夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

ノマドランド

2021年12月07日 | な行の映画
Story
ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。(映画.comより)
2020年/アメリカ/クロエ・ジャオ監督作品






評価 ★★★★

定職に就かず車で放浪の旅を続けながら生きるノマド(放浪の民)と呼ばれる人々。彼らの行く先々で映し出される雄大な自然の景観が美しい。ときおり挿入される巨大なamazon配送センターの描写は大量消費社会の象徴でしょうか。

大自然の中を放浪する彼らもスマホは手放せない。キャンプ場で"電気が来てないよ"と言ってくる客などもいて、もはや否応無くウェブ社会に組み込まれてしまった私たちを改めて捉え直し、安易な脱文明・自然回帰を訴える構成にはなっていません。
こうするのが正しいと、解答を押し付けるわけではなく、彼らノマドと一緒に悩み彷徨うような感じですね。

ファーンは、車上生活をやめて一緒に家に住まないかと、姉とノマド仲間のデイブから2度誘われます。しかし、そんな申し出を断ったのは、彼らの家庭に空虚さを感じ取ったからかもしれません。地面に固定された"家"に住むようになったデイブが何となく精彩を欠いていたのは気のせいか。

廃墟になったセメント工場とかつて住処とした家に佇むファーン。再びハンドルを握って放浪の旅に出る彼女とともに、私たちは一体何処にいくのだろうと、答えのない問いかけが投げかけられているようでした。






評価 ★★★★

Amazon配送センターや自然公園などで働いたり、ノマドのコミュニティにも参加したりと、車上生活の実態が描かれていてとても興味深かったです。
この作品を観る前はドキュメンタリー映画に近いのかと思っていましたが、人間ドラマの部分もしっかり描かれているので思ったより楽しめました。

厳しい車上生活を送りながらも素敵な友人たちと巡り合ったり、恋愛に発展しそうな男性との出会いもあったりして、悪いことばかりが続かなかったのが女性の一人旅ということもあって観ていてホッとしましたね。
実際は、こんなに良い人が多かったりはしないのでしょうが、車上生活の厳しい状況で知り合った者同士、お互い助け合って生活を送る姿に心を打たれました。

それから、こういう良質な作品はやっぱり印象に残ったセリフが多いです。例えば、元生徒からのファーンへの質問に対して、「私はホームレスじゃない、ハウスレスなの。」とか、ノマドのコミュニティのリーダーがファーンに言うセリフ「この生き方が好きなのは最後の『さよなら』がないんだ。いつもまた会おう。また会える。」など。
こういったセリフからも分かるように、家を失っても、人としてのプライドや生きる希望を失っていない、前向きなノマドたちの姿をクロエ・ジャオ監督は温かく尊敬を持って描いています。ファーンを演じたフランシス・マクドーマンドも抑えた演技がよりリアルに感じられて、とても好感が持てました。



映画『ノマドランド』公式サイト


(「ノマドランド」2021年 7月 立川シネマ にて鑑賞。)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 地獄の花園 | トップ | グリーンランド-地球最後の2... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

な行の映画」カテゴリの最新記事