華の会

日本文化を考える

桜むつ子さんの死

2005年07月20日 | 
桜むつ子さんの死
永井荷風との純愛交際?や小津安二郎監督の映画に出演した
桜むつ子さんが2005年1月23日に肺がんで死去しました。83歳

大正11(1921)年 東京生まれ
昭和8(1933)年 松旭斎天勝一座に入る
その後、「あきれたぼういず」の興行に歌手として出演、

戦後は劇団「新風俗」で活躍。退団後はロック座などに出演
永井荷風作の「春情鳩の街」に出演した。
この芝居では荷風も舞台に立ち、桜むつ子にキスしたという。

その後は松竹大船撮影所に所属して、小津安二郎監督の
「東京物語」「東京暮色」「彼岸花」「秋日和」「お早よう」
小津監督、最後の作品の「秋刀魚の味」などに脇役で出演し、
テレビではTBSの「私は貝になりたい」で主人公の妻役を演じました。

永井荷風と小津安二郎監督と二人の巨匠に認められた
とつてもうらやましい方
桜さんは1998年9月「東京人」という雑誌の対談で
「永井荷風に愛され、小津監督に可愛がられたのは
 やっぱり色気のある女だったんだね。」と井上和夫に聞かれて

「あたしは、父が幇間(桜川歌六)だったので、
 小さい時から花柳界に連れて行かれて、
 芸者さんたちに踊りを教わっていたの
 昔の芸者さんはキレイでほんのり色気がありましたからねえ。
 その影響ではないかしら。」と答えています。

「彼岸花」では、銀座「ルナ」のマダム、
「秋日和」では鮨屋のおかみさんなど
いつも、気のいい、男好きのする、尽すタイプの女を演じていました。
とっても素敵で、小津監督の『彼岸花」を見て、
大人になったら、
桜むつ子さんの「バールナ」に行って、カウンターに座り
「ピーナツ」を注文しようと密かに憧れました。