ある牛飼いがものがたる

牛乳を搾っている女の徒然ブログです。

運転手さん!あの牛を追ってください

2024-05-13 16:22:00 | 日記
みなさんこんにちは。

最近道路でシカに出会ったのですが、いつも牛にクラクションを鳴らしているのが功を奏しシカにもクラクションを躊躇なく鳴らせました。

ライフハック「動物は音を聞くと基本逃げる」


さて、今回の話は表題にあるように、

「牛って逃げたらどうするの?」

という話です。

私のいる牧場には全部で200頭ぐらいの成牛がいますが、すべて大小それぞれ。小さいと柵から脱け出せることも。

そこに人的ミスも加われば、時々牛は脱走します。


そんなとき、人間はどうするのか。

簡単です。

戻ってくるのを待つ!

場長曰く、

「牛は群れで過ごす生き物だから、基本待ってると帰ってくる」

とのこと。

逆に言ってしまえば、パニックになって走って追いかけるのが一番間違い

牛は人間を恐れているため、追いかければ追いかけるほどより遠くに行ってしまいますし、最悪蹴られます。

とはいえ、140頭ぐらいを収容している一番大きな牛舎からわんさかと牛が脱走した時は、

場長は軽トラで軽快にクラクションを鳴らしながら追いかけていました。

クラクション、強し。


それでも帰らない牛は、ゆっくり後ろから追いかけつつ蹴りつつ、牛舎に戻します。

青空の下でのんびりと「はよ帰れー」と言いながら追いかける牛、「北海道だなあ」と思います。


あと最近私は子牛を逃しまして

柵の向こうに行っていた子牛がいたので、つながっている首輪を一旦外して、柵の内側に移動させてから首輪をもう一度つけようと思ったんですね。

ちょうど子牛もミルクが欲しい時間なのでチュッパチュッパと指を吸わせつつ誘導していたら、

軽い段差を超えたくなかったらしい子牛が軽快な足取りで逃げて行きました。

「あー…なんて軽やかな…」

と呟きつつ追いかける私は重たい足取りなんてったって風邪を引きながら6連勤しています。

しかし、青々と生い茂る春の風景に、軽やかに自由を謳歌する子牛。たんぽぽに尿までまき散らしちゃってさ。いい景色ですよね。こういうのが走馬灯に出てきてほしいです。

最終的には自分から牛舎に帰ってくるまで待ち、そのあとは力づくで首輪の元まで押し込んで首輪をつけました。知ってるか?子牛は横方向の力に弱い。

ぜえぜえと息をしつつ、周りで見ていた子牛たちに

「見てた?私の頑張り」

と言いましたが、みんな「そんなことええからはよミルクよこせ」という顔でしたね。


さて、体も重いことですし、そろそろ寝て明日の勤務に備えましょう。

みなさんも、牛、追ってみてはいかがでしょうか。

それでは。