一つ壁を乗り越えた。
先月、某所にさくらを見に行った時、知らない人に呼び止められた。
その人は私を草薙優輝と呼んだ。
正直、時が止まり心が凍った。
酸素不足の金魚のように、パクパクと口を動かしましたが、声は出なかった。
胃からではなく、肺から何かがせり上がって来る感覚がした。
「ちがいますよ」、と、やっと言葉がでた。
その人は、私の気持ちも知っても知らずか続けて言った。
「いや、結構経ちますが全然変わりませんね」
「むしろ、大人になりましたね」
そりゃそうだよ…
あの時の私は23~25くらいで、今や40前なんだから、当たり前。
心にしまっておきたい、私だけの大切な記憶。
無くしてしまう前、
手の中に僅かに残っていた糸を手繰り寄せて紡いでしまった記憶。
自分の存在理由と現実のジレンマに完全に押し潰されて、さまよい続けた挙げ句の果ての私の思い。
この気持ちは、他人の心にズカズカ入ってくるあんたには判るまい…
「申し訳ないのですが、その件はもう触れないで下さい」
そこから速攻立ち去ったので、後のことは判らない…でも、知らない他人に、汚らしい手にひっかき回されたくなかった。
何故なら、未だに気持ちに整理がついていないからだ。
苦しかったが、後悔はしていない。
けれど、今でも違うジレンマに苛まれているのは間違いなく…だからこそ、他人に触れられたくない。
あの名前は、当分私について回るだろうか。
ある場所に行けば、私にあの名前が蘇ってしまうのだから。
奥に押し込めたDVDと。
次第に漠然としてきた記憶を抱え。
今になっても縛られた自分。
膝を抱えてでも護りたかったの物は、なんだったのだろう。
…最終的に…。
次に記憶を失う時に、忘れずに最後まで覚えている事…ってあるのかな…。
…。
先月、某所にさくらを見に行った時、知らない人に呼び止められた。
その人は私を草薙優輝と呼んだ。
正直、時が止まり心が凍った。
酸素不足の金魚のように、パクパクと口を動かしましたが、声は出なかった。
胃からではなく、肺から何かがせり上がって来る感覚がした。
「ちがいますよ」、と、やっと言葉がでた。
その人は、私の気持ちも知っても知らずか続けて言った。
「いや、結構経ちますが全然変わりませんね」
「むしろ、大人になりましたね」
そりゃそうだよ…
あの時の私は23~25くらいで、今や40前なんだから、当たり前。
心にしまっておきたい、私だけの大切な記憶。
無くしてしまう前、
手の中に僅かに残っていた糸を手繰り寄せて紡いでしまった記憶。
自分の存在理由と現実のジレンマに完全に押し潰されて、さまよい続けた挙げ句の果ての私の思い。
この気持ちは、他人の心にズカズカ入ってくるあんたには判るまい…
「申し訳ないのですが、その件はもう触れないで下さい」
そこから速攻立ち去ったので、後のことは判らない…でも、知らない他人に、汚らしい手にひっかき回されたくなかった。
何故なら、未だに気持ちに整理がついていないからだ。
苦しかったが、後悔はしていない。
けれど、今でも違うジレンマに苛まれているのは間違いなく…だからこそ、他人に触れられたくない。
あの名前は、当分私について回るだろうか。
ある場所に行けば、私にあの名前が蘇ってしまうのだから。
奥に押し込めたDVDと。
次第に漠然としてきた記憶を抱え。
今になっても縛られた自分。
膝を抱えてでも護りたかったの物は、なんだったのだろう。
…最終的に…。
次に記憶を失う時に、忘れずに最後まで覚えている事…ってあるのかな…。
…。
苦しまなくて 悩まなくていいんだよ
たくさん傷付いてたくさん泣いて
もういいんだよ…