象徴的思考が動きだすためには、異質な領域を横断的に結んでいく神経組織の通路と、その中を高速度に移動できる「流動性知性」の発生がなければならないからです。そして、まさにその横断的な通路と流動的知性の発生こそ、現生人類の脳組織におこった革命的変化の本質をあらわすものだ、と考古学者たちは考えました。さきほどの比喩で言えば、それぞれの小部屋を隔てる隔壁がこわされて、特化した機能を果たしてきたコンピュータ相互のあいだをつなぐ新しい回路が、ニューロン接続の組み換えによって実現され、その回路をとおして異質な領域を〔異質なものを類似によって〕横断していく流動的な知性が動き始め、中央ホールのような場所に、特化された機能をもつコンピュータ群の働きを統御する、汎用型コンピュータがつくられるようになったわけです。(中沢新一『対称性人類学』講談社選書メチエ2004年,P.71)
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