10話 ゲンナ号操縦
不思議と前日がウソのように眠ってしまった守里でしたが、朝食の時間には間に合い、ホッとしていた。
もの凄くお腹が空いていた守里は、ガッついて食べていたが、みんなの唖然とした表情で、うんと食べるのを抑えた。
ララに「まあ、これだけ食べれば簡単にお腹空かないでしょ」
と言われるのも「2時間もするとまたお腹すきますけどね」
なんて笑いながら言うので、みんながため息をついた。
その後、守里はセイナのところへ行くと、ロロナが「剣登場~セイナ起きて~」
と言いあれ?食事にはいたのにと思っていると、「ロロナ~起きてるのに~でられないのぉ~!」という声が聞こえてきた。
麻生とセイナが、妙な体制ではまっているのを見てギョッとした。
麻生たちを助けると「いやー、ロロナの強化を考えていたら、セイナに任せてと言われてるうちに…」
セイナは「2人ではまっちゃったの、えへへ」と照れながら言った。
守里はセイナに「お父さんの意見も取り入れていきたいんだけどいいかな?」
そう言うと、セイナはビックリしたように「思いっきり借りてるんだよね、えへ、さっきからずっとね」
とポリポリ頭を掻きながら、納得した守里は、改めてゲンナ号のコックピットを見渡した。
「しっかし、セイナは凄いな、1人で全部だろ?」と守里に驚き頭を振った。
「そんなことないよ、あ、後1時間したら準備できると思うから、Gビャクヤのところ行こう!」
守里はうんと返事をしながら、コックピット内を見て「触ってもいいかなぁ?」
うんと、セイナが頷くと、テストパイロット時代を思い出し動かそうとした。
これかぁと参考にしようと書き出して、真剣になっていた。
操縦桿、計器、エネルギー残量のチェック、配線…あっという間に1時間は過ぎてしまった。
テストパイロット時代には気にしなかった部分が、今では細かに気になる。
守里がチェックしていると、エネルギー残量が満タンとロロナが言うので、恐る恐るセイナに「ちょっと動かしてみていい?」
セイナは「もっちろん!パパ大丈夫だよね?」
すると1時間の間に強化されたゲンナ号を、守里は動かしてみた。
ロロナが、「ゲンナ号発進~」
すると初めてゲンナ号に乗るにもかかわらず、スムーズに操縦したのだった。
その時、セイナは守里が持っている缶バッチに気付いた。
守里にどうしたか聞くと「これ?これは友達からもらった友情の証だよ」
セイナはそれを見て「勇気かぁ、いい言葉だよね」
そしてそのまま倉庫へと向かった。
セイナは「上手いんだね〜」と言った。
守里は「あのさ、セイナ、このゲンナ号に武器ってあるの?」
セイナは「うん、一応ね!マシンガンと、ミサイル…」
守里は「それって一応じゃないよ!完全武装じゃん!」
セイナは「完全じゃないよ!逃げるためだったからね、えへっ」
守里は「アベルト・ゼスタローネから…かな、野暮な質問だったかな」
セイナは「また話すよ!ってかなり飛んでるけどどう?」
守里は「…ゲンナマーズ…Gビャクヤってもっと早いんかな…」
セイナは「パパが早くするって言ってるよ?あのね、ゲンナ号も早かったの、でもロロナが弱っているから」
守里が事情を聞くと、ロロナはマーズの鉱石ではこれが限界になったことを話した。
その上で今は速さが必要ではないことも話し安心させたのだ。
セイナは「だって、剣がいるもん!」と言うので、守里は笑って「あまりあてにされるとプレッシャーがね…」と照れていた。
セイナはテストパイロットだった頃の影響なのかな?と慣れた操縦の守里を見て思った。
守里は、この先にとんでもない敵がいると感じつつ、大きさを把握していないもどかしさもあった。