車で走っていると、『酒々井』という文字が流れてきました。
ふむ、ささいかぁ……と思っていると、友達が言います。
「しすいインター寄ってく?」
しすい。
わたしにとって『しすい』と言えば、秦の始皇帝が投げ捨てられた
九鼎の最後の一つを探した場所のことです。
あの泗水と同じ読みの地名がこんなところにもあるなんて。
でも、なぜささいでなくしすいなのでしょうか。
何をどうして酒々井をしすいと読むのでしょうか?
そんなことをすこし心に留めておいたところ、
そのうち見えてきた『馬酔木』という文字にはっとしました。
酔は酒系の漢字です。
それが、『すい』とよまずに『し』や『せ』に置き換わるのは
なぜなのでしょうか。
そう考えると、酔の元字は『酒』で、発音は『しゅ』であった
可能性が浮かびました。
元単語が『ましゅぎ』などだった場合、丸まって『し』や『せ』、
どちらにも吸着されてもいいものです。
それと同じく、酒々井も、本来は酒を『しゅ』と呼んで、
『しゅしゅい』であったのではないでしょうか。
『しゅしゅい』はとても言いにくい単語です。
『しゅしゅい』を繰り返して口にし、いいやすい形になると……
おそらく、『しすい』に落ち着くはずです。
本来はどうなのか知りませんが、ひとまずまとまってすっきりしました。