真夜中ベッドを抜け出して
脱ぎ捨てたジーンズに足を通す
床に散らばった銀貨を拾い集めると
不意に君が寝返った
君が起きないようにそっとドアを閉め
島の海岸通りを独り歩く
海風にヤシが踊る道を歩く
遙か遠く灯るストアー目指して
夜空を過ぎったのは旅客機か軍用機か
水平線に浮かぶ船は海賊船かノアの方舟か
水面を破ったのはくじらか潜水艦か
闇に瞬いた光りは流星かミサイルか
対岸に聳える米軍キャンプ
甘い蜜が滴る蜂の巣のようさ
寂れたカーモーテルの俺たちは
ペットショップの檻に囚われた犬のようさ
気だるい熱帯夜の海岸通り
スマートフォンを部屋に置き忘れたせいで
不覚にも見上げた星空は刹那すぎて
歩む足取りは綱渡りのように危ういのさ
彷徨いている犬は飼い犬か野良犬か
すれ違った老人は散歩なのか徘徊なのか
ストアーのレジ打ちは日本人か外国人か
テレビのニュースは戦争か祭りか
俺にはどっちでも関係ないね
わかったところで何か出来る訳でもないし
寝起きに君が飲みたいのはスープかミルクか
俺にはそれしか興味がないし
今宵、世界が破滅しようがしまいが
君がいるならどうでもいいし
俺が生きているのは現実なのか夢の中か
もはやそれすらどうでもいいし
愛しい島は流刑地か楽園か
君がいるなら此処にいたいし
ただそれだけ・・・