私は、彼のことが気になったら、
すぐにLINEを送ってしまう。
気が変わったら、メッセージを消去して、
相手の時間を無駄にしてることに気が付かずに。
大きな荷物を持って、病院のロビーの椅子に座った。
もうすぐお別れの時間だ。
何か言わないと。
そんな気持ちになる。
そしてやっと言葉に出せた。
「ご先祖様がおいで。って言っても、行ったらあかんよ。」
夫は、その言葉をしっかり受け止めた後、
一言返事をすると、トイレに行ってくると言って席を立った。
助かった〜。
気が付かれずに済んだ。
私が、窓の外を眺めているのは、涙ぐんでいるから。
だから今まで、そのことには、なにも触れたくなかったんだ。
愛していない夫だけど、1番長く一緒にいる人だから、
泣けてくる。
私は、涙脆いから。
エレベーターで、3階まで上がると、荷物を持ってしばらく待たされた。
看護師さんが、テキパキと仕事をしているのを眺めながら、
この人たちは、間違っても取り消しがつかない仕事をしてるんだなあ〜。
私には、到底無理だ。って思った。
LINEを消去ばかりしてる私には、
きっと向いてない。
看護師さんが戻って来て、私に言った。
こういう状況なので、付き添いの方は、ここまでです。
明日の手術が終わる頃に、連絡します。
その時、夫の顔を見た。
考えてることは、すぐに分かった。
「せめて、手術に向かう途中で、夫に会うことはできませんか?」
そしたら、快く、ベッド移動する時間を教えてくれた。
確か、8時間に及ぶ手術だと聞いた。
きっと、顔を見るだけで、
お互い安心できるはずだ。
これからは、
私は、彼宛のLINEをこのブログに書いて済ませようと思う。
もう、彼の時間を無駄にしたくない。
読んでも読まなくても、
わからなくていい。