ドラマ板 NHK大河ドラマ~ 篤姫
ー
2008年 全回
-- ※先生作 ※先生作
ーーーーーーーーーーーーー M:【NHK大河ドラマ 篤姫 】 とは
篤姫 (NHK大河ドラマ)
天璋院篤姫 (小説) > 篤姫 (NHK大河ドラマ)
注意
この記事はプロジェクト:大河ドラマの編集方針を採用しています。編集される方はご一読下さい。
篤姫
ジャンル ドラマ
原作 宮尾登美子『天璋院篤姫』
脚本 田渕久美子
演出 佐藤峰世
岡田健
堀切園健太郎
渡邊良雄
上杉忠嗣
松川博敬
出演者 宮﨑あおい
瑛太
堺雅人
小澤征悦
原田泰造
堀北真希
松田翔太
長塚京三
樋口可南子
岡田義徳
佐々木すみ江
三宅弘城
沢村一樹
ともさかりえ
的場浩司
中嶋朋子
板谷由夏
佐藤藍子
東儀秀樹
平岳大
平山広行
大和田伸也
高橋由美子
吉高由里子
岩井友見
春風亭小朝
余貴美子
榎木孝明
鶴田真由
辰巳琢郎
玉木宏
市川実日子
若村麻由美
草刈正雄
涼風真世
星由里子
真野響子
山口祐一郎
高畑淳子
片岡鶴太郎
長門裕之
中村梅雀
稲森いずみ
中村メイコ
江守徹
松坂慶子
平幹二朗
高橋英樹
北大路欣也
ナレーター 奈良岡朋子
オープニング 吉俣良
製作
製作総指揮 佐野元彦
プロデューサー 屋敷陽太郎
制作 日本放送協会
放送
放送国・地域 日本の旗 日本
放送期間 2008年1月6日 - 12月14日
放送時間 日曜20:00-20:45
放送枠 大河ドラマ
放送分 45分
回数 全50
番組年表
前作 風林火山
次作 天地人
テンプレートを表示
『篤姫』(あつひめ)は、2008年1月6日から同年12月14日にかけて放送された47作目のNHK大河ドラマ。平成20年度文化庁芸術祭参加作品(第32回「桜田門外の変」)。
作品概要
原作は宮尾登美子の小説『天璋院篤姫』。主人公は江戸幕府13代将軍・徳川家定の正室である篤姫(天璋院)。宮尾原作の作品は2005年の『義経』以来の2度目となる。
江戸時代末期、鎖国状態にあった日本が諸外国からの脅威に晒されていた時代に、歴史の影で活躍した篤姫に焦点を当てる。ホームドラマ的要素を強め、夫婦の日常、さらに篤姫が自分にとっての家族(=大奥の女性達)を最後まで守り抜き、その中で一途に平和を願い続ける姿を描いた。
また、それまで歴史の影に隠れがちだった薩摩藩家老・小松帯刀にも焦点を当て、薩摩藩の中心人物として描いた。他に西郷隆盛・大久保利通ら薩摩藩の面々や、勝海舟・坂本龍馬らのような一般に知名度の高い人物も登場した。従来のイメージとは少し違った描かれ方をする人物も多く、例えば井伊直弼は、大弾圧を指揮し、将軍継嗣問題や幕政方針で主人公と対立するものの、一定の見識を持って行動し、主人公にも認められるひとかどの人物として描かれている。
主演の宮﨑あおいは大河ドラマ史上最年少で主演を務めた(放送開始時22歳1ヶ月7日)。また、本作の第2の主人公とも言うべき小松帯刀役に瑛太、篤姫の夫である江戸幕府13代将軍・徳川家定役に堺雅人がそれぞれ起用された。また、鹿児島県が舞台となる本作では、音楽担当の吉俣良や出演者の一部(榎木孝明、沢村一樹、山口祐一郎、稲森いずみなど)に同県出身者が起用されている[注釈 1]。
また、『朝日新聞』2019年2月2日付のbeランキング「忘れられない大河ドラマ」アンケート結果では、第1位になった(第2位は「真田丸」、第3位は「独眼竜政宗」)。
演出
オープニングの映像はグスタフ・クリムトの画風をモチーフとしている。オープニング映像には宮﨑本人が出演しており、本作以降の大河ドラマでは2014年の『軍師官兵衛』まで、オープニングに主人公が登場するのが定番となっていた(2015年の『花燃ゆ』でこの法則は崩れた)。
本作では、登場人物が方言である薩摩言葉を使用するか否かによって、身分の違いを表現している。例えば、島津家・小松家のような上級武士の家は薩摩言葉をほとんど使用しないが、西郷家・大久保家のような下級武士や低い家柄出身の女中などは薩摩言葉を使用している。これは、家格の高い武士は当時、江戸における他藩との交流に備えて言語の矯正が命じられていたということ、篤姫の父・忠剛や島津家当主・斉彬が長く江戸で生活していたなどの史実に基づいている。
反響
視聴率
それまで視聴率が取れないとされてきた「幕末もの」でありながら、女性層の支持を背景に高視聴率を維持し[1]、大河ドラマとして初めて本放送期間中の集中的なアンコール再放送が行なわれるなど人気を得た[2]。特に最終回直前の12月12日には急遽第48回が再放送され、結果的に3日間連続で同作が放送された。全50回の平均視聴率は24.5%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ)で、幕末を舞台とした大河ドラマとして過去最高、過去10年の大河ドラマとしても、2002年の『利家とまつ』の22.1%を抜いて、最高の視聴率となった。また、同年の年末に3夜連続で総集編が放送された。(12月26日から28日)
篤姫の地元・鹿児島地区では、第2回の視聴率が29.3%を記録[3](初回は測定対象外)、その後もほぼ30%台を維持し、第36回には41.9%を記録した[4]。
その他の影響
放送を機に、幕末の薩摩藩史に関する再検証が活発となり、それまで謎とされてきた篤姫付き老女“幾島”の詳細な経歴や、篤姫の江戸行き道中が本州では陸路であったことなどが判明した。さらに、西郷隆盛、大久保利通らの陰に隠れがちであった小松帯刀の存在についても、改めて注目を集めることとなった。
あらすじ
《第一回》天明の子
今泉島津家に生まれた於一(おかつ)は、天真爛漫な女の子。色んなことに興味を持ち、いつも周りの付き人達を振り回していた。そんなある日、遊びに行った先で、空腹で倒れている農民に出会い、自分の幸福な身の上に対し疑問を持つようになる。悩む於一は食事を取らないことで農民と苦しみを分かち合おうとするが、母の幸から人には人の役割があることを教えられる。
《第ニ回》桜島の誓い
薩摩藩では調所広郷のもと、厳しい財政改革が進められていた。その最中、今泉島津家は財政改革がきっかけで厳しい立場に置かれることになる。調所の政策によって、庶民や今泉島津家が苦しめられている状況に心を痛めた於一は、調所のところへ抗議のため乗り込んでいく。しかしそこで於一は批判的に思っていた調所の行動にもそうするべき理由があること、そして調所を通じて「人の役割」とそれを超える「天命」について考えることになる。
《第三回》薩摩分裂
薩摩藩主の後継をめぐる、お由羅騒動が勃発し、 家臣たちも対立を極めていた。そんな中、騒動に巻き込まれた大久保正助が謹慎になる。生活が困窮を極める大久保家を助けようと於一は奔走するが、やりすきてしまい、正助の母に断られてしまう。正助の母の誇りを傷つけたと落ち込む於一だったが、それに対して母のお幸は、それは於一のおごりだと諭すのだった。
《第四回》名君怒る
お家騒動が落ち着き、島津斉彬が藩主となった。藩内の対立にも決着がつき、処分されていたものたちも解放されるかと思われたが、すぐには改善されなかった。そんな中、於一たち今泉島津家は他の分家と共に城に招かれ、斉彬と対面することに。粗相の無いように練習を重ねてきた於一だったが、対面の時に「なぜ大久保たちは解放されないのか」といった質問をしてしまい、その視野の狭さに斉彬から叱責される。
《第五回》日本一の男
斉彬に呼ばれて城にのぼった於一は、そこで島津忠教の息子に見初められる。しかし、お由羅騒動で対立していた相手方からの縁談に、於一の父・忠剛はあまり乗り気になれない。そんな中、於一の友人の肝付尚五郎は於一にどんな人と結婚したいかを尋ねる。すると於一は「日本一の男」だと答えるのだった。於一に思いを寄せる尚五郎は忠剛に於一との縁談を頼み、忠剛も了承するが、その後於一は斉彬の養女になることが決まり、尚五郎は失恋する。
《第六回》女の道
斉彬の養女になるという話を聞き、於一は動揺する。自分が選ばれた理由がわからず困惑する於一は、斉彬へ理由を聞きにいくことに。一方で失恋した尚五郎は、手の届かないところへ於一がいってしまうことを知り、失意のどん底にいた。 藩主の養女になれるという願ってもない好機を前に、煮え切らない於一に向かって、乳母の菊本は「女の道は一本道。引き返すは恥」と告げる。そして、身分の低い菊本は、自分が於一の教育をしてきたことが、やがて於一の人生の汚点になってしまうことを危惧し、自害することで於一の人生からその存在を消すのだった。
《第七回》父の涙
仕えた姫のために自身の命も差し出すその菊本の強い生き方を見た於一は斉彬の養女として生きていく決意をする。一方、斉彬も幕府での改革のため、於一を早く自分の元へ迎えようとしていた。そしてついに於一が今泉島津家を去る日がやってくる。父・忠剛は、寂しい思いを抑えて、斉彬の元へと向かう於一を送り出していった。
《第八回》お姫様教育
本家の養女となった於一は、立派な本家の姫となれるよう、奥女中たちから日々厳しい教育をされていた。その堅苦しい日々に息苦しさを感じる於一は、なかなかその環境に馴染めない。その上、何もできない自分が、分家の出だとして笑われているような気がして、辛い日々を送っていた。しかしそんな日々の中でも、於一は城に呼び寄せた、知り合いのお近から大久保正助が謹慎を解かれたことを聞き、喜ぶ。一方その頃、斉彬は於一の教育のため、近衛家にいる待女・幾島へ於一の元へ来てもらえるように頼んでいた。
《第九回》篤姫誕生
京から幾島がやってきたことで、日々の教育は厳しさを増していった。そんな中、於一は斉彬から新しい名前をもらう。広大院にあやかってつけられたその名前こそ、「篤子」ーー篤姫の誕生だった。篤姫の教育をする幾島だったが、到底出来がいいとはいえない篤姫を見て、どうして斉彬が篤姫を選んだのか、なぜこれほど熱心に教育をさせるのか理解ができずにいた。幾島からの疑問に、斉彬は将軍への輿入れという壮大な計画を打ち明ける。一方江戸では、将軍・徳川家慶が亡くなり、その子の家祥が後を継ぐことが決まっていた。
《第十回》御台所への決心
幾島とウマの合わない篤姫は、いつも幾島へ反発する。なかなか変わらない篤姫に困った幾島は、斉彬へ篤姫に対して将軍家輿入れの件を告げるように頼む。ある日、耐えかねた篤姫は城を脱出しようと試みるが、失敗。その後、斉彬は意を決して篤姫へ、篤姫を御台所としようとしていること、それをきっかけに幕政を立て直したいことを語る。斉彬の思いに心を動かされた篤姫は、その日から心を入れ替え、御台所となれるよう日々精進していく。
《第十一回》七夕の再会
将軍家に関する書物を全て集めさせるなど、日々余念なく励む篤姫。そんな中、斉彬の優しさにより、肝付尚五郎と七夕の日に再会することが叶う。大切な友人との再会に胸弾む篤姫は、尚五郎とかつてのように囲碁をし、今泉島津家のことや薩摩のことを頼むのだった。篤姫の変化を感じ、いよいよ本当に遠くに行ってしまうことを感じ、尚五郎は切なくなるのだった。
《第十二回》さらば桜島
まずは薩摩を離れ、京へ向かうことが決まった篤姫は、家中のものたちへ斉彬の娘としてお披露目される。そのお披露目の場こそ、実家の家族や尚五郎との最後の別れの場だった。久々の再会をとても楽しみにしていた篤姫だったが、実の両親・兄弟・友人でありながらかつてのように話すことのできない実情に次第に涙が溢れ出てしまった。あまりの落胆ぶりに見かねた幾島は、最後に今泉島津家の家族と対面する場を設け、篤姫は両親と兄弟と束の間の安らぎの時間を得る。そして旅立ちの日が来ると、篤姫は今泉島津家と桜島に別れを告げ、寂しさを胸に京へと向かう。その姿を見にきた尚五郎は、最後の別れに心を痛めながら、笑顔で篤姫を見送る。篤姫にとってこれが薩摩との終生の別れとなった。
《第十三回》江戸の母君
壮絶な船旅も耐え、やっとの思いで京へ辿り着いた篤姫一行。養子縁組予定の近衛邸に入り、和やかな日々を過ごす。このまま江戸へ移り、篤姫を御台所とするつもりだった幾島だが、近衛邸の待女から、将軍家への輿入れは未確定なのだという衝撃の事実を伝えられる。一方篤姫は、江戸にいる養母(斉彬の正妻)から気遣いを受け、喜んでいた。江戸の母との会うことを楽しみに江戸へ向かった篤姫だったが、実際に会ってみると冷たく扱われ、動揺する。その上、御三卿出身の母から、島津家の分家の出のものが御台所など誰にも認められないだろうと突き放されてしまうのだった。
《第十四回》父の願い
江戸の母・英姫から、御台所にはなれないと言われた篤姫は、同様の日々を送っていた。一橋派の大名の中にも島津家の分家の出である篤姫の輿入れに反対する声は多く、困難を極めていた。ちょうどその頃、江戸城では家祥が家定と名前を変え、将軍の座につくことで新しい時代が始まっていた。ペリーの再来航など落ち着かない日々が続く中、薩摩では篤姫の実父・忠剛がなくなる。篤姫には伝えないでほしいと願う忠剛だったが、篤姫の前では嘘がつけず、斉彬は忠剛の死を伝えてしまうのだった。
《第十五回》姫、出陣
自分も江戸での斉彬への奉公を願っていた尚五郎だったが、実際に選ばれたのは西郷であり、尚五郎は落ち込む。一方、西郷は篤姫の輿入れ道具を選定する役目を任され、江戸の薩摩藩邸で篤姫との久々の再会を果たしていた。薩摩藩邸で暮らす斉彬の実子と親しく暮らす篤姫だったが、ある日嫡男の虎寿丸が亡くなってしまう。さらに斉彬も倒れ、その容体は一向に回復しない。あまりの不幸の連続に、藩内ではお由羅の呪詛ではないかという噂が立っていた。篤姫は真偽を確かめるため、前藩主とその側室・お由羅の元へ向かう。
登場人物
主人公とその一族
主人公
天璋院(てんしょういん)
(於一敬子→篤姫→天璋院)
演:宮﨑あおい(幼少:永井穂花 少女:岩本千波)
島津氏の分家・今和泉家に生まれ、於一(おかつ)と命名される。囲碁や史書を詠むことを好み、男子の通う塾に男装して潜り込んだり、下級藩士と身分の差を越えて交流するなど型破りな行動を繰り返す。その行動力が藩主・島津斉彬の目に留まり、島津宗家の養女として鶴丸城に迎えられる。その際に斉彬に篤姫の名を与えられ、斉彬からは篤子(あつこ)と呼ばれるようになる。老女・幾島に宗家の姫としての立ち居振舞いを教育され、斉彬から一橋慶喜を将軍継嗣にすべく密命を受けて将軍・家定の御台所として大奥に入る。
しかし、南紀派が多数を占める大奥での慶喜擁立工作は難航し、また篤姫自身、慶喜よりも対抗馬の慶福(家茂)に好印象を持ったことから苦悩することになる。一度は幾島の懇願に折れて慶喜を推薦するものの、最終的には「嫁いだからには自分は徳川将軍家の人間である」として家定の意向に従うことを決意する。
家定の死後は落飾して天璋院と号する。亡き夫の遺言に従って若き将軍・家茂を後見して徳川家を護ってゆこうとするが、大奥の政治介入を嫌う大老・井伊直弼と対立する。しかし、井伊の信念の強さと決断力は高く評価していた。
和宮が家茂の御台所として大奥に入ると、京出身の女官達と大奥女中たちの対立に巻き込まれるが、柔軟な姿勢を貫きつつ大御台所として両者の関係調整に腐心し、すれ違いながらも和宮との仲は少しずつ雪解けしていく事になる。また生家の薩摩藩が武力を以って幕府に改革を迫ると、その繋がりを疑われ苦悩する。長州征伐に赴いた家茂の無事をひたすら祈っていたが、その甲斐もなく家茂は死去。
家茂の死後、その後を継いだ慶喜が朝廷に大政奉還を断行すると大いに困惑するが、勝麟太郎に戦を避けるために帯刀や坂本龍馬が奔走していた事を知ると、大奥と徳川家は自分が守る事を表明し、静寛院宮や本寿院の支持を得て大奥を纏めた。薩長との戦に敗れ退却してきた慶喜に、個人的な感情を抑えて家族として慶喜を救う事を約束する。江戸総攻撃の直前、勝に養父斉彬の書状を持たせて西郷の心を動かし、遂に江戸城無血開城へと導いた。そして江戸城の明け渡しを前に混乱する奥女中たちには、全員の行く先は自らが責任を持つと宣言した。
大奥を出てからは一橋邸をはじめ東京の各地を転々とする。薩摩の人々との再会とその死別を経験しながら、徳川家を継いだ徳川家達の教育に尽くした。家達の妻となった近衛家出身の泰子の懐妊を肌着を縫って見守りつつ、東京・千駄ヶ谷の徳川邸で静かに亡くなった。
今和泉島津家
島津忠剛(しまづ ただたけ)
演:長塚京三
篤姫の父。今和泉家の当主。今和泉領主。通称は安芸(あき)。重税に苦しむ領民を気遣い、調所の進める藩政改革との板挟みになる。その為、お由羅騒動の際には斉彬の家督相続を支持した。斉彬の藩政改革にも協力し、今和泉領内への砲台建築を指揮する。お幸との仲睦まじさに、篤姫は理想の夫婦像をみていた。子供たちにも愛情を注いでおり、特に於一(篤姫)には、そのお転婆ぶりに困惑しながらも期待し、かわいがっていたが、面と向かっては厳しく接しようとして不器用な愛情表現を見せる。一時は於一を娶りたいという肝付尚五郎の意思に心を動かされるが、於一を斉彬の養女に望まれると、涙を堪えて笑顔で娘を送り出した。篤姫が江戸に旅立つ際は重病の身をおして見送りに出た。続いて江戸に発つ斉彬に「娘に余計な心配をさせぬため、自分の死は伏せて欲しい」と遺言し、間もなく亡くなった。
お幸(おゆき)
演:樋口可南子
篤姫の母。篤姫懐妊中に夢で見知らぬ老人に「その娘を江戸に連れて参る」と言われたことから、生まれてくるのが娘であり、その娘が大きな運命を背負っていることを直感する。その言動で於一に“武家の女としての心構え”“人の上に立つ者のあり方”を示し、彼女の人格形成に大きな影響を与えた。篤姫が江戸に行き、大奥に上がってからもしきりに心配をしている。薩摩藩と幕府の間の戦が濃厚となると、帯刀に天璋院に薩摩へ帰るように文を書くように請われる。一旦は固辞したが、島津久光の許しを得て、決して娘が帰らない事を承知の上で文を書いた。維新後、上京して天璋院と再会を果たし、その後、今和泉家で亡くなった。
島津忠敬(しまづ ただゆき)
演:岡田義徳(少年時代:坂井和久)
篤姫の兄。今和泉家の三男。共に小松清猷の塾に通っていた肝付尚五郎(小松帯刀)とは友人。軽薄なところがあり、秘密を抱えきれず、尚五郎に告白しては困惑させている。年の近い妹・於一とは、喧嘩するほど仲がよい。西郷吉之助が今和泉家を取り潰し寸前に追い込む原因を作ったこともあり、下級藩士たちには悪印象を抱いている。また妹や尚五郎が身分の壁を越えて西郷らと付き合っていることも快く思っていない。
兄・忠冬の死後、今和泉家の家督を相続。しかし間もなく島津久光の命で久光の五男・英之進を養嗣子にする事となる。薩英戦争では家臣らを率いて出陣した。幕府との緊張が高まると、妹のいる幕府との戦になる事を憂う。維新後は母とともに東京の天璋院の元を訪ねた。
菊本(きくもと)
演:佐々木すみ江
今和泉家の奥女中、於一(篤姫)の乳母。於一の島津宗家への養女縁組が決まると、その将来に障りがないようにと自害した。菊本の言い残した「女の道は一本道。さだめに背き、引き返すは恥」という言葉は篤姫の支えになった。
栗川孫六(くりかわ まごろく)
演:梅野泰靖
今和泉家の家老。今和泉家の政務や外交などに携わっている。次々代の忠敬の代まで仕え、薩英戦争にも出陣した。
詫摩治通(たくま はるみち)
演:少路勇介
今和泉家の家臣。忠剛の側用人として側近に仕えている。忠敬の代にも上級家臣として薩英戦争の戦列にも連なった。
しの
演:小林麻子
今和泉家の女中。後に唯一人於一に従って鶴丸城へ上がる。篤姫が江戸へ向かうと同時に暇を出され、再び今和泉家に引き取られた。以後はお幸の側近くに仕えている。明治維新後も引き続き近侍し、お幸たちの上京にも従った。
みね
演:棚橋幸代
今和泉家の女中。
島津忠冬(しまづ ただふゆ)
演:河野安郎(少年時代:藤崎剛)
忠剛の長男、篤姫や忠敬の兄。父の没後は今和泉家の家督相続を許されたが数年後に亡くなり、家督は弟の忠敬が継いだ。
島津久敬(しまづ ひさたか)
演:松尾勝久(少年時代:田中碧海)
忠剛の次男、篤姫や忠敬の兄。調所広郷らによって今和泉家の財政が緊迫する中、他家へ養子に出された。
きく/ みつ
今和泉家の女中。
薩摩藩
島津家
島津斉彬(しまづ なりあきら)
演:高橋英樹
薩摩藩主。官位は薩摩守(さつまのかみ)。その蘭癖(西洋かぶれ)を父・斉興に疎まれ、なかなか家督を継げずにいたが、お由羅騒動の混乱を経て藩主に就任。開明思想に基づいた藩政改革を行い、西郷ら有為の人材を登用する。西洋列強の脅威から日本を守るために幕政改革を志向し、幕府に発言力を高めるために養女とした篤姫に一橋慶喜を将軍継嗣として推挙するように命じ、将軍御台所として大奥に送り込んだ。
しかし、大奥の水戸嫌いは予想を上回るほどに根深く、工作は思うように進まなかった。外様の大藩・薩摩藩主という立場から表立った行動を控えてきた斉彬は、遂に「慶喜を将軍継嗣とすべし」という旨の建白書を幕府に提出する。南紀派の井伊直弼が大老に推されると、対抗して越前藩主・松平慶永を推挙した。一橋派の敗北が決定的になると、洋式装備を有する軍を率いて幕政改革を促すための上洛を計画するが、演習の検分中に病に倒れ、弟・忠教や小松帯刀らに後を託して亡くなった。
死の直前に篤姫に送った手紙には、彼女に過酷な運命を強いた詫びの言葉と共に「将来、薩摩と幕府が敵対するような事態になっても、自分の信じる道を行くように」と記されていた。その手紙は江戸城総攻撃に息巻く西郷の心を動かし、江戸城無血開城の決め手となった。
英姫(ひさひめ)
演:余貴美子
斉彬の正室。一橋家出身の誇り高い女性。幼い頃に患った疱瘡のせいで顔に痘痕が残ったことから常に頭巾を着用し、人と会うときも御簾越しでしか対面しない。篤姫に細やかな心遣いを窺わせる贈り物をしながら、初対面で出自や将軍家輿入れに否定的な発言をして困惑させる。斉彬にも捻くれた発言をする等、周囲の人間にも心を閉ざしていた。しかし斉彬が病に倒れた際は不眠不休で病の平癒を祈ったり、水戸老公・斉昭との対面を控えた篤姫に最新版の『大日本史』を届けるなど、本来は心の優しい女性。篤姫との触れあいの中で本来の優しさを取り戻し、夫とも本音を言い合えるようになる。篤姫輿入れの前夜、彼女の前で素顔をさらし初めて母親として言葉をかけた。斉彬の後の追うように死去。
島津久光(しまづ ひさみつ)
(島津忠教→島津久光)
演:山口祐一郎
斉彬の異母弟。通称は周防(すおう)。島津氏の分家の一つ重富家の当主で、当初の名は忠教(ただゆき)。自ら「人を信じられない男」とうそぶくほど冷静沈着な性格だが、たまに癇癪を起こす激情の持ち主。
お由羅騒動では反斉彬派の旗頭に担がれたが、初対面時にはお互いに好印象を抱くなど、兄との仲は悪くはなく、藩主に就任した斉彬からも御一門四家の筆頭として頼りにされていた。しかし、自身の海防策が不採用になったこと、お家騒動の融和のためにと進めた息子・右近と今和泉家の於一との縁談が於一の宗家養女入りで潰れたことから兄と距離を感じ、自領の統治に専念したいとの理由で斉彬の許を去った。
斉彬の遺言により息子・忠義が藩主となり、その後見として薩摩藩を託された。斉彬の遺志を継ごうと努めるが、当初は父・斉興が再び実権を握ったため、斉興の死後に漸く実権を握る。しかし、お由羅の子であるということと慎重な性格から血気盛んな若手の藩士たちには疑問を持たれていた。大久保ら下級藩士が脱藩突出を企てた時は、帯刀の進言を容れて諭書を出し、改めて所信を述べることで彼らの行動を鎮め、大久保を登用して若手藩士のまとめ役に抜擢した。
和宮が降嫁し公武合体がなると、帯刀や大久保の進言を容れて亡き斉彬の念願であった率兵上洛を決断するが、帯刀らの提案を受けて奄美より呼び戻した西郷に上洛は無謀といわれ、田舎者呼ばわりされたことから、その才は認めつつも激しい感情を露にする。上洛に先立って久光と改名。上洛後は公卿たちと会見して京都警護を任せられ、寺田屋での急進派藩士の粛清を経て信頼を得る事に成功し、勅使を奉じて江戸へ向かう。強引な手法で幕府に改革を断行させ、天璋院の反感を買った。その後、京都へ戻るが、既に朝廷では長州藩の勢力が台頭して薩摩藩の影響力が低下しており、やむを得ず薩摩へと帰国した。薩英戦争では徹底抗戦を唱え、総指揮を執った。徳川慶喜主催の列侯会議に列席するが、慶喜の態度に激昂して退席する。
維新後は小松の版籍奉還の提案を受け入れる一方で、軽輩出身の西郷らの政界進出には不満を持っていた。
島津斉興(しまづ なりおき)
演:長門裕之
斉彬の父。官位は大隅守(おおすみのかみ)。家老・調所広郷と共に財政改革を行い、藩財政を立て直した経験から嫡子・斉彬の蘭癖を浪費の元と見做し家督相続を渋り、庶子・忠教(久光)を跡目に据えんと画策する(ただし、すぐには忠教に家督を継がす意思がないような発言もしていた)が、お由羅騒動の責任を取らされる形での隠居を余儀なくされる。隠居後は側室・お由羅と共に江戸・高輪の藩邸に住む。斉彬の死後、再び藩の実権を握ると幕府との無用の衝突を避けるため斉彬の改革に対する反動政策を取るが、程なくして亡くなった。
由羅(ゆら)
演:涼風真世
斉興の側室。江戸の町家の出で、元は島津家の侍女。我が子・忠教を家督にと願い、薩摩藩にお家騒動を引き起こす。斉興隠居後は共に高輪藩邸に住む。斉彬襲封後も望みは捨てておらず、斉彬の子供が次々と夭折するのは彼女の呪詛によるものであると国許・江戸邸で噂されている。斉彬の死後、斉興とともに薩摩に移り、久光にも久しぶりに会った。しかし、程なくして斉興は亡くなり、その死を看取った。
島津忠義(しまづ ただよし)
演:中川真吾
久光の嫡男。幼名は又次郎。斉彬の臨終の際に斉彬の子である哲丸を准養子とする事を条件に継嗣となった。家督継承後は茂久と改名。やや血気に勝る性格で、父に諌められる事もしばしばある。藩主としては薩英戦争に参戦。また王政復古の大号令の際には朝廷に参朝した。
於哲(おてつ)
演:吉高由里子
島津忠教の娘。御一門家の娘の中でも器量良しの姫であった。
島津右近(しまづ うこん)
演:加治将樹
島津忠教の子。斉彬の藩主襲封の際に於一を見て一目惚れし、父の後押しもあって縁談にまで進むが、於一が斉彬の養女となったために断念する事となった。
島津寛之助(しまづ ひろのすけ)
演:近藤隆正
斉彬の子。斉彬が世子の折に幼くして病没する。その病室の床下から、お由羅による呪詛人形が発見されたとの噂が広まり、後の騒動の遠因となった。
島津篤之助(しまづ とくのすけ)
演:本川嵐翔
斉彬の子。寛之助に続いて夭折し、斉彬を大いに悲しませた。
虎寿丸(とらじゅまる)
演:渡邉奏人
斉彬の子。篤姫が江戸に上った際に藩邸で世子として育てられていた。篤姫に懐いていたが、間もなく早世した。
暐姫(てるひめ)
演:飯田汐音
斉彬の娘。江戸の藩邸で暮らしており篤姫に懐いていた。
典姫(のりひめ)
斉彬の娘。姉妹らと江戸の藩邸で暮らしている。
寧姫(やすひめ)
斉彬の娘。姉妹らと江戸の藩邸で暮らしている。一番下の娘であり、篤姫にも懐いていた。
於定(おさだ)/ 於寛(おひろ)
演:阿嘉真理乃(於定)/ 戎怜菜(於寛)
島津忠教の娘たち。宗家の姫となった篤姫に謁見した。
奥女中たち
小の島(おのしま)
演:佐藤藍子
江戸藩邸の奥向きを取り仕切る老女。篤姫の突飛な行動に振り回される。
篤姫の将軍家輿入れ後は斉彬の命を受けて幾島・西郷と共に慶喜将軍継嗣の政治工作に関ることになる。しかし、工作は失敗。島津斉彬の死後、藩の実権が斉興に移ると共に役目を解かれた。
後に小松帯刀の周旋によって天璋院に薩摩へ帰るよう説得する為に大奥に現れる。不退転の覚悟を示していたが、天璋院の意志は固く、使命を果たすことはならなかった。
広川(ひろかわ)
演:板谷由夏
篤姫付きの老女。鶴丸城の大奥を統括している。分家から養女に入った篤姫に厳しく接するが、篤姫の心機一転後は感服して従うようになる。
高山(たかやま)
演:左時枝
鶴丸城の奥女中で、篤姫付きの侍女。鶴丸城入城直後の不安定な篤姫の心を開こうと腐心する。
藤野(ふじの)
演:北原佐和子
江戸藩邸の英姫付き老女。小の島とともに奥を取り仕切る。篤姫にはあまり好印象を抱いていなかった。
喜尾(たきお)
江戸藩邸の女中。
ゆき / ひさ
演:松田美保(ゆき)/ 太石好美(ひさ)
鶴丸城の奥女中。鶴丸城に入った篤姫付きとなる。
小松家・肝付家
小松帯刀(こまつ たてわき)
(肝付尚五郎→小松尚五郎→小松帯刀)
演:瑛太
肝付家の三男。当初の名は肝付尚五郎(きもつき なおごろう)。趣味は薩摩琵琶。
篤姫の兄・島津忠敬と共に小松清猷の塾に通っており、そこで於一と出会う。天真爛漫な於一に振り回される内に彼女に想いを寄せるようになるが、於一が島津宗家の養女となったことで叶わぬ恋に終る。身分の差を越えて下級藩士の西郷吉之助・大久保正助らとも対等の友人として付き合う。清猷の急死後、島津斉彬の命で清猷の妹・お近と結婚して小松家の婿養子となる。
小松家を継いでからは領地・吉利の統治に専念し、成果を上げる。それが藩主・斉彬に認められ、帯刀の通称と清廉の諱を与えられ、家中の若侍の頭として装備の洋式化を始めとする薩摩藩の軍制改革を任された。
斉彬の死後、その忠勤を藩の実権を握った忠教(久光)に認められ、引き続き御側用人として仕える。久光の上洛の際は、西郷の赦免や急進派藩士の慰留に奔走した。共に江戸に赴き、幕政改革の建白に尽力するが、久光や大久保の強引な手法には疑問を抱く。後に勝麟太郎に「人を動かすには、力ではなく心」と諭され、大いに共感を覚える。また天璋院と再会し、薩摩は自分が守ると改めて約束を交わした。薩摩に帰郷後は若年ながら家老職に就任する。間もなく起こった薩英戦争では久光に指導を命じられるが、開戦の結果鹿児島の町を焦土としてしまい、後悔の念に襲われる。
寄る辺を無くした海軍操練所の塾生を助けた事から坂本龍馬と親密になり、西郷や大久保と協力して薩長同盟を締結する事に成功する。髪形を総髪に改めるなど龍馬の自由な生き方に憧れる一方で、京都の屋敷に転がり込んできた芸妓・お琴の扱いと、彼女の存在を知ってしまったお近の機嫌をとり直すことに難儀する。孝明天皇の崩御後は将軍・徳川慶喜に提言して列侯会議の開催に尽力した。
西郷や大久保が武力倒幕へと傾く中、龍馬の大政奉還策に共感を示し、慶喜にその急務を説き大政奉還を実現させた。しかし一方で西郷と大久保との進路に隔たりを感じ始める。
その後、病のせいで足が不自由になる。藩が幕府との開戦に傾くと、江戸城の天璋院を救うために奔走する。しかし徳川家との戦を止める事は叶わず、開戦を悟ると病をおして上京する。新政府では総裁局顧問に任じられ、外国事務局委任の内定を受ける。京で再会した幾島に最後の望みを託し、江戸無血開城が実現された事に安堵した。その後は幕府の面目を保つためにも版籍奉還を主張する。また自らの余命を悟り東下し、一橋邸で天璋院と再会を果たす。碁盤を挟んで自らの想いを告白し、自らと天璋院のこれまでの人生が幸せだったことを実感する。その後、体調を崩して大阪で闘病生活を送るが回復の兆しは見えず、お近が見守る中で死去し、息子・安千代をお近に託した。
小松清猷(こまつ きよみち)
演:沢村一樹
吉利領主。島津斉彬が藩主世嗣の頃から側近として仕えている。容姿端麗にして頭脳明晰な人物。薩摩藩の名門の出身ではあるが、異例とも言える昇進で斉彬の右腕となった。
後輩達の育成を考え、自宅で塾を開いており、篤姫や肝付尚五郎らから「先生」と呼ばれて慕われていた。家柄や常識にとらわれず周囲の意見を聞き、人望もある。斉彬の海防政策の一環で琉球に派遣されることになり、尚五郎に後事を託して旅立つが、同地で病に罹り急死する。
お近(おちか)
演:ともさかりえ
小松清猷の妹で小松帯刀の妻。体が弱く、あまり表に出ずに自宅で香道を教えている。
尚五郎(帯刀)に想いを寄せ、江戸詰になれずに国許で腐る彼を叱咤激励していた。兄が急死したため、尚五郎を婿養子に迎えて小松家を継がせた。控えめな性格ではあるが、時に愚痴をこぼしたりする夫を叱咤激励する事もある。
お琴の存在を知った時には憤りを顕にしたが、お龍に夫が生きている事が幸せだと諭されて認めるようになった。しかし帯刀とお琴の間に子が産まれたと知ると複雑な心境に陥る。
脚の病で不自由になった帯刀を支え、薩摩での活動を助ける。 維新後、帯刀が病に倒れると琴の知らせを受けて大阪に上り、帯刀の最期を看取った。
於一とも香道を通じて親交を持ち、大久保利通が凶刃に倒れた後、東京の天璋院に香木を贈った。
お琴(おこと)
演:原田夏希
小松帯刀の側女。元は祇園で一・二の人気を誇る芸妓で琴花と称していた。
西郷吉之助(隆盛)が藩に復帰した際の宴席で帯刀と出会う。帯刀に興味を持ち、小松邸に許しも無く上がりこんでくる。後に芸妓を辞めて正式に帯刀の元に置かれる事になる。帯刀が一時薩摩へ帰っている間に安千代を産み、帯刀を驚かせた。
維新後、帯刀が倒れて大阪で入院するとその看病に徹し、また薩摩のお近に近況を報告した。
肝付兼善(きもつき かねよし)
演:榎木孝明
喜入領主。小松帯刀の実父。篤姫の父・島津忠剛とは友人で共に藩主・島津斉彬を支持していた。
尚五郎が下級藩士たちと親しく付き合っていることが家の障りにならないかと心配し、苦言を呈していた。しかし西郷吉之助が江戸に旅立つ際には尚五郎を介して餞別を渡した。
尚五郎が小松家を継いだ後も交流は途絶えず、家老に昇進した息子の栄達を誇りに思っている。
小松清直(こまつ きよなお)
演:高橋平(幼少時代:中村柊芽)
小松帯刀とお琴の子。幼名は安千代。
帯刀が薩摩で国事に奔走している間に京都の屋敷で生まれた。お近との間に子が無かった帯刀は、安千代を長男として遇している。 帯刀が死期を悟った際にお近に託され、その後は薩摩で成長する。
小松清穆(こまつ きよあつ)
演:伊藤鉱
小松清猷の父。清猷が急死した後、斉彬の薫陶を受けていた尚五郎を喜んで嗣子に迎えた。
マサ
演:南一恵
小松清穆の妻。清猷とお近の母。
きぬ
演:三沢明美
肝付兼善の妻。尚五郎(小松帯刀)の生母。
上級藩士
調所広郷(ずしょ ひろさと)
演:平幹二朗
薩摩藩家老。通称は笑左衛門(しょうざえもん)。島津斉興の腹心として、重税・密貿易・贋金造りと手段を選ばず辣腕を振るって薩摩藩の財政再建に尽力した。しかし密貿易に幕府の詮議の目が向けられると、藩主・斉興に累が及ばぬよう罪を一身に負って服毒自殺を遂げた。
今和泉家への抑圧に対して抗議してきた於一を気に入り、密貿易品のナツメでもてなし「これで同じ穴の狢(むじな)」と念を押すなど、茶目っ気を見せる場面もあった。また様々な不法行為に手を染めたことについては、於一に「(薩摩のために)己の職責を果たしたまで」と語っており、己の立場に応じた責務を全うするため全身全霊を捧げることを身を以て範を示し、後の篤姫に多大な影響を与えた。
島津豊後(しまづ ぶんご)
演:中山克己(第4回:浅沼晋平)
薩摩藩家老。斉彬の世子時代はお由羅派と見なされており、斉彬襲封後は即罷免されると思われていたが、斉彬は罰する事はなかった。斉彬没後、島津斉興が復権すると、再び重用される。
島津将曹(しまづ しょうそう)
演:天現寺竜
薩摩藩家老。お由羅派として斉彬の藩主襲封後は政治生命を絶たれると噂されたが、豊後同様、続投する事となった。
島津伯耆(しまづ ほうき)
演:長沢大
薩摩藩家老。京都の藩邸に詰めており、初めて入京した篤姫を迎えた。また近衛家との折衝にあたり、篤姫が近衛忠煕の養女になる際には使者となった。
当初の役名は家老・橋口だった。
川上筑後(かわかみ ちくご)
演:岡本光太郎
薩摩藩家老。江戸の藩邸では斉彬の側近を勤める。斉彬が病に倒れた時も側に従っていた。
竪山武兵衛(たてやま ぶへえ)
演:山本竜二
斉彬の側近。篤姫が斉彬の養女となる際に今和泉家との交渉役となった。
島津久風(しまづ ひさかぜ)
演:坂部文昭
薩摩藩家老。モリソン号が山川港に来航した際に交渉役を務めた。交渉の決裂後はモリソン号への砲撃を指示した。
新納久仰(にいろ ひさのり)
演:本田清澄
薩摩藩家老。保守派であり、島津斉興が藩政に復帰すると島津豊後とともに重用される事になる。
谷村昌武(たにむら まさたけ)
演:植原健介
島津忠義の側近。
西郷家
西郷吉之助(さいごう きちのすけ)
(西郷吉之助→西郷隆盛)
演:小澤征悦
御小姓与と呼ばれる下級藩士のひとり。尚五郎とは身分を越えた友人。
郡方書役助(こおりかたかきやくたすけ)を務めていた際、農民の窮状を見かねて今和泉領主・島津忠剛に直訴を行い、それが元で今和泉家は取り潰し寸前に追い込まれた。島津斉彬の藩主相続を支持し、後に建白書が認められて江戸詰の一員に加えられ、庭方役と呼ばれる斉彬の側近に取り立てられる。篤姫の将軍家輿入れの際は、その嫁入り道具の調達一切を取り仕切った。
篤姫輿入れ後は、幾島・小の島と共に一橋慶喜将軍継嗣の政治工作に関ることになる。しかし、慶喜将軍継嗣の工作は失敗。斉彬の死後は幕府に追われる身となり、藩上層部からも見捨てられる形となった西郷は同志の僧・月照と錦江湾に身を投げるがひとり生き残り、表向きは死んだことにされて奄美大島へ流された。
島津久光が上洛を決断すると、京の情勢に詳しい者として帯刀に推薦されて帰郷を果たした。その後、久光と謁見するが、その率兵上洛を否定した挙句、無位無官の久光を「地ごろ」(田舎者)と表現したために久光の怒りを買った。その後、大久保から久光が斉彬の遺志を継ごうとしている事を聞いて上洛する事を決断。本隊に先行して下関へ発ったが、命に背いて大坂へ赴いたために久光の怒りを買って再び遠島となった。しかし京都で勢力を挽回しようとする久光の思惑によって再復帰し、軍賦役として長州藩との戦いに活躍する。そして帯刀や坂本龍馬らと協力して薩長同盟を締結した。
慶喜が将軍に就任すると、亡き斉彬の遺志が実現したと喜び、列侯会議に期待を寄せていたが、会議が頓挫したことで慶喜や将軍家自体に失望し、武力倒幕論に傾き大久保や岩倉具視と策を練り、幕府を挑発するために江戸城に火を放たせた。そして鳥羽・伏見の戦いで薩摩軍を指揮して勝利。
江戸攻めでは官軍の総参謀に任命される。徳川家を倒してこそ新しい時代が開けると信じ、幾島から天璋院からの手紙を受け取って感涙しながらもその嘆願を固辞した。江戸に入ると勝麟太郎と交渉し、一度は決裂しかかるが、天璋院の斉彬からの手紙を見せられてかつての自分を思い出し、江戸城無血開城を承諾した。
維新後は隆盛と名乗る。新政府設立後間もなく薩摩に下野するが、死の間際の帯刀からの手紙を受けて復帰し、廃藩置県などの改革を断行。大久保らが外遊中の留守政府を預かるが、間もなく大久保らを憚って再度下野、天璋院に暇乞いをして鹿児島に帰国、西南戦争で自刃した。
西郷信吾(さいごう しんご)
(西郷信吾→西郷従道)
演:水谷百輔
西郷の弟。名は従道。兄とは違って血気盛んな性格。有馬新七に同調して、同志たちとともに京都寺田屋で京都所司代暗殺を謀った。その後の旧幕府軍と戦闘では、兄とともに薩摩軍幹部として列席する。
西郷吉次郎(さいごう きちじろう)
演:真島公平(第6回:鈴木兵太郎)
西郷の弟。弟の信吾と郷中仲間に顔を出している。
西郷吉兵衛(さいごう きちべえ)
演:五王四郎
西郷の父。西郷とスガの宴席に出席している。
スガ
演:森脇由紀
西郷の妻。尚五郎や大久保らに祝福されながら結婚した。
政子(まさこ)
演:高岡雅子
西郷の母。西郷とスガの宴席に出席している。
西郷龍右衛門(さいごう りゅうえもん)
演:小泉龍彦
西郷の祖父。西郷とスガの宴席に出席している。
コト / タカ
演:室伏由紀江(コト)/ 青木琴子(タカ)
西郷の妹。西郷とスガの宴席では来客への給仕を担当していた。
大久保家
大久保正助(おおくぼ しょうすけ)
(大久保正助→大久保一蔵→大久保利通)
演:原田泰造
西郷の幼馴染。剣術勝負を挑んだ尚五郎に西郷に代って相手をした。物事を冷静かつ多面的に捉えることのできる頭脳明晰な人物で調所の財政改革を批判する仲間たちの前でその良い面を挙げたり、斉彬への忠誠心から過激な行動に走ろうとする仲間を窘めたりしている。
お由羅騒動に巻き込まれ御役御免となり、謹慎処分を受ける。斉彬の藩主就任後は許されて役目に復帰した。しかし父・利世がなかなか赦免されないことに苛立ち、斉彬に対する不信感を口にしたこともある。西郷が江戸詰になってからは、その手紙を通じて尚五郎らに最新の情報を伝えることになる。
藩主の側近として最前線で活躍する西郷、領地の経営に打ち込む尚五郎を見て、己の生きる道が定まらないことに苦悩するが、西郷と自分にある差に奮起し、以後は冷静な観点で若手藩士たちをまとめて精忠組を結成する。過激な行動に走りがちな精忠組の統制に力を発揮し、帯刀の推薦もあって御小納戸役に出世し忠教(久光)の側近に取り立てられるが、それが逆に有馬新七ら精忠組過激派の不信を買うことになる。
帯刀と共に西郷の赦免に奔走し、西郷の復帰後はその慰留を努めた。久光の率兵上洛を前に一蔵と改名し、上洛が成ると勅命を回避しようとする幕府に対し強硬な手段を断行する。後の薩長同盟にも西郷や帯刀とともに立ち会う。薩摩藩を代表して、長州征伐には朝廷の警護を口実に不参加を慶喜に表明した。
慶喜が将軍に就任した頃には、帯刀とは対照的に早くから武力討幕を論じるようになる。西郷とともに岩倉具視に接近して策を練り、錦の御旗を戦で掲げることによって慶喜を朝敵として戦を勝利に導いた。徳川家を警戒し、江戸進軍を推進するほか領地大幅削減などの厳しい処分で臨む。
維新後は利通と名乗り、東京に居住。西郷の新政府参加前に旧知の天璋院を訪れ、天璋院に帯刀の逝去を伝えた。新政府には太政官筆頭格として政務を預かるが、西郷の戦死後間もなく自らも志半ばで凶刃に倒れた。
大久保利世(おおくぼ としよ)
演:大和田伸也
大久保の父。お由羅騒動に連座して遠島処分となる。斉彬襲封後5年たってようやく許され、薩摩に帰還した。
フク
演:真野響子
大久保の母。お由羅騒動に連座して夫・利世が遠島、息子・正助が謹慎となり収入の道を断たれて困窮する大久保家を支えた。見かねた篤姫が施しをしようとすると、篤姫の好意には謝しつつも「貧しい暮しをしている者にも誇りがある」と説き、その申し出を辞した。
斉彬が藩主となり、夫と息子の罪が許されると、西郷に差をつけられたことに焦り悩む正助を支える。
スマ
演:栗原瞳
大久保の妹。父が遠島となり家計が貧窮した際には扇を作るなどの内職をして家計を助けた。
ミネ
演:高松いく
大久保の妹。スマとともに内職に励む。たまに遊びに来る於一とも仲がよい。
下級藩士
有馬新七(ありま しんしち)
演:的場浩司
西郷たちの郷中(ごじゅう)仲間。尚五郎にお由羅の呪詛の噂を教えた。
攘夷思想の持ち主で、剣術の稽古でペリーの似顔絵を少年たちに叩かせたり、斉彬が病に倒れた際には「江戸に行ってお由羅を斬る!」と息巻いて大久保に窘められる等、過激な行動に走りがち。藩の実権を握った久光を「斉興様とお由羅の子」と過小評価し、不信を持っていた。
久光が大久保のみを登用し、政策をはっきりさせない事に腹を立て精忠組を離れた。久光が上洛するに当たって、同志たちとともに京都寺田屋で京都所司代の暗殺を謀るが、久光の命で突出中止を迫られる。しかしこれを拒絶したために精忠組の同志たちによる上意討ちに遭い応戦。最期は道島五郎兵衛を押さえつけて、橋口吉之丞に自分ごと刺殺させた。この事件によって久光は朝廷の信任を得る事に成功する。だが、その真意は突出が成功しても失敗しても、薩摩ひいては日本のためとなる事を見越しての事であった。
伊地知正治(いじち まさはる)
演:三宅弘城
西郷たちの郷中仲間。片目が不自由でいつも眼帯をしている。仲間内では過激な意見を出す事もある。のち仲間たちとともに島津久光の率兵上洛に同道する。帰国後のイギリス艦隊来襲では代理公使ニールとの交渉を担当するが決裂。交戦に当たっては最前線で砲撃を指揮した。旧幕府軍との戦闘が始まると、薩摩軍の幹部として活躍する。江戸攻めでは別働隊を率いて進軍する。
海江田信義(かえだ のぶよし)
(有村俊斎→海江田信義)
演:平山広行
西郷たちの郷中仲間。有村雄助、次左衛門の兄で、当初の名は有村俊斎(ありむら しゅんさい)。
西郷たちのグループでは早いうちに斉彬の側近として江戸へ出府した。桜田門外の変で弟たちが当事者になると、それを庇おうとする仲間たちとは意見を異にし、雄助を切腹させる事で藩意と雄助の士道を全うさせた。後に海江田信義と改名し、島津久光の率兵上洛にも同道する。帰国後も薩英戦争に従軍する。旧幕府軍との戦闘でも薩摩軍の重鎮として参戦し、江戸進軍では西郷の側で働く。
江戸城接収では薩摩軍を率いて江戸城に入り、天璋院の部屋を見てその美しさに息を呑む。
大山綱良(おおやま つなよし)
演:俊藤光利
西郷たちの郷中仲間。尚五郎が江戸に旅立つ際、「無事の帰還を祈って」と“なた豆”を餞別に渡すが、尚五郎が僅か3ヶ月で薩摩に戻ってきたため俊斎に「なた豆など渡すからだ」と責められた。後に島津久光の率兵上洛に同道する。有馬新七ら急進派の説得を命ぜられるも失敗し、上意討ちによって同志たちを斬り捨てる事となった。帰国後の薩英戦争では仲間たちとともに砲撃を指揮した。鳥羽・伏見の戦いでは意気盛んに薩摩軍を指揮、西郷の江戸進軍にも従軍する。海江田信義とともに江戸城に入り、大奥に活けられた生け花を見て絶句する。
有村雄助(ありむら ゆうすけ)
演:田上晃吉
西郷たちの郷中仲間。俊斎の弟。弟の次左衛門とともにグループによく顔を出している。安政の大獄に反発し、次左衛門らとともに江戸で井伊大老襲撃を企てる(桜田門外の変)。変後は薩摩に帰郷して仲間たちに歓待されるも、藩に背いた罪によって切腹となった。
有村次左衛門(ありむら じざえもん)
演:遠藤雄弥
西郷たちの郷中仲間。俊斎や雄助の弟。血気盛んな性格で、兄の雄助とは喧嘩をする事もある。雄助や水戸浪士らとともに井伊大老襲撃を計画し、桜田門外でその首級を討ち取り、自害して果てた。
奈良原喜八郎(ならはら きはちろう)
演:武智健二
郷中仲間。藩主斉彬の没後、その対立候補だった久光やその父・斉興の復権に、仲間たちと否定的な異見を唱えている。しかし久光が率兵上洛する際にはそれに同道する。大山綱良らとともに、有馬新七ら急進派藩士の必死の説得に当たるが、有馬の意思を変える事はできず、上意討ちを決行した。薩摩への帰路、行列を妨害したリチャードソンに斬り付け、新たな火種を蒔く事になる。帰国後は薩英戦争に参戦している。旧幕府軍との戦闘では、敵軍の出陣を薩摩軍に知らせた。江戸進軍にも従う。
道島五郎兵衛(みちしま ごろうべえ)
演:矢野義人
精忠組の同志。島津久光の率兵上洛に同道し、大山綱良や奈良原喜八郎らと有馬新七ら急進派の説得に寺田屋へ派遣される。しかし説得は果たせず上意討ちを決行する。その際に有馬と斬り結び動きを封じられ、新七とともに橋口吉之丞によって刺殺された。
橋口吉之丞(はしぐち きちのじょう)
演:石川賢二
精忠組の同志。有馬新七に共鳴して京都での突出を謀る。しかし島津久光の怒りを買い上意討ちを決行される。その戦闘の最中、有馬の指示で有馬と道島五郎兵衛を共に刺殺した。
天璋院篤姫 (小説) > 篤姫 (NHK大河ドラマ)
注意
この記事はプロジェクト:大河ドラマの編集方針を採用しています。編集される方はご一読下さい。
篤姫
ジャンル ドラマ
原作 宮尾登美子『天璋院篤姫』
脚本 田渕久美子
演出 佐藤峰世
岡田健
堀切園健太郎
渡邊良雄
上杉忠嗣
松川博敬
出演者 宮﨑あおい
瑛太
堺雅人
小澤征悦
原田泰造
堀北真希
松田翔太
長塚京三
樋口可南子
岡田義徳
佐々木すみ江
三宅弘城
沢村一樹
ともさかりえ
的場浩司
中嶋朋子
板谷由夏
佐藤藍子
東儀秀樹
平岳大
平山広行
大和田伸也
高橋由美子
吉高由里子
岩井友見
春風亭小朝
余貴美子
榎木孝明
鶴田真由
辰巳琢郎
玉木宏
市川実日子
若村麻由美
草刈正雄
涼風真世
星由里子
真野響子
山口祐一郎
高畑淳子
片岡鶴太郎
長門裕之
中村梅雀
稲森いずみ
中村メイコ
江守徹
松坂慶子
平幹二朗
高橋英樹
北大路欣也
ナレーター 奈良岡朋子
オープニング 吉俣良
製作
製作総指揮 佐野元彦
プロデューサー 屋敷陽太郎
制作 日本放送協会
放送
放送国・地域 日本の旗 日本
放送期間 2008年1月6日 - 12月14日
放送時間 日曜20:00-20:45
放送枠 大河ドラマ
放送分 45分
回数 全50
番組年表
前作 風林火山
次作 天地人
テンプレートを表示
『篤姫』(あつひめ)は、2008年1月6日から同年12月14日にかけて放送された47作目のNHK大河ドラマ。平成20年度文化庁芸術祭参加作品(第32回「桜田門外の変」)。
作品概要
原作は宮尾登美子の小説『天璋院篤姫』。主人公は江戸幕府13代将軍・徳川家定の正室である篤姫(天璋院)。宮尾原作の作品は2005年の『義経』以来の2度目となる。
江戸時代末期、鎖国状態にあった日本が諸外国からの脅威に晒されていた時代に、歴史の影で活躍した篤姫に焦点を当てる。ホームドラマ的要素を強め、夫婦の日常、さらに篤姫が自分にとっての家族(=大奥の女性達)を最後まで守り抜き、その中で一途に平和を願い続ける姿を描いた。
また、それまで歴史の影に隠れがちだった薩摩藩家老・小松帯刀にも焦点を当て、薩摩藩の中心人物として描いた。他に西郷隆盛・大久保利通ら薩摩藩の面々や、勝海舟・坂本龍馬らのような一般に知名度の高い人物も登場した。従来のイメージとは少し違った描かれ方をする人物も多く、例えば井伊直弼は、大弾圧を指揮し、将軍継嗣問題や幕政方針で主人公と対立するものの、一定の見識を持って行動し、主人公にも認められるひとかどの人物として描かれている。
主演の宮﨑あおいは大河ドラマ史上最年少で主演を務めた(放送開始時22歳1ヶ月7日)。また、本作の第2の主人公とも言うべき小松帯刀役に瑛太、篤姫の夫である江戸幕府13代将軍・徳川家定役に堺雅人がそれぞれ起用された。また、鹿児島県が舞台となる本作では、音楽担当の吉俣良や出演者の一部(榎木孝明、沢村一樹、山口祐一郎、稲森いずみなど)に同県出身者が起用されている[注釈 1]。
また、『朝日新聞』2019年2月2日付のbeランキング「忘れられない大河ドラマ」アンケート結果では、第1位になった(第2位は「真田丸」、第3位は「独眼竜政宗」)。
演出
オープニングの映像はグスタフ・クリムトの画風をモチーフとしている。オープニング映像には宮﨑本人が出演しており、本作以降の大河ドラマでは2014年の『軍師官兵衛』まで、オープニングに主人公が登場するのが定番となっていた(2015年の『花燃ゆ』でこの法則は崩れた)。
本作では、登場人物が方言である薩摩言葉を使用するか否かによって、身分の違いを表現している。例えば、島津家・小松家のような上級武士の家は薩摩言葉をほとんど使用しないが、西郷家・大久保家のような下級武士や低い家柄出身の女中などは薩摩言葉を使用している。これは、家格の高い武士は当時、江戸における他藩との交流に備えて言語の矯正が命じられていたということ、篤姫の父・忠剛や島津家当主・斉彬が長く江戸で生活していたなどの史実に基づいている。
反響
視聴率
それまで視聴率が取れないとされてきた「幕末もの」でありながら、女性層の支持を背景に高視聴率を維持し[1]、大河ドラマとして初めて本放送期間中の集中的なアンコール再放送が行なわれるなど人気を得た[2]。特に最終回直前の12月12日には急遽第48回が再放送され、結果的に3日間連続で同作が放送された。全50回の平均視聴率は24.5%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ)で、幕末を舞台とした大河ドラマとして過去最高、過去10年の大河ドラマとしても、2002年の『利家とまつ』の22.1%を抜いて、最高の視聴率となった。また、同年の年末に3夜連続で総集編が放送された。(12月26日から28日)
篤姫の地元・鹿児島地区では、第2回の視聴率が29.3%を記録[3](初回は測定対象外)、その後もほぼ30%台を維持し、第36回には41.9%を記録した[4]。
その他の影響
放送を機に、幕末の薩摩藩史に関する再検証が活発となり、それまで謎とされてきた篤姫付き老女“幾島”の詳細な経歴や、篤姫の江戸行き道中が本州では陸路であったことなどが判明した。さらに、西郷隆盛、大久保利通らの陰に隠れがちであった小松帯刀の存在についても、改めて注目を集めることとなった。
あらすじ
《第一回》天明の子
今泉島津家に生まれた於一(おかつ)は、天真爛漫な女の子。色んなことに興味を持ち、いつも周りの付き人達を振り回していた。そんなある日、遊びに行った先で、空腹で倒れている農民に出会い、自分の幸福な身の上に対し疑問を持つようになる。悩む於一は食事を取らないことで農民と苦しみを分かち合おうとするが、母の幸から人には人の役割があることを教えられる。
《第ニ回》桜島の誓い
薩摩藩では調所広郷のもと、厳しい財政改革が進められていた。その最中、今泉島津家は財政改革がきっかけで厳しい立場に置かれることになる。調所の政策によって、庶民や今泉島津家が苦しめられている状況に心を痛めた於一は、調所のところへ抗議のため乗り込んでいく。しかしそこで於一は批判的に思っていた調所の行動にもそうするべき理由があること、そして調所を通じて「人の役割」とそれを超える「天命」について考えることになる。
《第三回》薩摩分裂
薩摩藩主の後継をめぐる、お由羅騒動が勃発し、 家臣たちも対立を極めていた。そんな中、騒動に巻き込まれた大久保正助が謹慎になる。生活が困窮を極める大久保家を助けようと於一は奔走するが、やりすきてしまい、正助の母に断られてしまう。正助の母の誇りを傷つけたと落ち込む於一だったが、それに対して母のお幸は、それは於一のおごりだと諭すのだった。
《第四回》名君怒る
お家騒動が落ち着き、島津斉彬が藩主となった。藩内の対立にも決着がつき、処分されていたものたちも解放されるかと思われたが、すぐには改善されなかった。そんな中、於一たち今泉島津家は他の分家と共に城に招かれ、斉彬と対面することに。粗相の無いように練習を重ねてきた於一だったが、対面の時に「なぜ大久保たちは解放されないのか」といった質問をしてしまい、その視野の狭さに斉彬から叱責される。
《第五回》日本一の男
斉彬に呼ばれて城にのぼった於一は、そこで島津忠教の息子に見初められる。しかし、お由羅騒動で対立していた相手方からの縁談に、於一の父・忠剛はあまり乗り気になれない。そんな中、於一の友人の肝付尚五郎は於一にどんな人と結婚したいかを尋ねる。すると於一は「日本一の男」だと答えるのだった。於一に思いを寄せる尚五郎は忠剛に於一との縁談を頼み、忠剛も了承するが、その後於一は斉彬の養女になることが決まり、尚五郎は失恋する。
《第六回》女の道
斉彬の養女になるという話を聞き、於一は動揺する。自分が選ばれた理由がわからず困惑する於一は、斉彬へ理由を聞きにいくことに。一方で失恋した尚五郎は、手の届かないところへ於一がいってしまうことを知り、失意のどん底にいた。 藩主の養女になれるという願ってもない好機を前に、煮え切らない於一に向かって、乳母の菊本は「女の道は一本道。引き返すは恥」と告げる。そして、身分の低い菊本は、自分が於一の教育をしてきたことが、やがて於一の人生の汚点になってしまうことを危惧し、自害することで於一の人生からその存在を消すのだった。
《第七回》父の涙
仕えた姫のために自身の命も差し出すその菊本の強い生き方を見た於一は斉彬の養女として生きていく決意をする。一方、斉彬も幕府での改革のため、於一を早く自分の元へ迎えようとしていた。そしてついに於一が今泉島津家を去る日がやってくる。父・忠剛は、寂しい思いを抑えて、斉彬の元へと向かう於一を送り出していった。
《第八回》お姫様教育
本家の養女となった於一は、立派な本家の姫となれるよう、奥女中たちから日々厳しい教育をされていた。その堅苦しい日々に息苦しさを感じる於一は、なかなかその環境に馴染めない。その上、何もできない自分が、分家の出だとして笑われているような気がして、辛い日々を送っていた。しかしそんな日々の中でも、於一は城に呼び寄せた、知り合いのお近から大久保正助が謹慎を解かれたことを聞き、喜ぶ。一方その頃、斉彬は於一の教育のため、近衛家にいる待女・幾島へ於一の元へ来てもらえるように頼んでいた。
《第九回》篤姫誕生
京から幾島がやってきたことで、日々の教育は厳しさを増していった。そんな中、於一は斉彬から新しい名前をもらう。広大院にあやかってつけられたその名前こそ、「篤子」ーー篤姫の誕生だった。篤姫の教育をする幾島だったが、到底出来がいいとはいえない篤姫を見て、どうして斉彬が篤姫を選んだのか、なぜこれほど熱心に教育をさせるのか理解ができずにいた。幾島からの疑問に、斉彬は将軍への輿入れという壮大な計画を打ち明ける。一方江戸では、将軍・徳川家慶が亡くなり、その子の家祥が後を継ぐことが決まっていた。
《第十回》御台所への決心
幾島とウマの合わない篤姫は、いつも幾島へ反発する。なかなか変わらない篤姫に困った幾島は、斉彬へ篤姫に対して将軍家輿入れの件を告げるように頼む。ある日、耐えかねた篤姫は城を脱出しようと試みるが、失敗。その後、斉彬は意を決して篤姫へ、篤姫を御台所としようとしていること、それをきっかけに幕政を立て直したいことを語る。斉彬の思いに心を動かされた篤姫は、その日から心を入れ替え、御台所となれるよう日々精進していく。
《第十一回》七夕の再会
将軍家に関する書物を全て集めさせるなど、日々余念なく励む篤姫。そんな中、斉彬の優しさにより、肝付尚五郎と七夕の日に再会することが叶う。大切な友人との再会に胸弾む篤姫は、尚五郎とかつてのように囲碁をし、今泉島津家のことや薩摩のことを頼むのだった。篤姫の変化を感じ、いよいよ本当に遠くに行ってしまうことを感じ、尚五郎は切なくなるのだった。
《第十二回》さらば桜島
まずは薩摩を離れ、京へ向かうことが決まった篤姫は、家中のものたちへ斉彬の娘としてお披露目される。そのお披露目の場こそ、実家の家族や尚五郎との最後の別れの場だった。久々の再会をとても楽しみにしていた篤姫だったが、実の両親・兄弟・友人でありながらかつてのように話すことのできない実情に次第に涙が溢れ出てしまった。あまりの落胆ぶりに見かねた幾島は、最後に今泉島津家の家族と対面する場を設け、篤姫は両親と兄弟と束の間の安らぎの時間を得る。そして旅立ちの日が来ると、篤姫は今泉島津家と桜島に別れを告げ、寂しさを胸に京へと向かう。その姿を見にきた尚五郎は、最後の別れに心を痛めながら、笑顔で篤姫を見送る。篤姫にとってこれが薩摩との終生の別れとなった。
《第十三回》江戸の母君
壮絶な船旅も耐え、やっとの思いで京へ辿り着いた篤姫一行。養子縁組予定の近衛邸に入り、和やかな日々を過ごす。このまま江戸へ移り、篤姫を御台所とするつもりだった幾島だが、近衛邸の待女から、将軍家への輿入れは未確定なのだという衝撃の事実を伝えられる。一方篤姫は、江戸にいる養母(斉彬の正妻)から気遣いを受け、喜んでいた。江戸の母との会うことを楽しみに江戸へ向かった篤姫だったが、実際に会ってみると冷たく扱われ、動揺する。その上、御三卿出身の母から、島津家の分家の出のものが御台所など誰にも認められないだろうと突き放されてしまうのだった。
《第十四回》父の願い
江戸の母・英姫から、御台所にはなれないと言われた篤姫は、同様の日々を送っていた。一橋派の大名の中にも島津家の分家の出である篤姫の輿入れに反対する声は多く、困難を極めていた。ちょうどその頃、江戸城では家祥が家定と名前を変え、将軍の座につくことで新しい時代が始まっていた。ペリーの再来航など落ち着かない日々が続く中、薩摩では篤姫の実父・忠剛がなくなる。篤姫には伝えないでほしいと願う忠剛だったが、篤姫の前では嘘がつけず、斉彬は忠剛の死を伝えてしまうのだった。
《第十五回》姫、出陣
自分も江戸での斉彬への奉公を願っていた尚五郎だったが、実際に選ばれたのは西郷であり、尚五郎は落ち込む。一方、西郷は篤姫の輿入れ道具を選定する役目を任され、江戸の薩摩藩邸で篤姫との久々の再会を果たしていた。薩摩藩邸で暮らす斉彬の実子と親しく暮らす篤姫だったが、ある日嫡男の虎寿丸が亡くなってしまう。さらに斉彬も倒れ、その容体は一向に回復しない。あまりの不幸の連続に、藩内ではお由羅の呪詛ではないかという噂が立っていた。篤姫は真偽を確かめるため、前藩主とその側室・お由羅の元へ向かう。
登場人物
主人公とその一族
主人公
天璋院(てんしょういん)
(於一敬子→篤姫→天璋院)
演:宮﨑あおい(幼少:永井穂花 少女:岩本千波)
島津氏の分家・今和泉家に生まれ、於一(おかつ)と命名される。囲碁や史書を詠むことを好み、男子の通う塾に男装して潜り込んだり、下級藩士と身分の差を越えて交流するなど型破りな行動を繰り返す。その行動力が藩主・島津斉彬の目に留まり、島津宗家の養女として鶴丸城に迎えられる。その際に斉彬に篤姫の名を与えられ、斉彬からは篤子(あつこ)と呼ばれるようになる。老女・幾島に宗家の姫としての立ち居振舞いを教育され、斉彬から一橋慶喜を将軍継嗣にすべく密命を受けて将軍・家定の御台所として大奥に入る。
しかし、南紀派が多数を占める大奥での慶喜擁立工作は難航し、また篤姫自身、慶喜よりも対抗馬の慶福(家茂)に好印象を持ったことから苦悩することになる。一度は幾島の懇願に折れて慶喜を推薦するものの、最終的には「嫁いだからには自分は徳川将軍家の人間である」として家定の意向に従うことを決意する。
家定の死後は落飾して天璋院と号する。亡き夫の遺言に従って若き将軍・家茂を後見して徳川家を護ってゆこうとするが、大奥の政治介入を嫌う大老・井伊直弼と対立する。しかし、井伊の信念の強さと決断力は高く評価していた。
和宮が家茂の御台所として大奥に入ると、京出身の女官達と大奥女中たちの対立に巻き込まれるが、柔軟な姿勢を貫きつつ大御台所として両者の関係調整に腐心し、すれ違いながらも和宮との仲は少しずつ雪解けしていく事になる。また生家の薩摩藩が武力を以って幕府に改革を迫ると、その繋がりを疑われ苦悩する。長州征伐に赴いた家茂の無事をひたすら祈っていたが、その甲斐もなく家茂は死去。
家茂の死後、その後を継いだ慶喜が朝廷に大政奉還を断行すると大いに困惑するが、勝麟太郎に戦を避けるために帯刀や坂本龍馬が奔走していた事を知ると、大奥と徳川家は自分が守る事を表明し、静寛院宮や本寿院の支持を得て大奥を纏めた。薩長との戦に敗れ退却してきた慶喜に、個人的な感情を抑えて家族として慶喜を救う事を約束する。江戸総攻撃の直前、勝に養父斉彬の書状を持たせて西郷の心を動かし、遂に江戸城無血開城へと導いた。そして江戸城の明け渡しを前に混乱する奥女中たちには、全員の行く先は自らが責任を持つと宣言した。
大奥を出てからは一橋邸をはじめ東京の各地を転々とする。薩摩の人々との再会とその死別を経験しながら、徳川家を継いだ徳川家達の教育に尽くした。家達の妻となった近衛家出身の泰子の懐妊を肌着を縫って見守りつつ、東京・千駄ヶ谷の徳川邸で静かに亡くなった。
今和泉島津家
島津忠剛(しまづ ただたけ)
演:長塚京三
篤姫の父。今和泉家の当主。今和泉領主。通称は安芸(あき)。重税に苦しむ領民を気遣い、調所の進める藩政改革との板挟みになる。その為、お由羅騒動の際には斉彬の家督相続を支持した。斉彬の藩政改革にも協力し、今和泉領内への砲台建築を指揮する。お幸との仲睦まじさに、篤姫は理想の夫婦像をみていた。子供たちにも愛情を注いでおり、特に於一(篤姫)には、そのお転婆ぶりに困惑しながらも期待し、かわいがっていたが、面と向かっては厳しく接しようとして不器用な愛情表現を見せる。一時は於一を娶りたいという肝付尚五郎の意思に心を動かされるが、於一を斉彬の養女に望まれると、涙を堪えて笑顔で娘を送り出した。篤姫が江戸に旅立つ際は重病の身をおして見送りに出た。続いて江戸に発つ斉彬に「娘に余計な心配をさせぬため、自分の死は伏せて欲しい」と遺言し、間もなく亡くなった。
お幸(おゆき)
演:樋口可南子
篤姫の母。篤姫懐妊中に夢で見知らぬ老人に「その娘を江戸に連れて参る」と言われたことから、生まれてくるのが娘であり、その娘が大きな運命を背負っていることを直感する。その言動で於一に“武家の女としての心構え”“人の上に立つ者のあり方”を示し、彼女の人格形成に大きな影響を与えた。篤姫が江戸に行き、大奥に上がってからもしきりに心配をしている。薩摩藩と幕府の間の戦が濃厚となると、帯刀に天璋院に薩摩へ帰るように文を書くように請われる。一旦は固辞したが、島津久光の許しを得て、決して娘が帰らない事を承知の上で文を書いた。維新後、上京して天璋院と再会を果たし、その後、今和泉家で亡くなった。
島津忠敬(しまづ ただゆき)
演:岡田義徳(少年時代:坂井和久)
篤姫の兄。今和泉家の三男。共に小松清猷の塾に通っていた肝付尚五郎(小松帯刀)とは友人。軽薄なところがあり、秘密を抱えきれず、尚五郎に告白しては困惑させている。年の近い妹・於一とは、喧嘩するほど仲がよい。西郷吉之助が今和泉家を取り潰し寸前に追い込む原因を作ったこともあり、下級藩士たちには悪印象を抱いている。また妹や尚五郎が身分の壁を越えて西郷らと付き合っていることも快く思っていない。
兄・忠冬の死後、今和泉家の家督を相続。しかし間もなく島津久光の命で久光の五男・英之進を養嗣子にする事となる。薩英戦争では家臣らを率いて出陣した。幕府との緊張が高まると、妹のいる幕府との戦になる事を憂う。維新後は母とともに東京の天璋院の元を訪ねた。
菊本(きくもと)
演:佐々木すみ江
今和泉家の奥女中、於一(篤姫)の乳母。於一の島津宗家への養女縁組が決まると、その将来に障りがないようにと自害した。菊本の言い残した「女の道は一本道。さだめに背き、引き返すは恥」という言葉は篤姫の支えになった。
栗川孫六(くりかわ まごろく)
演:梅野泰靖
今和泉家の家老。今和泉家の政務や外交などに携わっている。次々代の忠敬の代まで仕え、薩英戦争にも出陣した。
詫摩治通(たくま はるみち)
演:少路勇介
今和泉家の家臣。忠剛の側用人として側近に仕えている。忠敬の代にも上級家臣として薩英戦争の戦列にも連なった。
しの
演:小林麻子
今和泉家の女中。後に唯一人於一に従って鶴丸城へ上がる。篤姫が江戸へ向かうと同時に暇を出され、再び今和泉家に引き取られた。以後はお幸の側近くに仕えている。明治維新後も引き続き近侍し、お幸たちの上京にも従った。
みね
演:棚橋幸代
今和泉家の女中。
島津忠冬(しまづ ただふゆ)
演:河野安郎(少年時代:藤崎剛)
忠剛の長男、篤姫や忠敬の兄。父の没後は今和泉家の家督相続を許されたが数年後に亡くなり、家督は弟の忠敬が継いだ。
島津久敬(しまづ ひさたか)
演:松尾勝久(少年時代:田中碧海)
忠剛の次男、篤姫や忠敬の兄。調所広郷らによって今和泉家の財政が緊迫する中、他家へ養子に出された。
きく/ みつ
今和泉家の女中。
薩摩藩
島津家
島津斉彬(しまづ なりあきら)
演:高橋英樹
薩摩藩主。官位は薩摩守(さつまのかみ)。その蘭癖(西洋かぶれ)を父・斉興に疎まれ、なかなか家督を継げずにいたが、お由羅騒動の混乱を経て藩主に就任。開明思想に基づいた藩政改革を行い、西郷ら有為の人材を登用する。西洋列強の脅威から日本を守るために幕政改革を志向し、幕府に発言力を高めるために養女とした篤姫に一橋慶喜を将軍継嗣として推挙するように命じ、将軍御台所として大奥に送り込んだ。
しかし、大奥の水戸嫌いは予想を上回るほどに根深く、工作は思うように進まなかった。外様の大藩・薩摩藩主という立場から表立った行動を控えてきた斉彬は、遂に「慶喜を将軍継嗣とすべし」という旨の建白書を幕府に提出する。南紀派の井伊直弼が大老に推されると、対抗して越前藩主・松平慶永を推挙した。一橋派の敗北が決定的になると、洋式装備を有する軍を率いて幕政改革を促すための上洛を計画するが、演習の検分中に病に倒れ、弟・忠教や小松帯刀らに後を託して亡くなった。
死の直前に篤姫に送った手紙には、彼女に過酷な運命を強いた詫びの言葉と共に「将来、薩摩と幕府が敵対するような事態になっても、自分の信じる道を行くように」と記されていた。その手紙は江戸城総攻撃に息巻く西郷の心を動かし、江戸城無血開城の決め手となった。
英姫(ひさひめ)
演:余貴美子
斉彬の正室。一橋家出身の誇り高い女性。幼い頃に患った疱瘡のせいで顔に痘痕が残ったことから常に頭巾を着用し、人と会うときも御簾越しでしか対面しない。篤姫に細やかな心遣いを窺わせる贈り物をしながら、初対面で出自や将軍家輿入れに否定的な発言をして困惑させる。斉彬にも捻くれた発言をする等、周囲の人間にも心を閉ざしていた。しかし斉彬が病に倒れた際は不眠不休で病の平癒を祈ったり、水戸老公・斉昭との対面を控えた篤姫に最新版の『大日本史』を届けるなど、本来は心の優しい女性。篤姫との触れあいの中で本来の優しさを取り戻し、夫とも本音を言い合えるようになる。篤姫輿入れの前夜、彼女の前で素顔をさらし初めて母親として言葉をかけた。斉彬の後の追うように死去。
島津久光(しまづ ひさみつ)
(島津忠教→島津久光)
演:山口祐一郎
斉彬の異母弟。通称は周防(すおう)。島津氏の分家の一つ重富家の当主で、当初の名は忠教(ただゆき)。自ら「人を信じられない男」とうそぶくほど冷静沈着な性格だが、たまに癇癪を起こす激情の持ち主。
お由羅騒動では反斉彬派の旗頭に担がれたが、初対面時にはお互いに好印象を抱くなど、兄との仲は悪くはなく、藩主に就任した斉彬からも御一門四家の筆頭として頼りにされていた。しかし、自身の海防策が不採用になったこと、お家騒動の融和のためにと進めた息子・右近と今和泉家の於一との縁談が於一の宗家養女入りで潰れたことから兄と距離を感じ、自領の統治に専念したいとの理由で斉彬の許を去った。
斉彬の遺言により息子・忠義が藩主となり、その後見として薩摩藩を託された。斉彬の遺志を継ごうと努めるが、当初は父・斉興が再び実権を握ったため、斉興の死後に漸く実権を握る。しかし、お由羅の子であるということと慎重な性格から血気盛んな若手の藩士たちには疑問を持たれていた。大久保ら下級藩士が脱藩突出を企てた時は、帯刀の進言を容れて諭書を出し、改めて所信を述べることで彼らの行動を鎮め、大久保を登用して若手藩士のまとめ役に抜擢した。
和宮が降嫁し公武合体がなると、帯刀や大久保の進言を容れて亡き斉彬の念願であった率兵上洛を決断するが、帯刀らの提案を受けて奄美より呼び戻した西郷に上洛は無謀といわれ、田舎者呼ばわりされたことから、その才は認めつつも激しい感情を露にする。上洛に先立って久光と改名。上洛後は公卿たちと会見して京都警護を任せられ、寺田屋での急進派藩士の粛清を経て信頼を得る事に成功し、勅使を奉じて江戸へ向かう。強引な手法で幕府に改革を断行させ、天璋院の反感を買った。その後、京都へ戻るが、既に朝廷では長州藩の勢力が台頭して薩摩藩の影響力が低下しており、やむを得ず薩摩へと帰国した。薩英戦争では徹底抗戦を唱え、総指揮を執った。徳川慶喜主催の列侯会議に列席するが、慶喜の態度に激昂して退席する。
維新後は小松の版籍奉還の提案を受け入れる一方で、軽輩出身の西郷らの政界進出には不満を持っていた。
島津斉興(しまづ なりおき)
演:長門裕之
斉彬の父。官位は大隅守(おおすみのかみ)。家老・調所広郷と共に財政改革を行い、藩財政を立て直した経験から嫡子・斉彬の蘭癖を浪費の元と見做し家督相続を渋り、庶子・忠教(久光)を跡目に据えんと画策する(ただし、すぐには忠教に家督を継がす意思がないような発言もしていた)が、お由羅騒動の責任を取らされる形での隠居を余儀なくされる。隠居後は側室・お由羅と共に江戸・高輪の藩邸に住む。斉彬の死後、再び藩の実権を握ると幕府との無用の衝突を避けるため斉彬の改革に対する反動政策を取るが、程なくして亡くなった。
由羅(ゆら)
演:涼風真世
斉興の側室。江戸の町家の出で、元は島津家の侍女。我が子・忠教を家督にと願い、薩摩藩にお家騒動を引き起こす。斉興隠居後は共に高輪藩邸に住む。斉彬襲封後も望みは捨てておらず、斉彬の子供が次々と夭折するのは彼女の呪詛によるものであると国許・江戸邸で噂されている。斉彬の死後、斉興とともに薩摩に移り、久光にも久しぶりに会った。しかし、程なくして斉興は亡くなり、その死を看取った。
島津忠義(しまづ ただよし)
演:中川真吾
久光の嫡男。幼名は又次郎。斉彬の臨終の際に斉彬の子である哲丸を准養子とする事を条件に継嗣となった。家督継承後は茂久と改名。やや血気に勝る性格で、父に諌められる事もしばしばある。藩主としては薩英戦争に参戦。また王政復古の大号令の際には朝廷に参朝した。
於哲(おてつ)
演:吉高由里子
島津忠教の娘。御一門家の娘の中でも器量良しの姫であった。
島津右近(しまづ うこん)
演:加治将樹
島津忠教の子。斉彬の藩主襲封の際に於一を見て一目惚れし、父の後押しもあって縁談にまで進むが、於一が斉彬の養女となったために断念する事となった。
島津寛之助(しまづ ひろのすけ)
演:近藤隆正
斉彬の子。斉彬が世子の折に幼くして病没する。その病室の床下から、お由羅による呪詛人形が発見されたとの噂が広まり、後の騒動の遠因となった。
島津篤之助(しまづ とくのすけ)
演:本川嵐翔
斉彬の子。寛之助に続いて夭折し、斉彬を大いに悲しませた。
虎寿丸(とらじゅまる)
演:渡邉奏人
斉彬の子。篤姫が江戸に上った際に藩邸で世子として育てられていた。篤姫に懐いていたが、間もなく早世した。
暐姫(てるひめ)
演:飯田汐音
斉彬の娘。江戸の藩邸で暮らしており篤姫に懐いていた。
典姫(のりひめ)
斉彬の娘。姉妹らと江戸の藩邸で暮らしている。
寧姫(やすひめ)
斉彬の娘。姉妹らと江戸の藩邸で暮らしている。一番下の娘であり、篤姫にも懐いていた。
於定(おさだ)/ 於寛(おひろ)
演:阿嘉真理乃(於定)/ 戎怜菜(於寛)
島津忠教の娘たち。宗家の姫となった篤姫に謁見した。
奥女中たち
小の島(おのしま)
演:佐藤藍子
江戸藩邸の奥向きを取り仕切る老女。篤姫の突飛な行動に振り回される。
篤姫の将軍家輿入れ後は斉彬の命を受けて幾島・西郷と共に慶喜将軍継嗣の政治工作に関ることになる。しかし、工作は失敗。島津斉彬の死後、藩の実権が斉興に移ると共に役目を解かれた。
後に小松帯刀の周旋によって天璋院に薩摩へ帰るよう説得する為に大奥に現れる。不退転の覚悟を示していたが、天璋院の意志は固く、使命を果たすことはならなかった。
広川(ひろかわ)
演:板谷由夏
篤姫付きの老女。鶴丸城の大奥を統括している。分家から養女に入った篤姫に厳しく接するが、篤姫の心機一転後は感服して従うようになる。
高山(たかやま)
演:左時枝
鶴丸城の奥女中で、篤姫付きの侍女。鶴丸城入城直後の不安定な篤姫の心を開こうと腐心する。
藤野(ふじの)
演:北原佐和子
江戸藩邸の英姫付き老女。小の島とともに奥を取り仕切る。篤姫にはあまり好印象を抱いていなかった。
喜尾(たきお)
江戸藩邸の女中。
ゆき / ひさ
演:松田美保(ゆき)/ 太石好美(ひさ)
鶴丸城の奥女中。鶴丸城に入った篤姫付きとなる。
小松家・肝付家
小松帯刀(こまつ たてわき)
(肝付尚五郎→小松尚五郎→小松帯刀)
演:瑛太
肝付家の三男。当初の名は肝付尚五郎(きもつき なおごろう)。趣味は薩摩琵琶。
篤姫の兄・島津忠敬と共に小松清猷の塾に通っており、そこで於一と出会う。天真爛漫な於一に振り回される内に彼女に想いを寄せるようになるが、於一が島津宗家の養女となったことで叶わぬ恋に終る。身分の差を越えて下級藩士の西郷吉之助・大久保正助らとも対等の友人として付き合う。清猷の急死後、島津斉彬の命で清猷の妹・お近と結婚して小松家の婿養子となる。
小松家を継いでからは領地・吉利の統治に専念し、成果を上げる。それが藩主・斉彬に認められ、帯刀の通称と清廉の諱を与えられ、家中の若侍の頭として装備の洋式化を始めとする薩摩藩の軍制改革を任された。
斉彬の死後、その忠勤を藩の実権を握った忠教(久光)に認められ、引き続き御側用人として仕える。久光の上洛の際は、西郷の赦免や急進派藩士の慰留に奔走した。共に江戸に赴き、幕政改革の建白に尽力するが、久光や大久保の強引な手法には疑問を抱く。後に勝麟太郎に「人を動かすには、力ではなく心」と諭され、大いに共感を覚える。また天璋院と再会し、薩摩は自分が守ると改めて約束を交わした。薩摩に帰郷後は若年ながら家老職に就任する。間もなく起こった薩英戦争では久光に指導を命じられるが、開戦の結果鹿児島の町を焦土としてしまい、後悔の念に襲われる。
寄る辺を無くした海軍操練所の塾生を助けた事から坂本龍馬と親密になり、西郷や大久保と協力して薩長同盟を締結する事に成功する。髪形を総髪に改めるなど龍馬の自由な生き方に憧れる一方で、京都の屋敷に転がり込んできた芸妓・お琴の扱いと、彼女の存在を知ってしまったお近の機嫌をとり直すことに難儀する。孝明天皇の崩御後は将軍・徳川慶喜に提言して列侯会議の開催に尽力した。
西郷や大久保が武力倒幕へと傾く中、龍馬の大政奉還策に共感を示し、慶喜にその急務を説き大政奉還を実現させた。しかし一方で西郷と大久保との進路に隔たりを感じ始める。
その後、病のせいで足が不自由になる。藩が幕府との開戦に傾くと、江戸城の天璋院を救うために奔走する。しかし徳川家との戦を止める事は叶わず、開戦を悟ると病をおして上京する。新政府では総裁局顧問に任じられ、外国事務局委任の内定を受ける。京で再会した幾島に最後の望みを託し、江戸無血開城が実現された事に安堵した。その後は幕府の面目を保つためにも版籍奉還を主張する。また自らの余命を悟り東下し、一橋邸で天璋院と再会を果たす。碁盤を挟んで自らの想いを告白し、自らと天璋院のこれまでの人生が幸せだったことを実感する。その後、体調を崩して大阪で闘病生活を送るが回復の兆しは見えず、お近が見守る中で死去し、息子・安千代をお近に託した。
小松清猷(こまつ きよみち)
演:沢村一樹
吉利領主。島津斉彬が藩主世嗣の頃から側近として仕えている。容姿端麗にして頭脳明晰な人物。薩摩藩の名門の出身ではあるが、異例とも言える昇進で斉彬の右腕となった。
後輩達の育成を考え、自宅で塾を開いており、篤姫や肝付尚五郎らから「先生」と呼ばれて慕われていた。家柄や常識にとらわれず周囲の意見を聞き、人望もある。斉彬の海防政策の一環で琉球に派遣されることになり、尚五郎に後事を託して旅立つが、同地で病に罹り急死する。
お近(おちか)
演:ともさかりえ
小松清猷の妹で小松帯刀の妻。体が弱く、あまり表に出ずに自宅で香道を教えている。
尚五郎(帯刀)に想いを寄せ、江戸詰になれずに国許で腐る彼を叱咤激励していた。兄が急死したため、尚五郎を婿養子に迎えて小松家を継がせた。控えめな性格ではあるが、時に愚痴をこぼしたりする夫を叱咤激励する事もある。
お琴の存在を知った時には憤りを顕にしたが、お龍に夫が生きている事が幸せだと諭されて認めるようになった。しかし帯刀とお琴の間に子が産まれたと知ると複雑な心境に陥る。
脚の病で不自由になった帯刀を支え、薩摩での活動を助ける。 維新後、帯刀が病に倒れると琴の知らせを受けて大阪に上り、帯刀の最期を看取った。
於一とも香道を通じて親交を持ち、大久保利通が凶刃に倒れた後、東京の天璋院に香木を贈った。
お琴(おこと)
演:原田夏希
小松帯刀の側女。元は祇園で一・二の人気を誇る芸妓で琴花と称していた。
西郷吉之助(隆盛)が藩に復帰した際の宴席で帯刀と出会う。帯刀に興味を持ち、小松邸に許しも無く上がりこんでくる。後に芸妓を辞めて正式に帯刀の元に置かれる事になる。帯刀が一時薩摩へ帰っている間に安千代を産み、帯刀を驚かせた。
維新後、帯刀が倒れて大阪で入院するとその看病に徹し、また薩摩のお近に近況を報告した。
肝付兼善(きもつき かねよし)
演:榎木孝明
喜入領主。小松帯刀の実父。篤姫の父・島津忠剛とは友人で共に藩主・島津斉彬を支持していた。
尚五郎が下級藩士たちと親しく付き合っていることが家の障りにならないかと心配し、苦言を呈していた。しかし西郷吉之助が江戸に旅立つ際には尚五郎を介して餞別を渡した。
尚五郎が小松家を継いだ後も交流は途絶えず、家老に昇進した息子の栄達を誇りに思っている。
小松清直(こまつ きよなお)
演:高橋平(幼少時代:中村柊芽)
小松帯刀とお琴の子。幼名は安千代。
帯刀が薩摩で国事に奔走している間に京都の屋敷で生まれた。お近との間に子が無かった帯刀は、安千代を長男として遇している。 帯刀が死期を悟った際にお近に託され、その後は薩摩で成長する。
小松清穆(こまつ きよあつ)
演:伊藤鉱
小松清猷の父。清猷が急死した後、斉彬の薫陶を受けていた尚五郎を喜んで嗣子に迎えた。
マサ
演:南一恵
小松清穆の妻。清猷とお近の母。
きぬ
演:三沢明美
肝付兼善の妻。尚五郎(小松帯刀)の生母。
上級藩士
調所広郷(ずしょ ひろさと)
演:平幹二朗
薩摩藩家老。通称は笑左衛門(しょうざえもん)。島津斉興の腹心として、重税・密貿易・贋金造りと手段を選ばず辣腕を振るって薩摩藩の財政再建に尽力した。しかし密貿易に幕府の詮議の目が向けられると、藩主・斉興に累が及ばぬよう罪を一身に負って服毒自殺を遂げた。
今和泉家への抑圧に対して抗議してきた於一を気に入り、密貿易品のナツメでもてなし「これで同じ穴の狢(むじな)」と念を押すなど、茶目っ気を見せる場面もあった。また様々な不法行為に手を染めたことについては、於一に「(薩摩のために)己の職責を果たしたまで」と語っており、己の立場に応じた責務を全うするため全身全霊を捧げることを身を以て範を示し、後の篤姫に多大な影響を与えた。
島津豊後(しまづ ぶんご)
演:中山克己(第4回:浅沼晋平)
薩摩藩家老。斉彬の世子時代はお由羅派と見なされており、斉彬襲封後は即罷免されると思われていたが、斉彬は罰する事はなかった。斉彬没後、島津斉興が復権すると、再び重用される。
島津将曹(しまづ しょうそう)
演:天現寺竜
薩摩藩家老。お由羅派として斉彬の藩主襲封後は政治生命を絶たれると噂されたが、豊後同様、続投する事となった。
島津伯耆(しまづ ほうき)
演:長沢大
薩摩藩家老。京都の藩邸に詰めており、初めて入京した篤姫を迎えた。また近衛家との折衝にあたり、篤姫が近衛忠煕の養女になる際には使者となった。
当初の役名は家老・橋口だった。
川上筑後(かわかみ ちくご)
演:岡本光太郎
薩摩藩家老。江戸の藩邸では斉彬の側近を勤める。斉彬が病に倒れた時も側に従っていた。
竪山武兵衛(たてやま ぶへえ)
演:山本竜二
斉彬の側近。篤姫が斉彬の養女となる際に今和泉家との交渉役となった。
島津久風(しまづ ひさかぜ)
演:坂部文昭
薩摩藩家老。モリソン号が山川港に来航した際に交渉役を務めた。交渉の決裂後はモリソン号への砲撃を指示した。
新納久仰(にいろ ひさのり)
演:本田清澄
薩摩藩家老。保守派であり、島津斉興が藩政に復帰すると島津豊後とともに重用される事になる。
谷村昌武(たにむら まさたけ)
演:植原健介
島津忠義の側近。
西郷家
西郷吉之助(さいごう きちのすけ)
(西郷吉之助→西郷隆盛)
演:小澤征悦
御小姓与と呼ばれる下級藩士のひとり。尚五郎とは身分を越えた友人。
郡方書役助(こおりかたかきやくたすけ)を務めていた際、農民の窮状を見かねて今和泉領主・島津忠剛に直訴を行い、それが元で今和泉家は取り潰し寸前に追い込まれた。島津斉彬の藩主相続を支持し、後に建白書が認められて江戸詰の一員に加えられ、庭方役と呼ばれる斉彬の側近に取り立てられる。篤姫の将軍家輿入れの際は、その嫁入り道具の調達一切を取り仕切った。
篤姫輿入れ後は、幾島・小の島と共に一橋慶喜将軍継嗣の政治工作に関ることになる。しかし、慶喜将軍継嗣の工作は失敗。斉彬の死後は幕府に追われる身となり、藩上層部からも見捨てられる形となった西郷は同志の僧・月照と錦江湾に身を投げるがひとり生き残り、表向きは死んだことにされて奄美大島へ流された。
島津久光が上洛を決断すると、京の情勢に詳しい者として帯刀に推薦されて帰郷を果たした。その後、久光と謁見するが、その率兵上洛を否定した挙句、無位無官の久光を「地ごろ」(田舎者)と表現したために久光の怒りを買った。その後、大久保から久光が斉彬の遺志を継ごうとしている事を聞いて上洛する事を決断。本隊に先行して下関へ発ったが、命に背いて大坂へ赴いたために久光の怒りを買って再び遠島となった。しかし京都で勢力を挽回しようとする久光の思惑によって再復帰し、軍賦役として長州藩との戦いに活躍する。そして帯刀や坂本龍馬らと協力して薩長同盟を締結した。
慶喜が将軍に就任すると、亡き斉彬の遺志が実現したと喜び、列侯会議に期待を寄せていたが、会議が頓挫したことで慶喜や将軍家自体に失望し、武力倒幕論に傾き大久保や岩倉具視と策を練り、幕府を挑発するために江戸城に火を放たせた。そして鳥羽・伏見の戦いで薩摩軍を指揮して勝利。
江戸攻めでは官軍の総参謀に任命される。徳川家を倒してこそ新しい時代が開けると信じ、幾島から天璋院からの手紙を受け取って感涙しながらもその嘆願を固辞した。江戸に入ると勝麟太郎と交渉し、一度は決裂しかかるが、天璋院の斉彬からの手紙を見せられてかつての自分を思い出し、江戸城無血開城を承諾した。
維新後は隆盛と名乗る。新政府設立後間もなく薩摩に下野するが、死の間際の帯刀からの手紙を受けて復帰し、廃藩置県などの改革を断行。大久保らが外遊中の留守政府を預かるが、間もなく大久保らを憚って再度下野、天璋院に暇乞いをして鹿児島に帰国、西南戦争で自刃した。
西郷信吾(さいごう しんご)
(西郷信吾→西郷従道)
演:水谷百輔
西郷の弟。名は従道。兄とは違って血気盛んな性格。有馬新七に同調して、同志たちとともに京都寺田屋で京都所司代暗殺を謀った。その後の旧幕府軍と戦闘では、兄とともに薩摩軍幹部として列席する。
西郷吉次郎(さいごう きちじろう)
演:真島公平(第6回:鈴木兵太郎)
西郷の弟。弟の信吾と郷中仲間に顔を出している。
西郷吉兵衛(さいごう きちべえ)
演:五王四郎
西郷の父。西郷とスガの宴席に出席している。
スガ
演:森脇由紀
西郷の妻。尚五郎や大久保らに祝福されながら結婚した。
政子(まさこ)
演:高岡雅子
西郷の母。西郷とスガの宴席に出席している。
西郷龍右衛門(さいごう りゅうえもん)
演:小泉龍彦
西郷の祖父。西郷とスガの宴席に出席している。
コト / タカ
演:室伏由紀江(コト)/ 青木琴子(タカ)
西郷の妹。西郷とスガの宴席では来客への給仕を担当していた。
大久保家
大久保正助(おおくぼ しょうすけ)
(大久保正助→大久保一蔵→大久保利通)
演:原田泰造
西郷の幼馴染。剣術勝負を挑んだ尚五郎に西郷に代って相手をした。物事を冷静かつ多面的に捉えることのできる頭脳明晰な人物で調所の財政改革を批判する仲間たちの前でその良い面を挙げたり、斉彬への忠誠心から過激な行動に走ろうとする仲間を窘めたりしている。
お由羅騒動に巻き込まれ御役御免となり、謹慎処分を受ける。斉彬の藩主就任後は許されて役目に復帰した。しかし父・利世がなかなか赦免されないことに苛立ち、斉彬に対する不信感を口にしたこともある。西郷が江戸詰になってからは、その手紙を通じて尚五郎らに最新の情報を伝えることになる。
藩主の側近として最前線で活躍する西郷、領地の経営に打ち込む尚五郎を見て、己の生きる道が定まらないことに苦悩するが、西郷と自分にある差に奮起し、以後は冷静な観点で若手藩士たちをまとめて精忠組を結成する。過激な行動に走りがちな精忠組の統制に力を発揮し、帯刀の推薦もあって御小納戸役に出世し忠教(久光)の側近に取り立てられるが、それが逆に有馬新七ら精忠組過激派の不信を買うことになる。
帯刀と共に西郷の赦免に奔走し、西郷の復帰後はその慰留を努めた。久光の率兵上洛を前に一蔵と改名し、上洛が成ると勅命を回避しようとする幕府に対し強硬な手段を断行する。後の薩長同盟にも西郷や帯刀とともに立ち会う。薩摩藩を代表して、長州征伐には朝廷の警護を口実に不参加を慶喜に表明した。
慶喜が将軍に就任した頃には、帯刀とは対照的に早くから武力討幕を論じるようになる。西郷とともに岩倉具視に接近して策を練り、錦の御旗を戦で掲げることによって慶喜を朝敵として戦を勝利に導いた。徳川家を警戒し、江戸進軍を推進するほか領地大幅削減などの厳しい処分で臨む。
維新後は利通と名乗り、東京に居住。西郷の新政府参加前に旧知の天璋院を訪れ、天璋院に帯刀の逝去を伝えた。新政府には太政官筆頭格として政務を預かるが、西郷の戦死後間もなく自らも志半ばで凶刃に倒れた。
大久保利世(おおくぼ としよ)
演:大和田伸也
大久保の父。お由羅騒動に連座して遠島処分となる。斉彬襲封後5年たってようやく許され、薩摩に帰還した。
フク
演:真野響子
大久保の母。お由羅騒動に連座して夫・利世が遠島、息子・正助が謹慎となり収入の道を断たれて困窮する大久保家を支えた。見かねた篤姫が施しをしようとすると、篤姫の好意には謝しつつも「貧しい暮しをしている者にも誇りがある」と説き、その申し出を辞した。
斉彬が藩主となり、夫と息子の罪が許されると、西郷に差をつけられたことに焦り悩む正助を支える。
スマ
演:栗原瞳
大久保の妹。父が遠島となり家計が貧窮した際には扇を作るなどの内職をして家計を助けた。
ミネ
演:高松いく
大久保の妹。スマとともに内職に励む。たまに遊びに来る於一とも仲がよい。
下級藩士
有馬新七(ありま しんしち)
演:的場浩司
西郷たちの郷中(ごじゅう)仲間。尚五郎にお由羅の呪詛の噂を教えた。
攘夷思想の持ち主で、剣術の稽古でペリーの似顔絵を少年たちに叩かせたり、斉彬が病に倒れた際には「江戸に行ってお由羅を斬る!」と息巻いて大久保に窘められる等、過激な行動に走りがち。藩の実権を握った久光を「斉興様とお由羅の子」と過小評価し、不信を持っていた。
久光が大久保のみを登用し、政策をはっきりさせない事に腹を立て精忠組を離れた。久光が上洛するに当たって、同志たちとともに京都寺田屋で京都所司代の暗殺を謀るが、久光の命で突出中止を迫られる。しかしこれを拒絶したために精忠組の同志たちによる上意討ちに遭い応戦。最期は道島五郎兵衛を押さえつけて、橋口吉之丞に自分ごと刺殺させた。この事件によって久光は朝廷の信任を得る事に成功する。だが、その真意は突出が成功しても失敗しても、薩摩ひいては日本のためとなる事を見越しての事であった。
伊地知正治(いじち まさはる)
演:三宅弘城
西郷たちの郷中仲間。片目が不自由でいつも眼帯をしている。仲間内では過激な意見を出す事もある。のち仲間たちとともに島津久光の率兵上洛に同道する。帰国後のイギリス艦隊来襲では代理公使ニールとの交渉を担当するが決裂。交戦に当たっては最前線で砲撃を指揮した。旧幕府軍との戦闘が始まると、薩摩軍の幹部として活躍する。江戸攻めでは別働隊を率いて進軍する。
海江田信義(かえだ のぶよし)
(有村俊斎→海江田信義)
演:平山広行
西郷たちの郷中仲間。有村雄助、次左衛門の兄で、当初の名は有村俊斎(ありむら しゅんさい)。
西郷たちのグループでは早いうちに斉彬の側近として江戸へ出府した。桜田門外の変で弟たちが当事者になると、それを庇おうとする仲間たちとは意見を異にし、雄助を切腹させる事で藩意と雄助の士道を全うさせた。後に海江田信義と改名し、島津久光の率兵上洛にも同道する。帰国後も薩英戦争に従軍する。旧幕府軍との戦闘でも薩摩軍の重鎮として参戦し、江戸進軍では西郷の側で働く。
江戸城接収では薩摩軍を率いて江戸城に入り、天璋院の部屋を見てその美しさに息を呑む。
大山綱良(おおやま つなよし)
演:俊藤光利
西郷たちの郷中仲間。尚五郎が江戸に旅立つ際、「無事の帰還を祈って」と“なた豆”を餞別に渡すが、尚五郎が僅か3ヶ月で薩摩に戻ってきたため俊斎に「なた豆など渡すからだ」と責められた。後に島津久光の率兵上洛に同道する。有馬新七ら急進派の説得を命ぜられるも失敗し、上意討ちによって同志たちを斬り捨てる事となった。帰国後の薩英戦争では仲間たちとともに砲撃を指揮した。鳥羽・伏見の戦いでは意気盛んに薩摩軍を指揮、西郷の江戸進軍にも従軍する。海江田信義とともに江戸城に入り、大奥に活けられた生け花を見て絶句する。
有村雄助(ありむら ゆうすけ)
演:田上晃吉
西郷たちの郷中仲間。俊斎の弟。弟の次左衛門とともにグループによく顔を出している。安政の大獄に反発し、次左衛門らとともに江戸で井伊大老襲撃を企てる(桜田門外の変)。変後は薩摩に帰郷して仲間たちに歓待されるも、藩に背いた罪によって切腹となった。
有村次左衛門(ありむら じざえもん)
演:遠藤雄弥
西郷たちの郷中仲間。俊斎や雄助の弟。血気盛んな性格で、兄の雄助とは喧嘩をする事もある。雄助や水戸浪士らとともに井伊大老襲撃を計画し、桜田門外でその首級を討ち取り、自害して果てた。
奈良原喜八郎(ならはら きはちろう)
演:武智健二
郷中仲間。藩主斉彬の没後、その対立候補だった久光やその父・斉興の復権に、仲間たちと否定的な異見を唱えている。しかし久光が率兵上洛する際にはそれに同道する。大山綱良らとともに、有馬新七ら急進派藩士の必死の説得に当たるが、有馬の意思を変える事はできず、上意討ちを決行した。薩摩への帰路、行列を妨害したリチャードソンに斬り付け、新たな火種を蒔く事になる。帰国後は薩英戦争に参戦している。旧幕府軍との戦闘では、敵軍の出陣を薩摩軍に知らせた。江戸進軍にも従う。
道島五郎兵衛(みちしま ごろうべえ)
演:矢野義人
精忠組の同志。島津久光の率兵上洛に同道し、大山綱良や奈良原喜八郎らと有馬新七ら急進派の説得に寺田屋へ派遣される。しかし説得は果たせず上意討ちを決行する。その際に有馬と斬り結び動きを封じられ、新七とともに橋口吉之丞によって刺殺された。
橋口吉之丞(はしぐち きちのじょう)
演:石川賢二
精忠組の同志。有馬新七に共鳴して京都での突出を謀る。しかし島津久光の怒りを買い上意討ちを決行される。その戦闘の最中、有馬の指示で有馬と道島五郎兵衛を共に刺殺した。
※※続く
ーーー
初版20250111 その2/3
ー
(画像・ 1) /
(画像・ 2) /
(画像・ 3) / (画像・ )/ (画像・)/
ー ※以下は時節項画像👇
👉(画像・ ) /(画像・)/
ー