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郷原信郎さん / 「(橋下徹さん、弁護士は、)その技能を…国民を欺く方向で使ってはならない」

2015年10月22日 05時14分15秒 | 橋下徹 維新の会
サイト「郷原信郎が斬る」にて、

郷原信郎弁護士が

橋下徹氏の維新の会への関わりの在り方につき、

問題点を記されておられる。

タイトルは、

「『弁護士たる政治家』としての橋下徹氏への疑問」だ。

☆ 記事URL:https://nobuogohara.wordpress.com/2015/10/21/%E3%80%8C%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E3%81%9F%E3%82%8B%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AE%B6%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E6%A9%8B%E4%B8%8B%E5%BE%B9%E6%B0%8F%E3%81%B8%E3%81%AE%E7%96%91%E5%95%8F/

郷原氏は、

――橋下氏は、法律論や判例等を持ち出しては、「自分は法律の専門家、弁護士ではない人間には法律のことはわからない」という前提で、弁護士ではない人間を徹底して見下した言い方をする。――

として、

以下に掲げる(1)から(8)のツイートを俎上におき、

分析される。


(1)バカども国会議員の連中が、とんでもない法律論を流し始めている。なんかおかしいなと感じている国会議員は、必ず弁護士に相談しに行くこと6:11 - 2015年10月19日 〕。

<検討>

「とんでもない法律論」と言って、

政治家に

自己主張させまいとしているようだ。

(2)維新の党には現在代表がいないという主張について維新の党の国会議員が反論しているが、いやー酷いねこの集団は。顧問弁護士くらいに相談してから発言した方がいいよ。国会議員って法律を作る人達。ところが維新の党の国会議員は法律的素養08:50 - 2015年10月18日 〕。

<検討>

しかし、一体、本当に酷いことを言っているのは誰か?

郷原弁護士は、

法律の専門家として、次のような判定を下される。

――、実は、橋下氏が持ち出している専門用語や判例に対する理解というのは誠に不正確で素人的なものであり、そこで持ち出すことの妥当性には重大な疑問符がつく。――

(3)僕がなんと言おうと、大阪組の国会議員がなんて言おうと、最後は必要なプロセスを踏む。当たり前じゃないか。憲法31条、デュープロセスくらいちょっとは勉強してよ。維新の党のおこちゃま集団は、僕が決めれば、大阪組の国会議員が言えばすべてが決まると勘違いしている。手続きというものを知らない。9:15 - 2015年10月18日 〕。

<検討>

デュープロセスとは、

日本語表記をすれば「適正手続き」ということだ。

憲法31条に規定があるのは、

橋下氏が指摘する通りだ。

しかし、基本的な理解において失当だ。

すなわち、

――本来は、刑事手続きの適正さの保障である。それが、行政的手続きによる権利侵害での手続的保障にまで及ぶとの議論はあるが、「組織の長を決定する手続き」という組織法上の「手続き」とは、性格が異なる。――

憲法31条を軽視するものではない。

しかし、四角いものを丸い穴に差し込むのは

暴力だ。

「組織の長を決定する手続き」に

憲法の適性手続き条項を持ちだすのは、

「こじつけ」の観を拭い去れないということだ。


(4)平成3年の監獄法施行規則に関する最高裁判例を一回くらい読んだらどうだ?いわゆる委任立法の限界というやつだ9:23 - 2015年10月18日 〕。

<検討>

「平成3年の監獄法施行規則に関する最高裁判例」って、なんだ?

シールズの諸君なら、

ラップのリズムに乗せてそう叫ぶだろう。

僕も、

コレ、ワカリマセ~ン!

郷原弁護士によると、

――「平成3年の監獄法の最高裁判例」は、「幼年者と被勾留者との接見を一律に禁止した上、例外として、限られた場合に監獄の長の裁量によりこれを許すと定めた監獄法施行規則が、監獄法50条の委任の範囲を超え無効と判断された事例」であり、被拘留者が外部者と面会を行う自由という人権の制限が問題となった事案である。――

とのことである。

問題となった事案で、

裁判所は何のと言ったのか。

分脈からして、

「法による委任の範囲を超えるから、許されない」

としたのだろう。

橋下氏は、

この判例を援用することで、

組織法に関して上位規範による委任の範囲を逸脱しているという主張の

論拠にしたのだろう。

しかし、維新の会の事案は、

組織法上の

委任の範囲を画する解釈論争だから、

人権を守るという

弁護士の

伝家の宝刀は持ちだせませんってことだな。

(5)国会こそが国権の最高機関であり、唯一の立法機関(憲法41条)だから、行政で何でもかんでも決められるわけじゃないよ、というのが平成3年の最高裁判例9:28 - 2015年10月18日 〕。

<検討>

「平成3年の監獄法施行規則に関する最高裁判例」を引っ張り出してきて

橋下氏は、

自説の論拠とする。

それは、

(4)で述べた。

ここでの、

その主張たるや国の機関になぞらえての

党の役割分担だ。

これが木に竹を接いだような論理構成になっているのを

法律の専門家である

橋下氏がまるで気づいてないというのが

滑稽だ。

憲法規定は、

二つに大別される。

一つは、

人権規範。

もう一つは、国家組織に関するものだ。

後者は、

国会や内閣、裁判所の

相互の関係が規定されている。

僕が

「木に竹を接いだような」

と評したのは、

「平成3年の監獄法施行規則に関する最高裁判例」が

人権に関する

判例であり、

国家組織に関する憲法41条の

解釈に使うのは、

可笑しいよということだ。

その解釈上の難点を

郷原弁護士は、

――監獄法に関する最高裁判例を、憲法41条に結びつけ、「代表選は党大会で行うべし」という議論にまで無理やり結び付けていくのである。――

と指摘される。

本当、無理やりなんだな。

(6)党で言えば、党大会が国会。党大会が最高議決機関(規約6条)。執行役員会は内閣、行政・執行機関(規約第4章)なんだよね。維新の党の国会議員には三権分立から教えないといけないよ。9:31 - 2015年10月18日 〕。

<検討>

党のシステムは、

郷原弁護士が

――組織内部において、構成員全体で構成される機関と、その委任を受けて業務執行を行う執行部との間で、どのような権限配分、役割分担が行われるのかは、組織内における自律的な判断に委ねられる――

と言われる通り、各党に任されている。

すなわち、権限配分等、

国家ではなく、会社になぞらえたっていいわけだ。


(7)規約6条2項において党大会にも『その他重要事項を決めることができる』とバスケットクローズ条項が定められている6:30 - 2015年10月19日 〕。

バスケットクローズの「クローズ」の意味は、

節、句、条項だ。

「バスケット」は、籠。

よく、例示した後、「など」とか「等」とかをつけ、

限定列挙ではない趣旨を示す。

その場合、

書かれていない場合を包括して、

「その他」という

用語を使い、別条項をたてれば、

それが「バスケットクローズ条項」と言われる。

日本語では、

「包括条項」だ。

バスケットに何でも投げ入れるイメージだ。

郷原弁護士が仰っておられるのは、

なぜ、こんな解説が必要な難しい専門用語を使うのか

ということと共に、この規定が当然に、

党大会をオールマイティなものにするわけではないということだ。

代表選出を党大会での決定事項にするには、

党大会の開催手続きが正式に履まれてなければならない。


(8)代表選出なんて、明らかに組織の重大事項。そうなれば規約6条2項に基づいて党大会で審議し決することは当たり前〔6:31 - 2015年10月19日 〕。

<検討>

(7)の末尾に述べたように、

党大会の開催手続きが正式に履まれてもいないのに、

代表選出が審議しえるわけではない。

そして以上、

橋下氏のツイートの検討を通して言えることは、

「橋下氏の論理は、幾重にも飛躍しており、凡そ法的な論理になっているとは言い難い。」

ということだな。

これ、かなりぼろかすだと思うな。

しかし、良薬、口に苦しだ。

百万回でも、

次の郷原信郎弁護士の提言を読み、

真摯に反省して頂きたい。

――このように、適切とは言い難い法律専門用語や、一般人には容易にアクセスできない判例などを持ち出して、自論の根拠づけとなるかのように見せるやり方は、「弁護士たる政治家」として厳に慎むべきだと思う。弁護士としての法的素養や実務能力は、そのようなことのために与えられたのではない。

検事時代の経験だが、レスリング・ボクサー等のプロ選手が、その技を一般人に使った場合には、「凶器使用」と同等の厳しい量刑で求刑するのが通例だった。プロは、プロスポーツで培った技能を、プロ相手に使うべきであって、一般人に危害を加える方向で使うことは許されない。弁護士も、その技能を政治の分野で、非弁護士の政治家や国民を欺く方向で使ってはならないのである。――




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