overdose2025のブログ

詩と小説を書いています。もしよろしければ見て頂けると幸いです。

「あなた」

2025-01-09 07:27:05 | 日記

僕は目を覚ますと誰も傍にいない事に気が付く。まだ朝早く目が覚める日が多くなったなと思いながらスマホに目を通す。そのまま起きて歯を磨きトイレに行き、飯を食べて近所の事業所に向かう。その途中で僕は穏やかで晴れた空を見ると何故か切なくなっていた。

仕事が終わり、家に帰り洗面所で手を洗う。その後、冷蔵庫から牛乳を出してコップに注いでレンジで温めて、それから取り出してインスタントコーヒーをスプーンで一さじ救い温めた牛乳に入れる。そして、その即席カフェオレを飲みながらしばらく時を過ごす。

カフェオレの味が美味しくてしばらく余韻に浸ってからため息をつく。

そして、部屋の椅子に座り、机にあるノートパソコンを開き、ネットでブログを書き込もうとしていた。何を書くか分からないけど今考えている事をまとめて書こうと思っていた。

ブログを書き終えてからパソコンを消して、それからトイレに行く事にした。

そして、何もする事がなく、夜になりシャワーを浴びてタオルで頭と体を拭いて夕食の支度をした。今日はネット通販で買った青汁の粉をコップに入れた水の中にかき混ぜて青汁を作り、そして、冷凍庫から昨日近所のドラッグストアで買った冷凍の和風たらこのスパゲッティをレンジで温めて食べる事にした。

青汁を飲み終えて冷凍スパをレンジで温めている間、またあなたを思った。

一緒に食べた食事の味を思い出して涙が自然と少しだけ僕の目から下に落下した。

そして、冷凍スパを食べ終えて食器などを洗った。

その後、しばらくテレビでニュースを見てしばらくチャンネルを変えて面白そうな番組がないからテレビをリモコンで消した。

そして、僕は今になり孤独になり辛いなと思いながら洗面所に向かい歯を磨いた。

そして、ベッドで横になり体温が冷えて温めたくなる気持ちを抑えて目を閉じていた。

僕はいつの間にか眠り、また朝が来ていた。

そして、また何時ものような毎日を送っていた。

そんな日常で僕のもう傍にはあなたがいない。

三年半だけ一緒にいただけの思いでしかないけど楽しかったなと今でも思う。僕は仕事が終わり部屋に戻り、パソコンでブログを書いて休憩をして、またあなたを考えていた。

あなたは無邪気な一面もあり、よく一緒に食事をしていると笑っている時も多かった。

手がかかる猫のようだけど猫よりは従順でよく心を開いてくれた。

全てが愛おしかった。時が止まっても構わないと初めて思えた日々。

今日は寒い日だ。部屋で何時もは着ない上着を羽織って今日はカップ麺を食べる事にした。

やかんに水を注ぎ、コンロで温めてかやくを入れてカップ麺を温めていた。

青汁を飲み終えて机でカップ麺をただ一定のリズムで啜っていた。

直ぐに食べ終えて汁まで飲んでため息をつく。今日もあなたはいない。

またテレビを見てため息をつく。この頃、体温は低めで落ち着いていた。

誰もいない部屋で独りきり。僕はあなたがいない部屋で独りきり。

あなたはもう交通事故で亡くなった。加害者の運転手の飲酒運転が原因だった。

その時から僕の時間は止まっていた。

他の人を見ても好きになれない。どうしてもあなたを思いだす。

あなたがいなくなってから僕は同じ単調な日々を送り、独りで時間を持て余していた。

今日も眠くなり洗面所に行き歯を磨いてベッドで横たわる。

この部屋には一人きりの空間しかなく、二人でよく見ていた晴れた空はもう独りで見るしかない。そして、テレビを見ても共感も反発もせず独りで淡々と見るしかできない。

あなたがいたならもっと色々話せて賑やかになるのにと今になり余計思うようになってきた。そして、もうそんな日は送れないのだと今更にして残念に僕は思っている。

今日も仕事場の事業所に向かう。君と出会った事業所に。

 

あなたは精神的に障害を持っていた。それでも僕は構わなかった。

初めて僕が働く事業所であなたが現れた時から心を惹かれていた。

初めて僕があなたに声を掛けた時からずっと僕はあなたと一緒にいたかった。

あなたはモテると思うから迷ったけどそれでもこの時はフリーだったから助かった。

あなたは恋人と別れてからしばらく経ち、新しい出会いが欲しかった。

あなたに事業所で職員として利用者であるあなたにパソコンの作業を教えているうちに親しくなり周りには内緒で連絡先を交換した。

そして、出会って半年後に僕の部屋にあなたは来てくれる事になった。

プレステ4で一緒にゲームをやったり夏場はアイスクリームを一緒に食べたり、その他にも二人で一緒にテレビを見たりパソコンで動画を観たり、音楽を聴いたりしていた。

時折、僕たちは二人共、好きなドラマを色々、語り合った事もあった。

病気を発症したあなたは不安定な心を薬で押さえつける事が出来るようになってきていた。

月に一日、精神科に行き、薬を貰って帰ってきていた。

あなたは精神科で処方された薬を飲みながら休みの日以外、僕が働くB型事業所に通っていた。そこであなたはほぼ毎日朝から昼までパソコンで作業をしていた。

そして、事業所が休みの日に僕の部屋にあなたは通ってくれた。

そんな日々が三年過ぎて、二人は一緒に暮らすようになって結婚を何時しか時折ふと考えるようになっていた。

何時も僕にあなたは絡みつく舌でキスを夜にしてくれていた。色んな恋人たちの出会いがきっとあなたを成長させてくれた。

成長してもあなたは行為だけが成長して内面はずっと見た目よりも幼かった。

そんな所が僕は魅力的に思えた。綺麗だけど少しだけ無邪気なあなた。

僕たちは愛し合ってきっとあなたもまんざらではないのだろうと思っていた。

僕はこのまま事業所で働き、あなたはこの事業所を辞めて違う事業所に通所する事にした。

そんな毎日が当たり前になった頃だった。

「ずっと一緒だね」

あなたが笑いながら言った一言を今になりよく思い出す。あの頃は特に気に留めていなかったけど、今となれば心に残っている。

「ずっと一緒だね。これからも」

あなたは何となく先を見えていたのだろうか。ずっと一緒だね。これからもと言った時、少しだけ悲しそうな声になっていたのを僕は気が付いた。

「そうだね。これからもよろしくね。きっと、楽しいよ。ずっとこれからも」

そう言っていたあの時、終わればよかった。二人が一緒のまま終わればよかった。

どうして一人残されたのだろう。どうして僕の方が生き残ってしまったのだろう。

あなたの体温が懐かしい。また舌を絡ませてキスをしたい。でも、それはできなくなった。

今、冷蔵庫から牛乳を取り出した。牛乳をコップに注ぎ、何時ものように温かいカフェオレを作る準備をしていた。レンジでコップを温めてインスタントコーヒーをスプーンですくい牛乳に入れてスプーンで混ぜた。そのカフェオレを飲んで甘く感じた。

何時も冬に飲んでいたこの即席カフェオレを一緒に飲んで「美味しいね」と言っていたあなたの声すらもう聞けない事が慣れてしまった事が僕は悲しかった。

ニュースの女性アナウンサーの声が春を告げる。

もうそんな季節かと思いながら僕はこのアナウンサーの比較的低い声が心地良く感じながら欠伸をした。体のふしぶしが少しだけ痛かった。

大抵、毎日、夢の中に現れてくれるあなた。僕は夢であなたと話す。思う存分。

 

猫として生まれ変わってくれたあなた。

野良猫の黒猫がある日、僕の部屋の玄関で待ってくれていた。じっと待っていて僕が帰ると近づいてきた。運命的な出会いだったからこの部屋は元々ペットが飼える事が可能な部屋だったから僕はこのあなたの生まれ変わりの黒猫を飼う事にした。

この日以来、僕は孤独ではなくなった。

黒い猫のあなたの生まれ変わりはやはりあなたの印象とそっくりで無邪気だ。

餌を食べて水を飲んで欠伸をしている黒猫。トイレの砂の交換をしたり、餌や水をやったりする時、あなたは猫になったのだなと思うようになっていた。

おもちゃで遊んだり、爪とぎで爪を研いだりしている君の生まれ変わりの黒猫。

ブラッシングしたり、無理にずっと一緒にいないで向こうから来た時にかまってやる事にしているから独りの時はトイレに行ったりテレビを見たりシャワーを浴びたり飯を食べたりパソコンでブログの記事を書いたりしている。

普段はよくキャットタワーや椅子で横たわっている黒猫。気紛れで何時ものんびりしている。黒猫は何時も気の向くまま暮らしていてそこは忙しかったあなたとは似ていないけど。

最近、黒猫は何時も寝る時、僕が寝ているベッドに上ってきて一緒に寝ている。

猫だからキスや行為はできないけど、僕と黒猫は何時も一緒に寝ている。

心の寂しさが紛れて僕は何時しかあなたの生まれ変わりの黒猫との暮らしが幸せに思えて仕方が無いようになってきていた。

でも、猫だからまたすぐに逝ってしまう。後、10年は生きてくれればいいけど。そう思いながら寝ている黒猫を見る。でも、僕は幸せを感じている。愛を感じている。

 

新しく好きな人を見つけようか。

僕はあなたがいなくなって五年が経ちそう思うようになった。

黒猫との生活もすっかり日常の一部になって久しい。

あなたと同じ名前に名付けた黒猫を呼ぶ。

黒猫はすぐに近寄ってくれた。僕は頭を優しく撫でて笑う。

もういいか。あなたとの思い出は忘れない。

黒猫は気持ちよさそうな顔をしていた。僕はあなたの全てを愛していた。そう思いまた涙が流れてきた。大丈夫。僕はあなたの事を忘れていないよ。覚えているよ。

 

あなたが逝ってから六年後。僕はスマホで出会い系のマッチングアプリで恋人を募った。

そして、何時しか出会いがあり付き合うようになっていた。

黒猫の世話をするのが一番大事だからデートは決められた時間にする。

その新しい恋人も黒猫が好きで自宅に一匹飼っている。

一緒に住めばあなたの生まれ変わりの黒猫に同居猫ができる。

あなたにも新しい出会いが生まれる。

あなたの生まれ変わりの黒猫が苦労しないように一緒に環境を変えずにここで新しい恋人と住めれば良いなと思っている。

あなたは出来るだけここで暮らしてほしいと僕は思っていた。

今日も僕は何時ものように黒猫に餌をあげる。そして、台所の傍でキャットフードを美味しそうに食べる黒猫を見て新しい同居猫とも上手く行けばいいなと心から願う。

あなたの事を愛している。その気持ちに偽りはない。でも、新しい恋人も愛し始めていた。

そして、僕は今、部屋で考え事をしていた。

あなたの笑顔がぼやけている。写真は余り好きではなかったよね。それでも、最後の日に写したスマホの写真を今見ている。あなたは笑っていた。無邪気な笑顔で。

あなたの事は忘れない。でも、僕には新しい恋人が必要だ。生きていくために。

黒猫が近寄ってきた。そして、少し甘えた声で鳴いている。

分かっている。独りじゃないよ。僕は笑顔で黒猫の背中を優しく触る。

黒猫になっても無邪気だね。あなたらしくて。そんな事を考えていると随分新しい恋人とは違うと思っていた。それでも新しく大切な人になりそうだった。

新しい恋人と出会ってから一年が経ち、新しい恋人の部屋にも遊びに行き、新しい恋人の飼っている黒猫とも何度も会っていた。黒猫の新しいパートナーになれそうな気がしていた。

それから話し合い、僕と新しい恋人は僕の部屋で一緒に住む事にした。

僕は新しい恋人と一緒にテレビを見て色々話をしている。懐かしい感じもするし新鮮な感じもする。意見や感想はあなたとは違うから面白い。

あなたの生まれ変わりの黒猫も新しい恋人の飼っている黒猫と仲良くなった。

黒猫同士が鼻チューをしたり、一緒に仲良く座っていたりする姿が微笑ましい。

しかし、僕は少しだけあなたといた時間を少しずつ忘れてしまう事に寂しさを感じていた。でも、少しずつ新しい人生を歩んでいる気もしていた。

ある日。僕はスマホに残るあなたの写真を見て思っていた。出会ってくれてありがとうと思えた。心の底からそう思えた事が僕はずっと幸せだと思った。これからもあなたの思い出とあなたの生まれ変わりの黒猫にしばらくは傍にいて欲しいと思った。

後、何年一緒にいられるか分からないけど。そう思っていた。猫同士も上手く行っているから余計楽しい生活を送っているから余計、新しい恋人とその飼い猫と何よりもあなたの生まれ変わりの黒猫とどれだけいられるかを考えると寂しくなった。

でも、少なくても僕は幸せだと思っていた。あなたといた時みたいに。

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