「北極星に願いをこめて」 (右脳のひらめき)

I'm your polar star in the journey of life.

お着物 ~引き継がれていくもの~

2010年05月05日 22時28分45秒 | 究極の美しさへの道



こんばんは。

実は、着つけてもらわないと着れないお着物。けれど、一旦着せてもらうと、着崩れる事のない朋です。着せてもらっている間に、瞬時、めまいがします。

で、実は、実母は和裁の先生であった事もあり、沢山持っているんですね。大叔母から譲られたものもあるんですが、私は正直に言いますと、お着物は苦手です。クリーニング代の高さ。あれに、自分の意気込みが消えます。

クリーニング代が高くなる品しか、貰っていません(涙)。

主人の祖母は、和装用品の小物屋さんで、落款をもつ人でした。ですので、お着物に詳しく、23で嫁に来た私に、いそいそと、着物を作ってくださったんですが、その時にこうおっしゃるんですね。

「朋ちゃんは、普通の若い子にありがちな、ピンクとか嫌いなのは分かったから、青で仕立てといたよ。」

ええ、時はバブルまっさなか。正直、実家も着物、婚家も着物なのかと、眉をひそめたけれど、おばあちゃんは、いそいそと、合わせた小物以外に、作った小物をくれた。大きながま口と、小さながま口のお財布は、現在も生きていて、大台所様 と 小台所様と呼ばれている。おばあちゃんが、普通につくった絞りのハンカチは、現在もまだ、私が使っている。

んで、そのまんま、おばあちゃんは突っ走って、紋処の入った着物を作ると言いだした。私は慌てた。実母が作ると言っていたからだ。けれど、おばあちゃんは、止められない。仕事で忙しい間に、お祖母ちゃんが突っ走ろうとした所を、姑がついて行って、柄を二人で選んだらしい。

画して、新品の黒留袖が着た。えらい豪華な金糸銀糸だ。

ところが、実母が怒った。自分の娘に、女紋をもたせて送りだすのをこの上ない喜びと願ったがだけに、怒りもマックスだった。せめて、新品の留袖に、女紋をと・・ごねたが、既に時は遅く、婚家の紋が入ってしまった。

朋ちゃんは、小さな頃からお母さんの忠実なる着せ替え人形だっただけに、もはや、無頓着。そこへ、女の子のいない家庭に嫁いだから、さぁ、朋ちゃん。何でもかんでも、揃う。けれど、決定打があった。

朋ちゃんは、着物に興味が無かったんである。着る機会では、ことごとく逃げ出してしまった。下手すれば、どこかの喫茶店の隅に隠れて気配を消して本を読んで、実母が連れて行こうと思った会をすっ飛ばした経験など幾らでもある。

画して、失望した実母は、葬式ルック位は揃えさせると張り切った。実は、実父の葬式では、出産2か月後だった為に、普通の喪服を整えても、着れなかった。だから、実母は、長男を出産して一年後、喪服を整えてくれる。

というか、その頃の朋ちゃんは、既に「お母さん、勘弁して」と言えるようにはなっていた。けれど、娘の言う事を聞くような母ではない。画して、喪服が整えられた。

ちなみに、大人はほんと奇妙だ。何で、私で着せ替えごっこを楽しむのか、ほんと理解に苦しむ。そんなに高価なものを作ってもどうしようもないのに。けれど、お祖母ちゃんは言う。「園遊会に行く時に、あの碧いお着物を着て行って頂戴ね。あなたが園遊会に行くのよ。」と。シンデレラの魔女のように何度も繰り返し言う。けれど、窮屈な園遊会に行く予定はおよそない。恐らくこの先も機会すらない。お茶の席も出来る限りごめんになりたい。ごめん。お義祖母ちゃん。

ちなみに、もっと沢山お義祖母さんは作ろうと思ったと言う。その度に、姑には作ってないであろうことを引き合いに出し、散々断り倒した。故に、手元には、碧いお着物と黒留袖がある。けれど、断り倒して良かったと思う。実母から、あんなに貰うとは思わなかったから。一体、あの家のどこに、こんなにあったんだろう(失笑)。そして、姑が実はお着物好きだと聞いて、「セーフセーフ」と思った自分であった。

けれど、年を取って朋ちゃんも、丸くなり、お義祖母ちゃんのお着物に一回は手を通してみようと思って昨年度、長男、次男の入学式に着た。おばあちゃんの選んだ碧いお着物は、紺スーツの軍団の中にひっそりとしていた。けれど、誰よりも粋だったと思う。けれど、今度は実母が、生前相続の一環として、「着物を大量によこした」。

うーん。宝石より価値があるから、もって行きなさいと言われたが、正直、大島紬の良さが分からない。ユニクロの浴衣で十分と思う私は、まだまだ、知らない事がありすぎる。岡持の中は、着物で一杯だ。中に、見知った着物が一点あった。

実母がこよなく好んで着た逸品だった。

それだけは手にとって、ちょっと幼い頃を思い出し、涙が出た。息子達に譲って行くのに、嫁は着てくれるのかどうか、そもそも、嫁の来てがあるのか、それより、成長した息子を見れるのか、そういう疑問をもちながら、現在、自分も実は一品一品、息子達が喧嘩しないで分けられる書状をしたためている。由来やエピソードを書き溜めている。

実は、そうやって、自分自身も遺産の整理を始めている。およそ主人だけに任せると、価値も分からず捨ててしまう事になるから。





着物ビート 逃げ出そうよ 指と指を結んでね
着物ビート 未来くらい 自分の手で選びたいの
着物ビート 頑固すぎる パパとママは慌てても
着物ビート あなたと生きたいの

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