のんきに介護

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本澤二郎氏 / 「弱者は雑草のように群れて悪政に体当たりする」

2013年07月06日 10時43分38秒 | Weblog
■資料

「本澤二郎の『日本の風景』(1334)」

   「ジャーナリスト同盟」通信(2013年07月05日)

☆ 記事URL:http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52038534.html


<参院選公示日と政治の極端な劣化>
 7月4日は参院選の公示日だ。我が埴生の宿で「雨ニモ負ケズ」と雑草と戦い、敗北感に浸った1日だった。投開票日(7月21日)は、予想通りの衝撃的結果に、もっと泣くしかないだろう。「戦争の出来る日本」へと公然と舵を切っているナショナリズムを、誰も口にしない。全ての政党・政治家・ジャーナリズムが、国家主義・財閥の野望を言葉にしない、出来ない日本である。危機の日本に蓋を懸けた劣化した選挙戦である。誰かヒトラー台頭のドイツの政情と比較して、克明に紹介してもらいたいものである。似ているはずだ。


<嘘とハッタリだけの安倍晋三>
 上京する車中、ラジオをつけた。不偏不党の原則を放り投げてしまっているNHKが、公示日特集報道を流していた。各党党首に聞く、という番組である。何人の日本人が聞いているだろうか。5割・6割の無党派が耳をそばだてる?なんてことはありえない。
 しかし、こちらは日本政治取材で生きてきた人間である。それでいて、先日の日本記者クラブでの党首討論会も欠席、テレビ観戦もしなかった。ナベツネ采配の討論会を見物する気が起きなかったのだ。夜の民放の報道で概要は掴むことが出来た。相変わらず、安倍の国家主義が、彼の歴史認識からびんびんと伝わっていたが、それをカバーした新聞テレビは少ない。
 国家主義は過去への反省も心からの謝罪などもない。靖国参拝は彼らの本心からの行動である。敗戦後の平和主義体制を否定する。それが改憲軍拡へと走らせる。侵略も植民地支配も認めようとは、無論しない。なぜか。戦前の天皇の戦争・植民地支配は「間違っていなかった」という確固たる信念からである。
 こんな不埒なナショナリストを首相に担いだ自民党、それをとことん支援する公明党という宗教政党である。これほどの暴走内閣を過去には存在しなかった。断言したい。
 安倍の発言は、この要の疑念について言及しなかった。経済や福祉などで、全ての政党と同様に、嘘とハッタリで押し切った。

<批判質問ゼロのNHK>
 NHKの番組のおかしさは、何度も紹介、分析を試みてきた。悲しいかな評価できる質問・追及は皆無だ。安倍の言い分を全て紹介させる、そのための宣伝番組である。
 よほど忍耐力が無いと全てを聞いてはいられない。同時刻テレビでも放映していたようだ。アナウンサーと政治記者の質問に批判力などない。今のNHKでは、厳しい追及質問をすると、首になるからであろうが、すでに崩壊過程にあるアベノミクスさえも、自画自賛させていた。

<雑草レベルにもなれない野党>
 こんな異様な政権を前にしての、恥ずかしい野党の体たらくである。民主党の海江田万里は力不足だ。野党第1党としての迫力ある言動が見られない。参院選までの党首であることを、自ら容認するような印象を聞き手に与えていた。
 彼は民主党時代の経済産業大臣として、かの史上空前の福島原発事件で失態を演じ続けてきた。東電の悪しき幹部全てを放任、逮捕しようとしなかった。財閥・財界との癒着を問われている。
 日本の政治家は雑草を取ったことがあるだろうか。昔、世田谷の黒金泰美(池田内閣官房長官)邸に行くと、彼は庭の雑草取りをしていた。雑草の強さを知っていた。
 弱者は雑草のように群れて悪政に体当たりする。当たり前のルールである。
 昨年だったが、亀井静香は全野党を束ねて新しい潮流を作る、それが最後の仕事だと語っていた。彼は其れを果たしていない。体調を崩したものか。
 1本の雑草は手で引き抜ける。しかし、彼らは仲間が一杯いるため、簡単ではない。除草剤を撒く者もいるが、これは邪道だ。イラン大統領選挙は、野党が1本化して勝利した。エジプトも暴走大統領を退陣させている。

 植物レベルに達しない日本政治の劣化はひどすぎる。そのためにナショナリスト政権を許してしまっている。小さな殻に閉じこもって、野犬の遠吠えに甘んじている。みみっちくて泣けてくる。大局が見えないのだ。彼らも本当に過去を学んでいないからだろう。
 歴史の教訓を学んでいないのは、野党も同じなのである。小党乱立の参院選なのだ。

<自民に塩を送る公明・共産>
 国家主義政党に塩を送っている。これこそが日本政治の劣化を裏付けている。
 隣国との友好は憲法が命じている。国際社会は、日本の平和外交と平和経済貿易を歓迎してくれている。尖閣・釣魚を口実に緊張を煽る政策は、憲法の精神に反している。本来は、これ一つで政権は退陣に追い込まれる。
 あろうことか、日ごろから平和・日中友好を公約している公明党・創価学会が、国家主義に塩を送り続けている。実に、不可解・不思議な現象である。他方で、これまた正論を吐いている共産党は、候補者を大量擁立して野党の1本化に抵抗して、結果的に安倍を救済している。それでいて「自共対決」などとほざいている。笑止千万である。

<ねじれは安倍・国家主義抑制に必要>
 NHKはマスコミを代表して「ねじれ解消かどうか、が選挙の焦点」だと、さかさまのキャンペーンを貼って、肝心要の国家主義政治について沈黙している。
 安倍も公明党も「ねじれを解消して政治の安定を取り戻したい」とわめき、それをマスコミが追認報道している。「ねじれ解消の暁に改憲を容易にする96条改憲、その先に国防軍にする9条改憲だ」という安倍路線について、全てのマスコミが全く説明も追及もしない。
 戦争する日本への一里塚について、公明の山口も口を閉ざしている。権力の蜜は確かに甘い。わかるが、国家主義に塩を送ることは間違いだ。
 NHKにもいいたい。ねじれは正当なものである。参院は衆院の暴走を抑制する。ここに存在理由がある。「戦争する日本」にさせないためのものである。したがって、安倍と山口の犯罪的言動に誤魔化されてはならない。

<日本の誇りは平和憲法>
 以上の指摘は、実に甘い評論であるが、その批判力の基礎は、日本人唯一の誇りである日本国憲法にある。日本政治経済などは、全てこの憲法に発している。中曽根バブルという馬鹿げた政策失敗をしなければ、原発の安全神話に騙されていなければ、日本は国際社会で信頼と尊敬を勝ち得ていたはずである。

 かつて自民党総裁から首相になった鈴木善幸は「日本国憲法は世界に冠たる憲法」と絶賛した。彼の政治後継者の宮澤喜一は「核兵器の時代において、憲法9条はますます光輝を放ってきている」との当たり前の認識を示した。中曽根の「戦後政治の総決算」に対抗したものである。
 改憲新聞に舵を切ったナベツネに対して、平和軍縮派の宇都宮徳馬は「改憲派は大馬鹿野郎」と断罪した。ナベツネは右翼・財閥の側に立って、宇都宮に砂をかけたのだ。

 いま日本の国家主義にワシントン・ソウル・北京は、厳しい視線を向けている。「安倍は中国をけん制しながら、その実、ワシントンを標的にしている」というホワイトハウスの分析に対して、安倍とその仲間たちはどう立ち向かうつもりなのか?
2013年7月5日9時15分記(昨日は記事を載せることが出来なかったが、それでも3834件のアクセス。3日は4307件、2日3939件。感謝したい)


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