のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

オバマ大統領の大伯父の戦争体験

2009年07月31日 22時57分49秒 | Weblog
 6月5日、オバマはブーヘンヴァルト強制収容所をアメリカ大統領として初めて訪問しました。これには、選挙期間中に行った演説が関係しています。彼は、支持者を増やすべく「私の大伯父はアウシュビッツを解放した兵士だ」と述べたのでした。それを聞いた敵陣営は「オバマの大伯父はソ連軍の兵士だそうだ」と揶揄しました。
 
 この話を聞いて、最も、苦々しい思いをしたのは、今も健在な当の大伯父だったことでしょう。独「シュピーゲル」誌に、それがなるほどと納得できる大伯父本人の体験談が寄せられているそうです。ジャーナリストの梶村太一郎さんがそのことにつき、週間「金曜日」(7/31発行)で触れています。

 大伯父は、アウシュビッツを解放したどころか、カポ(ナチ用語)という囚人を監督するナチ協力者だったのです。日本の新聞では、オバマの収容所訪問を、イスラエル保守政権への配慮と報道してあったと記憶してますが、そうではなかったのですね。大伯父がナチ協力者だったことがはっきり時点で、どうしても訪問したくなったというのが真実のようです。家族として大伯父の感じたことを追体験したかったのですね。

 米軍が収容所に接近したとき、ナチ親衛隊はカポたちを置き去りにして、真っ先に逃亡しました。残されたカポがどうなったって? 鉄の棒でほとんどの者は、殴り殺されたそうです。オバマの大伯父は、リンチを免れ、奇跡的に生還しました。しかし、戦争体験が重荷となり、家族にも社会にも不適応な状態が長く続きました。祖母がそんな弟を心配し、幼いバラクに戦争時でのことを話して聞かせたようです。そこに、真実でない情報が紛れ込む余地があったのですね。

 独テレビは、収容所で父を亡くしたノーベル平和賞作家のエリ・ヴィーゼル等と共に追悼碑に一本の白いバラを捧げるオバマ大統領の姿を、コメント抜きで中継し、丁寧に歴史の現場を伝えていたそうです。

 考えさせられますね、この記事。

 オバマは挨拶で――

 「ここにきて、子どもの頃から聴いていた大伯父が受けた衝撃と、彼の長い沈黙と孤立が理解できた。世界にホロコースト否定や人種主義、ホモホビー、排外主義などの扇動が続いている。これらに無関心であってはならず、抵抗することが義務である」と言い、さらに「ここでは悪をなす人間の能力について考えさせられる。われわれは犠牲者に思いいたすと同じように、加害者も人間であったあったことを心に刻むべきである。そしてわれわれ自身の内なる残虐性に対して備えを整えるべきである」と言葉を続けたそうです。

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