19話 「ドッキング」
セイナは最終点検をしていた。
ララがふてくされたように近付いてきてセイナに言った。
「あ、あたしだって乗るんでしょ?で何に?」
セイナはよいしょっと全部を確認してから「うんこれでOK!」と言ってから、ララを案内していくため、歩きにくい倉庫に連れて行った。
「ララ姉の乗るのはこれなの」と見せると、いつ作ったのか分からない飛行形態の機体があった。
「む、無理無理!」と手振りで表す。
「ほとんどがロロナと連携しているから自動なの。で、上下左右も剣と繋がっているから大丈夫。ただね、切り離す時だけ手動だから…」
セイナはちょっと不安と嬉しさの混じった様子で顔を覗いた。
「はぁ…!」とイライラしたようで、でも考え込んだ様子のララは言った。
「デロリデ…ザンワ…ジャイワナーゾ…ね…ほっとけるわけないじゃん!もう決めた!やるわよ。うん、やる!練習しないとだわ!」
なぜか少林寺の構えをとって力を入れて話していた。
それを見たベラーナが「すみませーん!」と逃げようとするのをカンナが止め、服の首元を掴んで「その弱さがなければね…」とため息をつくので、ララとセイナは笑ってしまった。
ハッとしたララはセイナに「そもそもどうやってドッキングするの?」と聞いた。
セイナは思い出したかのように「ある程度はララ姉が近付いて、そのあとはロロナが誘導するの!」と言うと、ララは飛行経験がないので心配そうだった。
ベラーナが「ついてきて練習だね。俺の後に」と偉そうに言うと、また構えを取りそうなララに「よろしくお願いします…です…」と急に小さくなって言った。
「発進は合図して!」と言うとロロナが「3…2…1…発進〜」
発進は無事に済んだ。
ベラーナが無線に切り替えるように手で真似ていると、ララは切り替えて「んで?んで?」
とララはいそいそと慌てていた。
「落ち着いて!計器をよーく見ると何がどうか書いてある!出力と角度、速度なんか見てご覧?」
とベラーナが言うと「落ち着いてよ」とララは自分に言い聞かせて細かく見ていた。
「異常はないみたい!」ララは自分でも動かしてみた。
「なるほど…これで!」と独り言を言いスイッチを動かすと、ベラーナの近くに来た。
「やるじゃん!そしたら剣のいるところ分かる?」と言うと、ちょっと離れたところに見え少しずつ近付く。
汗を掻くほどだったララは落ち着いてきて、ため息をついていた。
自然に引き寄せられていくのを感じていると、ドッキングした。
「何が起こったの?」と聞くと、セイナが無線で「あ、ごめんね、ロロナが動かしたの。これでOKかな」と言うので「先に言ってよ!」と言いつつ、ホッと安心した。
ベラーナは「撃つとまた敵が反応するから、構えてみて」と言った。
左右から機関銃のようなものが出てきたことを伝える。
「おお!見えているよ!OKだね」と話すベラーナ。
問題は切り離しかな、と考えていると切り離しは意外に簡単だった。
「そっか、このレバーだけなのね。んで、あとは来た通りのことかぁ」
急いでこの場所から離れたい、とも思い早々にゲンナ号に帰ると、剣がいた。
「うそ!あたしよりはやっ!」
剣は照れたように「あの…初めてじゃないみたいだ…」と話すと「そう?初めてで上出来ならいいか!」と陽気に言った。
「ドッキング成功だわ!」とトキノとカンナにも話すと、麻生とリリアン以外集まってきてみんなで手をタッチさせながら喜んでいた。