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密室殺人 探偵 槇原隆法(まきはら)の手帳 4話

2022-01-23 15:33:10 | 縄奥小説

4話

 


 槇原は旅館に帰ると冷え切った身体を温泉の湯船にゆっくり入ると頭の中を整理し始めた。何か見落としていることがあるかもしれない。そう思う槇原は丹波に出力会社から事情を聴いてもらおうと思うとも翌日には丹波に頼もうと思っていて、この日の夕方はのんびりしようと浴衣に着替えて自分の部屋に入るなり、テーブルの上に置いたビールを喉を鳴らして飲むと、一息ついてタバコに火を点けた。そしてこの日は誰もこなく槇原を部屋が優しくム据えてくれたことにも感謝して楽しみの食事をまっていた。そして翌朝のこと殺人現場には二人の警官が交互に暖をとって何者も入れない状態だったが、遂に七人目の被害者を出したことで槇原を驚かせた。

槇原を迎えに来た丹波は槇原を見て「先生! 大変なことが起こりました!! 執事が、執事が密室で殺害されました!!」と、槇原を驚かせた。槇原は驚きを隠せず丹波に詳細を聞くと、現場の入り口には警官がいるので安心していたが、何者かの手によって青酸カリで死んでいるのを部下の刑事が現場の部屋からは全ての鍵が掛けられていて外からは入れないようになっていた。朝方別荘を訪ねた刑事が言うには二階にある執事の部屋に鍵が掛かっていて現在、鑑識が捜査しているとのこと。普段なら起きている時間なのに誰も居ないことを不審に思った刑事が執事の部屋へ行ったそうだが、ドアを叩いても返事も無くドアノブを壊して執事の部屋に行ったところも室内で争った形跡もなく仰向けに死んでいたらしかった。

そしてその話を聞いた槇原は丹波の部下が運転するジープに乗って別荘へ急いだ。そして到着するやいなや槇原は執事の部屋ではなく、床下へと降りて行き例の直立のハシゴを見て「こ! これは!!」と、顔をしかめた。ハシゴには泥が付着していて誰かが昇った形跡があって槇原はそのハシゴに上って行き懐に入れてあるロウソクに火を灯し、ロウソクの炎の揺れる方向へと移動すると何やら仕掛けがあって槇原はその風が入り込む辺りを手あたりしだい触りまくると一瞬では解らない構造のドアノブがあって、そのノブを開くと執事の部屋に出られることを知った。そして疑問は大きくなった。事件に関与しているのではと思われていた執事の殺害は何処の誰がやったのか、更には過去にここで発生した6件の殺人の犯人の目的が何だったのか、そして何処から入って来たのかと言う物だった。

こうして迷宮入りになりそうな事件でも槇原は床下から見つかった白骨との関係もいまだに解らず鑑識もホトホト手を焼いていた。だがここで起きた殺人は執事を入れると7人にも上り、丹波もまた「またお宮入りか!!」と、普段は温厚な丹波にしては傍から解る程に苛ついていた。だが槇原は現場100回ではないが、床下に入ると前回見た個所と今日はどう変わっていたのかを探っていた。そして床下で確認していると昨日は土をかぶっていたであろう下水管の蓋が墓開きになっている事を確認すると巻き尺で二の大きさを計って手帳に記入していった。蓋は直径80センチと、とても大きく細身の人間なら簡単に入れそうだった。そして槇原は丹波に言って刑事を中に入れるべくランプを持たせて中に入れると中から「警視正殿! 中は意外と広くて男でも簡単に入れました!!」と、叫んだ。

そして俺も俺もと言う具合に刑事達は4人で下水管の中に消えていくと途中から静かに下水管の中をまっすぐ進むと、何かの建物の床下に出れることを知った。そして蓋を静かに押し開けると、そこは食堂の真下であることが解った。そして刑事達は静かに蓋を閉じると急ぎ足で丹波と槇原の待つ山荘の床下に到着した。だがここから真っすぐ降りた場所にある食堂はいたって普通の店で何かあるとは俄かには信じられなかったことで「槇原は刑事達に食堂の下水管はまだ先があるようでしたか?」と、聞くと刑事達は「はい… まだ続いてました」と、返事をして丹波と槇原は互いの顔を見て「先生!これで事件の全容が解りそうですね♪」と、そこえ電気会社を当たっていた刑事が戻って「ここは元々電気が来ていたんですが3人目のオーナーが電気を止めてくれと頼んだようで、なんでも電気がある生活はしたくない」と、言ってました。

 こうして一つずつが解って来たことで事件の端っこだけは見えてきたようだった。犯人は下水管を通ってこの山荘に出入りしていたことが立証されたが、まだまだ犯人像には近づいてはいないと槇原は考えていた。そして遂に無人となった山荘は、山荘のオーナーが変わる度に下水管を使って壁の中を出入りしては密室殺人を繰り返して居たと言うのが槇原の推理だった。ただ、それならば天井に部屋まで作る必要があるだろうかとも槇原は考えて居て、何か事情があるのかも知れないとも考えていた。そして床下の人骨は誰なのかそして何故執事は密室で殺されていたのかと言う疑問に疑問を重ねたような事件であった。そして床下に掘られた要塞のような作りを執事は気づいていなかったのか、まぁ今更言っても仕方のないことだが、そして槇原が次に丹波に「この山荘を売買した不動産屋を洗って欲しい」と、頼み丹波は部下の刑事を不動産屋に当たるよう命じた。

そして別件で槇原は丹波に下水管が何処まで伸びて居て、何故こんな山奥に大きな下水管が設置されているのかの捜査を頼んだ。すると人が通れる下水管は街の方まで続いていて春になって雪解け水が豪雨のようになるために大きな下水管にしていたことを聞き出したが、途中から分岐点があって、それ以上は人間が進めない程度の下水管だったことが判明した。そして人間が通れる下水管には無数の縦の管があって、犯人特定も左程、時間はかからないであろうと槇原は考えていた。残すは連続殺人の理由であった。過去に6人も密室殺人が起きて最後は執事で終わるのか、もしくは別の殺人が起きるのかは、まだ槇原には思いついてはいなかった。そして不動産屋を探したが街の中にはなぃうで東京の不動産屋で売買していることを突き留めた刑事達は急遽東京へ向かい後は刑事達からの報告を待つのみとなっていた。

そして不動産屋に行った刑事達は思わぬ返事を不動産屋で聞いた。その内容と言うのがオーナーが変わる度に何者かから電話が入りオーナーが死んだので何とかして欲しいと言われたといい、最初のオーナーとの約束で万一、自分が死んだら別のオーナーへチェンジしてもらい執事も必ず継続して雇うことが条件と言い、不動産屋は契約時に執事の存在を記入したと書かれていたと言う。しかも売買と言うよりは無料の貸付のような奇妙な物件だったと言い、不動産屋は次のオーナーになると家賃も前家賃も保証人も必要が無いことから容易に借主をさがせたと言う。ただ売買と言うのは形だけで実質、不動産屋の管理物件であって最初のオーナーから100年分の家賃も前金で支払われていて、田舎で暮らしてみたいと言う客は写真を見て大興奮して家賃のいらない物件に速攻で賃貸契約を結んでいた言い、オーナーが変わる度に同じ契約をしていたと言う。

まるで嘘だろうと思う客達は不動産屋の勧める別荘は直ぐに借り手がついて、オーナーに事欠くことは無かったと言う。そしてオーナーが変わる度にその別荘はオーナーが殺されたと言う話を不動産屋は淡々と刑事達に話したと言う。そして最後に執事までもが殺された事に驚きを隠せなかった。だが不動産屋としては前金で家賃をもらっているから再び別のオーナーを探すことになっている言った。だがこの案件に刑事達は「そんな契約ってあるのか!?」と、互いに顔を見合わせた。そして刑事の一人が「もしも僕がこの物件に住みたいと言えばすぐにでも貸して貰えるのか?」と、質問すると不動産屋は「ええ… いつでも契約は可能です」と、言われた事も含めて東京から殺人現場に舞い戻った刑事達は丹波に報告をしていた。それは夕方の七時を回っていたが、槇原はその話を聞くと両腕を組んで殺人現場の部屋をグルグルと回って考えていた。

そして槇原は丹波に「この事件… 根が深いですね…」と、半分困った顔をして丹波を見ると、丹波も槇原と同様に顔を曇らせた。そして一旦、丹波と刑事達と槇原は旅館に帰ると、冷え切った身体を温めるべく温泉に浸って天井を見上げた。すると刑事の一人が「どうにも納得が行きませんねえ… 家賃100年分を先払いして何故。他人を住まわせるのか」と、その声に槇原は丹波に「別荘の床下を人集めして掘って見ましょう」と、話すと丹波は軽く頷いてお湯で顔を洗った。そして槇原は丹波に「もっと電球が必要ですね、今の数だと見える者も見えませんからね~」と、丹波に話すと「そうですね、先生の言われた通りに致しましょう」と、槇原に顔を向けると槇原は「さてさてそろそろ晩飯にしませんか~」と、槇原は全員の顔を見て俄かに笑みを浮かべた。

 槇原達は一つの大広間で温泉の食事を楽しみ酒を飲んで手拍子で歌を歌いにぎやかな宴会も午後10時を迎えると槇原と丹波を残して全員が各自の部屋で眠りについた。だがもしも槇原の推理通りなら、あの床下には何かがあってそれを隠すためにそしてソレに気づいたオーナー達は密室殺人を誰かに頼んだのだと思って眠りについた。そして翌日、東京から大勢の鑑識と刑事の応援が旅館に到着した。それは昼を過ぎた二時頃のことでさっそく応援部隊を率いて丹波と槇原は現場に向かった。そして大きな発電機で大容量の電気を発電して床下を徹底的に明るくして全員がスコップを手に持って手付かずの土を掘り始めた。そして警察官達は額に汗して土を掘っていてそれは槇原の推理に依る物であることは丹波が一番知ってることでもあった。そして床下の土を掘る事、数時間で刑事達は何かを発見したようだった。

そして刑事が掘り当てた物は長さ1メートル50センチで奥行きが1メートルもある鉄で出来た箱であった。それを見た槇原は「ここ、何度か掘り返した形跡がありますね~」と、丹波に言うと鑑識を呼んで何とか開けられないモノかと頑張って見たものの相手は鉄で出来ていて、簡単に開けられるモノでは無かった。すると鑑識が大きなハンマーを持って来て力任せに鍵を叩くと丹波は喉を鳴らして蓋を開けた。そして中には金銀財宝が「これでもか!!」と、言う具合に入っていてその場に居た者達を驚かせた。そしてその箱を見た槇原は最初のオーナーが隠していた財産だろうと考え、そして更に槇原は「恐らく執事が守って来たのだろう」と、推理した。結果、槇原の推理が正しかったことで刑事達は丹波と同様に槇原に拍手をして労をみんなでねぎらった。

だが槇原には不可解なこと、それは執事を密室で殺害されたと言う事実だったが槇原は丹波に頼み下水管の調査を依頼して、槇原は執事が殺害された部屋の中で腕組をしてウロウロしていた。そして恐らくは過去のオーナー達は床下に何かあるのかと気になって掘り返していた形跡が地層で見られ、そして気が付いたオーナー達は密室殺人として全員が殺されたのだと槇原は考えた。そして残る事案は誰が執事を殺したのかと言う新たな疑問にぶつかっていた。だが地下室にある下水管に入って行った刑事達は入念に明かりで照らして頭上の蓋が開けられた場所を秘密裏に探っていた。そして恐らくその場所に住んでいる人物こそが執事を殺した犯人なのだと槇原は推理していた。だがそれだけでは犯人を特定出来るはずも無く、槇原は何かいい手だてが無いものかと思案に暮れていた。

そして思いついたのは下水管の所々にある縦の管の上にある何かに対して別荘から金銀財宝が見つかったと噂を流布することで犯人の動きを感じ取れると考えた槇原はさっそく丹波にそのことを伝え了解を得た。後は流布した噂に犯人がどういう形で関係してくるのか様子を見ることにして警官を4人を別荘の前に配置して槇原達は全員で旅館に戻り冷えた身体を癒す大風呂に身体を浸して大きく「ああぁーー♪」と、風呂場には大きな唸り声が響いていた。そして一汗かいた槇原と丹波率いる人員とで大広間を借りての捜査会議が開かれた。大広間には着物を着た女性達が次々と食事と酒が振舞われ夕飯を食べながらの会議になった。そして担当していた刑事と鑑識からの報告を得た槇原は「別荘から下水管に人間が入れない箇所に何件の建物があるのか明日にでも調査して欲しい」と、そこに居た全員に視線を飛ばした。

そして翌朝、旅館で朝食を済ませた刑事達には役所から取り寄せた地図を元に噂を流布する役目と、鑑識には別荘の壁の中に何か手がかりが無いかと槇原は頭を下げた。そして丹波は急に立ち上がって全員に「よし!! やるぞおー!!」と、号令をかけると全員から「はい!!」と、言う大声で大広間に声が響き渡った。そして旅館を出る全ての人間たちに旅館の人達からは「頑張って下さい!!」と、声援が寄せられた。そしてここからが槇原の推理が限界を超えていたことにまだ槇原は気づいていなかった。そして刑事達は地図に載っている場所に辿り着いたが限界集落と言う事情もあって殆どが空き家が壊れた家屋だで、まともなのは食堂と理髪店と煙草屋くらいでその連絡に槇原を殺人現場で両腕を組んで考えこんだ。そして次なる手立てを考えたのは地元だけではなく下水管が行き止まりになっていた場所にへと槇原は一人で下水管の二股まで歩いて行くと「この大きさなら女性なら這って通れるな~」と、二股の下水管を見て独り言を言った。

 槇原は二股になっている下水管を前に槇原は「これは範囲が広くなりそうだな~」と、槇原は考えを丹波に相談した。それともう一つの棺桶に入った状態で発見された白骨死体の問題だった。丹波は東京の本部に運ばれた白骨死体は誰なのか現在、行方不明者の相談は無いのか全国の警察に質問を手紙で送りその返事を待っている状態だったが、鑑識もホトホト困っていて、この頃は頭部の復元の技術も無く大学の医学部の研究所くらいでしか頭部の復元は相当に難しいことであった。また歯型の調査でもこの頃は何の技術もなく、歯医者では治療と言うより殆どが抜歯するのが一般的だった。だが何か手がかりがあるはずと槇原は考え部屋の中をグルグルと回っていた。そしてその頃、下水管の場所と家屋を調べていた刑事達は別荘で金塊が発見されたと街中に流布して噂を流した。そしてその情報は瞬く間に広がって世間を賑わしたが、財宝はまだ別荘にあると言い別荘には刑事達を集結させ、別荘に向かってくるものは居ないか槇原の推理に警察も鑑識も息を飲んで待ちわびた。

そして槇原も別荘の床下に入って犯人を待ったが、この日は誰も来なかった。そして翌日の深夜二時ごろに床下の下水管を通る物音がして全員が耳を澄ませた。そしてその音が近づくにつれ刑事達は腰をかがめて犯人が出て来るのを待った。そして蓋が開いた瞬間、床下の電球が煌々(こうこう)と、辺りを照らし下水管から這い上がったのは紛れもない女だった。そして女を取り押さえた刑事達は女が武器を持って居ないか徹底して調べると、女は突然泣き出して「お爺ちゃん! お爺ちゃん! 守れなくてごめんよ!!」と、膝を土に付けて両手で顔を覆って泣いた。だがその光景を見た槇原は「あの白骨死体は紛れもない、この女のお爺さんだったのだ」と、口をすぼめたが、その場での質問に女は殺人には手を染めてないと大声で叫ぶと「私はただ… お爺ちゃんの残してくれた財宝を隠す目的で床下には入ったが殺人なんてしていない!!」と、槇原を困惑させ槇原は丹波に「取敢えずこの子は自宅に帰して警官を付けて帰らせましょう…」と、耳打ちした。そしてこの日は警官を4人床下に配置させ玄関にも4人の警官を立てて我々は旅館に戻りましょうと、丹波に伝えた。

翌日、どうやら下水管を通って来た女は殺人には関与していないと槇原は丹波に伝えると、丹波も「先生もそう思いますか… 実は私も先生と同様の考えなんですよ」と、言うと女の家に出向いた刑事達は女に任意で同行をを求め、所轄に連れて行って事の始まりを聞いていた頃、白骨死体が入っていた棺桶に付着した土とは別の土があってされを鑑識がまとめたレポートに記載されていた時、槇原は「白骨死体の棺桶についてた土と床下の土の違いを見た槇原はやっぱりそうか…」と、丹波に伝えると「あの棺桶は何処からか運ばれてきて床下に置いて死体を棺桶に入れたのだ」と、槇原は丹波に自分の意見を伝えると丹波は「ええ… 先生と同じ考えです」と、丹波も自分の見解を槇原に伝えた。だが疑問はたくさんあるが床下の白骨死体をどうやって床下に運んだのか、そして棺桶はどうゆう経路で床下に運ばれたのかと言う疑問の他に、何故あんなところに金銀財宝を隠した目的が解らなかった。そして槇原は一つの仮説を立てた。もし数日前に死んだ執事が関与していたとしたら。あるいは他に協力者がいてと。仮説をドンドン打ち上げては手帳に疑問を書いていた。

翌日、槇原は一番説得力のある仮設で頭がいっぱいになっていたが丹波が迎えに来て槇原に「先生… 顔色がさえませんが大丈夫ですか?」と、聞いて来たが「ええ… 昨日は仮説ばかりを考えてろくに寝ていない」と、丹波に伝えるると、「先生、今日はお休みしては如何ですか?」と、言われ槇原は頭を下げて「そうさせてもらいます」と、車を降りた。そして丹波に「あの棺桶から青酸カリが見つかるかどうか調べて下さい」と、言い残して旅館の中に槇原は戻って行った。そして早速、丹波は本庁に連絡して棺桶から青酸カリの検出を依頼し別荘の壁の中を鑑識に頼んでいたが、未だに「コレ!!」と、言う物証も何にもなかったが、どうやら壁の中では自由では自由に移動出来て様々な箇所に自由に出入りの出来ることが解った。そして鑑識の隊長は「この別荘は完全に壁の中を自由に歩き回れる上にどこからでも自由に出入りの出来る」と、言う隊長に丹波は頭を下げて礼を言うと鑑識の隊長は「いやいや… こんな季節に温泉旅行が貰えて嬉しいですよ♪」と、丹波に伝えた。

そして一日の休みを貰った槇原はゆっくりと風呂に入りたっぷりの睡眠をとって警察関係者が戻る頃には槇原の顔色も良くなっていて丹波も最初は心配したが槇原の顔色を見て安堵の表情を見せた。そして夕方の食事に合わせるかのように丹波に鑑識から「確かに青酸カリが発見されましたよ」と、言う槇原の推理を裏付ける証拠が一つ出来たことで槇原の推理通りなら「アレしかないだろうな…」と、丹波に耳打ちして教えると丹波は「さすがわ先生ですね!」と、槇原を称賛して酒を酌み交わしたが、当分の間はこのことは伏せて置きましょうと槇原は丹波に付け加えた。そして残るは執事の件だが槇原は既に推理を固めていて、その証拠を探すために鑑識が調べてくれた家の中にもう一軒の家があるような構造に一つの仮説を立てて頭の中で少しずつ形を整えた。そしてそれは丹波にも確証の無さから槇原から丹波には伝えられていなかった。

 そして下水管から出てきた女は所轄で取り調べを受けていて、所轄の刑事達には丹波が「あまり責め立ててはいけないぞ」と、一言が大きく所轄の刑事達は女に対して真摯な対応で臨んでいて、女は何故、下水管から別荘の床下に辿り着けることを何処で知ったのか、そして棺桶に入った白骨死体をお爺ちゃんと呼ぶことも刑事達に女は淡々と素直に話していた。そして数年前に下水管が詰まった時に下水屋さんが中に居てその話声を聞いた事があって、女は自宅の下を流れる下水管の蓋を開けて中に入った時に四つん這いになって下水管を移動して到着したのは、まさにお爺ちゃんが眠ってイメ場所だったと言う。そしてお爺ちゃんは自分たち家族にと金銀財宝を床下に埋めて隠していたが、オーナーが変わる度にその宝石箱の存在を知られ、その都度、オーナーが密室で殺害されていたことを知ったと言い女はお爺ちゃんが亡くなった事を知るとお爺ちゃんの形見である宝石箱を守るために頻繁に床下へ来ていたらしく、誰がオーナーを殺害したのかはわからないと言った。

女は殺人には関与していないことを丹波が槇原に言うと「やっぱりそうだったのか~」と、ホッとした表情を浮かべた。そして槇原の推理は別室で丹波に話して置いて執事の件と床下の白骨死体に対しても槇原は推理をしてその内容を丹波は知ることになった。だが不自然なこともあって、何故あの別荘がそんなに手の込んだ造りになっていたのかが最大のなぞと言っても過言では無かったことで、槇原は丹波にあの別荘を建てた建築会社を探して欲しいと頼むと丹波は「はい♪ 先生のためなら何でもしますよ♪」と、声を弾ませた。だが取り敢えず事情聴取を受けた女は何の罪も犯していないことから釈放となったが、執事は誰が殺したのかと言う疑問は解決されておらず場合によってはあの別荘を知り尽くした人物ではないかと言う仮説も立てられた。ただ不動産屋の話しではほとんど無料で使える別荘なんか怖くて嫌だと言うきゅくも多く「まさか自殺した人の霊が出るんじゃないのか」と、客に不審な目で見られたと言うケースもあって、ただ昭和38年当時では不動産屋は店の窓ガラスに物件の紹介のチラシを貼る程度なのに、何故何件もの不動産屋が関与していたのかが疑問であった。

ただ未だ解らない疑問も槇原は心の中で思って居た件も引っ掛かっていた。それは根本的に何故、オーナー達は誰かに殺されたのかと言う素朴な疑問であって、一番の厄介なことであった。単に客観的に見れば執事が犯人だと思うかも知れないが執事は老人であって体力のある成人男性に青酸カリを腕づくで飲ませた後に秘密の入り口で密室を装うことが出来るには出来るが、そして6人の成人男性を簡単に殺せるものだろうかと槇原の頭の中は疑問だらけで収集が追い付かなかった。そして懐から出した手帳に現在の状況を客観的に書いておいた。そこへ丹波が慌てて槇原を訪ねると槇原の言う通り棺桶から僅かだが青酸カリの反応が出たと言う知らせに槇原は丹波に礼を言うと丹波は槇原に「先生! 次の用事をなんなりと♪」と、余程嬉しかったのか丹波は槇原の顔に見入った。そして槇原は丹波に「噂の流布の効果は如何ですか?」と、聞くと丹波は頭を傾げて「未だに不審な人物は見当たりません」と、意気消沈した。そしてそれから数日が経過しても疑わしい人物は姿を現さず警察も鑑識もお手上げ状態だった。

ただ… 今、解っていることは誰が別荘の件を不動産屋に、それも複数の店に持ち込んだのかが解っては居なかった。そこで槇原は地下室にある金銀財宝を床下から出して所轄の部屋に移動させると、次の日のテレビのニュースではその話しでもちきりになって警察署へのマスコミの集団が押しかけて来て警察ではその対応に追われていた。時価総額は15億円とされ勿論、その財宝は前回事情を聴取した女に渡されることも視野に入れて捜査していたが、いつのまにか何処でどう知ったのかマスコミは女の家に押しかけて女から110番を受けた所轄では警官を数名、女の家に向かわせた。そして女と棺桶の白骨死体との因果関係にも警察は着手していた。

 


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