甘利大臣の収賄問題の調査機関が他ならぬ甘利大臣自身によって
作られた。
“第三者機関”と銘打っても、
出発点において
公正さがすでに疑われる。
ハフィントンポスト日本版@HuffPostJapanによると、
調査のポイントは、
「秘書が業者から受け取った金について、甘利大臣が認識していたことの証拠」
だと言われる
(同サイト記事「甘利大臣、「絵に描いたようなあっせん利得」をどう説明するのか」(2016年01月21日)*http://www.huffingtonpost.jp/nobuo-gohara/amari_b_9037140.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001)。
多分、証拠不存在で
甘利大臣を収賄罪で起訴するのは不可能だ
(現に、証人が消えた。拙稿「甘利氏側に現金を渡したと証言した者は、所在不明とか」参照。*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/69a4af62c0fa5fb1ebf776328d1cc670)。
せいぜい政治資金規正法違反でお茶を濁すにとどまるのではないか。
他方、
安倍政権としては、
甘利大臣が収賄問題で
取り沙汰されることで大きなメリットがある。
それは
TPPで売国的取り決めをした
同大臣の責任、
ひいては政府の責任を曖昧にできる
ということだ。
堤未果さんが危惧される通りだ
(拙稿「文春、甘利大臣の収賄容疑を曝露。しかし、これは、目晦ましか」参照。*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/94e627191fd3e2ab33f942c78702b390)。
TPPが
どれほど
国家の利益を害するかは、
世界で何が起きているか観察すれば、
了解されうる。
たとえば、
2014年、福島原発を機に脱原発政策をとった
ドイツに対し、
“原発に投資した”スウェーデンのエネルギー企業が
約6000億円の賠償を求めて提訴した。
また、淡水資源を脅かす
鉱山の採掘計画を制限したエルサルバドル、
たばこ包装の無地化やロゴの禁止などしたオーストラリアなど、
莫大な賠償金を
多国籍企業に提訴される事態が
相次いでいる。
企業の
そのような賠償請求によって、
国家の主権が脅かされているわけだ。
いずれの例も
「ISD条項」に基づいて、
外国投資家が一国の政府を訴えた事例だ
(THE BIG ISSUE Vol.277 2015.Dec.15記事「TPPがもたらす“投資家主権”の社会。国民主権、国内規制を無効化するISD条項――岩月浩二さん」所収、岩月さんの発言参照)。
TPP交渉差し止め・違憲訴訟弁護団共同代表の岩月浩二さんは、
「日本でも最近、軽自動車に対する優遇税制が廃止されましたが、これは軽自動車をほぼ生産していない米国からの昔からの要求であり、日本はTPP発行以前でこれだけ譲歩しています。米国のような大国とTPPを合意してしまえば、たとえ環境や健康被害を考えて法規制を行おうとしても、あらゆる政策について非常に大きな発言権を米国の産業界が得ることを表しています」
と述べられる。
あるいは、そんな圧力、恐くないと考える方も
いらっしゃるだろう。
しかし、日本政府の米国に対する譲歩だけでなく、
マスコミの政府に屈する意気地なしの
度合い考えて欲しい。
国中、賠償請求恐さに、
政策決定の際には最高規範である憲法より、まず、協定違反がないかTPPの条文調べを行う
という「超憲法的状況」が発生するのが目に見えるだろう。
ISD条項そのものは、
1960年代から存在し、日本もすでに
25か国と締結している。
しかし、その頃は、
裁判制度や法整備が不十分な発展途上国の事情が想定され、
後進国との間で結ばれていた。
然るに、
94年に発効した
「NAFTA(北米自由貿易協定)」を境に
条項の持つ性質が
変わったと言われている。
すなわち、弱い者いじめをする装置に
転落したというわけだ。
その趣旨は徹底され、
米韓FTAには、
ISD条項に付随するものとして
「間接収用」
という概念までが盛り込まれた。
日本いじめのため、
TPPでは
新たにどんなものが盛り込まれたのか、
不明だ。
それを探り出す手立てがTPPの条文だ。
にもかかわらず、
わずか800万人を擁する
カナダのケベック州の人たちのことを考慮して
フランス訳があるのに
日本語訳がない。
日本政府、すなわち、甘利大臣は、
TPPの交渉担当者として日本語版を要求さえしなかったことが
判明している。
協定内容は、
米国に丸投げ、ザ・メクラ判そのものだ。
そのようなことを曝露され、
追及されれば、政権にとって大きなダメージになるから、
収賄容疑でも何でもいいから、
甘利大臣を隠してしまえということになったのだろう。
それが政府の広報紙と言っていい
「週刊・文春」が
甘利の犯罪容疑を曝露した所以だと考える。
麻生、安倍といった巨悪からすれば、
甘利などは、
ただのガキの使いだ。
「鬼さん、こちら。お札は、ここよ」で、
意のままに動かせる相手なのだろう。
この男が警察に捕まるなど
大した問題ではない。
録音云々とマスコミが騒いでいる。
だが、そんなもの、
後ででっち上げた証拠に違いない。
甘利が同意の上なら、
そんな証拠、簡単に出来上がってしまう。
さて、では、甘利はいいとして、
TPP締結後、
日本は、どうなるか――。
橋下某が前市長平松邦夫さんと争った大阪市の水資源を通して、
考えて見よう。
すなわち、
大阪市の水道事業が民営化された場合、
これまで
実際に起こった例を敷衍すれば、
外国企業が落札する。
結果として、
水質悪化や料金高騰を招く。
市民が再び公営化を望む場合は、
ISD条項の対象になり、
巨額の賠償金を支払うことになりかねない。
軽自動車の優遇税制廃止や
遺伝子組み換え食品の認可のスピードアップも
岩月さんによれば、
TPPをきっかけにした事前交渉とのことだ。
このように
それぞれに時間をかけて議論しなければ
いけない重要課題なのに、
TPPは、
多数の経済政策のルールを
一括で
変えてしまう。
「一握りの企業が儲け、国民主権から“投資家主権”に
社会のあり方を変えてもいいのか?
私たちは今、その岐路にたっているのです」
という
岩月さんの警鐘をしっかり受け止めなければ、
とんでもないことになると思う。
作られた。
“第三者機関”と銘打っても、
出発点において
公正さがすでに疑われる。
ハフィントンポスト日本版@HuffPostJapanによると、
調査のポイントは、
「秘書が業者から受け取った金について、甘利大臣が認識していたことの証拠」
だと言われる
(同サイト記事「甘利大臣、「絵に描いたようなあっせん利得」をどう説明するのか」(2016年01月21日)*http://www.huffingtonpost.jp/nobuo-gohara/amari_b_9037140.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001)。
多分、証拠不存在で
甘利大臣を収賄罪で起訴するのは不可能だ
(現に、証人が消えた。拙稿「甘利氏側に現金を渡したと証言した者は、所在不明とか」参照。*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/69a4af62c0fa5fb1ebf776328d1cc670)。
せいぜい政治資金規正法違反でお茶を濁すにとどまるのではないか。
他方、
安倍政権としては、
甘利大臣が収賄問題で
取り沙汰されることで大きなメリットがある。
それは
TPPで売国的取り決めをした
同大臣の責任、
ひいては政府の責任を曖昧にできる
ということだ。
堤未果さんが危惧される通りだ
(拙稿「文春、甘利大臣の収賄容疑を曝露。しかし、これは、目晦ましか」参照。*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/94e627191fd3e2ab33f942c78702b390)。
TPPが
どれほど
国家の利益を害するかは、
世界で何が起きているか観察すれば、
了解されうる。
たとえば、
2014年、福島原発を機に脱原発政策をとった
ドイツに対し、
“原発に投資した”スウェーデンのエネルギー企業が
約6000億円の賠償を求めて提訴した。
また、淡水資源を脅かす
鉱山の採掘計画を制限したエルサルバドル、
たばこ包装の無地化やロゴの禁止などしたオーストラリアなど、
莫大な賠償金を
多国籍企業に提訴される事態が
相次いでいる。
企業の
そのような賠償請求によって、
国家の主権が脅かされているわけだ。
いずれの例も
「ISD条項」に基づいて、
外国投資家が一国の政府を訴えた事例だ
(THE BIG ISSUE Vol.277 2015.Dec.15記事「TPPがもたらす“投資家主権”の社会。国民主権、国内規制を無効化するISD条項――岩月浩二さん」所収、岩月さんの発言参照)。
TPP交渉差し止め・違憲訴訟弁護団共同代表の岩月浩二さんは、
「日本でも最近、軽自動車に対する優遇税制が廃止されましたが、これは軽自動車をほぼ生産していない米国からの昔からの要求であり、日本はTPP発行以前でこれだけ譲歩しています。米国のような大国とTPPを合意してしまえば、たとえ環境や健康被害を考えて法規制を行おうとしても、あらゆる政策について非常に大きな発言権を米国の産業界が得ることを表しています」
と述べられる。
あるいは、そんな圧力、恐くないと考える方も
いらっしゃるだろう。
しかし、日本政府の米国に対する譲歩だけでなく、
マスコミの政府に屈する意気地なしの
度合い考えて欲しい。
国中、賠償請求恐さに、
政策決定の際には最高規範である憲法より、まず、協定違反がないかTPPの条文調べを行う
という「超憲法的状況」が発生するのが目に見えるだろう。
ISD条項そのものは、
1960年代から存在し、日本もすでに
25か国と締結している。
しかし、その頃は、
裁判制度や法整備が不十分な発展途上国の事情が想定され、
後進国との間で結ばれていた。
然るに、
94年に発効した
「NAFTA(北米自由貿易協定)」を境に
条項の持つ性質が
変わったと言われている。
すなわち、弱い者いじめをする装置に
転落したというわけだ。
その趣旨は徹底され、
米韓FTAには、
ISD条項に付随するものとして
「間接収用」
という概念までが盛り込まれた。
日本いじめのため、
TPPでは
新たにどんなものが盛り込まれたのか、
不明だ。
それを探り出す手立てがTPPの条文だ。
にもかかわらず、
わずか800万人を擁する
カナダのケベック州の人たちのことを考慮して
フランス訳があるのに
日本語訳がない。
日本政府、すなわち、甘利大臣は、
TPPの交渉担当者として日本語版を要求さえしなかったことが
判明している。
協定内容は、
米国に丸投げ、ザ・メクラ判そのものだ。
そのようなことを曝露され、
追及されれば、政権にとって大きなダメージになるから、
収賄容疑でも何でもいいから、
甘利大臣を隠してしまえということになったのだろう。
それが政府の広報紙と言っていい
「週刊・文春」が
甘利の犯罪容疑を曝露した所以だと考える。
麻生、安倍といった巨悪からすれば、
甘利などは、
ただのガキの使いだ。
「鬼さん、こちら。お札は、ここよ」で、
意のままに動かせる相手なのだろう。
この男が警察に捕まるなど
大した問題ではない。
録音云々とマスコミが騒いでいる。
だが、そんなもの、
後ででっち上げた証拠に違いない。
甘利が同意の上なら、
そんな証拠、簡単に出来上がってしまう。
さて、では、甘利はいいとして、
TPP締結後、
日本は、どうなるか――。
橋下某が前市長平松邦夫さんと争った大阪市の水資源を通して、
考えて見よう。
すなわち、
大阪市の水道事業が民営化された場合、
これまで
実際に起こった例を敷衍すれば、
外国企業が落札する。
結果として、
水質悪化や料金高騰を招く。
市民が再び公営化を望む場合は、
ISD条項の対象になり、
巨額の賠償金を支払うことになりかねない。
軽自動車の優遇税制廃止や
遺伝子組み換え食品の認可のスピードアップも
岩月さんによれば、
TPPをきっかけにした事前交渉とのことだ。
このように
それぞれに時間をかけて議論しなければ
いけない重要課題なのに、
TPPは、
多数の経済政策のルールを
一括で
変えてしまう。
「一握りの企業が儲け、国民主権から“投資家主権”に
社会のあり方を変えてもいいのか?
私たちは今、その岐路にたっているのです」
という
岩月さんの警鐘をしっかり受け止めなければ、
とんでもないことになると思う。
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