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保坂展人・世田谷区長 / 「大阪都構想の欠陥 ~ 東京23区の現実」

2015年05月07日 03時18分28秒 | 橋下徹 維新の会
保坂氏が

世田谷区長として

指摘された

大阪都構想の欠陥は、

自治権が十分に保障されていない東京都政の現実をしっかり見ろ

という警鐘です

(下記〔資料〕、〔資料-2〕参照)。

東京でさえ、

このありさまです。

これが府と市の乖離の度合いが激しい大阪だと

より一層、

自治権のなさを痛感することになるだろう

ということです。

すなわち、大阪都構想は、

二重行政の廃止を大義にした

「自治権のはく奪」が目的ってことです。

この間の事情を

モン=モジモジ @mojimoji_x さんが

次のように説明されてます。

――堺その他を巻き込んだ特別区への再編案なら、権限と財源を委譲される大阪府に対する特別区の総人口は7割8割といった構造にもなりうる。それなら「府を通じた自治」とも言えなくもない(賛成はしないけど)。しかし、今回の大阪市解体案は、その水準にすらない。単なる大阪市からの自治権剥奪。〔19:41 - 2015年5月6日 〕――

非常に正確な事実認識と思います。

では、これほど財政的に不利益の伴う「大阪市の廃止構想」を

なぜ、橋下徹が

推し進めようとするのか――。

その解は、

「橋下氏は、

『憲法改正は絶対必要。安倍首相しかできない。できることはなんでもする』と

(安倍首相と)足並みをそろえた」

(下記〔資料-3〕参照)

という安倍某との蜜月関係にあります。

要するに、橋下市長としては、

大阪都構想を通して

容易には元に戻れない改革、

すなわち、憲法改正その先導役を果たしたいのでしょう。

実際、一旦、流れを

作ってしまえば元に戻れません。

したがって、

躊躇するのは当たり前なんです。

なのに、

思考停止に誘うような

やり方は、

詐欺師の手口です。

その点、

kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic さんの

御指摘は、

大変にもっともなことだと思われます。

――失敗の可能性を「考えない」思考停止した構想は信用しないほうが吉では? 例:原発神話 RT @min_ino_koe: 維新の都構想Q&A、面白い!
Q.「一度大阪都になって失敗したらどうなるの?」
A.「失敗する可能性はありません」
どこから、その自信が湧いてくるのだろうか?〔7:05 - 2015年5月6日 〕――

ところで、

藤井 聡氏が

「大阪都構想の危険性」に関する学者所見として

意見をまとめておられます。

☆ 記事URL:http://satoshi-fujii.com/scholarviews/

それによると、

ほぼ日本中の大学の教授、准教授が都構想に反対表明されてます。

いまだ、賛成する意見表明は一名たりと言えど、

ないようです!!

このように、

異様なほど反対者が多いのは、

橋下徹市長のやり方に

思考停止を招く胡散臭さを拭いがたく感じらればこそでしょう。

もし、賛成票を投じるというなら、

これらの反対意見に目を通してからでも遅くはないです。

良心的な意見や忠告、警告に対しては、

良心をもって受け止めるだけの値打ちがありますよ。


〔資料〕

「大阪都構想の欠陥 東京23区の現実」

   朝日新聞:保坂展人氏・文(2014年2月5日)

☆ 記事URL:http://www.asahi.com/and_w/life/TKY201402050010.html

 東京都知事選挙も後半にさしかかった、2月3日。日本維新の会の橋下徹・大阪市長は市長を辞職して、出直し市長選挙に立候補することを突然、表明しました。橋下市長が掲げる「大阪都構想」が市議会で維新の会以外の賛同を得られずに進まないため民意を問いたいのだと伝えられています。



 大阪都構想については、昨年9月の堺市長選で、「大阪都構想反対」を示した竹山修身市長が、維新の新人候補を退けたことで、住民はNOの意思表示をしています。政令指定都市(以下、政令市)としての自治権限をすでに有する堺市を廃止し、大阪都の特別区になる道は選ばない、という選択をしたのです。橋下市長率いる維新の会が総力で取り組んだ選挙だったにもかかわらず、結果は敗北でした。



 さて、東京都は、1943年(昭和18年)に東京市と東京府を廃止して生まれました。大阪都構想がベースにしているのは東京都の特別区(23区)のあり方です。大阪府と政令指定都市である大阪市と堺市を廃止して大阪都とし、特別区を設置するとしていました。この議論を聞くたびに思うのは、東京の特別区の抱える現実と矛盾に対しての理解の薄さです。



 世田谷区は七つの県を上回る88万人という人口を抱えています。そこから感じるのは、東京の都区制度は必ずしもうまくいっていないということです。戦時中につくられた「特別区制度」は、人口規模も自治体実務をめぐる役割分担でも制度疲労が目立っているというのが今の実感です。



 世田谷区のような特別区は、地方分権改革によって国や都道府県から基礎自治体へと移管される事務が多いため仕事量が増大し、事業と責任の範囲はふくらんでいます。

 一方で、法人住民税、固定資産税(個人・法人)などは都税として徴収することになっており、その55%が各区に再配分されるにすぎません(都区財政調整制度)。また、地方分権の流れで基礎自治体に移行した「都市計画決定権」は、なんと「特別区」のみ除外されており、まちづくりの戦略指針さえ自由につくることができません。学校教育に責任を持つ立場でありながら、教員の人事権は都であって、区にありません。

 つまり、一般の市町村以上に、特別区は財源と権限が制約されているのです。

 大阪市(人口268万人)と堺市(人口84万人)は、現在は政令市という通常の市町村よりかなり権限をもった自治体ですが、大阪都構想とは、これを廃止して人口30万人程度のいくつかの特別区に再編し、広域行政を大阪都が担う代わりに、住民に身近な生活基盤に関する行政を特別区と市町村が担うというものでした。そうなれば特別区に転じ、政令市として付与されている権限を失うだけでなく、周辺の市町村と比べても権限や財源が制約された基礎的自治体となってしまうのです。



 ところで、東京の特別区は長い間、自治権拡充のたたかいを続けてきました。

 戦後、行われていた区長公選は、「区は都の内部団体」とする都の意向を受けて、1952年(昭和27年)の自治法改正によって廃止されました。その後、72年(昭和47年)に品川区議会が区長準公選条例を制定して住民投票を実施したことで、再び、区長公選への道が開かれました。

 現在、区長は区議会議員と同様に選挙で選ばれていますが、実現したのは、75年(昭和50年)からなのです。区長を選挙で選べるようになってから40年たらず、というのは意外という人もいるのではないでしょうか。それまで、区の管理職ポストは「都の人事の受け皿」とされた時代が長く続き、区長には幹部を動かす人事権もありませんでした。



 初の公選区長として選ばれた世田谷区の大場啓二・元区長(2011年没)は「世田谷独立宣言」というポスターを制作し、更なる自治権拡充を訴えました。そして、特別区が「基礎的な自治体」として位置づけられるようになったのは2000年(平成12年)のことでした。

 いま、東京都知事選であがっている論点の中で、「子育て支援」「若者支援」「高齢者福祉」「障害者福祉」の最前線はいずれも区が抱えている現場です。押し寄せる大きな行政需要の波に日々さらされているのも区です。だからこそ、財源と権限が必要です。特別区のような制約された自治体の姿でいては、求められるニーズに対応できないと考えています。 警察・消防・上下水道等の広域行政を除けば、住民サービスの多くが区の仕事として行なわれています。東京の分権・自治改革が必要です。



 東京では、制約された基礎的自治体である特別区から「世田谷市」「新宿市」のようになることもたびたび話題にのぼってきました。それほど問題を抱えたシステムなのです。それだけに、大阪のように「政令市を廃止して特別区へ」という議論には肯きがたいものがあります。




〔資料-2〕

「『大阪都構想・住民投票』を世田谷から見つめると」

   THE HUFFINGTON POST:世田谷区長、保坂展人氏・文(2015年05月05日 17時07分 JST )

☆ 記事URL:http://www.huffingtonpost.jp/nobuto-hosaka/osaka-setagaya_b_7210704.html?utm_hp_ref=tw

「大阪市を解体し、5つの特別区を設置する」ことをめぐり、5月17日に住民投票が予定されています。二期目の世田谷区長選挙を終えた私に対しても、この「大阪都構想・住民投票」をめぐり、関西のメディアからいくつか取材が重なりました。大阪都構想が、東京都と特別区の関係をモデルとしてつくられたと言われている以上は、都内最大の特別区である世田谷区を預かる立場から、特別区制度の置かれている現状について、しっかり伝えていく必要があると思っています。

関東にいると、大阪都構想の詳細な部分はあまり伝わってきません。大阪都構想には変遷があり、現在の焦点となっている住民投票は、冒頭に書いたように大阪府(880万人)の中で、大阪市(270万人)のみを対象として、「政令指定都市である大阪市から5つの特別区」に移行することを問うものです。東京の特別区(907万人)は、東京都(1335万人)の約7割をしめているのに対して、大阪市の人口規模は、大阪府全体の約3割という点にも留意したいと思います。

東京都は、戦時下の1943年(昭和18年)に、東京府と東京市を廃止して出来ました。東京市はなくなり、特別区が生まれてから70数年になります。区部は都に対して、粘り強く自治権拡充の運動を重ねてきました。1952年(昭和27年)には区は都の内部団体とされ、区長公選も廃止されています。区長公選を再実施するまでには、1975年(昭和50年)まで待たなければなりませんでした。特別区の自治は、長い運動の歴史によってつくりあげられ、まだ途上にあります。

世田谷区は人口88万人と、7つの県(佐賀・島根・鳥取・徳島・高知・福井・山梨)を上まわる人口規模を持っていますが、首長の権限は一般の市町村長以下と聞くと、まさかと思う人も多いかもしれません。まず、税収が限られています。法人住民税、固定資産税(個人・法人)等は、都が徴収します。その55%が区に配分される「財政調整制度」で運営されています。(今回、大阪で5つの特別区をつくった場合には、配分率を77%にするとしています) 財源を握っている都の立場は強くなり、配分を受ける区は「さじ加減」に財政上の大きな影響を受けます。

今年、30年がかりの再開発が完成して、二子玉川に楽天本社が移転してきますが、都が法人住民税を受け、区には直接の税収はありません。間接的には、住民増で税収があがる等のメリットと、ただでさえ足りない保育需要が上昇する等の仕事を抱えることになります。

一方で地方分権の流れで、都市計画決定権限が市町村に移行しましたが、「特別区」だけはまちづくりに重要な「用途地域」等を決める権限が除外されています。例えば、文化・芸術のインフラとして、ライブハウスや小劇場がつらなるまちづくりを誘導しようとしても、「用途地域」の変更なしには進められないのが現状です。ソウルでは、テハンノ(大学路)には小劇場が密集していますが、小劇場を持つビルオーナーに対して、固定資産税の減免を行なっています。世田谷区には、その権限はなく、固定資産税の減免という切り札を区の政策で使うことは出来ません。

世田谷区独自の取り組みとして、出産直後の母子をケアする産後ケアセンター(桜新町)があります。全国的な反響を呼び、国の成長戦略のモデル事業とまで紹介されながら、区内で第2、第3の設置をすることが出来ません。これも、建築基準法で用途地域が制限されていることが、大きな理由です。区民の需要が高く、内外の評判が良くても、桜新町が準工業地域だったことで例外的に立地可能になったことを知る人は多くありません。人口88万都市に、まちづくりの骨格となる用途地域等の決定権限がないことは、大きな制約を生んでいます。

大阪市には現在24カ所の行政区があります。住民投票では、これを5つの特別区に統合し大阪市を廃止するとしています。人口規模は、34万人から69万人で人口270万人の大阪市よりは身近かな行政になると説明されています。24カ所の行政区で行なっている事務は、住民の利便性のために存続するともしていますが、この点がもっとも気になります。

世田谷区は5つの総合支所を持っています。人口規模15万人から20万人を基準にして5つの総合支所を置いています。世田谷・北沢・玉川・砧・烏山総合支所です。区役所本庁舎に出向かなくても、区民生活上の必要な窓口業務や手続きが出来るようになっています。さらに、区内27カ所に出張所・まちづくりセンターをを運営しています。

今回の区長選挙で強調したのは、区内の分権・自治をより深く進めていくことでした。選挙チラシには「区民に身近な行政へ。全27地区の出張所・まちづくりセンターの機能を強化し、「参加と協働」の地区行政の拠点とします。本庁から総合支所に身近かで必要な予算・権限を移します」としています。

4年前に区長に就任した時に、27の出張所・まちづくりセンターで「車座集会」を開催しました。まずは、住民の関心が高く、区に求めていることを受けとめるためでした。関心が高かったのは、「災害対策」「高齢化時代の福祉」「子育て支援・教育」の三大テーマでした。

そこで、災害対策では、27カ所で住民参加の防災塾を開催し続行中です。住民自身が作成する地区防災計画を目標に今後の積み上げを予定しています。すでに、「地域包括ケア」の世田谷モデルの展開をめざして、出張所・まちづくりセンターに「身近かな福祉の相談の窓口づくり」を来年度までに準備しています。子育て支援は、フィンランドのネウボラを参考にした「妊娠から就学まで、ひとつながりの育児支援」の検討会を開催し、制度設計を始めます。

関西メディアのインタビューで、「何を基準に住民投票を行なうべきか」と質問がありました。私は、「身近なコミュニティに隣接する現状の区役所で、災害時の危機管理体制がどうなるのか。日常の災害対策をきめ細かく進めることが出来るのか。福祉や子育て支援の住民サービスが向上するのか、後退するのかを見極めることが必要」と答えました。

ただし、判断材料が乏しいのも事実です。政令指定都市である大阪市を解体し、大阪府が5つの特別区の上位に来るような構図の改革には、広域の大プロジェクトを推進する一元化した体制をつくることに力点があるように感じます。これまで、政令指定都市の住民自らが「市の解体」に賛同したことはありません。大阪都構想でも、従前は政令指定都市の堺市を含めた大阪府全域の話でしたが、堺市が離脱したことで大阪市のみの住民投票となりました。

神奈川県には、横浜市、川崎市、相模原市と3つの政令指定都市が存在します。たとえは、横浜市を解体して、神奈川県の特別区にするという議論はあまり聞いたことがありません。むしろ、横浜市は政令指定都市からさらに自治権を確立した特別自治市を提唱しています。

「大都市としての役割を果たすため、現在の指定都市制度を見直し、国が担うべき事務を除くすべての地方事務を大都市が一元的に担う制度」という構想には注目できます。

二重行政を解消するのなら、大阪市が独立性を強め、24カ所の行政区の住民自治を強化するという道もあるはずです。こうした議論をするには時間がなくて、もうまにあわないのが現状なら、拙速に決めるべきではないと思います。今回の住民投票を世田谷区から注目して見ています。


〔資料-3〕

「安倍首相:「大阪都」に理解…改憲、維新協力に期待」

   毎日新聞(2015年04月07日 07時10分)

☆ 記事URL:http://mainichi.jp/select/news/20150407k0000m010125000c.html

 安倍晋三首相の橋下徹大阪市長への協力姿勢が目立っている。12日投開票の大阪府議選、大阪市議選では、自民党大阪府連は橋下氏率いる地域政党・大阪維新の会が進める「大阪都構想」に反対しているが、首相や菅義偉官房長官はこの構想を評価する姿勢を崩していない。首相には、来年の参院選後に想定する憲法改正を見すえ、改憲勢力としての維新に期待をかける思惑がある。【野口武則、影山哲也】

 「これはひどいね。似顔絵だって似てないじゃないか。菅(官房長官)さんは似ているけどね」。先月26日、自民党青年局の若手衆院議員との昼食会で、首相はそう漏らした。

 議員らが大阪維新の会が配布している大阪都構想の説明用ビラを示した際のことだ。首相と菅氏の似顔絵入りのビラには「都構想に首相、菅長官、政府自民党は賛成」とあった。「青年局との昼食会」は名目で、危機感を持った大阪の若手議員が画策した「首相への直訴」だった。府議選などが告示された3日、谷垣禎一幹事長がJR大阪駅前での応援演説に入ったのも府連の強い要請を受けたものだった。

 しかし、実際には、菅氏は3日の記者会見で大阪都構想について「二重行政をなくし、府民や市民の期待に応えることは検討すべきことだ」と理解を示した。

 首相が1月のテレビ番組で、大阪都構想について「意義はある」と述べた翌日、橋下氏は「うれしくてしょうがない」と応じた。さらに「憲法改正は絶対必要。安倍首相しかできない。できることはなんでもする」と足並みをそろえた。

 首相と菅氏が、大阪都構想に理解を示すのは、来夏の参院選に向け、維新が勢いを保てるよう後押しする意味がある。憲法改正の発議には衆参両院の3分の2以上の賛成が必要だ。しかし、参院242議席のうち自民の現有議席は114(山崎正昭議長をのぞく)に過ぎない。

 維新の議席数は、状況によっては改憲のキャスチングボートを握る。維新が存在感を増せば「公明党を揺さぶる材料にもなる」(自民党幹部)ともみられている。

 改憲を悲願とする首相にとって維新は手放したくないカードであることが、大阪都構想を評価し続ける理由になっている。

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