ!
 もういいころだろ?
 いつまでもったいつける気だ?」


土曜にしちゃずいぶんゴキゲンな客の入り。
支配人のあの野郎まで笑ってやがる。
……でもな、だれもあいつのために来てるんじゃない。
目当てはおれだ。ほんのすこしの間、
人生を忘れるためにおれの歌を聞きに来てるんだ。

盛り上がりが最高になるころには
ピアノの音なんて祭りみたいにめちゃくちゃ。
マイクなんてビールのにおいだ。
連中、カウンターでおれのチップを詰め込んで言うわけさ。
「へいへい、なにやってんだ」

グラスとピアノと人の音。

「歌ってくれよ、ピアノ弾き!
 ほら、一曲頼むぜ!
 いつまでもったいつける気だ?
 みんな待ちきれねえってさ!」

困った奴らだ。
こうして来て催促までするくせに、
呼び名はいつまでたっても『ピアノマン』だってんだから。
でも、しかたない。ご要望どおりにおれは――歌うだけさ。
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