第3話 「信頼」
サラは薄っすらした記憶のようで、頭ははっきりしていた。
「え、何ここ?」
話し声はいくつかしたけど、見たことがあるようでないような空間。
「サラは新しい仕事に就くんだね。しかも憧れの仕事かぁ」
横に寝そべって話していたのは以前会った、アイザックという男性。
自分も横になっているので、急いで起き上がる。
「憧れの仕事?ちょっと待って…」
これってカウンセラーに話した方が良いのだろうか。
謎の人物のことだったが話したくないとも思う。
ここの空間はなぜか心地良い。
「合っているか分からないけど…確かここって」
サラが言いかけるとアイザックと同時に言った。
「ノクス」
やっぱりと思った。
夢なんだ、と言い聞かせるけど全く同じ人物に会ったことはない。
夢でもあり得ることなのか、そのくらいはカウンセラーに聞こう。
「俺はね、サラ…気付いてくれる前から君が好きだった。今もね」
その言葉に思わずムッとしかけたが、改めて思う。
そっか、私が気付いていなかっただけで、彼は知っていたんだ、と。
「いきなり言われても…」
言葉に詰まると、アイザックは笑顔でサラに言った。
「素直じゃないところも含めてね」
全部知っているなら、隠すこともない。
サラは正直にアイザックに言った。
「アイザック…場所はノクス。どう考えても夢って思うのは普通だと思う…けど」
アイザックも起き上がって言った。
「けど?」
照れながらサラは答える。
「夢なら覚めて欲しくない…」
地震のような感覚があって二人で驚くとアイザックが言った。
「ザメフィス…とことん邪魔をする」
同時に意識がおかしくなった。
「また会おう!」
アイザックの言葉を確かに聞いた。
サラは思った。
誰にも秘密にしておこう。
もしこの世界に誰かいたら別だけど。
でも少なくても現実世界では話すことはない。
きっと話しても、また精神的って思われるだけだから。
サラは今度いつこの世界に来れるかなと思った。
この世界、ノクスに。
気付くとベッドの上でやっぱり草の跡。
隠して置いている日記に書くことにしよう。
内容は書かない。
せめてあの世界に行った日付だけでも。
サラの性格の現れだった。
生活環境がそうさせたのかもしれない。
いつ誰に読まれるか分からない、サラは信じることができない状態でいた。
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