Story
陸軍中将 栗林忠道(渡辺謙)が硫黄島に降り立ったのは、1944年6月だった。早速彼は、上陸部隊を水際で迎撃するこれまでの戦術を変更。海岸線の塹壕を止めて島の内陸部に地下通路を張り巡らし、上陸した敵をゲリラ戦で迎え撃つ戦法を採る。常識を覆すやり方に古参将校たちは反感を持つが、アメリカ留学の経験を持つ栗林はアメリカ軍との戦いを有利に運ぶための確信があった。そんな彼にロス五輪馬術競技金メダリストの西竹一中佐(伊原剛志)は理解を示す。また、兵卒の西郷(二宮和也)は、下士官からの体罰を栗林に救われたことから、彼に希望を見出すのだった。
1945年2月19日、遂にアメリカ軍が上陸を開始する。栗林は、兵士に自決を禁じ、10人の敵を殺すまで死ぬなとすら言う。名誉の玉砕攻撃を信奉する伊藤中尉(中村獅童)らは、そんな栗林に反発する。栗林の戦法が功を奏し、緒戦での戦況を優位に進める。しかし、圧倒的な物量のアメリカ軍の前に徐々に戦況は悪化、兵士達は次々と自決していくのだった。
60年後、硫黄島協会の人々がかつて激戦が戦われた洞窟内で発掘作業を進めている。彼等が掘り出したのは、届かぬままだった兵士達が家族に宛てた数百通にも及ぶ手紙だった。
2006年/アメリカ/クリント・イーストウッド監督作品
評価 ★★★★☆
「星条旗」とこの「硫黄島」でイーストウッドが描きたかったのは、戦争の悲惨さはもちろんですが、それ以上に否応なく戦争に巻き込まれてしまった人間達の生き様だと思いました。
「硫黄島」を見る前は、勝つ見込みのない戦闘で英雄的に命を散らす日本兵達が描かれているものと予想していました。しかし実際はかなり現実的に生々しくその姿が描かれています。栗林中将を演じる渡辺謙ですら、なかなか潔い最期を見せてくれません。唯一、バロン西を演じた井原剛志の最期が印象的でした。
同じ状況に追い込まれたら、お前だったらどんな死に様を見せるのか、と問いかけてくる映画です。
これまで日本製の戦争映画は見る機会がなかったのですが、皮肉にもこのアメリカ映画で初めて日本軍の内情(当時の陸軍と海軍の縦割り的な関係、大本営が将校にまで嘘の情報を伝えていたなど)をかいま見た感じです。
栗林中将のような、どうしたら有効な戦果を出せるか合理的に考えられる戦略家が当時理解されにくかったのが残念です。
(「硫黄島からの手紙」2006年12月 長野にて鑑賞)
陸軍中将 栗林忠道(渡辺謙)が硫黄島に降り立ったのは、1944年6月だった。早速彼は、上陸部隊を水際で迎撃するこれまでの戦術を変更。海岸線の塹壕を止めて島の内陸部に地下通路を張り巡らし、上陸した敵をゲリラ戦で迎え撃つ戦法を採る。常識を覆すやり方に古参将校たちは反感を持つが、アメリカ留学の経験を持つ栗林はアメリカ軍との戦いを有利に運ぶための確信があった。そんな彼にロス五輪馬術競技金メダリストの西竹一中佐(伊原剛志)は理解を示す。また、兵卒の西郷(二宮和也)は、下士官からの体罰を栗林に救われたことから、彼に希望を見出すのだった。
1945年2月19日、遂にアメリカ軍が上陸を開始する。栗林は、兵士に自決を禁じ、10人の敵を殺すまで死ぬなとすら言う。名誉の玉砕攻撃を信奉する伊藤中尉(中村獅童)らは、そんな栗林に反発する。栗林の戦法が功を奏し、緒戦での戦況を優位に進める。しかし、圧倒的な物量のアメリカ軍の前に徐々に戦況は悪化、兵士達は次々と自決していくのだった。
60年後、硫黄島協会の人々がかつて激戦が戦われた洞窟内で発掘作業を進めている。彼等が掘り出したのは、届かぬままだった兵士達が家族に宛てた数百通にも及ぶ手紙だった。
2006年/アメリカ/クリント・イーストウッド監督作品
評価 ★★★★☆
「星条旗」とこの「硫黄島」でイーストウッドが描きたかったのは、戦争の悲惨さはもちろんですが、それ以上に否応なく戦争に巻き込まれてしまった人間達の生き様だと思いました。
「硫黄島」を見る前は、勝つ見込みのない戦闘で英雄的に命を散らす日本兵達が描かれているものと予想していました。しかし実際はかなり現実的に生々しくその姿が描かれています。栗林中将を演じる渡辺謙ですら、なかなか潔い最期を見せてくれません。唯一、バロン西を演じた井原剛志の最期が印象的でした。
同じ状況に追い込まれたら、お前だったらどんな死に様を見せるのか、と問いかけてくる映画です。
これまで日本製の戦争映画は見る機会がなかったのですが、皮肉にもこのアメリカ映画で初めて日本軍の内情(当時の陸軍と海軍の縦割り的な関係、大本営が将校にまで嘘の情報を伝えていたなど)をかいま見た感じです。
栗林中将のような、どうしたら有効な戦果を出せるか合理的に考えられる戦略家が当時理解されにくかったのが残念です。
(「硫黄島からの手紙」2006年12月 長野にて鑑賞)
硫黄島プロジェクト、個人は無視される戦争の実態を両国ともに描いていました。
2部作としてつくられたことに意義がありますよね。
硫黄島は、生々しくて地獄ですよ・・・
日本映画を観てるようなつくりでした。
日本人として、硫黄島のことをハリウッドの映画によって知ったことがやるせないものがありますね。
こちらの方にも来てくれてありがとうございました。
充実の2部作でしたね。
硫黄島戦のことは漠然とは知っていましたが、アメリカと日本の双方にあれだけのドラマがあったとは知りませんでした。
星条旗より硫黄島の方がせまってくるものがありました。
やっぱり、同じ日本人が戦死するのを見るのは、映画といえども辛かったです。