30話 「アベルト・ゼスタローネ」
「座標もここを指しているよ〜」
ロロナの説明である場所に降り立った守里たち。
「寒さは変わんないね…剣…さむ!」
ベラーナが言うが、守里は真剣に辺りを見て確認している。
リリアンも出てきておばちゃんの説明とロロナの示す位置、守里の説明を考え込んでいた。
「廃校だったのよね…じゃあもうないかも。でも…」
そこまで話すと守里は走り出したので、リリアンとベラーナ、外の出かけてあくびをしていた麻生も走り出す。
「ここだ!うん!ここに廃校があった!あの教会はまだあるから!」
守里が興奮して教会を指差して言うと、廃校だったらしき場所はグラウンドのようになっていて、そこの近くに人がいないような教会が手入れだけされているようにあった。
リリアンは守里に聞いた。
「お爺さんの家はあるの?」
あまりにも閑散としている光景に、守里は首を振って答えた。
「…ないですね。と言うかこの辺何もなくなっている…」と答えた。
確かに壊れているような家が数軒あるくらいで、周りは山々に囲まれていた。
場所を缶バッチ通りに探していると、ロロナが言った。
「鉄筋がある〜」
守里とベラーナと麻生は雪を掘ってみると、何かの板が出てきた。
「はあ…雪が重いは!この板不自然だな」
その時ロロナが言った。
「敵が凄い速さでくるよ〜危険!」
「そっか…あいつらも探しているなら当然か!剣!ゲンナ号へ急げ!」
守里とベラーナが急ぐ。
麻生とリリアンは走ることをやめて、木の下へ隠れた。
リリアンが「私たちはこの辺にいて合図を送るわ!またきて!」
「分かりました!」守里は叫びながらゲンナ号へ急いで、Gビャクヤの乗って準備をした。
ベラーナも急いで機体に乗った。
降りなかったララは既に自分の機体で待機している。
「ベラーナ機発進!」
先に発進したベラーナ。
「Gビャクヤ発進します!」
続く守里だったがベラーナの左後ろに控える。
ララ機は待機の状態でいると、ザンラが2機飛んでいた。
その発見と同時にマシンガンを撃ってきた。
とっさの判断で守里が後ろを見るとザンラが1機近づいてきている。
無線で前のザンラをベラーナ機に任せた守里。
同時にセイナに「指示してくれ!麻生さんが今はいない!」
セイナは「ベラーナ機の前に2機と剣の後ろに1機だけで、後続機はいないよ!」と叫ぶ。
何かおかしい…と感じた守里にセイナが言った。
「待って!何か剣の後ろに2機いる!」
同時くらいに剣は刀でザンラと戦っていた。
「剣!手強いぞ!」
ベラーナは2機相手にマシンガンと渡されていたアサルトで戦う。
守里が手の部分と足を狙うとザンラは墜落して爆発した。
ベラーナも1機落とす。
いつの間にか目の前に前に見た黒い大きな機体がいた。
「弱点はどこだ!」
探している時だった。
セイナが「剣!危ない!」と叫ぶと同時に後ろから声がした。
後ろの大きな機体の銃口が完全に守里に向いている。
「やっちゃうよ?」
無線が切り替わり後ろの機体が叫ぶ。
守里はジャイワナーゾだと分かった。
黒い機体から男が現れたが、ハッチが開いただけでパイロットスーツではなかった。
「誰だ…」
守里が思っていると、相変わらずジャイワナーゾは銃口を向けている。
「名前を聞く気はないが、マーズの鉱石を知っているか?」
無表情で聞いてきた。
ベラーナはもう1機落としていると同時に叫んだ。
「知るか!」
ベラーナが叫ぶと、ジャイワナーゾが銃口を守里に向けたまま笑い出した。
「面倒だよアベルト。はは。やっちゃうよ?」
笑いながら、さらにジャイワナーゾの機体から声がした。
「一応言っておくけどさ。俺はカイリ。知る必要ないかもしれないけどさ」
笑いながら話している余裕があった。
誰もが絶対絶命だと思っていた。
「これか…こいつがアベルト・ゼスタローネか…」飛んだまま心の中で守里は思った。
緊張が走る中、余裕でいるアベルト・ゼスタローネとジャイワナーゾの機体のカイリ。
「もう1度聞く、マーズの鉱石を知っているか?」
一瞬だったかもしれない時間だったが、沈黙が走った。