愛の流刑地

Story
かつて恋愛小説の旗手として注目され、今では世間から忘れられた存在である中年作家の村尾菊治（豊川悦司）は、ある朝、情事の果てに入江冬香（寺島しのぶ）を絞殺し逮捕される。事件を担当した女性検事の織部美雪（長谷川京子）は、菊治の漏らす言葉に困惑しながらも真相を追い、疑問を抱えたままやがて裁判の日を迎えるが……。（Yahoo! 映画より）
2006年/日本/鶴橋康夫監督作品




評価　★★★☆☆

この映画、女性に人気あるんですね。という私も女友達と観てきたのですが（主人はこの手の映画は興味ないらしく。。）^^;　上映開始前に長蛇の列が出来ていまして、ほとんど若い女性客ばかりでした。やっぱりトヨエツ目当てなんでしょうか・・。^^　ちらほらとカップルもいましたが、中高年が多かったのもびっくりです。

さて感想ですが、冒頭からいきなり殺人現場となったベッドシーンから始まったので、衝撃的ではありましたが、ちょっと興ざめしてしまった感もあります。できれば、最初は逮捕のシーンから始まって、徐々に盛り上がってきたところでそのシーンを入れた方が、映画的にはもっと面白くなったような気がしました。

寺島しのぶが体当たりの演技と聞いていた割には、思ったよりさらっと描かれていて、いやらしい感じがなく綺麗でしたね。今までの寺島しのぶが出演した映画のなかで、いちばん彼女が綺麗に見えた映画かもしれません。

それとは反対に長谷川京子の露出した服装の方がよっぽどドキッとしました。彼女の抱擁シーンの方がドキドキしたような・・。。あれは監督が意図してやったものなのでしょうか？大事な裁判で、あんな胸元を強調するような服を着る検察官は普通いないでしょう。。おまけに喋りもたどたどしいし、ハセキョーには気の毒ですが、ミスキャストと言わざるを得ません。

ドラマの部分では、トヨエツに寺島しのぶ、富司純子と名優ぞろいでこちらは安心して観れました。ただ寺島しのぶ演じる冬香が、大切な家族を捨ててまで（育ちざかりの子供が３人もいるのに）、トヨエツ演じる作家の村尾との関係を選び、なぜ死ぬことを望んだのかが、ちょっと理解しづらいですね。その辺りの描き方が少し弱かったような気がします。

おそらく冬香にとって、母や妻としてより女としての自分の方が大切だったのでしょう。また愛する男性を殺人犯にしてまで、彼を一人占めしたかったのだと思われます。
裁判も終わりに近づいて、トヨエツが「私は選ばれた殺人者なのです。」という台詞を言うシーンがあるのですが、このシーンはとてもグッときましたね。ちょっと泣けるようないいシーンでした。

それにしてもこの映画、トヨエツだから成り立ったような気がします。他の男優だったらこの映画ここまでヒットしなかったでしょう。ほっぺの赤い弁護士のような三枚目から（笑）、メロドラマの似合う二枚目まで、幅広く演じ分けることのできる貴重な俳優さんですね。寺島しのぶも和服姿がよく似合っていて、ほのかに色っぽい素敵な女優さんでした。

（「愛の流刑地」2007年2月　東京 銀座シネパトスにて鑑賞）