ねここねこの家

アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 31話 「傷」

31話 「傷」


「アベルト!知っているよ彼らは。だってあの速さはマーズの鉱石でしかあり得ないじゃん」


笑いながら、おかしさを堪えながらカイリは話す。


「質問を変えよう。セイナ・凛を知っているか?」


アベルト・ゼスタローネは機体から出たわけではなくハッチが開いているだけだった。

攻撃できる状態じゃないことは誰もが分かっていた。

セイナの名前を聞いて守里に少しの動揺があった。


「知っているんだな?」


相変わらず無表情で聞いているとカイリの表情が変わった。

守里が何も答えられないままでいると、ベラーナが飛んできてジャイワナーゾに向かって撃つ。

反撃の姿勢をとるジャイワナーゾに守里が立ちはだかった。


「セイナに何か用ですか?マーズの鉱石は…」


守里はハッチの扉が閉まって自分に向くことを察知した。


「弱点は!」

心の中で叫ぶ守里。


「関節なら…」

守里は黒く大きな機体の腕の関節部分を至近距離から攻撃する。


火花が散ってみんなが目を閉じた瞬間、大きな黒い機体の腕より手前に当たった。

鈍い音と同時に声がした。

腕の部分に直接当たってしまったからだった。


「ゲラザロナに攻撃は無駄だ」


声に表情もないまま、ゲラザロナと呼ばれていた機体がGビャクヤの足の関節を撃ってきた。

その時、Gビャクヤの刀が光ってクロスに防御した。


ジャイワナーゾの存在を忘れていたGビャクヤは、前後から挟まれた。


「あのさぁ。死にたきゃいくらでも…」


カイリは少しイラついて言うと、ゲラザロナから声がした。


「セイナ・凛に伝えるんだ。マーズの鉱石と他の大切な物を渡せと」


守里は不思議な感覚だった。

いくらでも攻撃できるのになぜしないのか、ジャイワナーゾもだ…と。


その時ベラーナが叫んだ。

「いねーよ!ここには!別行動だ!今頃アラスカあたりに…」


そこまで話した時、ジャイワナーゾがベラーナ機の足を攻撃した。

右足の関節部分から下が落ちていたが、守里はベラーナ機が見えていなかった。


「ベラーナ!」

守里が叫ぶと、笑いながらカイリは言った。


「たかが足くらい…」

それを制してアベルト・ゼスタローネは言った。


「伝えろ」


無表情な声でアベルトが告げると、高笑いをしていたカイリが一言告げる。


「今日はここまでってわけ?アベルト。まあ、いいさ。強くなったらおいで」


ベラーナが片足を奪われていたまま悔しそうにしていると、守里はそれを察知してすぐに答えた。


「セイナがどうしたって言うのさ!」


アベルトは相変わらず声を変えずに言った。


「伝えろ」


怒るわけでもないままが反対に不気味だった。

同時にセイナに聞く必要があるとも感じていた。


「おい!剣!」

ベラーナが言うと、守里は武器を閉まった。


「悔しいが今は勝てない…」煮えたぎりそうな思いで心の中で言った。


急いで飛び立つアベルトとカイリに何もできなかった。


誰も何も言わなかったが、守里は黙ってゲンナ号へベラーナと帰った。


セイナが守里に説明しようとすると、黙って自室に帰っていく。

ベラーナはセイナに対してジッと見つめたまま、すぐに去ってベラーナ機の方に行った。

一言だけ去り際に声をかけた。


「しばらくそっとしておいてくれ…」


セイナは黙っていたことで、守里やベラーナを傷つけたことを感じた。

トキノはセイナの肩に手を置いて慰めた。

カンナとララには為す術がなかった。


セイナは落ち着いたら全部を話そうと決めていた。

 


優しく頼もしい主人とねここねこ。猫ちゃんず(しまちゃん♀おおちゃん♂さきちゃん♀)と生活中。

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