
赤い花
砲弾の爆撃でシュガーケーン一帯が焼け野原さ
あまったるい薫りが立ち籠め海からの潮風とカクテルさ
赤いハイビスカスが血のように青い海に散りゆくのさ
渇水の果樹園の腐敗した果実と相俟って屍の異臭を消したのさ
辺境の島々を奪い合うミサイルの雨に異人さんの傘は錆び開きやしない
ボタン一つで瞬時に破壊された国家の爆弾の格納庫
楽園たる痕跡の夏の花火が屑箱に色あせパラソルが砂浜に埋もれる
赤い靴はいてた女の子もいつしか
青い目の異人さんに連れられていった
沖縄の埠頭からの密告 赤い花
気高く飛ぶ鷹と思いきや近代の静寂な軍用偵察機さ
ガジュマルの種のようにミサイルが島を釘指しさ
離島を結ぶ橋をくぐり抜けたクジラは潜水艦さ
海底ケーブルを瞬時に分断する巨大な海洋生物など現世にいやしない
国家の駆け引きに選ばれた舞台は小さな群島
万一の被害は最小限に止めるべきだとキナクサイ密約にサイン
栄華をあなたにと渡された花束と泡経済の陰に潜むウラ事情
皆殺しのミッション戦場のカナリアに選ばれたって訳さ
城跡に宿る井戸場に犇めく犠牲者の魂を弔うように
雨乞いの唄で祈るふりでシャーマンは皆殺しの惨劇を暗号で呟くのさ
赤い靴はいてた女の子もいつしか
青い目の異人さんに連れられていった
沖縄の埠頭からの警告 赤い花