第13話 「計画の先」
「あの時はどうも」
アル・レレンが挨拶するが、麻生は無線では声を聞いたものの、無事に生き延びていたことに感動していた。
同時にどこにいたのか、なぜ今現れたかを聞く必要もあった。
「無事で何よりで…しかしどこにいたのかね?」
「アメリカの地について、戦艦を直しながら今後について考えていましたよ」
アル・レレンは同時に加わったメンバーの紹介なども受けていた。
誰もが艦首にいたり、広報のメンバーだったので簡単な挨拶だった。
「私の乗っているのはシークル艦という、新たに直して、さらに加えたものもある戦艦です」
アル・レレン艦長はシースという艦首にいるメンバーと、ライという広報の人間に頭を下げつつ、大きな戦艦の大きさに圧倒されそうだった。
すると整備士が現れたので、簡単に挨拶をすると意外な言葉が返ってきた。
「覚えていますか?…いや、無理でしょう。麻生氏と以前一度会ったことがある整備士です。サイと言います」
麻生がどう考えても出てこないでいると、どうも5年ほど前に一度会ったことがあるだけのようだった。
流石に記憶になかったが、サイにとっては麻生の印象は強かったようで、どこか照れたように頭を掻いている。
「覚えてはいないが…悪いのう…覚えが悪くていかん」
アル・レレンは艦内を案内しつつ、なぜ再び現れたのかを話出した。
「ジャイワナーゾが飛び立った時、アメリカに着いていたんですが…ある情報を聞いたんです。それはあってはならないことだった…」
麻生がラウンジに向かったのでその場で話を聞いた。
「それは「新生アゼラ」という新たなマーズの鉱石を使った絶対的な帝国の建設ですが、その目的は…他の国も支配するという…」
アル・レレンの話す内容に麻生は不安を覚えた。
「そこへ、あなた達が無事という話も聞き、手を合わせて戦わないといけないと感じたんです。私たちには機体が存在しない」
見てもないことは明らかだったが、この話をみんなにすることに決めた。
ゲンナ号に戻って守里を始め、リリアン、セイナ、カンナ、ララ、トキノ、ベラーナに告げる。
「アル・レレン艦長は守里君とベラーナ、そして関わる荷物、他のメンバーでも必要なら受け入れると言っている。機体はもちろんじゃがね」
リリアンは少し考えてから言った。
「ララにも操縦はできるわ。攻撃もね。でも食事の用意はできないでしょ?ロロナとララ、カンナは残って他のメンバーはシークル艦に移動するってこともできる」
誰も反対はしなかった。
ゲンナ号にも活躍の場はある上に、Gビャクヤとララ機は合体できる。
「常に近くにいれば問題ないわ。こっちは任せて!」
カンナが先陣を切って話すとララも頷く。
「しかもシークル艦にはとっておきの攻撃があるらしい。あくまで滅多に使えないらしいがね」
麻生の言葉に守里はベラーナと顔見合わせた。
そしてベラーナが言う。
「マーズの鉱石を取り戻すために、今度はこっちからやろうじゃん」
麻生は守里に言った。
「…敵は未知じゃが、もしかしたら親父さんとも…」
話を止めて守里が言った。
「俺なら大丈夫です。それにまだ出てこない気がするんです。アストラーダの動きの方が気になりますね。あの施設が怪しい。ダミーかもしれません」
麻生はハッとして言った。
「あの施設がダミーでも、放置するわけにはいかん」
守里は撹乱されないようにしないと、先には親父やマイールがいることを感じていた。
そしてアストラーダが、セイナ達の兄であることも分かっていた。