第14話 「戦闘の意味」
守里は夢を見ていた。
親父と2人…海を見ていたが海は赤かったが、同時に目が覚めた。
「…まだ…慣れていないからかな…」
そこはベラーナと同じ部屋ではない別の部屋の極端広くはないものの、シークル艦の中の自室。
「…親父…心臓に達していた…でも死ぬわけないんだ…」
目の前で息絶えていたはずの父親の存在に驚くことはなかった。
麻生には説明してあったが、父親の心臓には手術の後の鉄板が入ってる。
「…マイールか…最後はあいつなのかな…それとも親父か…」
呟いていると自分でセットしたアラームが鳴る。
機体のチェックのために早めに起きようとしていたからだった。
意外にも多くの人が起きていて驚いたが、一番驚いたのはあくびをしながら出てきた隣の部屋のベラーナ。
「早いじゃん」
守里に声をかけながら、また大きなあくびをする。
「ベラーナまで早いなんてどうしたのさ?」
守里が声をかけると、ベラーナは誇らしげに言った。
「Gビャクヤだけじゃないぜ。ベラーナ機にも新たな装備が加わったんだ」
守里とベラーナは、コーヒーを飲みにキッチンに向かいながら話していた。
「実はさ、俺のは遠距離タイプじゃん。それがさ、Gビャクヤとの連携技を考えてくれたんだ。「prossimo」っていうイタリアでは隣人を表すことから取ってプロッシ攻撃!なーんてさ。剣も呼びやすいかなとか考えたんだけどさぁ」
守里は真剣に続きを聞いていた。
「俺のベラーナ機とGビャクヤが接近した時、挟まれた相手に電流が流れるんだ。レーザーみたいなもんかな。それで相手を停止させることができるってわけ」
守里とベラーナが話している時だった。
アル・レレン艦長が同じくコーヒーを飲みにきていた。
守里とベラーナが挨拶をすると、真剣な顔で言った。
「…戦闘を楽しんだりしないように。分かっていると思うが殺す目的じゃない。相手がそのつもりでも機能を停止させるだけだ。相手にも家族がある。結局戦うことは避けられない。相手が死ぬかもしれない。ただ本来するべきことを忘れるとカイリやアベルトのように狂うことになる。ある意味Dが生きていたことは良かったのかもしれない。最後の結果は分からないまでも…」
守里は痛感していた。
戦いがなければと思うこともある。
死者が出ることもある。
アル・レレン艦長の言葉には重いものがあった。
ベラーナが真剣な顔で聞いていたが、アル・レレン艦長に質問をした。
「…仲間が死んで…家族が死んでも…」
そこまで言いかけたらアル・レレン艦長は言った。
「復讐は虚しさを残すだけで、その辛さの方が絶えられないものだ。戦闘で誰が犠牲になっても許さないと始まりはない。時間はかかるかもしれないが」
守里とベラーナは同時に言った。
「犠牲と許し…」
アル・レレン艦長がコーヒーを片手に去って行くと、守里とベラーナも格納庫に向かう。
その間会話はなかった。
「どうかね、随分と戦闘も変わってくると思うが?」
麻生の言葉でハッと気付くと、アル・レレン艦長の言葉を話してみた。
「君たちには難しいかもしれんが、アル・レレン艦長の言葉が正しいな。だからと戦わないわけにはいかない。既にジャイワナーゾが動き出している」
動きをモニターで見ると施設から飛び出している1機が目に入った。
その後ろに見たことがない機体もある。
ベラーナが口にした。
「デロリデの改良版みたいに見えないか?3機いる!」
同時に警報が鳴った。
アル・レレン艦長の言葉を胸に閉まったまま、守里もベラーナも機体に乗り込んだ。
「新型機デロリデの備えろ!」
アル・レレン艦長の言葉で戦闘になることが分かった。