とある肉屋のブログ

黒毛和牛の純血統 神戸ビーフ!

お店の”味”の基準

2023-04-06 | グルメ

肉のセリでは売り手と買い手、商品や流通量など、いろいろな価値により相場が形成されます。A5ランク!と言っても、その時々により、手に入るものが違ってきますので、ここが肉職人の腕の見せどころ、勝負どころです(笑)

「神戸牛」「神戸ビーフ」は「但馬牛」の中から認定されたブランドということは、他記事で簡単に記載をしているので、よろしければ、そちらもご覧ください。

さて、当店の「神戸牛」「神戸ビーフ」の”味”ですが、A5ランクのものを扱っています。神戸ビーフの等級がわかる図を下に掲載します。

A5といっても細かくランクがあります。ざっくり統計的には、右に行くほど価格も上がるという傾向です。そして、流通量は写真の中あたりを頂点に山型になるというイメージです。No12のような肉はなかなか出回らないというのが現状です。農家の方もここを目指して飼育をされているので、このクラスが出てくると、いろいろと盛り上がります。ですので、店としてもできるだけ、高いランクのものを手に入れたいところです。

一方、サシが綺麗にたくさん入った肉は素晴らしいという反面、近年の敬遠される傾向もあります。原因は何とも言えませんが、健康志向であったり、食の傾向であったり・・・。ですので、昔のようにサシが綺麗にたくさん入った肉が好まれる時代ではなくなってきたと、神戸の同業者の間では認識しているところが多いようです。”サシがきつくない”ということはランクが下のものが買われる傾向になるということです。意外に思うかもしれませんが、実はA4ランクのものがA5ランクより高額でセリ落とされることがあるのです。完全に同業者だけしかしらない内輪ネタになりますが・・・(笑)

ですので、肉を買い付けているお店によって、その店のこだわりがあり、買い付ける肉も違ってくるのです。元々、「但馬牛」が肉質的にサシが入りやすいという特徴があるので、ランクを落としたとしてもそれほど健康志向に沿っているかというと、そうでもないと言われればそうなのですが、業者も消費者志向を意識してセリに臨んでいます。当店の肉職人の社長は、そういったことを踏まえて、No9~No10を狙ってセリに臨んでいます。やっぱりサシが多い肉は「脂から出る美味しさ」「柔らかさ」「綺麗な模様」が魅力ですし、その脂をどこまで減らせれるか、を自分の舌で積み重ねた経験から近年の傾向に合わせて選んでいます。

でもやっぱり、個人的には「サシの入りまくった神戸ビーフを取り扱って欲しいなぁ」と思ったりします。そして、「それを一度、いっ~ぱい食べて欲しいなぁ」という願望です。多分食べると「2度と食べたくない」と思う可能性は高いと思いますが・・・(笑) 「美味しかった、また食べたい」と思ってもらうには、やっぱり、脂は敬遠しがちになっちゃいますね。