「『山崎良子の行きぬく』ジャーナル!」という
サイトに
原発労働者の
インタビュー記事が載っていました。
☆ http://enzai.9-11.jp/?p=9491
記事ソース等の説明の後、
再録します。
(元記事は、ブログ「福島 フクシマ FUKUSHIMA」所収。
URL: http://fukushima20110311.blog.fc2.com/blog-entry-32.html。
ブログ管理人さんは、
コメント欄の記載から推して、
HNをハグバイさんとおっしゃるのでしょうか。
記事投稿の日付は、
2011/09/19(月) となってました。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<人物プロフィール>
遠藤俊一さん(仮名)は、南相馬市在住です。
41歳になられました。
福島第一原発事故の1年前まで、
合計で約15年間、
福島を中心に、
全国の原発作業に従事されていた方です。
遠藤さんは、
原発内の被ばく労働の実態、
下請けいじめと労災隠しが常態化する現状、
そして今回の事故原因にもかかわる
欠陥の隠蔽と報告書改竄という事実を、
赤裸々に語ってくれておられます。
録取者は、
遠藤さんの話から
「俺たちは使い捨てにされている」
という深い憤りと、
同じ働く仲間を思う気持ちが伝わって来ます
とコメントされてます。
さて、インタビューは、
お話を
五項目に分類されています。
少し長くなり過ぎているように感じましたので、
一項目を1記事として
まとめ直させて頂きました。
<再録>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【Ⅰ】 被ばく労働の実態
【Ⅱ】 下請けいじめと労災隠し
【Ⅲ】 欠陥の隠蔽と原子炉の破損
【Ⅳ】 東電の腐敗と恐怖支配
【Ⅴ】 南相馬の復興のために
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【Ⅰ】 被ばく労働の実態
「線量部隊」
・・・略・・・
――線量の高いところとは?
原発の中でも、線量の高い場所、低い場所といろいろある。
原子炉から、直接出ている配管がある。再循環系とか、緊急冷却系とか。その配管と原子炉の付け根。ここは線量が高い。
原子炉の本体は、あの形でつくって、持ってくる。そして、それから先の配管は、現場でつける。その配管の根元は、一応、遮蔽体があって、被せてあるから、ある程度、線量は落ちるけど、どうしても検査するときは遮蔽体を開けなければならない。そこ(遮蔽体)を開けると、原子炉の鉄板が、直接見える状態で、結構、線量が高い。
それと、復水器系。原子炉で湧かした蒸気でタービンを回して、それを復水器(下図参照)に入れ、今度は、冷却水という海水を汲み上げて、冷やす装置がある。その復水器というのも、やっぱり原子炉系の蒸気が通っているので、すごい線量の高いところ。
俺たち作業員の間では、高線量地域に行く人間のことを、「線量部隊」といっていた。
メーカーにも、原子炉メーカーとかタービンメーカーとかいろいろあるけど、シュラウド(下図参照)とか、本当の中枢の原子炉メーカーはIHI(石川島播磨重工)。IHIの仕事をする人間は、結構線量の高いところに行く。
検査業務も、そう。一日の線量当量が0・8ミリシーベルト。一番高いレベルのアラームメーターを持って作業に行くけど、15秒で終わったことがある。
・・・略・・・
典拠:(1977年、敦賀原発の定期点検の作業。樋口健二著『環境破壊の衝撃 1966-2007』)
原子炉の雑巾がけ
・・・略・・・
――遠藤さんは、技術者の方になる?
そう。俺らの前の人たちがいるわけ。
福井でも、たぶん除染に連れて行かれて、病気になったという人が大阪にたくさんいるらしいけど。そういう人たちが福島にもいた。
要は掃除機だ。ウェスを持って、洗浄液を持って。
まずは放射線管理員というのが測りに行くけど。「そこら辺、放射線高いから、あの辺を重点的に拭いて」とか。
要は雑巾がけ。非常に原始的な作業。手作業に頼らないとできない。シュラウドは、原子炉の中心部分で巨大な構造物。それを機械で洗おうといったって無理。
もっとも、ある程度、時代が経っていると、化学除染といって、薬品で除染するという方法が出てきた。その化学除染というのが出てきてからは、放射線はかなり低くはなった。被ばくする人間も減った。
定期検査だとなると、まず、化学除染が入る。全体的な放射線を落として、それから一般の作業員が入っていって、工事に入っている。
原子炉水に潜る外国人作業員
――外国人がいるという話が・・・
いるね。それは日本の法律より基準が高いから。日本人ではできない仕事を、外国人に任せる。
ダイバーもいた。ダイバーというのは原子炉水に潜る。原子炉には、水が張ってある。あの中に潜っていく。
その人がその後どうなったかまでは知らないけど、俺的には自殺行為だね。
・・・略・・・
(アメリカには、原発のダイバー潜水を専門に行っている企業がある)
「気をつけなさい」と言われても
――被ばく量はどういう風に計算しているのか?
基本的にガラスバッジ(特殊なガラス素材を使用した線量計。個人が受けた積算の放射線量を計る)で、1カ月つけて。
あとはアラームメーター。1日の線量当量を設定しておいて、それを超えるとアラームが鳴る。あと9時間半を超えるとアラームが鳴る。
そのアラームメーターをもって、それもアルファ線用、ベータ線用、ガンマ線用と分かれるんだけど、それを区域によって、わけて持っていく。それで自分でも液晶で見られるので、たまに見ながら。
――1カ月では?1年では?
いやー、放射線管理手帳を見ないとねえ。会社にいる間は預けっぱなし。まず見ることはない。まあ見せてっていえば見せてくれるだろうけど。
1年でどれくらいとかは、あんまりに気にしていない。
今日1日でどれくらい浴びたかという線量が頭に入っていれば、なんとなく分かる。
――では1日で最高は?
最高だと、1・4ミリシーベツト/日かな。
一日の線量当量というのが決められて、予定表にかかれる。
一番、低くて0・3ミリシーベルト/日。その上が0/5ミリシーベルト/日。さらに0・8ミリシーベルト/日。それ以上になると放射線の特別教育というのを受けて、1ミリシーベルト/日から一番高いところで2・5ミリシーベルト/日。
全部1日の線量当量。結構すごい数字。俺も特別管理になったんだけど。
――放射線防護は、厳しくやっていた?
厳しい。C区域に立ち入った場合、ここが境界線だとしたら、この境界線を超えて、B区域に手を出すこともできない。境界線上で物を受け取るときに、ハイってわたすことはできても、境界線の外にいる人に触ることはできない。それくらい厳格にやっていた。
――どういう格好で入るのか?
基本的に、全部、着替えて入る。自分の持ち物はパンツだけ。長袖と長ズボンの肌着みたいなのがあって、その上に管理区域用のツナギを着る。
管理区域には、B区域、C区域、D区域というのがある。B服は青い服、C服は赤い服。
C服は、みんな赤服(あかふく)といっている。ただ、赤い服で行ける場所と、さらに汚染の濃度が高い場所になると、赤服の上にさらにタイベック(デュポン社製の防護服)を来て、フードマスクや全面マスクで入っていく。汚染があるといっても、いまの警戒区域のように汚染はしていない。それでもそういう格好で入っていく。
作業が終わったら、チェンジングプレイスという着替え場所に入る。ここまでがC区域で、ここからがB区域というところ。C区域の中で着ていたものは全部脱ぐ。
脱ぎ方もある。ゴム手袋も2枚していて、まず1枚目を取りなさい。次に汚染していないゴム手袋で服を脱ぎなさい。普通なら、こうやって袖がめくれないように脱ぐけど、そうじゃなくて、必ず裏返しにしながら、内側に汚染を巻き込んでいくように脱ぎなさいと。いろいろそういう脱ぎ方まで決まっている。
――それは内部被ばく対策か?
内部被ばくもあるが、身体汚染を避けるためということがある。
汚染は、服を着ているから肌につかないとは限らない。汚染物質は、ものすごく粒子が細かいので、服を着ていても、こすりつけたりしたら、そこに汚染物質がつく。水に流せば落ちると思うかも知れないけど、そうではない。
ひどいのになると、洗剤をつけてタワシで、ガサガサ、ガサガサと擦って、また測ってもらって、まだ落ちてないと、またやって。本当に真っ赤っかに腫れ上がるぐらい擦らないと落ちない場合もある。
・・・略・・・
(福島第一原発の事故処理にあたる作業員の姿)
――汚染水を浴びることは?
水というのは、埃よりも、もっと厳しく管理していて、水に触るのは本当にタブー。
現場の中で水に触る作業というのは、きれいな水を使う配管の耐圧試験。配管を工事で新しくしたときとか、必ず耐圧試験をやる。水圧ポンプを持っていって、水を外から入れる。その水は水道水だから触っても大丈夫。
だけど、その水がこぼれたとか、下で作業している人にかぶってしまったとか、これはもう大騒ぎ。「それは耐圧用の水だから大丈夫だよ」といっても、必ず放射線管理員が何人も来て、「どこの水か、本当にこの水か」って測っていた。
――原子炉の真下の計器類の作業などは?
CRD(制御棒駆動機構)といって、制御棒を上げたり下げたりする装置がある。俺たちは、ペレスタル(圧力容器の下の台座)といっていた場所。
CRDも、時々交換しないといけない。放射線の高いレベルにさらされるし、劣化もするんで、計器類も校正しないといけない。一回外して、汚染のない場所に移動して、そこで検査するという作業がある。
そのときに水は落ちてくる。そこに入る人は、アノラックというビニールの雨合羽で、頭まで被って、全面マスクをして、開口部という開口部は全部、ガムテープで止めて、袖も裾も、というやり方でやっている。
キチッとやっていれば、雨合羽は濡れるけど、直接、自分の皮膚が濡れることはない。
・・・略・・・
――健康診断は?
電離検診(※)と一般検診。
電離検診は半年に1回、一般検診は、昔は半年に1回だけど、基準が変わって、1年に1回なった。あまり気にしてなかったからどうだったか。
検査の内容は、採血して血液検査、あと胸部レントゲン、心電図、あと尿検査ぐらいだったと思うけど。
これとは別に、ホールボディーカウンターは3カ月に1回。電離則(電離放射線障害防止規則)で決まっている。
(※電離放射線健康診断: 管理区域に入る労働者に、6カ月ごとに実施を定められた健康診断。被ばく歴の有無の検査、白血球数及び白血球百分率の検査、赤血球数及び血色素料又はヘマトクリット値の検査、白内障に関する目の検査、皮膚(爪を含む)の検査)
・・・略・・・
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます