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毎日新聞 / 「福島第1原発:記者ルポ 残る傷痕、先見えぬ汚染水処理」

2014年07月06日 07時03分59秒 | フクイチ原発事故
〔資料〕

「福島第1原発:記者ルポ 残る傷痕、先見えぬ汚染水処理」

    毎日新聞 (2014年07月05日 14時05分)(最終更新 07月05日 14時16分)

☆ 記事URL:http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20140705k0000e040238000c.html

 東日本大震災でメルトダウン(炉心溶融)した東京電力福島第1原発に6月18日、毎日新聞の原発研修の一環で取材に入った。事故から3年3カ月たつが、構内には倒れたままの鉄塔など震災の生々しい傷痕が残る。最大の懸案となっている汚染水の対策工事では、鋼材が複雑に組み合わされた異様な構造物が建設中で、試行錯誤の段階にあることを強くうかがわせた。いまだ事態をコントロールすることすらままならない福島第1原発の現実を目にして、再稼働を急ぐ政府や経済界の姿勢に危うさを感じた。【大原一城】

 ■行き交う人なく

 取材は、東電が毎日新聞の原発立地県の記者ら約30人を受け入れる形で行われた。

 6月18日朝、事故対応の拠点となっている「Jヴィレッジ」からバス2台に分乗して北に約20キロの第1原発に向かった。

 楢葉町など20キロ圏内の帰宅困難区域に入ると、これまでとは様子が一変し、壊れた建物や、店内の陳列棚が倒れたままの店舗が見えた。行き交う人は皆無で、まるで時間が止まったようだ。

 原発到着後、東電から支給されたビニールカバーで靴を覆い、両手に手袋をつけた。胸元には線量計を付けた。放射能の危険性のあるエリアに足を踏み入れると身をもって感じ、緊張した。

 ■見学窓ガラス越し

 構内はバスで約1時間巡ったが、降りることは認められず、窓ガラス越しの「見学」となった。

 燃料プールから燃料の取り出し作業が進む4号機付近では、汚染水を減らすための「凍土遮水壁」の実験設備が建設中だった。地中に凍結管(長さ約26メートル)を打ち込み、管内部にマイナス30度の冷却液を流し込んで地中の水分を凍らせる。こうして作った凍土壁で1〜4号機を取り囲む計画だ。

 目を引いたのは、汚染水をためる巨大なタンクだ。際限なく続き、全容を見渡すことはできない。1基あたり平均約1000トンためられるタンクは6月24日現在937基あり、現在も2.5日に1個のペースで増え続けている。汚染水問題の深刻さを象徴するような光景だ。

 原子炉建屋の水素爆発で吹き飛んだという、事務本館の窓は、ほとんどがベニヤ板で仮修復され、鉄塔も倒れたままで、爆発による被害を今に伝えていた。

 原発の建屋は青と白を基調としたデザイン。見学で訪れたことがある北陸電力志賀原発(停止中)と似た雰囲気だった。見る人に安心・安全な印象を与えるためなのだろうが、そうしたイメージ戦略もいまやむなしい。

 ■住民覆う諦念

 取材で滞在したいわき市で、地元住民にも話を聞いた。生活への不安や国への不信とともに、諦念のような感情も伝わってきた。


 いわき市に住む洋服販売員の20代女性は「市民の多くは原発に反対していた。うまみもそんなになかったはず。事故があって『ほら見たことか』という気持ちがある」と立地を受け入れた自治体への不快感を口にした。原発が地域住民を分断した不幸を思った。

 健康影響の描写が論議を呼んだ連載漫画「美味(おい)しんぼ」について尋ねると、「外からいろいろ言われるが、慣れてしまって何も思わなくなった」と話した。

 飲食店従業員の30代女性は「放射能がどれだけ出ていてどんな影響があるか、本当のことは分からない気がする。国や県の言うことも信じられないが、ここが好きだから住み続けている」と話した。

 福島での取材を通じ、志賀原発が立地する石川県も含めて、これだけの惨状に陥る地域を再び生み出してはならないとの思いを強くした。

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