S家の別宅

夫婦ふたりきりになりました。ふたりの生活をこれから楽しみたいなと思います。

遠くからのちいさきもの

2012-05-14 15:16:38 | Weblog
きのうの日曜日の明け方、長女の赤ちゃんが無事産まれました。

土曜日の夜、赤ちゃんのお父さんも仕事が終わって新幹線でかけつけ、それまでつきそいしていた
わたしと夜の11時ごろ、交代して、お父さんが立ち会いして赤ちゃんは生まれてきました。

ちゃんとお父さんが来るのを待っていたようでした。

きのう家族で赤ちゃんに会いにいきました。

女の子です。とても元気に大声で泣いていました。
小さな手に娘と同じところに青いあざがあって、それも不思議なことでした。


顔をみたとたん、ほんとうに10カ月遠くから旅をしてここに生まれてきたちいさな命が
けなげでいとおしいと思いました。


この3日間は、前駆陣痛や、おしるしで「ああもうすぐだな」と思いながら、
助産婦さんと出産の話をしながら、自分が子どもたちを産んだ過去のことがとてもリアルに
よみがえってきたり、読んでいた「1Q84」では、主人公の青豆がお腹にちいさな命を
宿したり、過去と現在と小説の世界がシンクロして、不思議な3日間を過ごしました。

時間は、流れていく1本の線ではなく、今ここに層のように過去も現在も架空の世界も宇宙もみんな
重なって、同じ時を成しているような感覚を持ちました。


読んでいた「1Q84」はきのうの夜読み終わりました。

小説のなかでも青豆はおなかに宿った命を「ちいさきもの」と呼んでいました。


お母さんのおなかの中の赤ちゃんは私たちここに生きている人間とは、別の時間軸を生きている
のだろうなと思います。

だって、たったひとつのかすかな点のような存在が、10カ月で3キロ近い完成されたひとりの人間に
成ってしまうのですから・・・・・

お母さんのおなかの中は広大な宇宙空間の闇のようで、それはこの日常の時間とは異質な時間軸
の世界なのかもしれません。


出産を終えた娘の顔は少しの自信に満ちて、とてもいい顔をしていました。