ねここねこの家

トワルバトル 第1話 「消えた液体」

第1話 「消えた液体」

コバ アキラが慌てたように携帯に電話をかけてきた。

古いガラケーを使っているアルバ ハジメが急いでテレビを点ける。

 

「…繰り返します。アナロバ社によると盗まれたのは貴金属のみとのことで、金額にするといくらかは判明してないとの発表でした。以上現場から…」

 

「な?聞いたか?うちの会社だぜ?そもそも貴金属なんてあったわけ?」

不思議そうに興奮してコバ アキラが言う。

 

寝ぼけていたがニュースはさすがに聞こえたアルバ ハジメ。

 

「うちの会社製造会社だよな?貴金属ってあるわけ?会社の隠し財産かな?こりゃ出社は大変になるな。インタビューとかあるかな…」

 

コバ アキラが困ったように言うが、アルバ ハジメも会社の周りに報道社とかいるのを想像した。

割と大きい会社だけに、アルバ ハジメも入社できたことに驚いていたほどだったのだ。

 

家の電話がタイミング悪く鳴るからアルバ ハジメは驚きつつ、コバ アキラの電話を切る。

 

「ああ、アルバ君だね、今日は裏口から入ってくれないか」

 

専務のカトラだった。

 

「あ、コバさんと電話で話したんですけど、裏口の話もした方が…」と伝える。

 

カトラは遮るように「コバ君は休みだよ」とだけ言って切った。

何かおかしい、コバさんは出社の予定だったはず。

コバさんには言えないな、と感じていた。

 

切った直後コバ アキラから電話があった。

「今日は休めって会社らしいよな、なあ」と、コバ アキラが言うがやっぱりおかしい。

 

「全くおかしな会社ですね、このまま寝込みます」とアルバ ハジメが電話を切る。

 

「別に俺が貴金属を盗んだわけじゃないんだから、堂々と…まあ裏口だけど行こう」

 

アルバ ハジメが支度を始める。

会社に近いところの物件を探しただけに、早く着きそうな感じがしたがすでにマスコミがいた。

 

知らん顔で裏口に向かってこそこそと入る。

こう言うときに透明なら…とも思ったが、まだそこまで馴染んでいない。

 

会社には入ったものの、裏口からの経験がない上に暗く少し迷っていると目の前に専務のカトラがいる。

悲鳴が出そうなくらい驚いたが、専務のカトラはこっちだ、と手招きをする。

 

どうも専務のカトラの部屋だった。

 

「アルバ君も聞いたと思うが、会社から大切なものが盗まれてね…」と話を始める。

 

「貴金属だとか…いくらか知りませんけど…」アルバ ハジメも困る。

 

「いやね、実際盗まれたのは貴金属もそうだが、もう一つあるんだよ」

 

「もう一つ…ですか?」困惑するアルバ ハジメ。

 

「液体なんだけどね…貴金属より価値がある」

 

アルバ ハジメの頭には疑問があった。

なぜここでその話をアルバ ハジメにだけ話しているのか、なぜ公表しないのか。

公表は自由だろうけど、ここにはアルバ ハジメしかいない。

 

「俺が関係あるんですか?」アルバ ハジメは率直に聞いてみた。

 

「盗んではいない、それは分かっている。探して欲しいんだよ」専務のカトラは普通に答える。

 

「俺には…」と言いかけると専務のカトラは「特殊能力ならできるかなってね」と微笑んで言った。


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