人はなぜ戦争をするのか

循環器と抗加齢医学の専門医が健康長寿を目指す「人」と「社会」に送るメッセージ

憲法9条は人間社会の大躍進に繋がる突然変異だった!

2015年06月16日 08時26分46秒 | 社会
先日NHKスペシャルで『生命大躍進』という科学番組が放映された。それは恐竜が地球の征服者であった時代に、なぜ哺乳類が誕生したのかという謎に迫った。哺乳類以外の動物の赤ちゃんは卵の殻に包まれた状態で生まれ、孵化するまでは自分の力で動くことはできない。そのため、卵はしばしば恐竜などの外敵に襲われた。これに対して、哺乳類は胎児が母親の子宮の中で育つ。胎児は母親と一体になって逃げることができ、子孫を守るのに有利であったと考えられている。なぜ、哺乳類はそのような能力を獲得したのか。それはレトロウイルスのDNAが我々の祖先の細胞の遺伝子に偶然組み込まれたからだという。憲法が国の形を決めるように、遺伝子は個体の形を決めている。遺伝子が突然変異すれば生物の在り用が変わる。レトロウイルスは生物にとって天敵であった。祖先はこれに感染してバタバタと命を落とした。しかし生き残った祖先はレトロウイルスのDNAを利用して突然変異し、胎盤という胎児の発育にはなくてはならない組織を作り出した。この大事件が哺乳類を生みだし、人間に至る進化をもたらしたそうだ。私はこの放送を見ながら、人間社会との奇妙な共通点に思いを馳せた。レトロウイルスが祖先の遺伝子に組み込まれたのは偶然ではなく、生命進化の歴史において必然ではなかったかと。人間社会も戦争という天敵に苦しめられ続けた。とりわけ、第二次大戦は日本を含めて、世界中に未曽有の被害をもたらした。その悲惨な出来事を経て、歴史上初めてわが国の憲法に不戦の遺伝子が組み込まれたのである。これによって日本国憲法は人間社会で最も進化した憲法に突然変異した。わが国が戦後70年間、一人の戦死者も出さずにこられたのは憲法9条のお陰である。憲法9条は人間社会を大躍進させるためには必須なDNAなのだ。我々は40億年におよぶ生命進化の歴史を謙虚に振り返り、次世代のために有益なDNAを維持していかなければならない。