overdose2025のブログ

詩と小説を書いています。もしよろしければ見て頂けると幸いです。

overdose2030

2025-01-09 11:25:11 | 

「Overdose」

幼さに満ちた彼女。

無邪気に笑う彼女。

無垢なる彼女。

僕は彼女を幸せに出来ない。

Overdose。

青い果実がひどく傷んでいく。

薬を飲むたびに。

胃の中の物を吐き出すたびに。

未熟な恋愛感情。

熟れない果実。

今は熟れない果実。

Overdose。

青い果実がひどく傷んでいく。

薬を飲むたびに。

胃の中の物を吐き出すたびに。

いずれ腐った大人になっていく彼女。

今だけは食べれば苦い味がする果実。

甘くない果実。

今だけは熟れない果実。

Overdose。

青い果実がひどく傷んでいく。

薬を飲むたびに。

胃の中の物を吐き出すたびに。

幸せに出来ない僕を見る彼女。

それでも笑う彼女。

いずれ腐った大人になっていく彼女。

今だけは食べれば苦い味がする果実。

甘くない果実。

今は熟れない果実。

Overdose。

青い果実がひどく傷んでいく。

薬を飲むたびに。

胃の中の物を吐き出すたびに。

幸せに出来ない僕を見る彼女。

それでも笑う彼女。

甘くない果実。

今は熟れない果実。

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「最期の写真」

2025-01-09 11:20:34 | 小説

                     「最期の写真」

 

僕は彼女といた時間を思い出す時が時折ある。僕が暗くて気分が冷めそうな冬空の下でずっと彼女の手を握っていた日。その日が僕と彼女の最後の日だった。あの時、彼女は生まれつきの青い髪と瞳が時を経つにつれて暗い青色の髪と瞳の色彩になっていた。そして、多分、彼女は逝く時は髪と瞳の色彩が黒くなると言っていた。彼女は逝く事を恐れていたけど、敢えて僕に言わなかった。しかし、それが余計、彼女が苦しい感情に陥っている気がしていた。それでも、僕達はこの冷めた暗色の青空の下、ずっと話をしていた。もう二度と会えない僕達はその事を受け入れて話をしていた。しかし、この日、全ての色彩が暗い青色になっても、寂しくても、この日の彼女の暗い笑顔がとても僕にとっては魅力的に思えた。

「私の事は忘れてもいいよ。私も向こうの世界があるとすれば誰かとまた付き合うから」

この肌と心も痛いぐらいの冷気な風が二人にまとわりついていた。この風に前髪が乱れて僕は精神的に痛む心の傷が無数に増えていく気がしていた。僕は彼女と離れても生きていける事が、彼女と一緒に逝けない事がとても辛く思った。そして、ふと、彼女は僕の手を繋いでいた。二人で一緒にいる時間が短い事を知っていた彼女の手を温める事すら僕には出来ないと思っていた。でも、彼女と手を繋いでいる内に彼女の冷たい手の温度が少しずつ温まってきた気がした。この日、暗色の残り時間を彼女は僕と過ごす事にしていた。

「多分、私が先に逝くとは思うけど、もしかしたら、君の方が早く逝くかもしれない。……だけど、それは無いと思うから、せめて君は私の分まで生きてね」

彼女はもう少しだけ僕と一緒に生きたかった。僕ももう少しだけ彼女と一緒に生きたかった。でも、彼女は僕の顔を見て「無」になるまでは覚えているよと言ってくれた。僕はその時、感情的になり冷たい涙が流れていた。彼女は僕の表情を見て初めて僕の前で泣いた。そして、灰になる前に写真を撮ろうと彼女は言ってきた。僕はカメラで僕達の写真を撮った。棺桶に入れる彼女の写真を懸命に撮っていた。彼女もカメラを持っていて僕達の写真を互いに数多く撮っていた。彼女の泣き笑いの顔の写真を生涯、持ち歩こうと僕は思っていた。彼女は結局、何の為に生きていたのか分からなかったけど、それでも最期が良かったからそれで良いと思うとだけ言っていた。その時の彼女の顔を見て僕は彼女と出会えた事を素直に良かったと思った。きっと、僕は彼女と一緒に過ごした時間が、この先もとても大切な記憶になると思った。そして、この日、僕達が一緒に撮った写真を現像して二人は少しだけ暗い気分が明るくなり色々写真を見ながら笑っていた。この先、もう僕達は思い出を残せない。そう思うと、僕は涙が止まらなくなりそうだから敢えて明るい表情を浮かべた。彼女も僕と同じ気持ちで何とか涙を流さないように明るく振る舞っていた。でも、最後に僕は彼女の顔を見ると少しだけ明るい感じがしていた。この日の暗色の青空に似合う笑顔だと思った。

そして、後日、彼女は僕と一緒に撮った写真を握りしめて亡くなった。火葬場で彼女が灰になっている時に、僕は彼女と撮った泣き笑いの写真を生涯、持ち歩こうと思った。僕は彼女と二度と会う事はないだろうけど、でも、生きている間はこの写真を持ち歩こうと思った。

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「雨の記憶」

2025-01-09 11:17:48 | 小説

                      「雨の記憶」

彼女からの手紙を見た時、僕は彼女と最初に言葉を交わした時から今までの記憶を鮮明に思い出せたから今でも彼女が傍にいる気がしていた。それでも、彼女はもう此処にはいない。でも、雨に濡れて雷雨になる前に手を一緒に握って走っていた日の記憶も思い出せる。

あの時、彼女が隠していた事を今、知った。あの頃の彼女がもう永遠に会えない事をどうしても僕に伝えられなかった事を。彼女はもう長くない事を知っていたから突然、僕から去って行った事を。そして、何時か誰よりも僕が幸せになれるように思ってくれていた事を。

僕はその事を知って彼女の大人びた繊細な優しさを知った。

あの日、雨の日に彼女は傘さえ持たず一緒に僕といた時、何時もよりも明るく感じた。

「何で時間は止まらないんだろうね。このまま、ずっと時間が止まると良いのに」

そう言った後の彼女の笑顔はとても晴れやかな気がしていた。今思うと、この日が最後だから笑顔で一緒にいようと思っていたのだろうと思っている。でも、僕はただ明日も彼女といるつもりだった。二人の思いがもうしばらく続くと思っていたから一緒にいたかった。

しかし、彼女は何故か眠そうな表情をしていてふらふらと歩いていた為、僕は彼女に「大丈夫?」と聞いた。彼女は「大丈夫。有難う」と言った後、少しだけ大人びた笑顔で「初めてが良かった?」と言っていた。「別に」と笑って僕は彼女にキスをした。「有難う」と彼女は笑っていた。その笑顔は普段は優しくて何処かひねくれている彼女には珍しく素直で冷たい笑顔だった。しかし、その時の彼女の笑顔は僕達が付き合ってから何故か一番嬉しそうな笑顔だったと思っていた。でも、何処か彼女が無理をしている事は何となく気が付いていた。

僕はあの時、彼女と長く付き合える気がしていた。彼女と一緒にこれからも生きて行く事を決めていた。その事を知っていた彼女は優しいから僕が苦しまないように明るく振る舞ってくれた。同じ年でも遥かに大人の彼女が。優しくて何処かひねくれている彼女が。

しかし、今、僕は雨の記憶しか彼女との中の思い出を思い出せなくなった。僕は何時か同じ世界に行く時が必ず来る事を微かな希望とするしかないなと思った。

彼女は雨が止んで晴れやかな寒々しい太陽の下で別れるのが辛いなと思っていた。

何時もの彼女は雨が好きではなかったけど、この日に限っては雨が降って欲しかった。

彼女が僕の元から去ってから、しばらく経って彼女の姉があの時、別れた彼女の手紙を届けてくれた。その後、彼女の姉と少しだけ喫茶店で話して、お礼を言って去った。

その日の僕はあの時、降っていた雨の色とは違う色合いの雨の下で彼女の手紙を濡らさないように黒い鞄の中に大事にしまって傘を差してまっすぐ帰った日、この日が「命日」になる気がしている。僕にとって彼女の「命日」に。

最初に出会った日から彼女は大人びて見えていたけど、僕は今になり、ようやく大人になったと思った。彼女はあの頃からずっと大人だったんだなと今更ながら思った。

時間が止まらない事をずっと願っていたけど、その願いが不可避な事は誰よりも理解していた彼女は何時か僕が幸せになれば良いなと思っていた。

「何で時間は止まらないんだろうね。このまま、ずっと時間が止まると良いのに」

今、ふと彼女の言葉を思い出していた。今の僕にはもう過去の言葉だけど、今ようやく彼女の言葉に込められた重さが分かった。

彼女は僕と出会えた事を良かったと思ってくれた。僕はそれで充分幸せだと思った。彼女に会えなくても思い出だけはきっと生涯忘れないと思ったから。

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「昼桜」

2025-01-09 11:14:04 | 小説

                                                                                 「昼桜」

  • 僕は今でも彼女が戻る事を待ち望んでいる。だから、もう僕は彼女のいない生活が三年過ぎたけど、今でもこの部屋に住んでいる。もう、この先、二度と来ない彼女。「生涯」ずっといない彼女を想像しても始まらないけど、何時までもこうして生きて行くのに疲れていた。彼女が何時か「永遠に一緒にいよう」と笑いながら言っていたから「生涯でいいよ」と僕は笑っていた。「もし、私たちが結婚したら終わるまでは別れたくはないな」と彼女は明るく笑っていた。僕達は一緒に老いていって身体がしわくちゃになりながらも一緒にいたいと思える相手だと互いに思っていた。どちらかが終わるまでは。今でもずっと彼女に感情を奪われている。他に女を探したくなる事はない程。
  • でも、彼女はもうこの部屋には戻らない。それでも、僕は彼女とせめて、もう一夜だけずっと手を繋いで寝ていたかった。でも、あの頃の彼女はもっと深い所まで僕の事をずっと愛してくれた。だから、彼女にとって僕は重くはないはずだ。僕は彼女が違う相手と結婚して出来れば子供を産んで生きて行く気がした。しかし、僕はふと何気なく彼女がもうこの世には永遠にいないという想像をすると怖くなる。だけど、そうして、もう彼女の事を考えている時、ずっと不安を抑えていた。でも、明るく暮らしているだろうと泣いた後で彼女だけでも幸せになっている事を願っていた。しかし、今思えば、何事も全て感じ方が甘い僕とそんな僕を気に入っていた彼女は僕ほどではないけど、割と現実的ではないから僕と気が合ったのかなとは思ったから、僕は彼女が健全ではない誰かに操作されてなければいいなとも思っていた。僕は今もこれからもずっと現実を拒否したい。また幸せだと感じていた感情が例え此処にいても減ってきているけど、それでも、僕は退去させられるまでは此処で生きていこうと思っていた。
  • 僕は探せば恋人がまた見つけられたかもしれないけど、今まで付き合った恋人の中で一番、幸福を感じた彼女が今でも忘れられない。だから、一生、寂しい思いを抱えたまま「生涯」という時間を費やして生きて行くつもりだった。
  • ある日、僕が家に帰ると一人、女が僕の部屋の前で寄りかかっていた。僕は直ぐに彼女だと分かった。涙が出てきて、僕は心から「来てくれてありがとう」とだけ言った。そして、僕は彼女を部屋に招いて色々話をしていた。
  • 「今までごめんね。実は君と別れる時から病にかかり、色々、治るように患者として生きていたけど、でも、私は一年ぐらいしか持たない状態になってしまうぐらい重篤になってきたんだ。そして、どうやって一年過ごそうか悩んでいたけど、何か君の事を思い出して、そう言えば一緒にいて結婚もしてもいいかなと思った最初の男だし、あと一年、一緒に生きたくなったから、また来ちゃった。でも、私が君にひどい事をしたから君が今でも傷ついている気がして……もう一度、会えば君も綺麗な感情になると思った。だから、今の私はもう君の「恋人」の資格はないけど、それでも、最後は一緒に暮らしたい。私は本当に今更、ひどいね。私。私が今まで付き合ってきた他の男はもう恋人か奥さんがいるからダメだし。普通は失恋してもまた他に恋人を作って出来たら嫁まで出来ていく。だけど、君だけは不器用だからずっと私の事を忘れずに新しい恋人をつくらないだろうと昔から思っていた」
  • 「いいよもう。ずっと君がいなくなってから人生の楽しさを時折、感じられるのは食事ぐらいだなと思って、でも、それでも、何時も戻ってこない君を待っていたんだ。まさか来てくれるとは思わなかった。今はもう一年ぐらいしか一緒に生きていけないけど、最後まで見送ってあげるよ。もう僕は誰も愛せず、ずっと一人で一生、孤独なまま思い出だけを引きずり終わるんだなとは思っていた。でも、もう今は孤独ではないからようやく人生がまた過去から時間が進みだした。これから昔の写真はアルバムに移して『今』の写真を飾っておきたいし、その中の一つの写真を財布にも君の写真を入れておきたい。そして、いずれは心が老いて忘れられるから救われるのかもしれないけど、せめてたまに感傷に浸りたい時はもう過去の君を見て微かに老いた姿も見て見たかったなと思いながら笑いたい。涙の温度が冷たくなってしまう日が来るのが嫌だと思うけど、思いまで冷たくなった時も君の『今』の写真を飾ってたまに見てみたい。僕と君との別れ方が冷たかったし、昔の僕達の場合はどう考えても純愛ではないけど、今の愛情は僕達らしい非現実的な愛情だと今は思っている。それでも、僕は君以外と生きたくない」
  • 「そう言ってくれてありがとう。何時の間にか私は君に惹かれた時に結婚を初めて意識した。昔、付き合っていた頃なら結婚してもいいけど、でも、今はあと一年しかないからさ。だから結婚をしない方がしれないと思って。こうしているだけで嬉しいけど、でも、やっぱり私は婚姻届とかは書くと余計終わる時に辛くなるから。もう君さえよければ昔みたいに笑えなくても残りの時間を一緒に生きたい……という事は正直、考えているからさ。でも、執拗な言葉だけど、本当にごめんね。でも、また会えて凄く嬉しかったよ。この先、記録と記憶に残れば生きた意味もあるかなと思うようになってきたから、せめて写真を残したい。でも、今まで一度もないけど昼桜を見てそこで一緒に写真だけでなく、映像でも声や外見も残すのは最後ならいいかもしれない」
  • この日は中々眠れなかったけど、悲しいけど、もう僕もやり残した事が少なくなってきた。そして、翌朝、彼女はご飯と味噌汁を作ってくれた。それを美味しく食べて仕事に行く事にして、彼女は此処で待っているよと言って僕は彼女に礼を言い出勤した。
  • 僕は彼女と早食い競争をしたり、恋愛感情が復活したからデートして珍しい店で美味しくない飯を食べたり、ボーリングで点数が高い方がこのボーリング場の近くのお好み焼き屋で飯を奢るなどをくだらない遊び方をしていたそんな彼女には食欲があるし、痛みも殆どないから彼女は余命を告げられる重症の患者だけど最後まで苦しむ事がないようだ。「老衰」でいくのと同じぐらい穏やかに終わるようだ。
  • 彼女が涙を流した夜に僕が彼女の手を握っても「大丈夫」とだけ言って彼女が泣いている時だけは僕はもう一生が終える日が近い事を改めて実感して切なくなる。でも、一週間ぐらい辛い時期が彼女にもあったけど、今はもう不安が和らいだようだ。だから僕は安堵した。そして、彼女はご飯と味噌汁だけ作って僕を迎えてくれる。新婚生活が出来た気がして、もう彼女以外の女は必要ない。今度こそは確実に会えない彼女との日々が来るけど、僕はもう苦しくはなく、悲しくて楽しい幸せを更に深く感じながら生きていけるから、もう幸せだ。今度こそ幸せだ。僕だけかもしれないけど。
  • 「色々、写真を撮ったし後は昼桜を写真で撮りながら動画まで残す日までは二人共、生きていけると思うし、それはずっと僕は生涯、大事にして残すよ。しわくちゃになるまで一緒に生きて行きたかったけど、僕がしわくちゃになったら、記憶はぼやけても写真と動画を見ながら若かったと思いながら生きて最後は誰かに頼んで棺に昼桜が咲く日に撮る写真と動画を一緒に入れて貰うよ。火葬すれば姿は違うけど、灰として長く地球に残りそうだから案外、寂しくはないかもしれないね。色々、言ってきたけど、最後は同じ場所で私の灰と君の灰が同じ墓の中で一緒にいれば、今度こそずっと一緒にいられるのかなとはロマンを込めて思っているよ。それでもきっと、結局、灰では感情は共有する事はなさそうだから最期は孤独かもしれない」
  • 今日と明日は仕事が休みでまた彼女と今まで行った事のない余り繁盛していない店を探してそこでも早食い勝負をして何時も僕が本気で早食いをしていたけど、何時も彼女が勝っていた。彼女は才能があったんだなとは頭が少し弱い僕は感心していた。ラーメン屋は大抵美味しいけど、色々な国の料理店に行き、大抵、余り僕は美味しいと思う時が無かったけど、彼女は常に完食して美味かったと言っていた。
  • 僕と彼女が一年間、生きる事を真剣に考えて後は彼女の「生涯」を続かせたかった。
  • そして、もう直ぐ、桜が咲く時期に彼女は悩んだ末、プロポーズをしてくれた。
  • 「結婚だけして、私の指輪は買わなくても良いと思うけど、君だけ指輪を作れば結婚したという証を残せる。今までの礼を全て込めて私が最後に買うから。君と再会した時から記録に残す為に写真と動画とそして、シンプルだけど私の形見で指輪を残したい」
  • そして、彼女は涙が少しだけ流れそうになりながら更にこう言っていた。
  • 「ウェディングドレスの写真はいらないから私はただ結婚すればそれで良いと思っていたけど、君の為に今できる事をしたい。君も幸せになって笑って欲しいし」
  • 昼桜の最後の花の色が鮮明に見たかった僕と彼女はただ最後の昼桜を見る事が一番、印象深い景色になるだろう。一層、昼桜は散る直前が綺麗だ。恐らく彼女のように。僕と彼女はよく話すけど桜は散る瞬間が綺麗だと言っていた。終わる事が怖くてもきっと彼女は最低でも灰になれる。もう「無」に近いけど「生きている」気が僕はした。
  • 「ソメイヨシノを見て終わるのが通だね。悲しくても哀しくても、最後の日がきたらたまに思い出してね。ずっと、こうして私は君と歩いて桜を見ると再会できて良かった。若いままでなくなるのはより君にとってもいいかもしれない。私の容姿が若いままで止まるから。桜も綺麗なままで散るのが一番、寂しくて、でも、人を惹きつけるから。毎年、ずっと若くて美的に優れた状態で私は終われるから。それでも、もし老化というやっかいな時間を過ごしても、君といる思い出が深くなるかもしれない。それが長く過ごす幸せかもしれない。若く命が終われば綺麗な状態で終われるという事を考えて終わりの怖さを紛らわしている。本当は若くなくてもどんな外見になっても老化して見た目が若くなくなる時が訪れても出来るだけ君と長く一緒に暮らしたかった」
  • そして、昼桜が完全に散るまで僕達は出来るだけ多く二人で一緒にスマホで自撮りをして、自撮りが終わると春空を見ながら冷たい空気を吸ったり、昼桜だけを写真や動画でも撮ったりして、最後に自分達の写真や動画を一緒に撮影しつくしてから家に帰っていた。彼女は昼桜を見て不安が少しは冷めてきた。
  • 彼女が今度は自分しか愛せない哀しい僕に感謝して、幸福だけど、だからこそ余計にこの先、彼女は切なく辛くなるかもしれないけど、でも、彼女は灰になり地球上にしばらく残る幸せを噛みしめて終わろうと思っていた。完全な「無」ではないから。例え、この先、地球が終わっても、でも何処かで灰なら残ると寂しくないとずっと考えていた。
  • そして、僕達が再会して三か月が経った日に僕と彼女は婚姻届を役所に届けた。多分、残り時間が少なくても僕達は夫婦だ。あと半年ぐらいしか一緒に生きていけないけれども。そう僕が思っていると彼女が珍しく腕を組んでいた。彼女はもう苦しまないだけ幸せだとも思っていた。そして、結婚したという事が僕の人生の生きやすさにつながりそうになる事があると思うから彼女は僕と結婚をした。僕の為に。そして、最後は泣かないと決めていた彼女は永遠に若く生き残り、僕は多分、初老ぐらいは生きていけるかなとは思う。彼女と同じ年の僕も今はまだ若くて美的にはいいのもしれないけど。
  • 僕は指輪を見れば安堵する。隣で彼女は後、終わりが分からない時間を迎えている。そして、僕は写真をもう財布に入れていた。動画が見たい時は不安が自分の中で感じて辛い時にじっくりと見て「一緒」にいた日々を思えば少しだけ苦しくなくなると思っている。彼女にも指輪を買いたいけど、彼女が嫌がりそうだから止めておこうと思った。きっと、僕達はまた違う形で出会い、また二人で昼桜を見るだろう。僕の妻の彼女と「永遠」に。
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「あなた」

2025-01-09 07:27:05 | 日記

僕は目を覚ますと誰も傍にいない事に気が付く。まだ朝早く目が覚める日が多くなったなと思いながらスマホに目を通す。そのまま起きて歯を磨きトイレに行き、飯を食べて近所の事業所に向かう。その途中で僕は穏やかで晴れた空を見ると何故か切なくなっていた。

仕事が終わり、家に帰り洗面所で手を洗う。その後、冷蔵庫から牛乳を出してコップに注いでレンジで温めて、それから取り出してインスタントコーヒーをスプーンで一さじ救い温めた牛乳に入れる。そして、その即席カフェオレを飲みながらしばらく時を過ごす。

カフェオレの味が美味しくてしばらく余韻に浸ってからため息をつく。

そして、部屋の椅子に座り、机にあるノートパソコンを開き、ネットでブログを書き込もうとしていた。何を書くか分からないけど今考えている事をまとめて書こうと思っていた。

ブログを書き終えてからパソコンを消して、それからトイレに行く事にした。

そして、何もする事がなく、夜になりシャワーを浴びてタオルで頭と体を拭いて夕食の支度をした。今日はネット通販で買った青汁の粉をコップに入れた水の中にかき混ぜて青汁を作り、そして、冷凍庫から昨日近所のドラッグストアで買った冷凍の和風たらこのスパゲッティをレンジで温めて食べる事にした。

青汁を飲み終えて冷凍スパをレンジで温めている間、またあなたを思った。

一緒に食べた食事の味を思い出して涙が自然と少しだけ僕の目から下に落下した。

そして、冷凍スパを食べ終えて食器などを洗った。

その後、しばらくテレビでニュースを見てしばらくチャンネルを変えて面白そうな番組がないからテレビをリモコンで消した。

そして、僕は今になり孤独になり辛いなと思いながら洗面所に向かい歯を磨いた。

そして、ベッドで横になり体温が冷えて温めたくなる気持ちを抑えて目を閉じていた。

僕はいつの間にか眠り、また朝が来ていた。

そして、また何時ものような毎日を送っていた。

そんな日常で僕のもう傍にはあなたがいない。

三年半だけ一緒にいただけの思いでしかないけど楽しかったなと今でも思う。僕は仕事が終わり部屋に戻り、パソコンでブログを書いて休憩をして、またあなたを考えていた。

あなたは無邪気な一面もあり、よく一緒に食事をしていると笑っている時も多かった。

手がかかる猫のようだけど猫よりは従順でよく心を開いてくれた。

全てが愛おしかった。時が止まっても構わないと初めて思えた日々。

今日は寒い日だ。部屋で何時もは着ない上着を羽織って今日はカップ麺を食べる事にした。

やかんに水を注ぎ、コンロで温めてかやくを入れてカップ麺を温めていた。

青汁を飲み終えて机でカップ麺をただ一定のリズムで啜っていた。

直ぐに食べ終えて汁まで飲んでため息をつく。今日もあなたはいない。

またテレビを見てため息をつく。この頃、体温は低めで落ち着いていた。

誰もいない部屋で独りきり。僕はあなたがいない部屋で独りきり。

あなたはもう交通事故で亡くなった。加害者の運転手の飲酒運転が原因だった。

その時から僕の時間は止まっていた。

他の人を見ても好きになれない。どうしてもあなたを思いだす。

あなたがいなくなってから僕は同じ単調な日々を送り、独りで時間を持て余していた。

今日も眠くなり洗面所に行き歯を磨いてベッドで横たわる。

この部屋には一人きりの空間しかなく、二人でよく見ていた晴れた空はもう独りで見るしかない。そして、テレビを見ても共感も反発もせず独りで淡々と見るしかできない。

あなたがいたならもっと色々話せて賑やかになるのにと今になり余計思うようになってきた。そして、もうそんな日は送れないのだと今更にして残念に僕は思っている。

今日も仕事場の事業所に向かう。君と出会った事業所に。

 

あなたは精神的に障害を持っていた。それでも僕は構わなかった。

初めて僕が働く事業所であなたが現れた時から心を惹かれていた。

初めて僕があなたに声を掛けた時からずっと僕はあなたと一緒にいたかった。

あなたはモテると思うから迷ったけどそれでもこの時はフリーだったから助かった。

あなたは恋人と別れてからしばらく経ち、新しい出会いが欲しかった。

あなたに事業所で職員として利用者であるあなたにパソコンの作業を教えているうちに親しくなり周りには内緒で連絡先を交換した。

そして、出会って半年後に僕の部屋にあなたは来てくれる事になった。

プレステ4で一緒にゲームをやったり夏場はアイスクリームを一緒に食べたり、その他にも二人で一緒にテレビを見たりパソコンで動画を観たり、音楽を聴いたりしていた。

時折、僕たちは二人共、好きなドラマを色々、語り合った事もあった。

病気を発症したあなたは不安定な心を薬で押さえつける事が出来るようになってきていた。

月に一日、精神科に行き、薬を貰って帰ってきていた。

あなたは精神科で処方された薬を飲みながら休みの日以外、僕が働くB型事業所に通っていた。そこであなたはほぼ毎日朝から昼までパソコンで作業をしていた。

そして、事業所が休みの日に僕の部屋にあなたは通ってくれた。

そんな日々が三年過ぎて、二人は一緒に暮らすようになって結婚を何時しか時折ふと考えるようになっていた。

何時も僕にあなたは絡みつく舌でキスを夜にしてくれていた。色んな恋人たちの出会いがきっとあなたを成長させてくれた。

成長してもあなたは行為だけが成長して内面はずっと見た目よりも幼かった。

そんな所が僕は魅力的に思えた。綺麗だけど少しだけ無邪気なあなた。

僕たちは愛し合ってきっとあなたもまんざらではないのだろうと思っていた。

僕はこのまま事業所で働き、あなたはこの事業所を辞めて違う事業所に通所する事にした。

そんな毎日が当たり前になった頃だった。

「ずっと一緒だね」

あなたが笑いながら言った一言を今になりよく思い出す。あの頃は特に気に留めていなかったけど、今となれば心に残っている。

「ずっと一緒だね。これからも」

あなたは何となく先を見えていたのだろうか。ずっと一緒だね。これからもと言った時、少しだけ悲しそうな声になっていたのを僕は気が付いた。

「そうだね。これからもよろしくね。きっと、楽しいよ。ずっとこれからも」

そう言っていたあの時、終わればよかった。二人が一緒のまま終わればよかった。

どうして一人残されたのだろう。どうして僕の方が生き残ってしまったのだろう。

あなたの体温が懐かしい。また舌を絡ませてキスをしたい。でも、それはできなくなった。

今、冷蔵庫から牛乳を取り出した。牛乳をコップに注ぎ、何時ものように温かいカフェオレを作る準備をしていた。レンジでコップを温めてインスタントコーヒーをスプーンですくい牛乳に入れてスプーンで混ぜた。そのカフェオレを飲んで甘く感じた。

何時も冬に飲んでいたこの即席カフェオレを一緒に飲んで「美味しいね」と言っていたあなたの声すらもう聞けない事が慣れてしまった事が僕は悲しかった。

ニュースの女性アナウンサーの声が春を告げる。

もうそんな季節かと思いながら僕はこのアナウンサーの比較的低い声が心地良く感じながら欠伸をした。体のふしぶしが少しだけ痛かった。

大抵、毎日、夢の中に現れてくれるあなた。僕は夢であなたと話す。思う存分。

 

猫として生まれ変わってくれたあなた。

野良猫の黒猫がある日、僕の部屋の玄関で待ってくれていた。じっと待っていて僕が帰ると近づいてきた。運命的な出会いだったからこの部屋は元々ペットが飼える事が可能な部屋だったから僕はこのあなたの生まれ変わりの黒猫を飼う事にした。

この日以来、僕は孤独ではなくなった。

黒い猫のあなたの生まれ変わりはやはりあなたの印象とそっくりで無邪気だ。

餌を食べて水を飲んで欠伸をしている黒猫。トイレの砂の交換をしたり、餌や水をやったりする時、あなたは猫になったのだなと思うようになっていた。

おもちゃで遊んだり、爪とぎで爪を研いだりしている君の生まれ変わりの黒猫。

ブラッシングしたり、無理にずっと一緒にいないで向こうから来た時にかまってやる事にしているから独りの時はトイレに行ったりテレビを見たりシャワーを浴びたり飯を食べたりパソコンでブログの記事を書いたりしている。

普段はよくキャットタワーや椅子で横たわっている黒猫。気紛れで何時ものんびりしている。黒猫は何時も気の向くまま暮らしていてそこは忙しかったあなたとは似ていないけど。

最近、黒猫は何時も寝る時、僕が寝ているベッドに上ってきて一緒に寝ている。

猫だからキスや行為はできないけど、僕と黒猫は何時も一緒に寝ている。

心の寂しさが紛れて僕は何時しかあなたの生まれ変わりの黒猫との暮らしが幸せに思えて仕方が無いようになってきていた。

でも、猫だからまたすぐに逝ってしまう。後、10年は生きてくれればいいけど。そう思いながら寝ている黒猫を見る。でも、僕は幸せを感じている。愛を感じている。

 

新しく好きな人を見つけようか。

僕はあなたがいなくなって五年が経ちそう思うようになった。

黒猫との生活もすっかり日常の一部になって久しい。

あなたと同じ名前に名付けた黒猫を呼ぶ。

黒猫はすぐに近寄ってくれた。僕は頭を優しく撫でて笑う。

もういいか。あなたとの思い出は忘れない。

黒猫は気持ちよさそうな顔をしていた。僕はあなたの全てを愛していた。そう思いまた涙が流れてきた。大丈夫。僕はあなたの事を忘れていないよ。覚えているよ。

 

あなたが逝ってから六年後。僕はスマホで出会い系のマッチングアプリで恋人を募った。

そして、何時しか出会いがあり付き合うようになっていた。

黒猫の世話をするのが一番大事だからデートは決められた時間にする。

その新しい恋人も黒猫が好きで自宅に一匹飼っている。

一緒に住めばあなたの生まれ変わりの黒猫に同居猫ができる。

あなたにも新しい出会いが生まれる。

あなたの生まれ変わりの黒猫が苦労しないように一緒に環境を変えずにここで新しい恋人と住めれば良いなと思っている。

あなたは出来るだけここで暮らしてほしいと僕は思っていた。

今日も僕は何時ものように黒猫に餌をあげる。そして、台所の傍でキャットフードを美味しそうに食べる黒猫を見て新しい同居猫とも上手く行けばいいなと心から願う。

あなたの事を愛している。その気持ちに偽りはない。でも、新しい恋人も愛し始めていた。

そして、僕は今、部屋で考え事をしていた。

あなたの笑顔がぼやけている。写真は余り好きではなかったよね。それでも、最後の日に写したスマホの写真を今見ている。あなたは笑っていた。無邪気な笑顔で。

あなたの事は忘れない。でも、僕には新しい恋人が必要だ。生きていくために。

黒猫が近寄ってきた。そして、少し甘えた声で鳴いている。

分かっている。独りじゃないよ。僕は笑顔で黒猫の背中を優しく触る。

黒猫になっても無邪気だね。あなたらしくて。そんな事を考えていると随分新しい恋人とは違うと思っていた。それでも新しく大切な人になりそうだった。

新しい恋人と出会ってから一年が経ち、新しい恋人の部屋にも遊びに行き、新しい恋人の飼っている黒猫とも何度も会っていた。黒猫の新しいパートナーになれそうな気がしていた。

それから話し合い、僕と新しい恋人は僕の部屋で一緒に住む事にした。

僕は新しい恋人と一緒にテレビを見て色々話をしている。懐かしい感じもするし新鮮な感じもする。意見や感想はあなたとは違うから面白い。

あなたの生まれ変わりの黒猫も新しい恋人の飼っている黒猫と仲良くなった。

黒猫同士が鼻チューをしたり、一緒に仲良く座っていたりする姿が微笑ましい。

しかし、僕は少しだけあなたといた時間を少しずつ忘れてしまう事に寂しさを感じていた。でも、少しずつ新しい人生を歩んでいる気もしていた。

ある日。僕はスマホに残るあなたの写真を見て思っていた。出会ってくれてありがとうと思えた。心の底からそう思えた事が僕はずっと幸せだと思った。これからもあなたの思い出とあなたの生まれ変わりの黒猫にしばらくは傍にいて欲しいと思った。

後、何年一緒にいられるか分からないけど。そう思っていた。猫同士も上手く行っているから余計楽しい生活を送っているから余計、新しい恋人とその飼い猫と何よりもあなたの生まれ変わりの黒猫とどれだけいられるかを考えると寂しくなった。

でも、少なくても僕は幸せだと思っていた。あなたといた時みたいに。

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