昨日に引き続き「ありえな~い!」第二話はこの4月にひとり旅したマヨルカ島から。バルセロナとバレンシアの中ほど、地中海に浮かぶバレアレス諸島の中でもっとも大きな島、マヨルカ島。春から秋にかけてのヴァカンスシーズンともなると北ヨーロッパ各地からチャーター便も飛ぶ、ヨーロッパのハワイ的存在。とはいえヨーロピアン・リゾートの特徴である落ち着いた雰囲気を留め、島内には手つかずの自然もいっぱいな本土スペインに負けない魅力ある島だった。
ただここ数年観光客誘致には熱心なスペインの中ではまだまだ離島という感覚が捨てきれない。というのは日本ではまともな地図も情報もなかなか手に入らないから。だからこそ実現する必要のあった「情報収集の旅」であり、行き当たりばったり的な部分が多分に存在する旅だったことは事実。もっともあまりにも情報があふれ、ネット検索してるだけで「行った気分」になってしまえるディスティネーションよりもずっとワクワク感が味わえたけど。
そんなマヨルカ島だったからとにかく頼みの綱は街のツーリスト・インフォメーション。細かい地図と現地情報を入手するのが到着してまず最初の仕事だった。なにしろ日本で入手したあまりにも大雑把な地図ははじまての街歩きには全く要を成さなかったし、ガイドブックに書かれてる記事は驚くほど古いものだったしね。各通りの名が明記されたペラペラな地図を手に入れただけでずいぶんと安心したもの。これでなんとか迷路のような街歩きもできそうだ、と。
そう、はじめて訪れる街歩きのポイントはただひとつ、通りの名前だ。古い時代に造られたヨーロッパの入り組んだ街を歩くのはたやすいことではない。ただでも敵の目を晦ます目的で迷路のように造られてるわけだから迷うのは簡単なわけだ。それでもヨーロッパではどんな街であっても必ず通りや広場には名がある。通りが交差する場所には必ずその名が明記されている。多くの場合建物の1階と2階の間ほどの高さに通りや広場の名を書いたプレートが埋め込まれてる(例外もあり)から、道に迷ったら手元の地図でその名を確認する、これが一番確実な歩き方。大きなモニュメントがあるような場所ならともかく、ぐちゃぐちゃした古い街歩きにはできるだけ細かく通りの名が入った地図を入手することが先決ってわけだ。
そんなわけでマヨルカ島で滞在した街、パルマ・デ・マヨルカでもインフォメーションで入手した地図は片時も離せず重宝したものだ。なにせ宿泊していたホテルは少々街の中心を離れた住宅街のど真ん中、地図でもなければ歩き出すこともままならない場所だったから。いつもなら間違いなく街の中心のホテルを選ぶ私が静かなリゾートチックな場所を選んだのも珍しいことだったんだけど。イースター明けのホテルは気の早いドイツ人観光客で結構にぎわっていながら隠れ家的でとっても落ち着けるいいホテルだった。それが滞在最後の夜にまさかあんなことになるとは…
翌日は次の目的地イビサ島へ渡ろうというその夜の出来事。街を去る前に夜景を楽しもうと暗くなるのを待ち、もうこれで思い残すこともない?と思いながらホテルへと向かった。滞在4日目という慣れもあって、いつもとは違う近道をしようと思ったのがそもそもの過ち。たぶんこっちへ行けば…と頭の中で地図を思い浮かべながら歩けど歩けど辿り着かない。ありゃ?と思っては戻り、ありゃりゃ?と思っては戻りしてるうちに真っ暗な道に迷い込んだ。実は私、よくこんな仕事をしてるよなぁ~と感心してしまうほどの方向音痴。
完璧に迷ったと悟った私はこりゃいかん!と思い使い古してぐちゃぐちゃになった地図をもう一度出し、取り合えず振り出しに戻ろうと思った。ところが「あっちゃ~!字が見、見えなぁ~い?」 もともと細部まで書かれていた地図、そして虫眼鏡でもほしいくらい小さかった文字は暗がりの中で完全に消えていた。近視の上に暗くなると余計に視界が狭まる(←こういうのを鳥目っていうのか?)私にはもう地図を読むこともできなかった。
近い場所まで来ていることはわかりながらあっちへこっちへ歩き回ること1時間半。とにかく明るい場所へと歩きながら向かいから女性が歩いてくるのを目にし、意を決して話かけた。「あのぅ…ここはどこですか?」 思えばこんなセリフ、何度か口にしたことがあったなぁ。そう、迷子になるのは今回がはじめてではない。あっちの国でもこっちの国でも迷子になってる私。彼女にホテルに帰る途中で道に迷ったことを告げ、あらためてホテルの名と住所を伝えると「たぶん私が向かう方向だから途中まで一緒に行きましょう。」と。「やったぁ~!これでホテルに帰れるぅ!」体中の力が抜けた。
歩くこと(たったの)5分、ふいに見覚えのある場所に辿り着いてなぜか2人で歓声を上げ自然とハグして別れたその女性は手を振りながら笑顔で去って行った。おかげで夜通しさ迷い歩く必要なくホテルへ帰還した私の足はそれでも棒のよう。マヨルカの最終日を飾るにふさわしい?忘れがたい夜となった。でも次回の旅からはルーペが必要かな…やっぱり?
写真はマヨルカ島で一番のお気に入りスポットとなったサ・カロブラ
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