財務省から
「平成26年上半期中 国際収支状況(速報)の概要」
なるタイトルの
報告がありました。
添付された次のような図表を見ると、
日本の置かれた
経済の落ち込み具合が一目瞭然です。
数値で言うと、
経常収支が14年度上半期において、
5075億円の赤字でした。
今までは、
赤字は貿易収支の話のレベルに止まりました。
しかし、今回、初めて
13年下半期と合わせ経常収支も赤字だということが
はっきりしました。
これは、
日本の会社が
全般的に企業として成り立っていないことを
意味するわけで、
前年3兆3131億円の黒字と較べて見て下さい。
日本経済の急落ぶりの著しさが
了解できます。
最近に至るまでマスコミは、
安倍政権に擦り寄り、
空疎な経済政策を「アベノミクス」などと
持ち上げては、
「好景気‟到来”」を匂わせてきました。
それがいかに事実に反した楽観報道であったかが
立証された形です。
結局は、たくさんな人を迷わせた末、
空手形に終わります。
にもかかわらず、
読売などは、
まだ未練がましく、アベノミクスに失敗がなかったかのように
「原子力発電所の停止による火力発電の燃料の輸入が増え、国内企業が生産拠点を海外に移転して輸出が伸び悩んでいる」
などと空々しく書き連ねています(〔資料ー2〕参照)。
大企業が生産拠点を海外に移転して
輸出が伸び悩むだろうから円安誘導をしたわけでしょ?
経常収支が赤字転落した理由に、
今更それを持ち出すのは、
もし、経済音痴でなかったとしたら、
分析のやり方が
ご都合主義に過ぎます。
消費増税前の駆け込み需要が
結果が出る前は、
好景気の証として喧伝され、
今は、
経常収支が赤字転落の言い訳になっている点においても
露骨なご都合主義の傾向が認められるのと
同じです
(ただし、後者の、この点は、
東京新聞も特殊要因として説明していていて、
同罪。
駆け込み需要が
経常収支で赤字要因になるほど、
日本は、
輸入に依存している国だという
指摘がなければ、
報道機関としてとても不親切です
<→〔資料ー5〕参照>)。
概して、
日本の記者は、
ジャーナリストと言うより、
報道ゴロ
(情報を弄ぶ売文業のゴロツキの略)と言った方が適切なんでしょうか。
また、火力発電の燃料云々の話も
消費量がその総量において、
原子力発電所が事故を起こした2011年度当時と変わらず
(拙稿「アベノミクスの結果、辿りつく大貧困(スタグフレーション)時代」所収の資料、
野口悠紀雄氏・文「スタグフレーションに突入しつつある日本」参照
*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/aead5b29a1f02a693f04fd29aa2c2c60)、
しかも燃料の天然ガス価格が
下落傾向(〔資料ー4〕参照)であることを
考えれば、
説得力がまるでありません。
もっと真剣に
鉱工業生産における停滞感(〔資料ー1〕参照)を
受け止めるべきと思います。
企業が設備投資費を出し渋っているから
こういう結果が生じるんです。
サイト「真実を探すブログ」が指摘するように
――民主党の管政権や野田政権では貿易赤字が一定の水準に抑えられていました。それが2013年から激増し、2014年は僅か半年で前年を上回るほどの赤字となっています。これはアベノミクスに伴う影響だと見られ、彼の掲げていた「円安で貿易輸出拡大」という政策が間違っていたことを示している――
ということです。
☆ 記事URL:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-3433.html
ちなみに、
株価は、これです。
8月8日、週末でこの値動きです。
日本の
輸出企業はダメや
と外国投資家から投げ出された格好です
(〔資料ー3〕参照)。
〔資料ー1〕
「鉱工業生産6月は出荷が5カ月連続減、在庫積み上がりで夏も停滞感」
ロイター(2014年 07月 30日 11:03 JST)
☆ 記事URL:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FZ00120140730
[東京 30日 ロイター] - 経済産業省が30日発表した6月鉱工業生産指数速報は前月比3.3%と大幅低下となった。増税直後の4月をも上回る低下幅となり、ロイターの事前予測も下回った。
出荷が5カ月連続で減少し、5月に続き在庫も積みあがっている。生産抑制が追い付いていない状況で、経済産業省は「生産は弱含み」と判断を下方修正した。生産予測指数は7月、8月と上昇見通しとなっているものの、6月の悪化により押し上げられたまでで、生産計画は下ぶれが続いている。企業の需要読み誤りがうかがえ、生産水準は夏場も低調なままになりそうだ。
6月の生産の低下幅3.3%は「過去にもなかなかない」(経済産業省)ほどの大きさとなった。輸送機械を筆頭に、ほぼ全業種にわたり低下している。出荷指数は前月比1.9%低下で、5カ月連続の低下となった。在庫指数は1.9%と2カ月連続の上昇。在庫率はこの1年で最も高い。増税の反動減で耐久財需要が弱く、輸出も振るわないことから、需要が減少し生産調整が追い付かず、在庫の増加につながっている。
出荷がこれほど長期に低下を続けたのは2012年4月の景気の山と認定された時に匹敵し、景気後退局面入りの予兆と見える。
夏場にかけても生産の回復は鈍そうだ。生産予測指数は7月が前月比2.5%上昇、8月が同1.1%の上昇となっているが、経済産業では、企業が強気に転じたわけではないとしている。6月の実績値が2%以上下ぶれしたことで、生産計画が一定でも前月比が上がって見える。実際、前月までの計画に比べると7月の予測指数は1%以上、下ブレしている。7─9月期は予測指数を前提とすると前期比1%程度上昇することになるが、在庫積み上がりからみて、実際に上昇するかどうか見極めが必要だ。
経済産業省では、在庫循環でみると、6月は在庫積み上がり局面への移行の瀬戸際にあるため、「このまま積み上がり局面に移れば生産抑制の必要性から先行き不透明感が強まる」とみている。
*情報を追加して再送します。
(中川泉)
〔資料ー2〕
「上半期の経常収支、初の赤字に…貿易赤字拡大で」
読売新聞(2014年08月08日 11時28分)
☆ 記事URL:http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140808-OYT1T50018.html
日本が外国とやり取りしたモノやカネの収支を示す経常収支は、2014年上半期(1~6月)に5075億円の赤字となり、比較できる1985年以降で、上半期として初めて赤字に転落した。
半期ベースの赤字は、13年下半期(788億円の赤字)から2期連続となった。財務省が8日発表した国際収支統計で分かった。
モノの取引を示す貿易収支の赤字が増えたことが原因だ。原子力発電所の停止による火力発電の燃料の輸入が増え、国内企業が生産拠点を海外に移転して輸出が伸び悩んでいる。経常収支は「稼ぐ力」を示す指標で、日本経済の体力の低下が進んでいる。
14年上半期の貿易赤字は6兆1124億円と、前年同期の3兆4270億円から大幅に膨らんだ。半期ベースでは、13年下半期(5兆3465億円の赤字)を上回り、最大となった。消費増税前の駆け込み需要による消費財の輸入増も影響した。
〔資料ー3〕
「日経平均、反落して始まる 米株安・円高を嫌気」
日本経済新聞(2014/8/8 9:09)
8日の東京株式市場で日経平均株価は反落して始まった。前日比168円64銭安の1万5063円73銭で始まった。前日の米国株式市場でダウ工業株30種平均が約3カ月ぶりの安値になったことを嫌気した売りが先行した。円相場も1ドル=102円近辺と前日より円高・ドル安で推移しており、輸出株などに売りが出ている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
〔資料ー4〕
「天然ガス価格が下落傾向に エネ研見通し、欧州需要減少 」
日本経済新聞(2014/7/10 20:30 )
☆ 記事URL:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ10H6V_Q4A710C1TJ1000/
日本エネルギー経済研究所は10日、日本やアジア向けの液化天然ガス(LNG)価格が2015年にかけて下落傾向で推移するとの見通しを発表した。欧州の発電需要減少に伴いスポット価格が下がるため。国内では原子力発電を代替する火力発電向けの天然ガス消費量が東日本大震災前と比べ3割増えている。電力会社の調達コスト削減につながりそうだ。
LNGの輸入価格は13年の100万BTU(英国熱量単位、約25立方メートル)当たり16.1ドルから15年に同15ドル前後に下がると予測。長期的にはロシアが5月に中国と大型の供給契約を結んだことがアジア市場の契約交渉に影響し、日本向け価格の下落につながる可能性も指摘した。
エネ研は同時に石油と石炭の市場見通しも発表。石油は治安の悪化でイラクの減産が懸念されるものの、リビアの生産回復などで価格面で大きな変動はないと予想。ドバイ原油は15年に平均1バレル103ドル程度と予想した。需要が減った石炭の価格は発電向けの一般炭を中心に供給過剰が解消。15年の一般炭価格は1トン80ドル台に回復するとした。
〔資料ー5〕
「経常赤字なぜ続く 海外拠点増 輸出伸びず」
東京新聞(2014年8月9日 朝刊)
☆ 記事URL:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014080902000130.html
二〇一四年上半期(一~六月)の経常収支が赤字になった。半期ベースでの赤字は、一三年下半期に続き二回目。経常収支を構成する貿易収支が、想定よりも伸びていないことが原因だ。日本の「稼ぐ力」である経常収支に何が起きているのか。 (石川智規)
Q 経常収支を説明するとき、なぜ貿易収支の話が中心になるの。
A 経常収支は主に四つの収支の合計で算出される統計だ。四収支のうち、輸出入のやりとりの結果である貿易収支の額が圧倒的に大きいため、貿易収支の状況を分析することが、そのまま経常収支を説明することにつながるんだ。
他の三つの収支は、海外企業などへ投資して得られる利子や配当金などから成る「第一次所得収支」、海外輸送や海外旅行の「サービス収支」、他国への寄付金や贈与による「第二次所得収支」だ。
Q 貿易収支は赤字が続いているようだね。
A よく言われる要因は、東日本大震災以降に原子力発電所が止まり、火力発電に使う燃料輸入が増えたという見方だ。最近の円安で輸入価格がさらに高くなった面も確かにある。
しかし専門家によると、原発停止の影響は貿易赤字の一要因にすぎない。仮に原発が再稼働して燃料輸入が減ったとしても、年間三兆~四兆円の赤字解消効果でしかないという。一三年の貿易赤字額は約十兆円だ。原発停止ですべてを説明することはできない。
Q じゃあ他の要因は。
A 輸出だ。一九八〇年代以降、自動車や電機などの輸出企業は国内で製品を作り、円安に助けられて輸出を増やしてきた。だが今は、生産拠点を海外に移して現地で生産・販売をする企業が増えたため、円高が是正されても輸出が増えにくくなった。日本の産業構造の変化が大きい。
今年上半期は、この構造変化に加え、消費税増税前の駆け込み需要で、電気製品や衣服などの輸入が急増する特殊要因もあった。
Q 経常赤字や貿易赤字の問題点は。
A 日本全体として「稼ぐ力」が衰えているという一面は否めない。国内の生産が減れば、雇用や賃金にも影響する。一方で、海外への投資が増えれば、そこから得る利益(所得収支など)が増える。堅調な経済を保つ米国や英国も経常赤字の国だ。必ずしも悪い面ばかりではない。
〔資料ー6〕
「国際収支:経常収支5075億円の赤字転落 14年上半期」
毎日新聞 (2014年08月08日 09時33分)
☆ 記事URL:http://mainichi.jp/select/news/20140808k0000e020135000c.html
◇半期ベースで2期連続赤字、上半期赤字は85年以降初
財務省が8日発表した2014年上半期(1〜6月)の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は、前年同期の3兆3131億円の黒字から5075億円の赤字に転落した。暦年の半期ベースでの経常赤字は2期連続で、赤字幅は13年下半期(7〜12月)の788億円から拡大し、比較可能な1985年以降、過去最大となった。上半期の赤字転落は初めて。円安や消費増税前の駆け込み需要で輸入が増えた一方で、輸出が伸び悩み、貿易赤字が比較可能な96年以降で過去最大となったことが主因だ。
経常収支は、東日本大震災後の原発停止で火力発電向け燃料の輸入が増加し、11年下半期から貿易赤字に転落したことを機に悪化。アベノミクスによる円安が輸入額を押し上げ、海外投資から得られる利子や配当などの「第1次所得収支」の黒字でも穴埋めできなくなった。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6兆1124億円の赤字で、赤字幅は前年同期から2兆6855億円拡大した。輸入は前年同期比14.7%増の41兆8752億円と9期連続で増加した。火力発電向け燃料の液化天然ガス(LNG)や原油に加え、電子部品の輸入が増えた。駆け込み需要に対応した企業の増産に伴い、原料などの輸入が増えたことも影響した。
輸出は自動車などが堅調で、同8.1%増の35兆7627億円と3期連続で増加した。ただ、伸び方は輸入に比べて緩やかだ。製造業が生産拠点の海外移転を進めたうえ、円安を値下げにつなげて数量を稼ぐより、価格を一定程度維持して収益を重視する姿勢を強めているためと見られる。
一方、第1次所得収支は前年同期比4.2%減の8兆3226億円にとどまった。前年同期に直接投資による配当金の受け取りが大きく伸びていたため、増勢が一服した。医薬品の特許など知的財産権等使用料の収支が7855億円と過去最大の黒字となったが、旅行や物流などを含めた「サービス収支」としては1兆5780億円の赤字。税金や労働者の送金など対価を伴わない資産のやり取りを示す第2次所得収支も1兆1397億円の赤字だった。
同時に発表された14年6月の経常収支も、前年同月の3777億円の黒字から、3991億円の赤字に転落した。月別の経常赤字は今年1月以来5カ月ぶりで、6月としては初めて。貿易収支が5371億円の赤字となったことが響いた。市場では「足元では輸出入とも低迷しており、経常収支は当面黒字と赤字を行き来しそう」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との声も出ている。【小倉祥徳】
「平成26年上半期中 国際収支状況(速報)の概要」
なるタイトルの
報告がありました。
添付された次のような図表を見ると、
日本の置かれた
経済の落ち込み具合が一目瞭然です。
数値で言うと、
経常収支が14年度上半期において、
5075億円の赤字でした。
今までは、
赤字は貿易収支の話のレベルに止まりました。
しかし、今回、初めて
13年下半期と合わせ経常収支も赤字だということが
はっきりしました。
これは、
日本の会社が
全般的に企業として成り立っていないことを
意味するわけで、
前年3兆3131億円の黒字と較べて見て下さい。
日本経済の急落ぶりの著しさが
了解できます。
最近に至るまでマスコミは、
安倍政権に擦り寄り、
空疎な経済政策を「アベノミクス」などと
持ち上げては、
「好景気‟到来”」を匂わせてきました。
それがいかに事実に反した楽観報道であったかが
立証された形です。
結局は、たくさんな人を迷わせた末、
空手形に終わります。
にもかかわらず、
読売などは、
まだ未練がましく、アベノミクスに失敗がなかったかのように
「原子力発電所の停止による火力発電の燃料の輸入が増え、国内企業が生産拠点を海外に移転して輸出が伸び悩んでいる」
などと空々しく書き連ねています(〔資料ー2〕参照)。
大企業が生産拠点を海外に移転して
輸出が伸び悩むだろうから円安誘導をしたわけでしょ?
経常収支が赤字転落した理由に、
今更それを持ち出すのは、
もし、経済音痴でなかったとしたら、
分析のやり方が
ご都合主義に過ぎます。
消費増税前の駆け込み需要が
結果が出る前は、
好景気の証として喧伝され、
今は、
経常収支が赤字転落の言い訳になっている点においても
露骨なご都合主義の傾向が認められるのと
同じです
(ただし、後者の、この点は、
東京新聞も特殊要因として説明していていて、
同罪。
駆け込み需要が
経常収支で赤字要因になるほど、
日本は、
輸入に依存している国だという
指摘がなければ、
報道機関としてとても不親切です
<→〔資料ー5〕参照>)。
概して、
日本の記者は、
ジャーナリストと言うより、
報道ゴロ
(情報を弄ぶ売文業のゴロツキの略)と言った方が適切なんでしょうか。
また、火力発電の燃料云々の話も
消費量がその総量において、
原子力発電所が事故を起こした2011年度当時と変わらず
(拙稿「アベノミクスの結果、辿りつく大貧困(スタグフレーション)時代」所収の資料、
野口悠紀雄氏・文「スタグフレーションに突入しつつある日本」参照
*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/aead5b29a1f02a693f04fd29aa2c2c60)、
しかも燃料の天然ガス価格が
下落傾向(〔資料ー4〕参照)であることを
考えれば、
説得力がまるでありません。
もっと真剣に
鉱工業生産における停滞感(〔資料ー1〕参照)を
受け止めるべきと思います。
企業が設備投資費を出し渋っているから
こういう結果が生じるんです。
サイト「真実を探すブログ」が指摘するように
――民主党の管政権や野田政権では貿易赤字が一定の水準に抑えられていました。それが2013年から激増し、2014年は僅か半年で前年を上回るほどの赤字となっています。これはアベノミクスに伴う影響だと見られ、彼の掲げていた「円安で貿易輸出拡大」という政策が間違っていたことを示している――
ということです。
☆ 記事URL:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-3433.html
ちなみに、
株価は、これです。
8月8日、週末でこの値動きです。
日本の
輸出企業はダメや
と外国投資家から投げ出された格好です
(〔資料ー3〕参照)。
〔資料ー1〕
「鉱工業生産6月は出荷が5カ月連続減、在庫積み上がりで夏も停滞感」
ロイター(2014年 07月 30日 11:03 JST)
☆ 記事URL:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FZ00120140730
[東京 30日 ロイター] - 経済産業省が30日発表した6月鉱工業生産指数速報は前月比3.3%と大幅低下となった。増税直後の4月をも上回る低下幅となり、ロイターの事前予測も下回った。
出荷が5カ月連続で減少し、5月に続き在庫も積みあがっている。生産抑制が追い付いていない状況で、経済産業省は「生産は弱含み」と判断を下方修正した。生産予測指数は7月、8月と上昇見通しとなっているものの、6月の悪化により押し上げられたまでで、生産計画は下ぶれが続いている。企業の需要読み誤りがうかがえ、生産水準は夏場も低調なままになりそうだ。
6月の生産の低下幅3.3%は「過去にもなかなかない」(経済産業省)ほどの大きさとなった。輸送機械を筆頭に、ほぼ全業種にわたり低下している。出荷指数は前月比1.9%低下で、5カ月連続の低下となった。在庫指数は1.9%と2カ月連続の上昇。在庫率はこの1年で最も高い。増税の反動減で耐久財需要が弱く、輸出も振るわないことから、需要が減少し生産調整が追い付かず、在庫の増加につながっている。
出荷がこれほど長期に低下を続けたのは2012年4月の景気の山と認定された時に匹敵し、景気後退局面入りの予兆と見える。
夏場にかけても生産の回復は鈍そうだ。生産予測指数は7月が前月比2.5%上昇、8月が同1.1%の上昇となっているが、経済産業では、企業が強気に転じたわけではないとしている。6月の実績値が2%以上下ぶれしたことで、生産計画が一定でも前月比が上がって見える。実際、前月までの計画に比べると7月の予測指数は1%以上、下ブレしている。7─9月期は予測指数を前提とすると前期比1%程度上昇することになるが、在庫積み上がりからみて、実際に上昇するかどうか見極めが必要だ。
経済産業省では、在庫循環でみると、6月は在庫積み上がり局面への移行の瀬戸際にあるため、「このまま積み上がり局面に移れば生産抑制の必要性から先行き不透明感が強まる」とみている。
*情報を追加して再送します。
(中川泉)
〔資料ー2〕
「上半期の経常収支、初の赤字に…貿易赤字拡大で」
読売新聞(2014年08月08日 11時28分)
☆ 記事URL:http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140808-OYT1T50018.html
日本が外国とやり取りしたモノやカネの収支を示す経常収支は、2014年上半期(1~6月)に5075億円の赤字となり、比較できる1985年以降で、上半期として初めて赤字に転落した。
半期ベースの赤字は、13年下半期(788億円の赤字)から2期連続となった。財務省が8日発表した国際収支統計で分かった。
モノの取引を示す貿易収支の赤字が増えたことが原因だ。原子力発電所の停止による火力発電の燃料の輸入が増え、国内企業が生産拠点を海外に移転して輸出が伸び悩んでいる。経常収支は「稼ぐ力」を示す指標で、日本経済の体力の低下が進んでいる。
14年上半期の貿易赤字は6兆1124億円と、前年同期の3兆4270億円から大幅に膨らんだ。半期ベースでは、13年下半期(5兆3465億円の赤字)を上回り、最大となった。消費増税前の駆け込み需要による消費財の輸入増も影響した。
〔資料ー3〕
「日経平均、反落して始まる 米株安・円高を嫌気」
日本経済新聞(2014/8/8 9:09)
8日の東京株式市場で日経平均株価は反落して始まった。前日比168円64銭安の1万5063円73銭で始まった。前日の米国株式市場でダウ工業株30種平均が約3カ月ぶりの安値になったことを嫌気した売りが先行した。円相場も1ドル=102円近辺と前日より円高・ドル安で推移しており、輸出株などに売りが出ている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
〔資料ー4〕
「天然ガス価格が下落傾向に エネ研見通し、欧州需要減少 」
日本経済新聞(2014/7/10 20:30 )
☆ 記事URL:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ10H6V_Q4A710C1TJ1000/
日本エネルギー経済研究所は10日、日本やアジア向けの液化天然ガス(LNG)価格が2015年にかけて下落傾向で推移するとの見通しを発表した。欧州の発電需要減少に伴いスポット価格が下がるため。国内では原子力発電を代替する火力発電向けの天然ガス消費量が東日本大震災前と比べ3割増えている。電力会社の調達コスト削減につながりそうだ。
LNGの輸入価格は13年の100万BTU(英国熱量単位、約25立方メートル)当たり16.1ドルから15年に同15ドル前後に下がると予測。長期的にはロシアが5月に中国と大型の供給契約を結んだことがアジア市場の契約交渉に影響し、日本向け価格の下落につながる可能性も指摘した。
エネ研は同時に石油と石炭の市場見通しも発表。石油は治安の悪化でイラクの減産が懸念されるものの、リビアの生産回復などで価格面で大きな変動はないと予想。ドバイ原油は15年に平均1バレル103ドル程度と予想した。需要が減った石炭の価格は発電向けの一般炭を中心に供給過剰が解消。15年の一般炭価格は1トン80ドル台に回復するとした。
〔資料ー5〕
「経常赤字なぜ続く 海外拠点増 輸出伸びず」
東京新聞(2014年8月9日 朝刊)
☆ 記事URL:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014080902000130.html
二〇一四年上半期(一~六月)の経常収支が赤字になった。半期ベースでの赤字は、一三年下半期に続き二回目。経常収支を構成する貿易収支が、想定よりも伸びていないことが原因だ。日本の「稼ぐ力」である経常収支に何が起きているのか。 (石川智規)
Q 経常収支を説明するとき、なぜ貿易収支の話が中心になるの。
A 経常収支は主に四つの収支の合計で算出される統計だ。四収支のうち、輸出入のやりとりの結果である貿易収支の額が圧倒的に大きいため、貿易収支の状況を分析することが、そのまま経常収支を説明することにつながるんだ。
他の三つの収支は、海外企業などへ投資して得られる利子や配当金などから成る「第一次所得収支」、海外輸送や海外旅行の「サービス収支」、他国への寄付金や贈与による「第二次所得収支」だ。
Q 貿易収支は赤字が続いているようだね。
A よく言われる要因は、東日本大震災以降に原子力発電所が止まり、火力発電に使う燃料輸入が増えたという見方だ。最近の円安で輸入価格がさらに高くなった面も確かにある。
しかし専門家によると、原発停止の影響は貿易赤字の一要因にすぎない。仮に原発が再稼働して燃料輸入が減ったとしても、年間三兆~四兆円の赤字解消効果でしかないという。一三年の貿易赤字額は約十兆円だ。原発停止ですべてを説明することはできない。
Q じゃあ他の要因は。
A 輸出だ。一九八〇年代以降、自動車や電機などの輸出企業は国内で製品を作り、円安に助けられて輸出を増やしてきた。だが今は、生産拠点を海外に移して現地で生産・販売をする企業が増えたため、円高が是正されても輸出が増えにくくなった。日本の産業構造の変化が大きい。
今年上半期は、この構造変化に加え、消費税増税前の駆け込み需要で、電気製品や衣服などの輸入が急増する特殊要因もあった。
Q 経常赤字や貿易赤字の問題点は。
A 日本全体として「稼ぐ力」が衰えているという一面は否めない。国内の生産が減れば、雇用や賃金にも影響する。一方で、海外への投資が増えれば、そこから得る利益(所得収支など)が増える。堅調な経済を保つ米国や英国も経常赤字の国だ。必ずしも悪い面ばかりではない。
〔資料ー6〕
「国際収支:経常収支5075億円の赤字転落 14年上半期」
毎日新聞 (2014年08月08日 09時33分)
☆ 記事URL:http://mainichi.jp/select/news/20140808k0000e020135000c.html
◇半期ベースで2期連続赤字、上半期赤字は85年以降初
財務省が8日発表した2014年上半期(1〜6月)の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は、前年同期の3兆3131億円の黒字から5075億円の赤字に転落した。暦年の半期ベースでの経常赤字は2期連続で、赤字幅は13年下半期(7〜12月)の788億円から拡大し、比較可能な1985年以降、過去最大となった。上半期の赤字転落は初めて。円安や消費増税前の駆け込み需要で輸入が増えた一方で、輸出が伸び悩み、貿易赤字が比較可能な96年以降で過去最大となったことが主因だ。
経常収支は、東日本大震災後の原発停止で火力発電向け燃料の輸入が増加し、11年下半期から貿易赤字に転落したことを機に悪化。アベノミクスによる円安が輸入額を押し上げ、海外投資から得られる利子や配当などの「第1次所得収支」の黒字でも穴埋めできなくなった。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6兆1124億円の赤字で、赤字幅は前年同期から2兆6855億円拡大した。輸入は前年同期比14.7%増の41兆8752億円と9期連続で増加した。火力発電向け燃料の液化天然ガス(LNG)や原油に加え、電子部品の輸入が増えた。駆け込み需要に対応した企業の増産に伴い、原料などの輸入が増えたことも影響した。
輸出は自動車などが堅調で、同8.1%増の35兆7627億円と3期連続で増加した。ただ、伸び方は輸入に比べて緩やかだ。製造業が生産拠点の海外移転を進めたうえ、円安を値下げにつなげて数量を稼ぐより、価格を一定程度維持して収益を重視する姿勢を強めているためと見られる。
一方、第1次所得収支は前年同期比4.2%減の8兆3226億円にとどまった。前年同期に直接投資による配当金の受け取りが大きく伸びていたため、増勢が一服した。医薬品の特許など知的財産権等使用料の収支が7855億円と過去最大の黒字となったが、旅行や物流などを含めた「サービス収支」としては1兆5780億円の赤字。税金や労働者の送金など対価を伴わない資産のやり取りを示す第2次所得収支も1兆1397億円の赤字だった。
同時に発表された14年6月の経常収支も、前年同月の3777億円の黒字から、3991億円の赤字に転落した。月別の経常赤字は今年1月以来5カ月ぶりで、6月としては初めて。貿易収支が5371億円の赤字となったことが響いた。市場では「足元では輸出入とも低迷しており、経常収支は当面黒字と赤字を行き来しそう」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との声も出ている。【小倉祥徳】
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます