のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

有意性と有益性

2012年12月22日 20時00分37秒 | Weblog

デザインを考える際、

考慮すべき事柄が二つあると言います。

一つは、有意性。

もう一つは、有益性です。

前者の有意性とは、

簡単な言葉で言えば、

「美しい」といえるかどうか、

もっと噛み砕いて言えば、

目立つかどうかということでしょう。

次の写真を見て下さい。

典拠:サイト「木全賢のデザイン相談室

下が「ゼロ戦」、上が「グラマン」という

大平洋戦争当時活躍した

戦闘機です。

見てすぐに分かる違いがあります。

それは、パイロットの後部の鋼材の有無です。

背後が厚い鉄板に覆われていれば、

敵機に後ろに回られ、

たとえ狙い撃ちされたとしても

鉄板が

弾を防いでくれます。

また、外側からは見えないですけど、

エンジン部もグラマンの場合、

被覆膜で保護されていたのに対し、

ゼロ戦は

剥き出しだったみたいです。

柳田邦男氏が

著作「ゼロ戦コンセプトの成功と失敗」

(「この国の失敗の本質」より)

の中で、これに関し、

次のような趣旨の指摘をされています。

――アメリカの戦闘機は、

防弾を重視し、

搭乗員の安全を第一に設計していたのに対し、

日本のゼロ戦は、

空中戦での旋回性能を重視するあまり、

最も大切なパイロットの命は考慮しなかった――と。

思うに、

有意性を言えば、

パイロットの座席部がオープンな方が

白いマフラーが

風になびき、

ゼロ戦の方が

美しく見える…という説に頷けます。

しかし、安全性はどうか、

という話になると、

見た目が芋臭いグラマンの方が

パイロットに優しく

優れた飛行機だということです。


目を転じ、

戦車を見てみましょう。

田宮俊作氏が

著作「田宮模型の仕事」の中で、

気がついたこととして、

述べられていることが身につまされます。

すなわち、アメリカの戦車には

エスケープハッチ(脱出口)がついています。

日本や旧ソ連の戦車にはない!!

のです。

これは、アメリカが

危機に際して脱出し生還せよ

と考えているのに対し、

日本や旧ソ連の場合は、

兵士に最後まで戦え、

生きておめおめ帰ってくるんじゃないぞ、

と無言の圧力をかけていたのも同じだったわけです

(サイト「木全賢のデザイン相談室」の「戦争とモダンデザイン」という記事参照)。

原発事故を目の当たりにして、

戦後も

人間を守るという機能を製品に求める

有益性を重んじる思想が

日本には根付かなかったかったのかと

嘆かれてなりません。

今後は、

有意性でなく、

有益性に目配りできるような

技術を、

この日本の地において

育てたいです。

<追記>

これは、

敵艦に見事、特攻作戦が成功した痕跡です。

これを見ると、

効果の目から考えても

どれだけ「特攻」が史上最悪の愚策であったかが

よく了解できます

(拙稿「特攻作戦を美化している人が是非、見ておくべき写真。同作戦の愚かさがよく分かる」参照。*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/4d08a6b05916ff4a52c5622e7f6a6f75)。
2015年12月6日早朝 記

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