ショートショートを半ば意地だけで書き続けて
昨日で1625本。1778まではあと153本です。
それはそれとして、ショートショートは1900年代に
作られた形式といいますが、
実はもっと昔からあったとわたしは思います。
たとえば、漢文のいくつかです。
知ってる人は知っている、
あたりまえのことかもしれませんが、
わたしはそうは習わなかったので、
内容を聞いても、漢文を読まなくてはいけない
めんどくささのほうがまさって、
「だからなんなんだろう」という感想に
終わっていましたけれど。
原題を忘れてしまっていますが、
あえて内容も調べずに、
うろ覚えのままにわたしの文で書くと
こんな感じです。
一本目。
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この街にはとても賢い少年がいるという話を聞いて
どんなものかと冷やかしてみることにした。
「やあ、君がうわさの子だね」
わたしが尋ねて言うと、
「どんなうわさかは知りませんが、なにかごようですか?」
澄んだ目を向けて、彼は答えた。
「巷じゃ君はとても賢いと評判だ。
そこで、わたしも一つ聞いてみたいことがあるんだ」
「はるばる旅をして来られた方をむげにはできません。
わかることであればお答えしましょう」
そう言う少年に、
「では、洛陽の町と落陽とでは、どちらが近いと思うかね」
わたしは訊ねた。
「落陽ですね」
少年は答え、わたしは心の中でため息をついた。
おなじ『らくよう』でも街はこの大陸の上にあるが、
太陽の沈む場所はこの地の上にはない。
賢いといっても所詮はこどもの浅知恵だ。
「どうしてそう思うんだい?」
多少のあざけりを込めて訊いてみると、
少年はまっすぐわたしを見て、答えた。
「だって落陽は毎日目にしていますが、
洛陽は目にしたことすらありませんから」
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そしてもう一本。
とても有名なお話です。
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ある日、街を歩いているおれの耳に、
騒がしい露天売りの声が聞こえてきた。
「さあさ、買ってくれ。これはどんな武器でも壊せない、
最強堅固な盾だよ!」
するともう一方からも声が響く。
「それよりこちらを見ていってくれ。
ここにあるのは無双の矛。どんな盾でも貫き通す
鬼神のごとき破壊力だ!」
二人はお互い負けじとばかりに声をはりあげていくので
いらついたおれは叫んで言った。
「おふたりさん、それならまずはご自慢の
矛と盾をぶつけあってみてくれよ」
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いま思うと、あの漢文って
ショートショートだったんですねえ。
漢文というだけで大仰なものに見えてしまいましたけど。
そう考えると、古文にも
いろいろショートショートはあるみたいです。
たとえば一休さんの話とか。まあ、あれは後の時代に
おもしろく書き直されたという話もありますけど。
兼好法師の、たしかみかんの木から下りる話や、
矢を撃つ話なども、ショートショートっぽいです。
文学部だったら、そういうのを研究しても
面白かったかもしれないなとちょっと思いました。