ねここねこの家

アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 18話 「怒りと悲しみの先」

18話 「怒りと悲しみの先」


「…ジャイワナーゾ?両親がって…」


カンナは全く初めて聞く話に、両手を広げて震えた。

他のみんなの沈黙が続く中、ベラーナは真面目な顔で続けた。


「ああ…両親だけじゃない、仲間も殺された…あいつに…」


守里は「あいつなのか?その…ジャイワナーゾってやつに?」


ベラーナは立ったまま胸に手を置いて、馬鹿げてると言わんばかりに話し始めた。

怒りを堪えるように、でも耐えきれないように。


「俺の目の前で笑ったんだ!『ジャイワナーゾは弱いやつをやるんだよ、邪魔だからさ』ってな!」


目の前の机を叩いて悔しそうに続けた。


「俺の目の前で次々やられていったんだ…あいつは笑ってた…」


守里は怒りを覚えつつ、その光景が目に浮かぶようだった。

今すぐ飛び出して戦いたいとすら思い、拳を強く握りしめた。

その姿に麻生は黙って肩に手を置いた。


麻生は「…実は今日分かったことだが、まだアゼラには機体がある…」


守里もベラーナも、みんなも麻生に注目した。


「デロリデ…上層部はそう呼んでいた」

小さな声で続けるように「ザンラも今ではアゼラに忠誠心を抱いているらしい…」


リリアンが「その情報は初めてだわ!」と大きな声で言った。


「あいつら…!」と飛び出しそうなベラーナを遮るように、麻生は立ちはだかっていた。


そして冷静に言った。

「今は落ち着くんだ、こっちの準備は不十分だ、整ったら戦いになる」

さらに続けた。

「畔らの情報端末に侵入できるように小細工もしてきたから調べられるしな」


みんなで顔見合わせつつ、心配そうに麻生に言った。

「パパ、そんなことして大丈夫なの?ママだって…」

守里も同じように心配になって顔をのぞかせるように言った。

「危険じゃないですか!」


麻生は「私は大丈夫じゃよ、問題はリリアンだが…」まで言うと、リリアンは「ちょっと前からかしら、私の情報端末に誰か侵入してきてたわ」と言うと緊張が走った。


リリアンは笑顔で「だから『細胞の観察日記』に書き換えて置いたわ」と安心させた。


麻生は頭をぽりぽりさせて「…まあ、普段どおりが一番だが、リリアンは少し休みを…」まで言うと「大丈夫、今日大きなマスクで、咳をしながらシロハタ・カンパニーに行って、熱があるから休むって伝えたから、みんな近寄って来なかったくらいよ」と話した。


セイナが「気付かれない?」とリリアンに近寄って言うと「上層部に行って目の前で熱を測ったから、そしたら『自身が細菌になってるぞ?休まないと実験できん』だって」とみんなに笑顔で言いつつベラーナに近寄った。


「…今は」まで言いかけるとベラーナは「ダディとマミィに従いますよ」と普通に戻っていた。


麻生は「子沢山になったな…」と照れてみんなを和ませ、ひとときかもしれない緊張が解けた。




優しく頼もしい主人とねここねこ。猫ちゃんず(しまちゃん♀おおちゃん♂さきちゃん♀)と生活中。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「小説」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事