奥様は海外添乗員〜メモリアル

添乗後記~今回のお買い上げ・その3

    

最近、というか実際には数年前にメキシコをはじめて訪れて以来、毎度スペインに出かける度に仕入れて来るようになったメキシカンな食材たち。スペインでなぜメキシカンかといえばもちろんメキシコがかつてスペインに統治されてた、早くいえばスペインの植民地だったから。そんな歴史もあってかスペインのスーパーに行くと他のどこよりもメキシカンな食材が豊富なのだ。もちろん今の時代、イタリアでもフランスでも、そして日本でも手に入るものは増えたけど。メキシコへの旅ですっかりメキシカンにはまってしまったわが家。実際どこへ行ってもメキシコ料理の代表であるタコスを食べてたけど…つまりあまり郷土料理にレパートリーがあるとは決していえない国だけど。それでもとっても美味しかったあの味を思い出してはまたいつか訪れたいと心密かに願っている。以前にも書いたようにわが家の「もう一度訪れたい国」リストのかなり上位に位置するメキシコ。

そのメキシコがスペインの植民地となった経緯にあるのはもちろんコロンブスの新大陸=アメリカ大陸発見(到達)。15世紀、イタリアはジェノバ出身とされる(ただし他説もあり)彼は地球の球体説を信じ、ヨーロッパから西を目指しアジア(インド)へ至る航海を目論んでいた。そんな彼のスポンサーになってくれたのが時のカスティーリャ王国(現在のスペインの一部)のイザベル女王。結果、彼が到達した現在のバハマ諸島から中南米一帯がその後スペインによって植民地化されることになる。それでも最期までその地をアジア(インド)だと信じたコロンブスによって原住民がインディアンと呼ばれるようになったことは歴史上有名な話。

8世紀から続いたイスラムたちの侵略から国を奪回したスペインは同年(1492年)のコロンブスのこの発見でもってその繁栄に拍車をかけ、まさに黄金時代を築くことになる。ただこの発見はスペイン側から見れば偉業といえるだろうが、発見された方からすれば不幸のはじまり。侵略、略奪の繰り返しで各地から金銀をはじめ様々なものがスペインへと持ち去られているわけだし、その手段に残虐性がなかったとは決していえない。実際かつて存在した神殿などはことごとく破壊されてる。ちなみに世界各地に植民地を広げるに至ったスペインが「日の沈まぬ帝国」と呼ばれたのはこの時代。向かうところ敵なしだったスペインの無敵艦隊がイギリス軍の前に敗れるまでは…

    

ところでこの時代に海を渡ってスペインへ運ばれたものの中にはたくさんの食物もあったらしい。当時まだヨーロッパにはなかったと思われるじゃがいもやピーマン、カカオなどなど。そして忘れてならないトマトもそのうちのひとつ。アンデス高地生まれのトマトは当時すでにメキシコで栽培されており、16世紀に入ってからはじめて海を渡ってスペインへやって来た。その後ヨーロッパ各地で栽培、改良されるに至る。わが国日本へは江戸時代にポルトガルから中国を経て持ち込まれたらしい。

今でこそ日本の食卓にも欠かせないトマトも当時はまだ雨や病気に弱く、また味覚もあまりいいものではなかったようで日本で一般的になるのはずっと後のことだったようだ。世界各地で品質改良が繰り返され、今に至っているとか。余談だが今やこの国の料理には欠かせないイタリアではポモドーロと呼ばれており、これを直訳すると黄金のりんごとなる。形がりんごに似ていたこと、昔のトマトは今より黄色っぽかったことがその理由か?

そんなわけでトマトのルーツをさぐってみると、はじめて食用にトマトを栽培したのはメキシコだったらしい。それがめぐりめぐって大西洋を経たヨーロッパへ、そして喜望峰からインド洋を経てアジアへと地球をぐるりとまわって私たちの口に入るようになったことを考えると不思議な気分になる。ふんふん、なるほど。その昔描いてたメキシコのイメージの中には必ずポンチョ&大きなメキシカンハット姿のマリアッチにサボテン、そして真っ赤なトマトがあったような気がする。そんなトマトを使ったサルサはメキシコ料理に頻繁にお目見えするもの。とうもろこしの粉のボサボサ感がなんともいえないチップスにつけて食べるのも私は大好き。もちろんトルティージャを使ったタコスにも欠かせない。あぁ、でも真っ赤に熟れたトマト、丸かじりしたくなっちゃったなぁ…



みなさんからのコメントはいつも楽しく読ませていただいています。ただ諸々の理由によりこの年明けからコメントへのお返しはしていませんのでどうぞご了承下さい。また旅関係のご質問やリクエストに関しては、できるだけ今後のブログ上に反映させていきたいと思っています。

← メキシコの味にポチしてね。

← 留守番隊のホームページ「Olive-Leaf」も見てね。

← お見積もり依頼はこちらから

最近の「添乗後記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事